召喚の手違いは世界最強   作:ぬくぬく布団

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・・・先に言っておこう。地球組はバッドエンド街道を突っ走ります。それが嫌だと言う方は見ないで下さい

ハジメを除く地球組はバッドエンド突入です
大切な事なので二度警告しました。賛否両論あると思いますが、こうなる運命だったのです

そして、この回にハジ×ノイのイチャイチャを入れる事が出来ませんでしたっ!!ユルシテ
↑めっちゃ重要なお話が書けなかった(´;ω;`)ウゥゥ







雪原前のご招待。魔人領におっ邪魔しま~す!!

~美羅side~

 

魔人領へと四輪を走らせること数日―――、土地が瘦せている様な光景が広がり遥か遠くに城が見える。美羅達の要件はその城の中に居るであろう魔人族の長だ。美羅は四輪を一時停止させ、異空間から弓を取り出して矢文を送る。それはもうご丁寧に長の目の前の地面に突き刺さる様に射った

 

「さて、これで待つだけよ」

 

「魔人族のトップが来るかな?」

 

「大丈夫よ。もし来なかったら、あの城の庭に雷球落とすから」

 

ハジメは、恐らく周囲が止める可能性が高いだろうと思った。しかし、それが実現されなければ城の一角に大穴が開くというとんでもない事をごく自然とやると宣言した美羅にハジメは、「魔人族さん、どうか長を連れてきてください。僕は止める事が出来ません」と見えもしない長に向けて合掌する

美羅は、フューレンで手に取った書籍の複写本を読みながらティータイム。雌煌は、最近戦っていないハジメとノイントの二人と地獄の鬼ごっこ(※雌煌目線では組手)をして暇潰しする。美羅が矢を射ってから一時間程すると、遠くの空から白い竜が飛んできた。その背には複数人乗っており、その一人だけが少しだけ衣装が凝っている事からあれが長であると予測出来た

 

「異世界からの観光者達、お初にお目にかかります。私の名はアルヴ、魔人族の長を担当している者だ」

 

「ほ~ん、金髪紅眼―――ファンタジー定番で言うと吸血鬼ってところか!」

 

「ご明察です。私の身体は吸血鬼、絶滅から免れた一人です。白野美羅さん、白野雌煌さん、南雲ハジメ君、ノイントさん計四名を我が名をもって歓迎します」

 

アルヴは美羅の前に膝を付いて完全降伏の姿勢を取る。アルヴと一緒に来ていた部下と思われる男達は、アルヴの低姿勢に驚愕しながら美羅達を睨む

 

「お前達、この私の顔に泥を投げるのか?」

 

アルヴの怒りの籠った言葉を聞いた部下達は、睨むのを止めて完全降伏の姿勢を取る。恐らく彼等なりに納得いかない部分があったのだろう

 

「ご不快な思いをさせて申し訳ございません。部下達にはしっかりと言い聞かせます」

 

「ちゃんと誠心誠意謝る事が出来るのは好印象よ。取り敢えず雷柱を城に落とす事は止めてあげるわ」

 

魔人族の部下達は美羅の言葉を聞いてバッと空の様子を見ると、城の上の雲だけが黒く濁っていた。それを見て、顔を青褪めていた

 

「さて、君達はこの四人の事を下等生物やら人間族やらと見下している事が分かった。だが、それは傲慢だといつも言っています。人を外見で判断するのは愚かにも程がある―――これは以前の私にも言えた事です。真の強者とは、余裕があるのです。正直に言いますと、南雲ハジメ君とノイントさんは一国を滅ぼす力を持っています」

 

魔人族達は、ハジメとノイントを見てありえなさそうにしていた。だが、アルヴが言った事は事実だ。ハジメが作るアーティファクトは、大量破壊兵器を作り出す事も出来るのだ。もし、ハジメに全てを滅ぼす憎しみと野心があれば危険なアーティファクトを沢山作っている筈だ。ノイントは言わずもがな、真の神の使徒である事と、分解魔法で全てを消し去る事は余裕である

 

「しかし、白野美羅さんと白野雌煌さんの二人に関しては基準は不明=破壊力が未知数という事です。南雲ハジメ君、お二人の力は隕石で言うならどの程度だと思いますか」

 

ハジメは、地面に落ちていた適当な大小の石を一つ持って答える

 

