「……寝ちゃいましたね」
瞼を閉じて寝息を立てるチヌさんを見て小さくため息をつく。まったく、結局最後まで帰るように言ってくるなんて。
「……服脱がせないと、皺になる。不知火、手伝って」
ヲ級がそう言ってチヌさんの体を起こす。不知火もそれに続いて彼の服のボタンを外していき、まずは上半身の下着以外を脱がせた。
(……分厚い体。毎日鍛えてるから当然かもしれないけど……)
服を脱がせるときに触れる彼の体はとても分厚く、筋肉質で。不知火なんかよりよっぽど力が強い……でも、彼は不知火達が使うサイズの主砲までしか使えない。不知火達よりも敵の攻撃を食らったときに大きく負傷する。……体だけみたら戦艦レベルのはずなのに、「戦車」という性質が彼の足を引っ張ってる。
(もしも……チヌさんが戦艦として生まれていたら……チヌさんは不知火達の好意を素直に受け取ってくれているんでしょうか?)
「……不知火? どうかした?」
「あ、いえ……なんでもありません」
ヲ級に声をかけられ不知火は気を取り直す。
「……不知火、ズボンも脱がしておくほうがいい?」
「……それはやめてあげてください」
チヌさんのズボンに手をかけるヲ級を止める。どうもこの辺の常識にはまだまだ疎いようですね。この辺も勉強させないと、外で何か粗相をさせるわけにはいきません。
そんな事を考えつつ、不知火はヲ級と一緒にチヌさんの服を片付け、かけ布団を被せます。……酔っぱらったチヌさんの寝顔って、普段に比べて、なんだか穏やかな感じがするのね。……今なら、キスしても起きない……わよね?
「……不知火? チヌの顔に何かついてる?」
「ッ! い、いえ……なんでもありません」
ヲ級の声を聴いて慌てて視線を逸らす。……危なかったわ、ここまで無防備なチヌさんなんて初めて見たからつい……。
「……? 不知火、私達ももう寝る? チヌも寝ちゃったし」
「そう……ですね、そうしましょうか」
これ以上チヌさんの顔を見てたらまた変に気を起こしそうですし、もう寝ましょう。ヲ級の言葉を幸いに、私達は服を着替えたりして準備し、そのまま布団に寝そべった。チヌさんの隣の布団はさっきの事もあってヲ級に譲っている。
「……チヌ、お休み」
もう寝ているチヌさんに一声かけてからヲ級が電気を消して、それからしばらくして彼女の寝息が聞こえてくる。
「……不知火も、彼女ぐらい素で甘えられれば良いんですが……」
静かに寝息を立てるヲ級の姿に軽く息を吐きながら、不知火も意識を手放しました。