「……と言うわけなんだ。暁達が悪いとは思ってはいないし、無理に呼び方を変えてほしいとかでもないんだ。でも、私……ヴェールヌイの事を否定する事はやめてほしいんだ。私は響でもあり、ヴェールヌイでもあるんだから」
「うう……ごめんなさい……私のせいで……私の……」
「そうだったのですね……不知火の落ち度です。本当に申し訳ありません」
ヴェールヌイの事情説明を受けて暁は泣きながら謝り、不知火も顔を俯かせて謝罪している。やれやれ、事情を説明するのに一苦労したが……ヴェールヌイのほうは問題なさそうだな。
「二人とも、さっきも言ったけど二人が……いや、鎮守府の皆が悪いわけじゃないんだ。だからこれから気を付けてくれたらいいんだ。それに……もし皆が中々私への認識が変えられなくても、チヌが居れば私は私で居られるし……そうなったら暁の部屋からここに引っ越そうかな」
「「それはダメ!」」
ヴェールヌイの言葉を即二人が否定する。まぁ、たまに泊まり込むぐらいならともかく引っ越しは普通にアウトだろ。暁としても妹が男と同棲状態なんて容認できないだろう。
「取り敢えず……他の面々には明日説明するとして、今日はもう三人とも部屋に戻れ」
「何を言っているんだチヌ。私はまだチヌの温もりを……」
「戻れ。暁だって心配するだろ。不知火も明日は朝から任務のはずだろ。いつまでも起きてないでさっさと寝ろ」
ヴェールヌイが何か言おうとするのを、これ以上変に反論されないように上から被せるように言う。それにヴェールヌイは僅かに口を尖らせたが、観念したのか立ち上がると暁達と共に玄関へ向かう。
「それではチヌさん、お騒がせしてすみませんでした。失礼します」
「ごめんなさいねチヌ。それじゃ失礼するわ」
「チヌ、今日は本当にありがとう、明日またお礼はするから」
そう言って三人は家を後にした。
「やれやれ……なんかドッと疲れたな……俺も寝るか」
時計を見れば既に二二○○時を回っている。まったく、一時間ほどの間に妙に濃い時間になったな……しかし……。
「ヴェールヌイがあんな状態になるなんてな……。他にも海外への賠償艦となって名前が変わったやつがいたよな。確か不知火達の妹の雪風……もそうだったよな。彼女たちは大丈夫なのか……?」
そんな考えがふと過ったが、今回の件は提督の耳にも入るだろう。そうなれば他の鎮守府へも同ケースへの対処法として伝わるだろうし大丈夫だろう。そう考え、俺は眠りにつくことにした。