「小さい石がトータス、大きい石が姉さん達って言えば分かるかな?怒らせたら、皆等しく星諸共破壊されるって言った方が分かりやすい?正直、トータスを泥団子で表現してもいい位だからね?」

 

ハジメは小さい石を放り投げ、大きい石をぶつけて小さい石を割る。魔人族達はハジメが何を言いたいのか理解したのか、ガクガクと生まれたての小鹿の様に膝が震えていた

 

「さて、彼女等はお客様―――城に行き、見晴らしのいい庭でご飯を食べて宿泊はいかがですか?」

 

「うまいもん出るのか?」

 

「味の良し悪しに関しては・・・駄目だ。味覚が違えばそれは失礼にあたる。なら、宿泊だけの方が良いかな?」

 

「う~ん、ハジメとノイントちゃんがしっぽり出来たら良いわよ?」

 

「決まりましたね。幸いにも私は障壁魔法が得意なので、防音機能を備わせましょう」

 

美羅達はアルヴの招待に応じ、白竜の背に乗ろうとしたがここで問題が発生。美羅達が近づいた瞬間、白竜はガクガクと震えてとてもじゃないが乗る事も出来ないし、例え乗れたとしても空の旅で不満が出るのは確実だ。そこで、心苦しいがアルヴ本人が四輪の荷台に乗る事で特別視させる事にしたのだ。これならば、美羅達の機嫌が損なわれるよりも早くアルヴが対処出来る

 

「申し訳ありません、南雲ハジメ君。白竜があそこまで怯える事は想定外だったよ。自分より上位の者に乗ってもらえるのは嬉しいと思っていたのだけど・・・見通しが甘すぎた」

 

「仕方がないですよ。本能には逆らえないという事でしょうから」

 

城へと向かう各所に門が設置されていたが、アルヴが一緒に居るのですんなりと門が開かれて魔人領へと入り周囲の光景を眺めながら進んで行く。所々魔人族達の顔色を見ると、どこか納得が出来ない様子の者達が殆どだ。アルヴが神聖視されている事はこの反応だけで分かった

美羅達は城の手前で降りて入城する。内装は王国の城と似たり寄ったり―――赤いカーペットが敷かれているのは勿論の事だが、内部装飾に関してはこちらの方がシンプルである。無駄な調度品があった王国に比べればスッキリとしている為、美羅からすれば好印象である

 

「あぁ~、魔人領の方が暮らしやすいかもしれないわね」

 

「あの視線がなけりゃだけどな?」

 

「仕方がないわよ。人族がアルヴの招待客なんて認めたくないだけでしょ」

 

美羅の言った事は図星だったのか数人の魔人族達がほんの少しだけ反応したが、美羅達はそれを無視する。なにも負の感情を抱く事は駄目と言っていない。要は美羅達の邪魔となる行動をしなければいいだけなのだ

一応だが美羅達はアルヴ達が食べている物をみると、それは人と変わりない。そして、国の長であるが故に華やかさと品を兼ね備えてた料理が出て来た。本来はアルヴが食べる分だが、雌煌が横から分捕って食べた。咀嚼して飲み込み、ピースサインを取った事から普通に美味しい料理だ

 

「うんめぇ~、王国とかの食事ってありきたりで飽きてたから新鮮で美味ぇわ」

 

「雌煌姉・・・アルヴさんが食べる料理を横から掻っ攫うのはやり過ぎだよ」

 

「気にしなくても大丈夫ですよ。味覚の比較という意味での試食を行うつもりだったから何も問題はありません」

 

「という事だ。ハジメも気にすんなよ!」

 

ハジメは雌煌に関しては諦めてノイントと一緒に料理を楽しむ事にしたのだが、美羅とアルヴが一対一で話している事が気になり二人で美羅の傍に行く事にした。そこで語られるのはハジメが予想していた通り、神結晶を譲れという交渉だった

 

「私も自分だけ使える神結晶が欲しいのよ。でも、印象最悪の人族よりも好印象な魔人族に交渉したい―――お分かり?」

 

「神結晶・・・ですか・・・。仰られてた通り、この国で保有している量は人族と同数程あります。しかし、譲るという事は流石に無理です。神結晶の解析は完全に済んではおりませんが、それで作る武器は計り知れない可能性があります」

 

「何も"無償で譲れ"って言わないわ。これは交渉=取引、物々交換が一番よね?」

 

