召喚の手違いは世界最強   作:ぬくぬく布団

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神山?ステルスアーティファクトを手にした美羅達の前では障害なんぞない!
しかし、途中でハジメにとって嫌な出会い。そしてそれをぶっ壊す美羅である!









ちょっと寄り道しよう。金の生る実を手に入れる為に!

~美羅side~

 

神山の麓まで辿り着いた美羅達は、ハジメお手製のステルスアーティファクトを装備して侵入した。神山の厳重で、神殿騎士が沢山待機していた。神殿の中に入ると信徒達が祈りを捧げたり、神父やシスターが掃除をしていたりと様々だ。だが、各部屋に必ず設置されているエヒトが描かれた絵の存在感が大きく、神殿の部屋の景観を台無しにしている

 

狂信の果ては滅び―――一定の節度を持たないものはどこかで綻びが生まれる。まぁ、例えこのトータスの人類がエヒトに反抗しようとしても勝てないからどうでもいいわ

 

美羅は白い目で彼等を見つつ、神殿内を色々と見回るが迷宮と呼ばれる様な入り口は見当たらない。ハジメ達も美羅と合流して迷宮の入り口が見つからない事を報告。そして、恐らくこの神山そのものが迷宮の代わりではないかと仮説を立てて探索をする事にした

神殿関係者達が多い場所を重点的に調べるが何もなく、これと言った仕掛けすらも発動しない。美羅達はどうしようかと考えていると、何処からか食料を盗んできた雌煌が合流して迷宮と思わしき場所を見つけたとの事だった。これを聞いた三人は、「えぇ・・・」とどこか納得出来ない様子だった。とはいえ、入り口を見つけだけでも十分だ。雌煌を先頭に進んで行くと、そこは食糧庫の床下だった

 

ねぇ、馬鹿なの?なんで食糧庫の床下?こんなの分かるわけないでしょ!

 

声に出す事は無理だが、内心で解放者のメンバーに悪態をつきながら床下にある魔法陣を見つけた。・・・うん、何だこれはと言いたい程簡単に見つかった。しかし、この魔法陣の様子を見た所・・・神代魔法を手に入れる為の物だった

 

「ハジメ、ノイントちゃん、乗ってみて」

 

「これと言った試練を受けてないけど、大丈夫なのかな?」

 

ハジメとノイントが魔法陣の上に立つが、魔法陣は光らない。どうやら神代魔法は手に入らないようだ。ハジメは溜息を吐きつつその場を離れようとした時、ハジメ達の目の前に光る人が姿を現した。敵意は感じず、ただただ見つめて何かを試しているかの様だった

 

「何だこれ?」

 

「さぁ?」

 

そのまま立っていると光の人は消え、魔法陣が光った。どうやらハジメとノイントは無事に神代魔法を手に入れたのだろう。一方、ハジメとノイントも困惑しており、ただただ首を傾げるしか出来なかった

 

「試練ってあれだけ?」

 

「そう・・・なのかもしれませんね」

 

ハジメとノイントは試練を受けた様子で、美羅がその内容を聞くと脳に直接エヒトに関する事を問いかけられ、色々と思った事をそのまま受け答えしていたら終わったとの事だ

正直ハジメはエヒトに関して、ノイントと恋人になれた事以外は感謝していないので疫病神扱いしている。一応神様というだけでもありがたく思え!と言わんばかりの酷い扱いである。エヒトはこの扱いに怒る事が出来るが、それをした瞬間死が確定するので受け入れる他ない

 

「神代魔法―――魂魄魔法も手に入れたからさっさとここから出よう。それと、美羅姉さん達に秘密で作ったゲートキーって言って、一度行った場所ならある程度の距離ならショートカット出来るアーティファクトを作ったんだ。これなら見つかる可能性はゼロだから大丈夫だよね」

 

「よっしゃ、いいぞぉハジメ!秋葉まで一瞬で行けるって事だな!!」

 

「現代は監視カメラがあるから無理に決まってるでしょ」

 

