艦これの世界で三式中戦車が人となったら   作:雨宮季弥99

32 / 111
第32話

 俺が空母に会ってから三日後。俺は提督室に呼び出された。新しい水上バイクでも完成したのだろうか?

 

 そう思いつつ俺が提督室に入ると、そこには提督と明石……は想像通りだが、なぜか捕虜にした空母と不知火、黒潮もいる。

 

「来てくれたか、チヌ」

 

「ハッ。それで、今回は一体どのような御用でしょうか?」

 

 俺の言葉に不知火と黒潮が微妙に表情を歪めた。どうしたというんだ?

 

「うん、実はな。大本営から彼女に関しての通達が来た」

 

「……それで、いったいどういう処遇になるのでしょうか?」

 

 なにせ人類側が初めて鹵獲した深海棲艦だ。相当な尋問を受けるのか? それとも研究所で解剖されるのか……。

 

「彼女自身はこの鎮守府での預かりとなった」

 

「……なんですって?」

 

 提督の言葉に俺は耳を疑った。空母をこのままこの鎮守府に置いておく? いったい、上層部は何を考えてるのか? まったくわからない。

 

「その代わりだが、彼女が頭部に着けていたもの……彼女曰く艦載機の収納スペースらしいんだが、あれを本部の研究所に運ぶことになった。彼女からの尋問に関しては我々が担当だがな」

 

「……そうですか」

 

 やけに寛大な処遇だな。だが、上には上で何かしらの考えがあるんだろう。俺が口出す事ではないし、口を出せる事でもない。

 

「というわけでだ。チヌ、君に彼女の監視を任せたい。彼女の身体能力は普通の人とほとんど変わらないからな。艦娘よりも君のほうが適任だろう」

 

 監視……か。

 

「了解しました。それで、彼女はどこで生活するのでしょうか? 反省房でよろしいでしょうか?」

 

「いや、彼女は君の家に滞在してもらう」

 

「……は?」

 

 言葉を失うとはこのことか。

 

「彼女が何かをした時に対処できるように考えればチヌと一緒に居るほうが良いだろう。と言っても任務もあるわけだから。チヌが任務の間はここに居る不知火と黒潮のどちらかを常に。それとは別に、手の空いた者を回すようにする」

 

「そういうわけや、チヌはん、今後も宜しゅうな」

 

「提督の命令ですから、仕方がありません。宜しくお願いします」

 

 いや、お前たち、これは異議を唱えるべき内容だと思うんだが。

 

「失礼ですが提督。それならば俺が彼女の隣の反省房で生活するのが良いのではないでしょうか?」

 

「反省房がいつまでも使えないのも困るだろ。それに、彼女の体調に無為に悪化させても仕方がない。幸いと言うべきか、彼女は空母であり、艦載機が居なければ何もできないのだから、君の家でも問題はるまい」

 

 問題は大ありだと思うんだが……いや、やめておこう。提督はこの鎮守府の最高責任者だ。意見具申以上の事をすべきじゃない。

 

「……了解しました。三式中戦車チヌ、これより鹵獲した空母の監視の任務に就きます」

 

 そう言って、俺は敬礼した。こうなった以上、任務を全うするしか俺にできる事はなかった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。