ハジメは思った。神結晶って希少で、保有量によって国の大きさや豊かさを象徴する物・・・交換でも並大抵の物では無理じゃない?と内心で思っていると、アルヴの側近の一人が声を荒げる

 

「ふざけるなっ!貴様はどれ程の代物を強請っているのか理解しているのか!?」

 

「・・・彼等は私のお客人と言った筈だ。流石にこれ以上は見逃せんぞ?」

 

アルヴは側近達にだけ圧の籠った言葉を投げて強制的に黙らせて美羅達に謝罪する

 

「本当に申し訳ございません・・・」

 

「仏の顔はあと一度だぞ♪」

 

「お前達も聞いたな?彼女達は私よりも強い事は確実。ならば、しっかりと周囲に通告せよ。彼等に無礼を働けば魔人族は滅亡だと―――分かったか?」

 

「「「「「は、はっ!!」」」」」

 

側近達は一人だけ残り、それ以外は城内へと散って行った。一応は注意喚起をしたとは思うが、これにより厳罰化する事は確実だろう。いや、戦犯とされる筈だ。アルヴは、ため息を吐き話を続ける

 

「話を戻しましょう。白野美羅さん、貴女の言う取引となればそれ相応の物が出されますね?」

 

「私はよく理不尽って言われるけど、ちゃんと線引きはしているわ。やる時は、私を本当にイラつかせた相手だけよ」

 

ハジメは心当たりがある一人を見てつい口漏らす

 

「・・・それって雌煌姉?」

 

「あら、ハジメはよく分かっているじゃない」

 

雌煌のやらかしは多く、本当の意味で美羅をイラつかせた回数がダントツに多いので仕方のない事だ。要はやり過ぎなければいいだけで被害はなく、ちゃんと交渉すれば乗る良識があるのだ

 

「私が交渉に使うのはトータスには存在しない鉱石よ」

 

「鉱石ですか・・・職人を今すぐに呼びなさい」

 

残っていた側近の一人は速足で職人を呼びに行った。これで人払いは一通り済んだので、隠された本題について語る事にする

 

「エヒトに忠告しておきなさい。これ以上異世界に干渉すればあいつ等に此処がバレるわよ?」

 

「あいつ等・・・とは?」

 

美羅は指パッチンしてアルヴが張っている障壁の上から特殊な空間を生み出す

 

「クトゥルフ―――無形の神がこの遊び場を認識する可能性があるわ」

 

「ふぁっ!?」

 

これに反応出来たのはハジメだけだった。クトゥルフ何て超厄ネタ案件がトータスに待っていると思うと、合掌したくもなる。モンハン世界は美羅が徹底的にぶっ潰したので干渉する事はなくなったが、それ以外の世界は別である。並行世界であろうと干渉する事が出来るのがあれ等なのだ

 

「ハジメ、クトゥルフとは何ですか?」

 

「あ・・・えっと・・・う~ん、美羅姉さんどう言ったらいいの?」

 

「簡単に説明すると、世界を混沌に染めた後惑星の破滅が確約される神の襲来」

 

「ヒェッ!?」

 

アルヴが小さな悲鳴を上げた。そんな厄介どころの騒ぎじゃない神にトータスの事が知られれば・・・何も言うまい

 

「まぁ、ここを遊び場にするかどうかはまだ分からないわ。案外、もう見付けているかもね?―――さぁ、こんなどうでもいい話はポイしておいて交換物を見せるわ」

 

美羅は特殊空間を解除して、異空間から紫色の鉱石を一つ取り出した

 

「この鉱石の名前はカブレライト鉱石―――別名は霊鶴石。硬く、軽い代物よ」

 

「これは・・・綺麗な紫色の鉱石ですね」

 

アルヴがカブレライト鉱石に見惚れていると、側近の一人が職人数人を連れて戻って来た。早速カブレライト鉱石について調べて貰ったが、彼等が分かった事は―――

 

「「「分からない!何だこの鉱石は!?」」」

 

「・・・・・ハジメ、鑑定してみなさい」

 

美羅は残念な目で彼等を見て、ハジメにカブレライト鉱石の一つを渡して鑑定させてみる

 

「うん、美羅姉さんが言ってた通り名前はカブレライト鉱石だね。・・・・・でもさ、硬度がアザンチウム鉱石より硬いのは教えて欲しかったよ」

 

「「「アザンチウムより硬い!?」」」

 