「ウソダウソダドンドコドーン!」

 

雌煌は交通費を浮かす予定だったのだろうが、それは叶わなかった。こんな危険なゲートキーが世に広まったとしたら大変の一言である

雌煌の願いはあっけなく潰え、美羅達はゲートキーを使ってさっさと神山から脱出。麓までショートカットした美羅達は、四輪に乗り中立商業都市フューレンへと移動した

 

数日後―――

 

美羅達はフューレンに到着。流石商業都市と言うべきかかなり広く人の出入りが多く、多種多様な売り物が出品されている。しかし、やけに騒がしい一角がある。そちらにはボロボロな姿の人達が沢山居た

 

「なぁなぁ~、あれって野戦病院か何かか?」

 

「あの様子は被災民ね。血の匂いもあるけど、炎に焼かれた炭の匂いが強いわ」

 

「私は冒険者ギルドで情報を聞いてみます」

 

「あ、それなら僕も一緒に行くよ」

 

「私と雌煌は市場で物色するからゆっくりでいいわよ~」

 

美羅達とハジメ達は別行動をする事にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ハジメside~

 

ハジメはノイントと一緒に冒険者ギルドに入る前に、再度周囲の商店の種類を調べる。商業都市となれば、多方面の食料や物品が売られる。しかし、今は武器や防具や薬品等の戦闘を前提とした店ばかりだ。特に冒険者ギルドに近付くにつれて店が多く、露店も同じだ

 

「物々しいね。美羅姉さんが言っていた被災者が関係しているかもしれない」

 

「ここまで見て分かりましたが、恐らく魔物による被災です。村か町の一つが潰されたと判断した方が良いでしょう」

 

「今回は魔物の素材を売るのは止めておこう。売るなら薬草系・・・量もそこそこの方が目立たない筈だ」

 

「序盤に採取していた薬草を卸しましょう。それならば目立つ事はないでしょう」

 

二人は冒険者ギルドに入り、真っ直ぐに素材売り場へと移動して手持ちの薬草類を換金する。その薬草は標準価格の二割増しで買い取る事となった。理由は、薬がとにかく足りないとの事だ。なんでもウルという町で魔物の大災害が起きたそうだ。住民達の避難は間一髪のところで間に合ったらしいが、魔物の大群は徐々にこのフューレンへと近付いているそうだ

 

「これは早く美羅姉さんに教えないといけないね」

 

「ですね」

 

二人は冒険者ギルドから離れようと出口へ向かおうとしたら

 

「南雲君?」

 

「?・・・・・げっ」

 

呼ばれた方向を見ると、居る筈のない人物―――教師の畑山やクラスメイト達や神殿騎士達が居た。出来れば会いたくない候補トップ五に連なる一人だ

 

「南雲君!」

 

「逃げる・・・ちっ、間に合わないか」

 

出口は混んでおり、すぐに出る事は出来ない程人が居た。これは逃げられないと判断したハジメは諦めた

 

「一体どこに行っていたんですか!心配していたんですよ!?」

 

「・・・いや、先生には関係ないじゃないですか」

 

「関係なくないです!私は先生で南雲君は生徒です!危ない旅なんて止めて帰って来なさい!!」

 

「危ない旅?そっちに帰った方が危ないのに帰るわけないでしょ」

 

ハジメは嫌々ながらも受け答えするが、気分が悪くなる。せっかく別れてから順風満帆で幸せなのに、何故こんな目に合うのかと神を恨みたくなる。教師の畑山はハジメを連れて帰ろうとしているのだろうが、ハジメはもう用はないと出口へ向かおうとすると神殿騎士達がその道を立ち塞ぐ

 

「邪魔なんだけど」

 

「邪魔だと?愛子が貴様を心配しているんだぞ!それを無下にするとは本当に教え子なのか!!」

 

