「……」
あれから数日が経過した。今日は見回りの任務は非番であり、飛鷹達の出撃や、水上バイクのメンテナンスもあって、今日は基本的な訓練だけである。そしてそれも終わり、俺は家に戻り、普段ならば図書館で借りた本で勉強をしたりするはずなんだが……。
「まるゆー、お茶取ってーな」
「あ、はい」
「黒潮、それぐらい自分で取りなさい」
「……コノオ菓子美味シイ」
俺の目の前には三人の艦娘と一人の深海棲艦がちゃぶ台を占領していた。黒潮は本を読みながら茶を飲んでいて、まるゆがやかんを黒潮の近くに置いている。不知火は勉強をしていて、空母……は煎餅を齧っている。
ちなみに、空母は自身がヲ級という分類なので取りあえずヲ級と呼ぶように要求してきたので、今はヲ級と呼ぶようにしている。名前としてはまぁ、俺も似たようなものだし特に問題はないだろ。もし今後正式に名前が必要になるのであれば、その時に改めて考えればいいだろうしな。
「おい、ちゃぶ台を占領するな」
「あ、すまんなーチヌはん」
「す、すぐどきますね」
俺の言葉に黒潮とまるゆが横にずれ、空いたスペースに俺は本を置き、それから改めて部屋を見渡した。部屋の中には不知火たちが寝泊りするためのに新しく用意された布団が障子の開いた押し入れから見えており、箪笥には寝ている間ヲ級に装着するようの簡易の拘束着が入れられている。そして、出入りする艦娘達のためのお菓子やら本やらの娯楽品が部屋のあちこちに置かれている。まったく、俺が来たころとはかなりの変わりようだ。
「チヌさん、ちゃぶ台の新しい物を購入すべきです。このちゃぶ台では全員が使う事はできません、小さすぎます」
「それは今度の休日にどこかの家具屋で買ってくる。というか、俺が戻ってきたんだから、どっちかはもう戻ってもいいんだぞ。二人とも居る必要はないはずだ」
俺の言葉に三人が睨んできた。
「何言うてんねんチヌはん。こいつはチヌはん殺しかけたんやで。チヌはん一人でなんてのは論外やとしても、一人でも多く監視しとるほうがええに決まっとるやん」
「そうですよ。何かあってからでは遅いんですよ」
黒潮とまるゆがそう言い、不知火も同意とばかりに頷く。
「私ハチヌニ鹵獲サレタ身。チヌヲ襲ウツモリハナイ」
「ふざけるなや。そんな話ホイホイ信じられへんわ」
黒潮がヲ級の言葉に噛みつくように反論し、残りの二人も鋭い視線でヲ級を睨む。それを見て俺は溜息をつくことしかできなかった。