「神結晶みたいに魔力を貯め込む事は出来ないけど、防具や武器として使えば戦力がアップするね。紫色に光る武器・・・かっこいいだろうなぁ~」

 

「「「人間にしては話の分かる奴じゃないか!」」」

 

どうやら職人というのは種族を超えても同じな様だ。ハジメは職人達と一緒にああでもないこうでもないと、デザインを提案し合う。そんなハジメをスルーして、美羅はカブレライト鉱石を100kg、カブレライト鉱石より硬くない緑色の鉱石―――ドラグライト鉱石を400kgという破格の物量を用意したのだ

未だにどの様に加工しようか迷う神結晶50kg、もしくはすぐにも加工出来る計500kgの鉱石。これは迷う事なく後者を選ぶだろう。いや、アルヴは迷いなく後者を選んだ

 

「取引に応じましょう。いえ、応じさせて下さい」

 

「神結晶ゲットだぜ♪」

 

美羅が何故神結晶を欲したのかというと、魔力という新たな概念による力と魔力が溜まる事で光り輝く鉱石。天然のライトが完成するという魅惑には勝てず、自然を大切にする美羅にはぴったりな鉱石だ

 

「アルヴ様、これ程の量があれば仲間達全員に防具を行き渡らせる事が出来ます!魔物を従える者の安全が高くなれば狙われたとしても容易に殺される事はなくなるでしょう!」

 

「そうだね。魔人族の犠牲が少なくなるのは良い事だ」

 

ここでハジメは、つい思った事を口に出す

 

「魔物に鎧とか鞍を着けたら、かっこいい騎兵が完成するのになぁ~。もったいない」

 

『っ!?』

 

魔人族達は、魔物に鎧を着けるという発想に驚愕した。そして、鎧を着けた場合の生存能力―――今以上の戦力上昇を見込める事が分かった

 

「人間、お前の名前は何と言う」

 

「?南雲ハジメです」

 

「そうか・・・協力に感謝する」

 

側近達は職人達を連れて退室した。恐らく、ハジメの案を採用した場合のあれこれを会議するのだろう。正直、ハジメからすればこの世界の人族が魔人族に倒される事自体どうでもいい

 

「あ!アンカジとエリセンと樹海の亜人族の方は支配したら駄目よ?私達のバカンス予定地として決めているわ」

 

「そうですか。部下達にきつく言っておきましょう」

 

話も終わり、美羅達は出される料理を食べていると城の入り口辺りが騒がしくなった。その声は賞賛と罵倒の言葉ばかりで、何やら事件か何かが起きた様子だ。しかし、ハジメ達は庭園に居るので原因ではない。となれば―――

 

「アルヴ様、ご報告があります」

 

「・・・お客人と食事中だが、それを中断させてまで重要な案件かな?」

 

「はっ!勇者達を捕らえる事に成功しました!!」

 

この言葉を聞いた美羅達は、食事の手をピタッと止めて不機嫌なオーラを漏らす。それを感じ取ったアルヴは、出会わせる事は絶対に駄目だと判断して席を立ち上がる

 

「勇者達をこの場所に連れて来るのは却下です。私自らが赴き対処する」

 

「えっ・・・」

 

魔人族の一人がやってしまった感情を表したと同時に、女の魔人族が庭園手前で頭垂れる

 

「捕らえた勇者達を連れてきました!」

 

アルヴは、「間に合わなかったっ!?」と絶望し、その様子を見た魔人族達はどれ程ヤバイ事をしたのか理解した様だ。クラスメイト達は数多く、フューレンに居た畑山達も含まれていた。美羅達が魔物を殲滅したとはいえ、何かしらの要因でフューレンは陥落したのだろう。連れて来られたクラスメイト達は、庭園に居る美羅達を発見して驚愕の表情をしていた

 

「南雲!やっぱりお前は魔人族と結託していたんだなっ!」

 

何も知らない者が見れば・・・そう見えなくもないだろう。天之川はいきなり飛び出し、ハジメに向って拳を振り抜く。しかし、ハジメはその拳を受け止める

 

「どういうつもり?」

 

「黙れ!魔人族に加担する裏切者は俺が倒す!!」

 

「別に加担していないよ。僕は魔人領にある大迷宮に用があるから、一言挨拶を入れる為にこの場所に居るだけだよ。それとも、天之川君は外国に行く際にはパスポートなんて要らない―――何て言うの?」

 