「教え子だけどさぁ・・・正直言ってどうでもいいよ。僕が何を言っても信じないし、適当に対応するし、そもそも二度と関わらないって言ったのにその約束を破っているのはそっちだよ。僕達は行くところが決まっているからさっさと退いてよ。他の人達の邪魔になっているからね」

 

「減らず口を叩くなよ小僧。貴様を強制的に連れて帰る程度しないと思ったか?お前の言う関わるなというのは、神殿騎士には通用しない」

 

約束したのはクラスメイト達で、それに責任を負う様に畑山も守る形となるが神殿騎士達は関係ない。これはその通りである。とはいえ、このまま連れられる事は絶対に嫌なのだ。例え神殿騎士をぶん殴ってでも拒否するつもりだ

 

「お前が私達に手を出せば、教会は反逆者として貴様達を指名手配するぞ?それでもいいなら反抗するがいい」

 

ハジメは、そんな事知るか!と一発殴ろうとしたが、神殿騎士の後ろに見えた二人に任せる事にした。とはいえ、何もしないというのは腑抜けと言われている様なものなので拳を握り込んで大振りに殴ろうとする。神殿騎士は、剣を引き抜きハジメを痛めつけようとした

 

「おう、弟分に剣を向けたって事はぶっ飛ばされても文句はねえって事だぜ」

 

その声が響いた瞬間、神殿騎士は頭から地面に埋められて犬神家となる。普通ではありえない行動に皆が目を剝き口に含んでいた物を噴く。犬神家となった神殿騎士はぐったりとしており、仲間の者達は剣を抜いて警戒する

 

「さぁて、厄介事だろうが―――手を出す相手を間違えたな」

 

「ねえ、ハジメとノイントちゃんを反逆者として指名手配するって言ったわよね。覚悟は出来てるのかしら?」

 

野生の美羅と雌煌が現れた!

 

神殿騎士達 戦う◀ 戦う

      戦う  戦う

 

戦う以外の選択肢は存在しない。――――結果

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!」

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!」

 

『ブゲェッ!?』

 

神殿騎士達は全員ぼっこぼこにされた。拳一発で骨が折れ、回転の速い殴打で宙に浮く体。そして、トドメの一撃と言わんばかりのテレホンパンチが神殿騎士達をボーリングのピンの様に吹き飛ばす

神殿騎士達は、綺麗なタワーの様に積み重ねられてオブジェとなった。美羅達はあんな事をした後でも息切れ一つしない

 

「さぁ~て、寄り道するわよ~!」

 

「寄り道ですか?」

 

「そう!ウルって言う町の北の山にしか採れない香辛料があるって聞いたのよ。これは金の生るやつだと判断したわ。お持ち帰りして繁殖させて売り捌く!」

 

「売れば金が手に入るし、欲しい物も買える。異世界の香辛料と来たら料理人達が手を出さないわけにはいかない=プレミア価格が付くって寸法よ!」

 

「更に、香辛料を砕いた状態で売る事で育成も不可能!」

 

「「金の生る実!!」」

 

あぁ、これは絶対に行く羽目になるな・・・拒否も出来ないから仕方がない。僕はおとなしく従う事にしよう

 

美羅達は、次なる目的地の魔族領から北にあるウルへと変更した

 

「待ってください!魔物が沢山居る場所に向かうのは駄目です!危険地帯なんですよ!?」

 

美羅達を留めようとするのは畑山だった。純粋に心配しての引き留めようとしているのだろうが、美羅達からすれば知った事ではないし、その言葉に従う事もない

 

「おいチビガキ、てめぇは何様のつもりだぁ?教師?教え子?んな事は地球でしか意味をなさねぇんだよ。ここでは人を殺す事を教えるのが教師のする事だ。甘ったれた事ばっかり並べてんじゃねえ」

 

「自分の力で護れていもいない者を引き戻す事自体が間違いなのよ。例え護れていても、そこにハジメの笑顔はあるの?独りよがりに他人を巻き込まないでよ」

 

