結局俺の予想は的中した。まるゆ達が出撃してから数時間後、敵の攻撃によって敗北した第三艦隊は敵に追われつつ鎮守府まで敗走。待機していた黒潮と足柄、それに俺と明石によってなんとか撃退する事ができた。敗退したとはいえ、第三艦隊によってある程度敵艦隊が負傷していたのが不幸中の幸いだった。
「やれやれ……危なかったなぁ」
戦闘を終えた俺は鎮守府の休憩室で一息ついていた。休憩室には畳とちゃぶ台が用意されており、靴を脱いでそのスペースで休む事になっている。そのちゃぶ台の一つに肘をつきながら溜息をつく。まったく、戦車の俺がやけに実戦に出てる気がするんだが、いいのか?
「あ、チヌはん、お疲れや―」
声がかけられて俺がそちらに顔を向けると入渠から出てきたんだろう、体から湯気が上がり、首にはタオルをかけている黒潮と不知火の姿があった。
「不知火に黒潮か、お疲れ様。大変だったな」
「いやー、本当大変やったなー。なぁ、ぬいぬい」
「不知火の事をぬいぬいと呼ぶのはやめてください。まったく、酷い目にあいました」
そう言うと、二人は入り口にある自販機で牛乳を買うと、俺の前に座って飲み始める。
「あー、風呂上がりの牛乳はうまいわー。でも、少しは胸大きくならんかなぁ?」
そう言うと、黒潮は服を引っ張って自分の胸を見つめてる。
「黒潮、チヌさんの前ですよ、はしたない」
「何言っとんねん不知火。こんなお堅いチヌはんがそんなイヤラしい視線を送るようなら、女性冥利に尽きると思わんか? ホレホレ、不知火も少しは自分の魅力をアピールしたらどうや?」
そう言って黒潮は不知火の後ろに回るとその服に手を伸ばし、まくり上げようとするが、不知火が眉間に皺を寄せて阻止している。
「……二人に聞きたいんだが、まるゆはどうだったんだ? 確か、不知火は今日同じ艦隊だっただろ? それに黒潮も沖で合流してたと思うが」
俺の問いに二人は渋い表情を浮かべた。
「……まるゆさんは正直使い物になりませんでしたね。魚雷を撃っても明後日の方向に行ってますし、敵の攻撃が集中してあっさり大破してしまいましたし……。彼女を庇って他の艦娘も負傷して、撤退せざるを得なくなったんです」
「そうやねぇ……。他の艦娘にも聞いたけど、けっこう酷い評価やったで。チヌはんに言われてなかったら、うちかてもっと厳しい視線送ってたかもしれんで」
「そうか……まるゆは今どうしてるか知ってるか?」
「まるゆさんなら、一番初めに入渠が終わってるのでもう外に居ると思いますが……」
「そうか……ありがとう」
そう言って頭を下げると、俺は休憩室を出た。ともかく、まるゆを探さないといけないな。