「話をすり替えるな!魔人族に加担した裏切者のお前の言う事は信じられるか!!」

 

両拳とも封じられているのにも拘らず大言を宣う天之川に呆れていると、アルヴが部下達に勇者達を拘束する様に命令を出すが、それは美羅の手で制される

 

「関わらないと宣言したのにも拘らず手を出す意味を理解しての行動―――少しばかりお仕置きが必要ね」

 

「おうおう美羅~、俺にもやらせろよ」

 

美羅は冷めた目をして、雌煌は首や拳を鳴らしながらハジメの方へと近付く。二人の要件は天之川である

 

「ようやくテメェを正当な理由でぶっ殺せるなぁ~!」

 

雌煌は天之川の頭を掴んだ瞬間、ハジメは手を放して合掌した。これから行われるのは仕置きなんてレベルではない制裁だ。雌煌は天之川の頭を庭園の地面に叩き付けた。ぐちゃりと鈍い音が聞こえたが、何がどうなったかは触れない

 

「おいおい、一発でザクロかよ。もうちっと持たせろよな」

 

「はい再生」

 

美羅の指パッチンで頭部が潰れた天之川が蘇生し、雌煌の右ストレートが顔に直撃して破裂。血や脳液が飛び散り、一番前に居たクラスメイト達に浴びる。そして、何が飛び散ったのかを理解した瞬間、嘔吐して甲高い悲鳴が上がる

 

「けっ!もうちっと力入れて踏ん張れよ」

 

美羅がもう一度指パッチンして天之川を蘇生させる。当の本人は夢見心地なのかどうか分からないが、何が起こっているのか理解していない様子だ。痛みを感じる前に死んでいるのだから当然なのかもしれない

 

「おいごら、起きろや」

 

雌煌は天之川をクラスメイトの目の前まで蹴り飛ばし、受け身も取れずにゴロゴロと転がる。天之川の親友と聞いていた坂上が立ち上がろうとするが、周囲の魔人族達がアルヴの指示により押さえつけて身動きを封じる

 

「ないっすぅ~!」

 

雌煌はアルヴにグッドサインを送り、美羅は天之川の首根っこを持ち上げて手刀を滑り込ませた。恐ろしく鋭い手刀は天之川の肉体を易々と貫き、心臓を引き抜いた。想像を絶する痛みと苦しさに天之川は地面にのたうち回り、出血多量で死んだ

 

「ほい、再生」

 

美羅が天之川を再び蘇生させた事で、天之川は自分が何をされたのかをようやく理解した

 

「さて、これで三度目の死―――更生する気になったかしら?」

 

「おいおい、こんな奴が更生なんて不可能だろ。どうせ、戦争のせの字も理解してねぇお子ちゃまなんだからよぉ~。期待するだけ無駄ってやつだ」

 

「えぇ~、私なりの最後の慈悲なのよ?二度と関わるなという約束事を破ってまでの慈悲よ?私優しくない?」

 

クラスメイト達は、何を言っているの?と言いたげな様子だが何も口に出さない。もし、己にあれが向いたらと思うと恐怖で何も言えなくなっているのだ

 

「あぁそれと―――己の欲だけを満たす視線をハジメとノイントちゃんに向けるのは許し難い行いだけど理解してる?」

 

美羅の視線が天之川から白崎に替えられ、冷徹な視線が突き刺さったのかガクガクと肩を震わせていた

 

「まいっか、聞いても分からないなら体に直接教え込むしかないわね」

 

「待ってください!」

 

美羅が白崎を掴もうとしたが、畑山が声を荒げて静止させる

 

「何を待って欲しいの?」

 

「どうして・・・どうしてこんな酷い事が出来るんですか!人を生き返らせるなら命の大切さを理解している筈です!」

 

「何を言うかと思えば・・・弱肉強食なだけで、弱者が強者の食い物にされるだけ=どの様にされるかは強者の気分次第という事よ。それとも何?お前達は命の大切さを理解しているとでも言いたいの?当たり前の様に飲み食いしてる分際で何様のつもりよ。あぁ、勇者様(笑)だったわね。この世界の民の税金で美味しいご飯を食べる事が出来て幸せだと感じた事がある?どうせ味の良し悪しについて語ったりした筈よね」

 

「そんで甘っちょろい訓練を続けてるんだろ?戦争舐めんなよ。こうして捕まったんだから、覚悟しておけよ。どうなってもお前等が選んだ道なんだから後悔のないようにな・・・ブフッwもう駄目だ笑いが止まんねぇぜ!」