美羅と雌煌の言葉に言い返せない畑山は、「それでも・・・それでも危険な場所には行かせません!」と食いつく。とはいえ、その危険な場所と認識しているのはこの世界の者達基準であり、美羅達の基準ではない。ここは地球ではない。全て自己判断による自己責任だ。他人に被害を与える行動であれば罰せられるが、そうでない限りは問題ない

 

美羅姉さん達の言う事がかなり極論なのは分かるけど、この程度を言い返せないならその程度の想いって事だよね。絶対に帰りたくないよ。強硬策に出られたら・・・こっちも強行突破で行こうかな

 

野次馬も集まり事がどんどんと大きくなる事は美羅達は嫌うだろうが今のところその様子は見られず、子供の我儘を適当に返事しながら聞き流している様な形だ。そして、場の空気を更に悪化させる者達―――クラスメイト達が畑山と合流した

 

「ちょっと!何もそこまで言わなくてもいいじゃないですか!!愛ちゃん先生はずっと心配していたんですよ!?」

 

「そうですよ!愛ちゃんは南雲だけじゃなく貴女達の心配もしていたんですよ!?」

 

「愛ちゃん以上に他人を心配する人は居ないんですよ!」

 

女子連中に混じり男子達も混ざって畑山がどれだけ優しいかを美羅達に説くが本人達は、「えっ?それだけ?」と本音が漏れる程呆れ果てていた。これ以上の話し合い?は無意味だと判断したハジメは、クラスメイト達にボウガンの銃口を向けて威圧する

 

「はっきり言うけど、その優しさは僕にとって邪魔以外何物でもないよ。危険地帯なのはギルドから聞いているから知っているし、それを追い払う程度の力はあるんだ。この程度の威圧で何も言えなくなる様なら、腑抜け以外何者でもないよ。正直、この威圧はオルクス迷宮の魔物よりもマシな部類だ」

 

顔を青褪めたクラスメイト達を完全にどうでもいい者と判断したハジメは、背を向けて立ち去る。美羅達もその後を追ってフューレンの出口へと歩を向ける。しかし、畑山が更に待ったを掛ける

 

「南雲君、どうしても行くのですか?」

 

「・・・教師程度の赤の他人がこれ以上何か?」

 

「南雲君達は冒険者ですよね?」

 

「はぁ・・・それの何が関係してますか?」

 

「依頼をお願いします。清水君がウルで行方不明になっています。お願いです!彼を連れてきてください!」

 

ハジメはふざけた依頼だと思いつつ、どうやって断ってやろうかと内心で考えていると美羅が先手を切った

 

「依頼ねぇ~、なら報酬の話をしましょう。これを払えないのであればその依頼内容は却下よ。受けるメリットが無いし、自分達が楽するだけじゃない」

 

「くっ!愛子が依頼するというのに報酬を望むか!これだから冒険者は卑しい!!」

 

「デイビットさん、少しだけ黙っていて下さい」

 

畑山が神殿騎士の一人を黙らせ、美羅と交渉のテーブルに着く。だが、美羅が行うのは絶対に不可能な報酬を要求するという事だ。ハジメは、畑山は用意出来ずに依頼する事も出来ないだろうなと溜息を吐く

 

「通常の報酬はお金が用意されるわ。しかし、私達にはお金なんて不要なの。だけどある物が欲しい―――それを用意出来るかどうかよ。これが探して見つけるなんて時間の掛かる事を前提にするのなら、私は貴女を含めたクラスメイト達?を殺すわ。甘っちょろい提案なんて許されないYESかNOの交渉よ」

 

下手な提案をすればクラスメイトを巻き込む死を告げられ、畑山はYESかNOの二択しか選ぶ事が出来なくなった。そして、美羅が要求する条件とは

 

「神結晶を100kgを要求するわ」

 

「し、神結晶?」

 

畑山は神結晶がどういう物かも分からず首を傾げる。クラスメイト達も聞いた事のない言葉に同じ様に首を傾げていると、神殿騎士達から怒号が飛ぶ

 

