艦これの世界で三式中戦車が人となったら   作:雨宮季弥99

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第40話

 ともあれ、俺の家にはヲ級と見張り当番の艦娘、そして新しく加古が泊まることになったわけだが、流石に手狭になってきたな。まぁ、加古に関しては期間限定だろうからそれはいいんだが。

 

 問題は加古の睡眠であった、一週間程様子を見ていたが、ともかく暇さえあれば寝ていて、一度寝たら中々起きない。それでも訓練は割と真面目にしている当たりは根っからの不真面目というわけでもないようだが、あれは体質なのだろうか? 取りあえず、香取にも意見を聞くか。

 

「……というわけなんだが、香取はどう思う?」

 

 ちょうど昼食の休憩が重なったので、俺は香取を間宮食堂に誘い、意見を聞いてみる。

 

「そうですねぇ。加古さんは確かに、ここに所属していたころから寝てばかりでした。それでもまぁ、訓練では一定の成績を収めていたのと、戦闘の時にはちゃんと起きていたのとで他の鎮守府に異動したんですが……」

 

 香取はそう言うと短くため息をついた。

 

「……要は単なるサボり癖という事か?」

 

 俺が聞くと、香取は「恐らくは……」と返して来た。それを聞いた時、俺の中に何か黒い感情が沸き上がるのを感じた……が。表に出さないように努めた。

 

「単なるサボり癖なら少々厳しめの訓練と生活習慣で矯正していけると思うが、艦娘としての戦闘訓練を厳しくすることは可能か?」

 

「……あからさまに加古さんだけに厳しい訓練。と言うのは難しいですけど、通常の訓練の中での評価を多少厳しくするぐらいなら大丈夫です」

 

「それじゃ、それで頼む。俺のほうは加古の生活の中で厳しくしていってみよう」

 

 それから俺達は互いに話し合い加古のサボり癖修正に向けて動き出す。……俺の中の黒い感情が表に出ないうちにどうにかしたいものだが。

 

 

 

 

 翌日、家の中で最初に目を覚ましたのは俺であった。布団から起きて時計を確認すると、今の時間は6時5分前。まだ目覚ましが鳴るには時間がある。取りあえず布団を押し入れに入れ、カーテンを開け、着替えを取ろうと箪笥の前まで来たとき、後ろから目覚ましの轟音が鳴り響いた。

 

「うわあああ!? 何!? なんなのさ!」

 

「ウ、ウルサイ……!」

 

「あわわわわわわ」

 

 加古とまるゆは轟音に驚いて体を起こし、ヲ級は必死に頭を布団の中に押し込んでいる。拘束具のせいで耳を抑えれないから仕方ない。

 

「昨日言ったはずだ。6時に絶対に起床だと。まるゆ、ヲ級の拘束を解いておいてくれ。俺は洗面所で着替えるから、6時20分までに全員着替え終る事」

 

 そう言って俺は洗面所に入り、5分後に出てきた。三人はなんとか着替えを終えている。

 

「今から朝食の8時までグラウンドで基礎トレーニングを行う。まずは腕立て、腹筋を200回。それが終わってからグランド20週。さぁ、急げ急げ!」

 

「ひ、ひいい」

 

 俺が大声を上げて宣言すると、加古はわけもわからないままグランドまで走り出て腕立て伏せを初め、その隣でまるゆとヲ級も腕立て伏せを始める。流石に二人とも艦娘という事もあって、訓練内容は問題なくこなしてるな。ヲ級も問題はなさそうだ。だが、加古はどうも体がふらついているな。

 

「うう、ね、眠い……」

 

「あ、加古さん、寝ちゃだめですよ!」

 

「……寝タラ怒ラレル……」

 

ふらつく加古をまるゆとヲ級が励ましながら訓練をこなしていき、どうにか時間内に終える事ができたようだ。

 

「時間だ。9時までに朝食を終えてもう一度ここに集まる事。時間に遅れた場合には懲罰の対象となる。以上」

 

 俺がそう宣言すると、加古はげんなりとした表情をしつつも、ヲ級とまるゆと共に間宮へと向かって行った。それから、朝食を終えた三人は10時からの艦娘としての本来の訓練を行い、午後からの訓練の前に再び同じような特訓。ともかく昼寝をする暇を与えず、訓練を重ねて行き、夜になった。

 

「あう……もう……ダメ……」

 

 諸々の訓練を終えた加古が家に入ってきたが、足取りがおぼつかず今にも倒れそうなのをまるゆとヲ級が支えている。

 

「風呂に入ったら寝ていいからそれまで起きていろ。まるゆは加古が風呂で寝ないように一緒に入ってやってくれ」

 

「あ、わかりました。さ、加古さん、頑張ってください」

 

「うー……」

 

 まるゆに連れられてフラフラとしながらも加古は風呂場に入っていった。……その様子を見ていて、また俺の中で黒い感情が出てきそうになっているのを感じる……。

 

「やれやれ……一日目からこれで大丈夫なんだろうか」

 

「……大丈夫ダト思ウケド……早ク終ワッテクレルト嬉シイ……朝ガウルサイ……」

 

 ちゃぶ台で茶を飲みつつヲ級が嘆息する。顔は無表情だが、やはりどこか不機嫌な様子を感じるな。

 

「加古が更生されるまでの間だけだ」

 

 俺の言葉にヲ級は「……何時ニナルカワカラナイ……」と呟き、再び茶を啜る。そうこうしている内に風呂から出てきた加古はそのまま晩飯を食べる暇もなく畳の上に突っ伏して寝てしまったので、俺はまるゆとヲ級と食事をとってから眠りに着いた。目覚ましをちゃんとセットして。

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