今話は、迷宮攻略後に魔人領へ帰ります。そして、タイトル通りの話があります
上記が苦手な方はブラウザバックをよろしくお願いします
~美羅side~
解放者の拠点に滞在する事おおよそ一月、美羅はトータスで手に入れた本を読破し、ハジメはノイントに似合うアクセサリーや戦鎧をデザインしたりと有意義に過ごしている。雌煌は、美羅が魔改造した永久機関発電機を使ってゲームをしている。正直言うと、地球に居てもトータスに居ても変わらない生活だ
「ドラアッ!連撃を食らえや!」
「甘いよ雌煌姉、全部ジャストガードすれば問題ない。か~ら~の、必殺技だ!」
「ウンドゥラウラギッタナー!」
「ゲームの世界での裏切りは日常茶飯事だよ」
人気ゲームの大〇闘の戦いはハジメの勝利に終わった。雌煌もやり込んでいるものの、小さい頃からゲーマーとしての潜在能力を開花しているハジメの前では無力だった。だが、ハジメがゲーマーであろうと美羅には一回も勝つ事が出来なかった。まるで未来が見えているかの様に攻撃は防がれたり避けられたり、挙句の果てにはフェイントの攻撃が誘導された形の隙を生んだ攻撃となってデスコンボを叩き込まれる。空中であろうと的確に追撃をして画面外へとシュートッ!される
「はぁ~、雌煌弱っわ。脳筋雌煌は見え見えのフェイントに引っ掛かるおバカさん♪ザァ~コ、ザァ~コ♪」
「ぐっ、・・・っこんの野郎!!」
美羅に一勝どころか、ダメージを与える事すら出来ていない現状に腹を立てるも何も言い返せない。―――哀れ
「そろそろゲームもお終いにしなさい。一度魔人領に帰ってアルヴに私達の行動予定を伝えるわよ」
「ブッキングしちゃったら大変だよね。魔人領の特産品があれば魔石と交換してもらえるか交渉してみるよ」
ハジメは倒した魔物の魔石を回収しており、十分な量を持っている。もし、魔人族達が日常生活で魔石を用いるのだとすれば、交換してくれる可能性は極めて大きい
美羅達は、教会を出て魔法陣のある場所に立つと迷宮攻略の証に反応したのか魔法陣が輝く。目の前の泉が凍てつき、そこから十メートルほどの大きな氷の竜が生まれ首を垂れる。美羅達が氷竜の首を登り背に立つと、氷竜は翼を羽ばたかせて上昇。あっという間に迷宮の天井付近まで近づくと、進路上の天井が開いて通り道を作る。氷竜はどんどん速度を上げて雲の上まで到達し、魔人領の方角へと進んで雪原地帯の境界辺りで降り立った
「なるほどね~、ただ単に転移する魔法よりも景色を楽しませながら出口に運んでくれるのは良いセンスね」
「そうかぁ~?俺はもうちょい速く飛んでほしかったぜ」
「あれでも十分速いよ」
「あれ以上の速度でしたら凍死する可能性がありますので・・・恐らくそれを考慮されたのでしょう」
美羅達は四輪に乗り込み、魔人領へと爆走する。そして、門番には顔パスで通れるという破格の対応で入門してあっという間に首都まで到着。そこで、美羅と雌煌、ハジメとノイントと別れて行動する事にした
ハジメとノイントは町での息抜きを兼ねたお土産探しで、美羅と雌煌はアルヴに行動予定を大まかに説明しながらのお食事となる
「うんうん、ちゃんと全域にお知らせ出来たのは良いわね。これは仏の顔を一度から二度に回復させちゃうよ」
「それは大変ありがたい。これからも継続して注意する様に言い伝えておきましょう」
美羅達の行動予定は、樹海へ突撃して亜人族の町へお邪魔して大迷宮へ挑むという予定だ。だが、恐らくこの際に何かしらの不都合やトラブルに巻き込まれる可能性があるので、美羅達が迷宮を攻略し終わるまでは付近に居ない事をお勧めする
