艦これの世界で三式中戦車が人となったら   作:雨宮季弥99

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第74話

 不知火との会話をしてから数日、合同訓練を終えた俺たちは鎮守府周辺の観光を行った。私的な観光ということで海軍から派遣された護衛の軍人を置いての観光という事だったので俺は一応異議を唱えたはしたが、万が一の為の緊急連絡方法はちゃんと用意しているし、お前がいれば問題ないと言い切られてしまった。大丈夫なのだろうか?

 

 そんな俺の不安を余所に観光は問題なく行われ、そしてある程度の観光を行うと、俺たちは御上神社へ足を運んだ。

 

 御上神社は観光地より多少離れた郊外にあったが、その規模は郊外にあるという割にはそこそこ大きい。

 

「ここ……ですね。思っていたよりも大きいんですね」

 

 地図を片手に不知火が小さく呟く。

 

「そうですね。提督、それでは早速お参りをしましょうか」

 

「ああ、そうだな」

 

 そう言って提督と榛名は中に入っていく。そしてそれを追う形で俺たちも境内へと入っていく。だが、境内に足を踏み入れた時、俺は何か不思議な懐かしさを感じた。

 

「え……?」

 

 思わず足を止め辺りを見渡す。

 

「? どうかしましたか?」

 

「……いや、なんでもない」

 

 不知火の言葉に答えると俺は改めて歩き出す。……さっきの懐かしさは……藤村二等兵と木村准尉の想いの影響なのだろうか?

 

 そんな事を考えていると提督と榛名が並んで拝殿の前で願い事をしているのが見えた。まぁ、あの二人の願い事の内容は大体想像がつくが。観光中もここに来るまでの道中もバカップルよろしくイチャついていたしな。

 

「あの二人、わざわざお願いする必要あるのかしら? 提督も榛名も人目も憚らずベタベタしてるのに」

 

「あれは自重してほしいが……あれ、鷲鷹、どうした?」

 

 外出中なので鷲鷹でヲ級を呼ぶが、なんかボーッとしているな。

 

「……なんだかここにいるとボーッとする……空気が綺麗すぎて……チヌ……捕まらせて」

 

 そう言うとヲ級は俺の右腕に抱き着く形で俺にしがみついてくる。

 

「……チヌさん、私も少しボーッとするのでしがみつきます」

 

 突然不知火がそんなことを言いながら左腕にしがみついてきた。ついさっきまで普通にやり取りしていたのにいきなりどうした?

 

「あんたらねぇ……。提督と榛名じゃないんだから、イチャつくんじゃないわよ」

 

「不知火、随分積極的になったんだね」

 

 そんな俺たちをみた飛鷹と響も呆れたような顔をしている。

 

「おお……これはチヌ殿!? それに不知火殿に響殿も!」

 

 そんな俺たちに向かって聞き覚えのある声がかけられた。そちらを向くと宮司の格好をしている藤村さんがこちらを見ていた。

 

「藤村さん、お久しぶりです。お元気そうで何よりです」

 

「チヌ殿こそ……それに不知火殿と響殿……そちらの方々は飛鷹殿と鷲鷹殿とお見受けします。初めまして、私はこの神社で宮司を務めております藤村純一と申します」

 

 そう言って藤村さんは頭を下げる。

 

「初めまして、飛鷹型空母一番艦飛鷹です」

 

「飛鷹型……三番艦……鷲鷹です」

 

 二人もそれに応えて頭を下げる。そうこうしているうちにお参りを終えたのか提督と榛名がこちらに戻ってきた。

 

「ん? チヌ、この方は?」

 

「こちらは藤村純一さん。この神社の宮司を務めておられて……かつて私に搭乗するはずであった藤村二等兵のご子息です」

 

「これは……失礼しました。私はチヌが所属する鎮守府で提督を務めております伊藤蒼波と申します、以後お見知りおきを」

 

「なんと……ああ、失礼。この神社で宮司を務めております藤村純一と申します。お話は伺っております、お会いできて光栄です」

 

 二人はそう言って互いに挨拶する。

 

「皆さん、立ち話もなんです。もしよろしければお茶でもいかがでしょうか? 折角提督殿と艦娘の皆さんが来られたのに何の御持て成しもしないわけにもいきません」

 

「そうですね……榛名、今日の予定はここで最後だったよな?」

 

「えっと……そうですね。後は鎮守府に戻るだけです」

 

「それではありがたく頂きます。皆もそれでいいな?」

 

 提督の問いに俺たちは了解の返事をする。こうして俺たちは藤村さんと話をすることとなった。

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