「貴様達はふざけているのか!伝説の鉱石だぞ!国ですら喉から手が出る物を要求するとは厚かましいにも程がある!」

 

「もし、それだけの量を手に入れれば国が買えるのですよ!?」

 

神殿騎士達の言葉を聞いた畑山達は驚愕し、法外な要求をしていると決めつける

 

「その表情を見て分かるけど、絶対に不可能と言いたげね。でも、可能でしょう?全ての国からかき集めたらぎりぎり足りるでしょう?」

 

皆は馬鹿げていると言うが、これにはダメ押しとなる一手が打てるのだ。美羅は異空間から巨大な神結晶を取り出した。文献にも載っている特徴と一致する神結晶が目の前にあり、それは100kgを優に超える程の大きさだ

 

「ば・・・馬鹿な・・・こんな・・・」

 

「何という大きさだ・・・」

 

あまりの迫力に皆が呆然とする中、美羅は早々に神結晶を異空間に戻して畑山を見て問う

 

「この神結晶はハジメが採掘した物よ。ノイントちゃんの手助けもあったけど、それは殆ど意味がなかった。ざっと見た感じここら辺にあるかな?という直感に従ってハジメが錬成で掘り当て、錬成師しか出来ない仕事をした。だから、私も自由に扱う事が出来る神結晶が欲しいという事よ。ハジメが掘り当てた神結晶よりも四分の一の大きさを要求したけど、不可能ではないわ。神殿が隠し持っている30kg、帝国や他の国で20kg、魔人族達が持つ50kgと合わせて100kg―――かき集めたら不可能ではないでしょう?」

 

不可能ではない要求に、畑山は愕然とする。美羅が言っているのは人族と魔人族を含めた全てをかき集めろとの事だ。目に見えない物を要求する訳ではなく、目に見える分を要求しているだけだ。おかしなことは何一つない

 

「ふざけるな!!魔人族の保有している神結晶を含めてだと!?暴利な報酬を要求して実現可能だと言いたいのか!!」

 

「魔人族にも食という富を交渉材料に使えば大丈夫でしょう?人族か魔人族の戦争が終わるまで働きますので神結晶を譲って下さいと言えば良いでしょう?人族と魔人族の両方に富を与えるだけで手に入る可能性があるわよ?」

 

「魔人族に利となる事をしろと言うのか!異端者めっ!!」

 

神殿騎士が性懲りもなく切り掛かろうとするが、ハジメとノイントが剣を弾き飛ばして無手状態にする。骨が折れたりしている為、これ以上の抵抗は出来ないだろう。しかし、二度も攻撃してきた者達相手には容赦する必要もない

 

ドパンッ!

 

「ぐぁあああああああああああ!」

 

ハジメは、デイビットと呼ばれていた神殿騎士の左腕をドンナーで狙撃して腕を諸共吹き飛ばした。今までの手加減した攻撃ではなく、致死にも等しい攻撃。これで彼は二度と神殿騎士の役職を担う事は出来ないだろう

 

「僕は大分温厚だけど、二度も剣を手にかけて攻撃してくる相手には容赦しない。片手だけで済んだと思った方が良いよ。僕が手を出さなかったら―――美羅姉さんか雌煌姉に殺されてたよ」

 

「おいおいハジメぇ、サンドバッグを傷ものにしちゃあ攻撃出来ねぇじゃねぇか。ああいう手合いの奴は死んでいい奴だからな。狂信者なんて滅びなクソ共!!」

 

美羅は表情を変える事なく、畑山達を見る。彼女達はハジメの豹変具合に驚愕しているのか、何も言葉が出ない様子だ

 

「答えは?出来るか出来ないか―――どれ?」

 

「・・・でき・・・ません」

 

「はい終了ー。という訳でこれで終わり。さぁ、金の生る実を求めてさあ行くぞー!!」

 

「ぐへへへへ、がっぽがっぽ儲けてやるぜぇ~!」

 