 

雌煌はこれから彼等の行く末が手に取るように分かっていたので笑いが堪えきれずとうとう笑ってしまった。これには美羅も笑っており、アルヴにこの先の事を任せる事にした

 

「分かっているとは思うけど、ちゃんと現実を見せてあげなさい」

 

「言われずとも分かっております。彼等は危険、意思もなく強力な力を持つが故の危険を体験させます」

 

「私達は傍観者。あれ等がどうなろうとも手を出す事はないから、存分に好きにやりなさい」

 

美羅達は料理が並んだテーブルまで戻り、座って事の行く末を傍観する

 

「さて、異世界より訪れた勇者諸君、君達は我々に敗北した。そこで、君達の代表者である勇者に意見を聞こう。おとなしく我々の軍門に下るなら、命の保証だけはしよう。しないのであれば、王国の兵士と同じ扱いをする。さぁ、今すぐ選び給え。あぁ、ウルで活躍していた貴女に関しては選択肢の余地はない。我々の食糧事情を請けおう事は決定済みだ。フリード、彼女を連れて農地を周ってくれ」

 

「はっ!」

 

フリードは畑山の腕を掴んで連行する形でこの場から立ち去り、残されたのはクラスメイト達だけとなった。そして、アルヴは天之川を代表者として再度魔人族の力となるか否かを問う

 

「答えは決まったかね?」

 

「俺は負けない!王国の皆を裏切って敵に屈する事は絶対にしない!!」

 

「説得は無理そうか・・・。そういえば勇者達はステータスが高いと報告があったが、それは本当か?」

 

アルヴは部下達にクラスメイト達のステータスプレートを回収させ、アルヴは一つ一つしっかりと確認する

 

「なるほど、中々の高ステータスだ。―――ん?フリードか、どうした?何?食糧生産をするから生徒達の安全を確約して欲しいと?ならば、その様に取り計らうと伝えろ。・・・さて、これで心置きなく実行に移す事が出来る」

 

アルヴが部下達に合図を送ると、皆が首輪を手に持ちクラスメイト達に装着させていく。簡単に言えば奴隷の首輪だ。首輪の持ち主に逆らう事が出来なくなるという、トータスの奴隷達に利用されている物と同じだ。しかし、この首輪にはある特殊な効果が付与されている

 

「その首輪は奴隷達が着けている物と殆ど遜色のない物だ。だが、それ等には特殊効果が付与されている。それは感情維持、理性維持、自動治癒、精神回復の四つだ」

 

「あ~あ、こいつ等終わったな」

 

「妥当な結末ね。ま、代表者が絶対に屈しないって言ったからね~」

 

「・・・」

 

「ハジメは心苦しく思う?」

 

「まぁ、少しだけかな?今、僕の大切な者はノイントだけだから身の丈に合わない欲は出さないよ」

 

ハジメは、これから行われるであろう事を察して少しだけ嫌な気分になる。もし、助けたとしてもその後の責任は持てないからだ

 

「ハジメとノイントちゃんにこのアーティファクトをあげるわ。魔力を流すだけで防音と障壁を張る事が出来るから色々と好都合でしょ?これを改造して障壁内部をステルス化にしても良いわよ」

 

「貰います。これは良い物だ」

 

手持ちサイズの四角柱型アーティファクトは、色とりどりの鉱石を使用した綺麗な一品だ。ハジメはそれを宝物庫に入れ、一応クラスメイト達の行く末を見届ける事にした。すると、魔人族がもう一人現れ、俵担ぎにしていた男を地面に落とした。その男の正体は清水―――ウルの町で行方不明となっていたクラスメイトで、美羅達に魔物がバッタバッタと倒されていた事に腹を立てていた隙をついて気絶させ首輪を着けたとの事だ

 

「おい、約束が違うだろうが!ウルを壊滅させたら俺が魔人族の勇者として招かれる筈だぞ!どうなっている!!」

 

「こいつ馬鹿だな。魔物を従える事が出来る奴が居たら真っ先にそいつを排除するのはゲームの基本だろ?殺す事が出来なくても、奴隷にして戦力にすりゃあなおの事良しだ」

 

「なっ!?お前・・・お前が俺のかき集めた魔物を全部ぶっ殺しやがって!計画が全部オジャンだろうがっ!お前なんて俺が洗脳してやる!!」

 

