結局、あれから大体一時間程かけて探した結果、俺と黒潮がまるゆを釣り上げた埠頭に座り込んでいるまるゆを発見した。
「こんなところで何してるんだ?」
俺が声をかけると、まるゆは驚いた顔でこっちに振り向いて、そして何も答えずに前に向きなおった。
取りあえず俺はまるゆの斜め後ろに立ってもう少し話しかける。
「今日は散々だったな。まぁ、誰もやられなかったから、次に活かしていくのが一番だろう」
そう言うと、まるゆが俺の顔を見上げてきた。
「そんな簡単に言わないでください! そんな簡単にできたら……こんな所で泣いていません」
そう言われると、暗がりで良く見えなかったが、確かにまるゆは目に涙を浮かべていた。
「……それもそうだな。だが、俺には他にどういえばわからない」
こんな人を慰めるとかなんてやった事ないんだがなぁ。
「……チヌさんは一人で敵を倒したと聞きました。それに、この鎮守府でも活躍してるって……それに比べて私は……」
「一人で倒したのは単にほぼ全壊の敵一体だけだったからだし、ここで活躍してるって言っても敵を撃破してるわけじゃないんだが……」
俺がそう言ってもまるゆは納得した様子を見せない。あー、どうすればいいんだこれ?
「……ともかくなぁ」
俺は大きく息を吐くと、まるゆの頭に手を置いて何回か撫でる。
「ともかく。まだ一回失敗しただけなんだから、まだ挽回できるだろ」
「……本当、ですか?」
不安そうな顔のまるゆ。取りあえず、力を込めて言うしかないか。
「本当だ。失敗なんて誰にでもあるんだ。俺は同じ陸軍出身として、お前がちゃんとやっていけるって信じているんだ。だから、お前も信じろ。自分を信じる所から始まるんだ」
「そうよ。その通りよ」
不意に後ろから声がかけられ、俺達が後ろを向くと、そこにはイムヤと、なんか得意満面な笑みを浮かべてる黒潮の姿があった。
「まるゆ、今回は私が急ぎすぎたわ。今度はもっとちゃんと教えるから、頑張りましょう」
そう言ってまるゆの前に来るイムヤ。それに対してまるゆはなんかオロオロしてる。多分予想外過ぎてどう反応すればいいかわからないんだろ。
「ほら、イムヤもこう言ってるんだから、これ以上落ち込んでないで特訓してもらえ」
俺がそう言うと、まるゆは戸惑いながらも俺に対して軽く頭を下げ、そしてイムヤに連れられるまま鎮守府の中に戻っていった。
「いやー、うまくいったようやなー。ホンマ骨折った甲斐があったでー」
「イムヤを連れてきたのはお前か、助かったよ、俺じゃどうしようもなかったからなぁ」
「いやぁ、役に立って良かったで。でもチヌはんも頑張らないとあかんでぇ」
「善処するよ……」
黒潮の苦言に俺は困った表情を浮かべるしかなかった。