艦これの世界で三式中戦車が人となったら   作:雨宮季弥99

37 / 111
第37話

 その後明石達によって救出された俺達だが、入渠施設には既に第一艦隊のメンバーによって使用されていた。幸いさして時間を置かずに施設が空くとの事なので、血が流れないように軽い処置だけしておいて近くの休憩スペースで待つこととなった。休憩室の畳のスペースで、俺は新聞を読もうと手に取っていたが、俺を心配したという黒潮、それに入渠から出てきた響が俺の両隣に座っているせいで集中できず、それを、響と同じく入渠から出たばかりの榛名が見ている。

 

「ほん、まっ! あいつ腹立つわ。チヌはんに喧嘩売ったあげくにチヌはん怪我させるってどんな了見や」

 

 そんな俺の隣で黒潮が騒いでいて反対側で響も頷いている。

 

「黒潮、落ち着け。さして深い傷でもないからすぐ治る」

 

「そういう問題やないやん。うち、もう我慢ならん。後で提督にあいつをさっさと異動させるように進言するで!」

 

「チヌ、自分達の仲間を悪く言われて気にしない人なんて普通いないんだよ。それに、怪我したんならなおさらさ」

 

 二人に挟まれてそう言われる。傷に関しては事故だと説明したはずだが。どうしてこうなるんだ。

 

「二人とも、チヌさんを困らせてはいけませんよ……でも、今回の件は流石にまずいかもしれませんね」

 

 二人を諌めつつ、榛名も表情を曇らせている。榛名がこういうとなると、流石にマズイか。だが、どうすればいいのか。

 

 俺がそう悩んでいると、休憩室のドアが開かれ、そして、件のビスマルク殿とユー殿が入ってきた。

 

「……チヌ、少しいいかしら」

 

 黒潮と響が睨む中、ビスマルク殿が俺の前に来た。

 

「何の御用でしょうか、ビスマルク殿」

 

 畳から立ち上がり、

 

「……チヌ、今までの態度、謝るわ。……ごめんなさい」

 

 そう言って、ビスマルクが深々と頭を下げた。それを見て俺達は言葉を失った。

 

「チヌ……ビスマルク姉さん、反省してる……許してあげて欲しい……」

 

 ビスマルク殿の後ろからユー殿も俺を見上げる。

 

「……。許すも許さないもありません。元から怒ったり等はしてませんから。ですが、貴方が私の事を受け入れて頂けるというのなら、とても嬉しい事です」

 

 俺がそう言うと、ビスマルクは少し笑みを浮かべ、そして少しして、右手を差し出して来た。

 

「あの時は握手に応じずごめんなさい。私から改めて挨拶するわ。戦艦ビスマルクよ、宜しくね」

 

「三式中戦車チヌです。宜しくお願いします」

 

 差し出されたビスマルクの手を取り、俺達は握手を交わす。それを見て黒潮と響が微妙な顔をしているが、榛名は笑顔になってる。

 

「……それじゃぁ、今日はこれで失礼するわ。明日から宜しくね」

 

 そう言うと、ビスマルクは俺に背を向けて休憩室を後にした。

 

「チヌ……私も改めて……明日から宜しく……」

 

 ユー殿も俺に頭を下げるとビスマルク殿を追って休憩室を後にした。

 

「黒潮、響。ビスマルク殿もああやって謝ったんだし、提督への進言はなしにしてくれるか?」

 

「うーん……正直虫のええ話やけど……チヌはんがそう言うなら」

 

「私は構わないよ。でも、またやりだしたら言うと思うから」

 

 二人は渋い顔をしているが、納得してくれたようだ。榛名もそういう心配はなさそうだし、これでどうにかなりそうだな。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。