美羅達は、覚悟のない奴には用はないと判断してウルへと目指す。畑山達は美羅達の背中を見る事しか出来ず、野次馬達はモーゼの様に道を開ける。ハジメは宝物庫から四輪を取り出し、ウルを目指して一直線に進む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~美羅side~

 

四輪を走らせる事少し―――

大地を黒く埋め尽くす程の大量の魔物が闊歩して美羅達の行く手を阻む。正に数の暴力とも言える光景だが、ゲーム脳に染まった雌煌の前ではこれこそご馳走だ

 

「おい!魔物倒しても良いよな?ってかやるぞ!」

 

「う~ん、それなら僕達は邪魔にならない様にここで止まるけど大丈夫?」

 

「大丈夫だ、問題ない。―――いっくぜおらぁああああああああ!!」

 

両手にビームソードを装備して魔物目掛けて突撃。魔物がバッタバッタとなぎ倒されて吹き飛ぶ姿は、某無双ゲームの様だ。車に残った三人は、優雅にティータイムをしている。地球産の紅茶を堪能しつつ、スコーンを食べる姿は英国女子みたいだ

 

「この紅茶、とても美味しいです」

 

「スコーンって美羅姉さんが焼いたの?」

 

「そうよ。ずっと家の中でぐうたらするのもあれだったから暇潰しで作ったのを保管してただけよ。こうやって私が何もしない時に本を読みながら食べたりするのよ」

 

スコーンを食べ終え、お次はジャムが乗ったクラッカー、その次はマカロンと色々なお菓子が出てくる。ノイントはこれらに似た様な物を見た事があるが、美羅が出すお菓子の方が断然に美味しい物であると見ただけで分かった。一口食べるともう一つもう一つと自然に手が伸びてしまう調和のとれたお菓子だ

 

「さぁ~て、最後はアップルパイ。あっちで完熟させたリンゴを使った至高の一品!」

 

「ゴクッ、匂いだけでヤバイ。これを食べたら市販のアップルパイが食べれなくなるだろうな~。でも、食べるけどね」

 

「リンゴとバターの甘い匂いだけでなく、生地の焦げた良い香りがします」

 

美羅はアップルパイを八分の一カットで切り分け、木製の皿に乗せて手を合わせる

 

「それじゃあ、いただきま~す♪」

 

「「いただきます」」

 

フォークとナイフを使って食べようとした瞬間、美羅のアップルパイに石が直撃して無残な姿となった

 

「私のアップルパイがあああああーーーーーーー!?」

 

ハジメとノイントは、原因であろう雌煌の方を見る。だが、あの石は雌煌が飛ばした物ではなかったのだ。黒い巨体、翼、鱗、尻尾―――黒いドラゴンが佇んでいた。雌煌は、「トカゲの分際でガン飛ばしてんじゃねえ!」と睨み返している。雌煌が攻撃をしていない事は確実なので、ハジメとノイントは黒いドラゴンに合掌した

 

「安らかに眠ってね」

 

「せめて天国に召されますように」

 

美羅の眼は龍の物となり、雌煌と黒いドラゴンに向けて威圧を放つ

 

「ひょぉおおお!?俺じゃねぇぞ!?こ、このトカゲが空から降り立ったのがいけないんだからな!?」

 

「ふ~ん、そうなんだ~。じゃあ、そのトカゲはサンドバッグ刑に処す」

 

そう言い終えると、黒いドラゴンの胸部に美羅の拳が突き刺さっていた。誰の目にも留まらぬ速さと尋常ではない拳の重さに、ドラゴンの身体は宙に浮く。掌底でドラゴンを叩き上げ、ハイキックで首をへし折るかの如く強打―――。ドラゴンの体が流れ、美羅の目の前に尻尾が通りそれを掴んでからのジャイアントスイング。高速回転して地面に叩き付け、上空から流星の如く飛び蹴りを突き刺して電撃を流す

 

「まだだ、まだ終わらんよ!」

 