「ファーw雑魚がイキってんじゃねえよ!」

 

清水は雌煌に洗脳の魔法を掛けようとするが、魔人族の一人が清水の顔面を殴り黙らせた

 

「アルヴ様のお客人を洗脳するだと?下等なる人間風情が調子に乗るなっ!!」

 

清水は何度も魔人族の男に殴られ、「ごめんなしゃい!ゆるじでっ!」と涙を流しながら懇願するが反省の色が出るまでは死なない程度で殴り続けた

 

「さて、そこの少年は戦力になる様に君に躾けを頼もう。我々に反抗する気力を無くさせろ」

 

「了解しました」

 

清水を殴っていた魔人族は、首根っこを掴んでそのまま別の部屋へと連行していった。アルヴは、「ようやく本題に移せる」と溜息交じりで言った。これから行われるのは安全が確約された行為だ

 

「では、地下へご案内しよう」

 

アルヴを先頭にして、クラスメイト達は命令で後ろを付いて行き、美羅と雌煌はその後ろから笑みを浮かべたままゆっくりと後を追う。重厚な扉が開かれると、中は薄暗くてよく見えない。しかし、暗闇に目が慣れると何かが居る事に気付く

 

「あれはブルタールという魔物を真似て変質させた人間達だよ」

 

アルヴが紹介した魔物は、もともと人間だったという事にクラスメイト達は驚愕した。だが、その程度で驚愕するのはまだまだだ。魔人族達は鎖の付いた魔封じの腕輪を男子達に装着する

 

「私は思った。君達を魔人領へ置くのは危険だと―――だが、それは何もせずに監禁するとなればだ。目的を果たすならば、皆も納得する」

 

未だに何をされるのかを理解していない様子のクラスメイト達に、アルヴはしっかりと聞こえる様に告げる

 

「私が生み出す人工の魔物の苗床になる栄誉を授けよう。君達の様な高いステータスの者が母体なら、産まれる子はさぞかし優秀な者となる筈だ。そして、我々の戦力として受け入れよう」

 

『・・・え?』

 

何をされるのかを受け入れられなかったのか、状況に追い付いていない様子だ。しかし、アルヴは白崎の首輪についている鎖を引っ張り中へ入っていく

 

「いやっ、いやぁあああああああああああ!助けて!助けて南雲くん!!助けてぇえええええええ!」

 

白崎は必死になって抵抗するが、アルヴのステータスの前には大人と子供だ

 

「さぁ、君達。お仕事の時間だ。この部屋に入る少女達を孕ませ新たな命を芽吹かせ給え!」

 

白崎は魔物擬き達の中に極上の餌として放り投げられた。部下の魔人族達も鎖を引っ張り女子達全員を部屋に入れて魔物擬き達に向かって放り投げた。アルヴ達は只仕事を終えたかの様に普通に部屋の外へと出る。その間に漏れる悲鳴や助けを乞う姿を見て、男子達は呆然としている

 

「おや、君達も仕事があるのだよ?ここで放心していては困るな。"付いて来い"」

 

男子生徒達も部屋に連れられ、壁際の鎖に繋がれる

 

「さぁ、彼女達が子を宿す瞬間まで見続けるといい」

 

「クソッタレがあぁぁぁあああ!!」

 

坂上が吠えるが、負け犬の遠吠えなので魔人族達はニヤニヤと笑っている。そう、これは今まで同族がされた事の仕返しだ。ただの仕返しではなく、敵の反抗力を削ぐというおまけ付きだ

 

「さてと、私達は優雅にお風呂に入りましょう」

 

「酒は?」

 

「出すわよ」

 

「ッシ!露天風呂に洒落込むぜ!ハジメも入れよな!」

 

「またかいっ!」

 

クラスメイト達の行く末を見届けた美羅達は、庭園に戻り入浴を楽しんだ。なお、ハジメはノイントと夜の営み(意味深)をして、翌日にはツヤツヤしていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まぁ、仕方がないよね。戦争で捕虜となればどうなるかは容易に想像がつくでしょう
勇者君は間違えたのだよ。二度と修復する事が出来ない傷跡を残しました

さて、次回は絶対にハジ×ノイのイチャイチャシーンを書くぞ!絶対だ、絶対にだ!!


ハジ×ノイ作品増えろ~( *´艸`)





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