反省房は不用品を置いている倉庫の地下に設置されている。本来ならば軍規違反した艦娘や軍人を入れておく場所で、たまに小遣い稼ぎに艦娘の写真を撮っていたやつが捕まって入れられてたりしている。俺が階段を降りると、さして明るくもない電球の光に照らされて8つの反省房の扉が並び、その一番奥に川内と足柄が立っていた。
「チヌ、もう大丈夫なのね」
「心配したよー。まったく、こいつのせいで酷い状態になったって聞いたよ」
チヌに気づいた二人に声をかけられつつ、俺は扉の前に立って覗き窓から中を見る。そこには手と足に枷をつけられ、簡易ベットの上に座っている空母の姿があった。頭にはあのよくわからん帽子はない。
「……オマエカ……」
俺に気づいたのか、空母が顔を上げて俺を見てきた。
「……足柄、中に入りたいんだが大丈夫か?」
「え、別にいいけど、気をつけなさいよ。艦載機とかはないけど、何してくるかわからないからね?」
そう言うと、足柄は鍵を取りだし、扉を開ける。俺は中に入ると、空母の前に立った。
「いくつか聞きたいことがある」
俺がそう言うと、空母は俺を見上げながら頷いた。
「まず、なぜお前たちはあの海域に居た?」
「ココヲ襲ウタメ、以前ヨリモ戦力ヲ増強シテタケド、マサカオマエニヤラレルトハ思ワナカッタ」
あっさりと答える空母に、逆に俺のほうが面食らう。なんだこいつ?
「……次の質問だ。どうしてお前たちは人間を襲う? いや、それ以前にどうやってお前たちは生まれているんだ? お前たちは何者なんだ?」
この質問に空母は……とても不思議そうな表情を浮かべる。
「……ワカラナイ。私達ハ気ヅイタラ海中ニ産マレ、海ニ出ルモノヤ、一部の空ヲ飛ブモノヲ襲ウ。ソコニ私達ノ明確ナ意志ハナイ。本能ノママヤッテイルト言ッテイイ」
表情からは嘘は言ってないように見えるが、本当だとしたら、いったいこいつらは何なんだ? 俺が言えることでもないんだが。
「じゃぁ……どうしてお前は捕虜になった? 今まで聞いてきた中でお前たちが捕虜になったなんて話は聞いたことがない。それがなんでだ?」
そう、それが俺が最も聞きたいことだった。
「……ワカラナイ。オ前ノ主砲ヲ受ケテカラ、私ノ頭ハ海に居タ時ヨリモハッキリトシテイル。ソウデナケレバ、私ハアノママ轟沈スルマデ戦ッテイタハズダ」
「ダカラ私ガ聞キタイ。オマエハ何者ナンダ?」
「……俺は三式中戦車チヌ。それ以外の何物でもないし、お前がそうなってる要因もわからない」
こいつの言葉を聞いて、俺は更に困惑が深まった。俺がやった事と言ったら肉弾戦ぐらいだが、それが原因なわけないよな。いくらなんでも。
「ソウ……。私ガ言イタイノハソレダケ」
そう言うと、横を向いてしまった。これ以上話しても仕方なさそうだし、俺は反省房を後にして、取りあえず定時の見回りをして寝る事にした。こいつの処理は、さて、どうなるのやら……。