水上バイクを受け取ってから二週間、俺は海上での戦闘訓練に従事する事になった。艦娘達がやっているのと同じように海上に的を出して、それに向けて主砲を当てるのだが、これがどうにもやりにくい。
当然だが、海上では陸上と違って弾を発射する事で崩れるバランスが違いすぎる。一応水上バイクはその辺を考慮して設計したと聞いているが、それでも陸上と同じようにはいかない。特に水上バイクに設置されている主砲の発射は、普段の感覚と全然違うためかなり扱いにくい。
更に、移動そのものも面倒だ。水上バイクの運転なんて一回もやったことがないから、当然だが思うように行動できない。おかげで二週間の間に数えるのも嫌になるほど水上バイクから落ちたが、そのたびに待機していた艦娘達のよって救助されてきた。
それでもなんとか訓練のおかげである程度は水上バイクの運転に慣れてきた。そんな俺に、ついに出撃命令が下されることになった。その日、訓練を終えた俺に召集がかかり、俺は今までは行った事のない、作戦会議室に入ることになった。
俺が作戦会議室に入ると、そこには榛名、飛鷹、黒潮、まるゆ、不知火の姿があった。
「あ、待ってましたよチヌさん。宜しくお願いします」
俺が入ってきた事に気づいたまるゆがまず挨拶をしてきて、他のメンバーも挨拶してくる。
「ああ、足を引っ張る形になってしまうと思うが……できる限り負担をかけないようにしたいと思っている」
「大丈夫よ。これから行くのは今まで何回も通ってきたルートだし、今まで出てきたのもせいぜい軽巡までよ」
「そうですね。私も何回か通ってますけど、この戦力なら問題はないかと」
俺の言葉に飛鷹と不知火が心配ないとばかり声をかけてくる。
「そこは心配はしてないんだが……。で、いったいどういうルートを通るんだ?」
「はい、こういうルートを通ります」
そう言うと、榛名は後ろにある液晶画面を操作して、出撃する海域を表示する。そして、そこに赤い矢印でルートが表示された。
「今回通るルートはこの鎮守府で定期的に回っているルートです。既に知っていると思いますが、このルート上では軽巡以上の深海棲艦が出現したことはなく、この鎮守府に配属されたばかりの艦娘達の実戦訓練として最も使われているルートとなっています」
「今回はこのルートを一周して、チヌさんに実戦経験を積んで頂くのが目的となります。また、他の皆さんも初心を思い出すという意味で決して気を抜かないようにお願いします」
「今回の作戦の内容は以上です。出撃は3時を予定していますので、それまでに準備を整えて出撃ドックに集まってください」
「了解です。それではチヌさん、宜しくお願いしますね」
「ああ、宜しく頼むよ」
不知火の言葉に取りあえず俺は頷く。それから他の面々とも多少のやり取りをしてから、俺は明石のところで準備を整え、出撃ドッグへ向かった。