美羅のバトルフェイズは終了していない

ドラゴンの顔面を掴んで地面に叩きつけること二十回。その後、両手で掴んで高速振動による内部をギリギリ破壊しない程度の攻撃によって、ドラゴンの至る所から液体が噴き出る。これだけでも「もうやめて!相手のHPはもう0よ!」と言えるが、それでも手は緩めない

 

「頭蓋割!ちぇりゃあああああーーーーー!」

 

親指、人差し指、中指をくちばしの様に束ねてドラゴンの頭部に叩き込まれた。それと同時に骨に罅が入るかの様な鈍い音が響き、頭頂部から血が噴水の様に溢れ出た。この様な酷い有様を見せられたハジメ達は、「もう殺しても良いんじゃない?」と思った

 

「あぁ~、スッキリした!」

 

「「南無阿弥陀仏」」

 

「えっと・・・なむあみ?」

 

「覚えなくても大丈夫だよ。僕と雌煌姉はノリで言ってるからね」

 

「ノリってのもあるがトカゲには同情するぜ。あれでも殺さない程度の優しい部類だからな」

 

もう何も言うまい。糸が切れた人形の様に崩れ落ちているドラゴンは無視して、再び北の山脈へと進む。道中の魔物は雌煌が無双し、美羅が時々雷を落として影だけ残したりと十万以上居た魔物は全滅した。遠くで何やら悪態をついている者が居たが、美羅達はこれをスルーして金の生る実を大量に手に入れた

 

「香辛料は何処の世も世界一ィィィィーーーーー!」

 

「笑いが止まんねぇぜ!あっ、あそこにも発見!!これは俺のんだーーーーーー!」

 

根絶やしにするまで採取はせず、自然に増えていくレベルまでは採り尽くす。最近人の手が入っていない為、量も種類も豊富に揃える事が出来た。これをトータスで売る事も出来るが、あくまで自分用と地球の通販用なのだ

 

「美羅姉さん達、嬉しそうだね」

 

「カレーが作れそうな程多種類の香辛料を採取出来ましたからね。料理上手な美羅御姉様も、食べる事が大好きな雌煌御姉様も嬉しいのでしょう」

 

「雌煌姉に関しては物欲が大きいだろうけどね」

 

「そうではないと言えない所が雌煌御姉様らしいです。ハジメ、私達も一緒に採取しましょう」

 

「そうだね。美羅姉さんがフューレンで買った香辛料の図鑑を見ながら集めよう」

 

ハジメはノイントと一緒に図鑑を見ながら採取する。美羅達と違い嗅覚が優れていないので仕方がないが、そこは夫婦愛の幸運値でカバーする様に珍しい実を採取する事が出来た。クラスメイト達と出会ってからの不運がここで帳消しになる程希少な実を数多く手に入れる事が出来たのだ

 

「ふふふ、色んな種類を手に入れた~♪こういう時に権能を使うのは当然である!」

 

「運命操作で全部芽が出る様にするからなぁ~。クハハハハ!当然俺も権能を使うぜぇ~?邪魔する輩は存在そのものを抹消する事が出来るからなぁ~」

 

ハジメは美羅と雌煌が居れば敵はどうする事も出来ないだろうなと思いつつ、自分もアーティファクトを作って香辛料栽培空間を作る予定を立てている。希少価値が高く、失敗する可能性が殆どない物を栽培するのは楽しいのだ。親の手伝いをしていた時にも、バグを見つけて消して大成功を収めたゲームに携わったのは嬉しかったのだ。これもそれと同じである。それに、ハジメの隣にはノイントも居る。幸せな家庭を築きながら将来安泰の生活―――実に良い

こうして美羅達は無事に金の生る実を手に入れ終え、予定の大迷宮攻略前の魔人族のトップに挨拶するべく四輪を走らせた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







今回はイチャイチャが少なかった・・・。くそぅ・・・だけど、次回は絶対にイチャイチャを増やしてやるぞ!
ハジ×ノイを流行らせる為だ!もっとハジ×ノイ作品溢れ出ろぉおおおおおおおおおお!!



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