美羅の言うトラブルは、俗にいう不機嫌にさせる等の行為が主になる。大抵の行為は弱肉強食なので致し方なしで終わらせるが、前にも言った通り武力行使で奴隷にしようものならOHANASHIではなくOSHIOKIとなる。しかも、帝国の在り方は弱肉強食でも、自分達が強いから何をしても許されるという不愉快なものだ。樹海と帝国は近い事からターゲットになる可能性は少なくはない
「まぁ、帝国が私のバカンス予定地に手を出した瞬間に滅びをもたらすわ。だから、今は防衛に力を入れておいた方が何かと良いんじゃないかな?」
「私は亜人族を過小評価していませんが、他の者達は下に見ています。これが終わったら新たな法を作り、内容は亜人族を迫害せず、樹海へ帰すという方針が良いですね。貴女方の休息地になるならば、環境を整える事を生業とする亜人族の人数が多ければ多い程楽なものになるでしょう」
「人件費は殆どタダの手入れされた自然豊かな環境って良いな。発電機置いときゃあゲームし放題だぜ!いっその事、亜人族を使用人みたいに育てるか」
「それも有りね。お給料は時と場合によって与えるという方針で決定ね」
これで亜人族の運命も決まったも同然だ。知らぬ間にターゲットにされて将来を決められる事こそ弱肉強食だが、帝国みたく過酷な労働力として活用するのではなく、あくまで使用人として働かせるというだけだ。掃除や料理等をするだけならば大分マシだろう。しかも、手を出せば倍返しどころではないしっぺ返しを食らうとなると安全が確約されたも同然だ
「ふむ、今から意識改革の徹底を行って平等な関係を築けば互いに得がありますね。外交官とその辺りを後程煮詰めましょう」
遂には魔人族が亜人族との平等な関係になる外交関係を持つ事が決定した。「亜人族に手を出せば魔人族が黙っていないよ」という、人族にとって大ダメージを負う事が確実となる。それだけ美羅達の行動の影響力は凄まじい
「あぁ、そう言えば"あれ"等はどう?」
「良い報告ばかりです。誰もが優秀なステータスと我々を家族の一員としての刷り込みも終わっています。刷り込みと言っても、出生からずっと私達の方で育てているだけですがね。外見は人と同じですが、生まれながらに魔力操作を持っている事から周囲の認知に関しても問題はありません」
「あらあら、それは良い事を聞いたわ。一月に何人ペース?」
「今回は母体の負荷を観察する為に魔法で成長速度を上げましたが、駄目ですね。今回は全員大丈夫でしたが、早くて半年に一人ずつとなるでしょう。ですが、これはあくまでも目安です。こちらも初めての試みとなるので試行錯誤の繰り返しになるでしょう」
皆も分かる通り、魔人族の捕虜となった元クラスメイト達の事についてだ。今回は実験で成長速度を早めてのものだったが、母体にかなりの負荷が掛かる事が分かったので無理のない程度に抑える事となった。死なせてしまえば、畑山の提示した"生徒の安全"を守れていないと言われる恐れもある
「さてさて、あの平和ボケしている子供教師はどこまで理解しているのか楽しみ♪」
「想像しただけで絶望するんだろうな~。他人の不幸でンビャアアアアアアアメシガウマイ!」
日本人が聞いたら軽蔑するだろうが、ここはファンタジーな世界だろうと現実なのだ。それも過酷な現実で、現代では出来ない事が日常茶飯事の世界である。甘さは何の得にもならない・・・いや、なる事もあるがそれは限りなく低い
「おや、噂をすればご本人様の登場ですね。フリード、あの後の調子はどうだ?」
「アルヴ様、ただいま帰還しました。この人間の技能により、各地の田畑は多くの実りを収める事が出来ました。数ヵ月で収穫できるであろう作物は半月あれば収穫出来る程です。早々に捕虜に出来た事は不幸中の幸いです」
「そうだな。このまま防衛を続ければ、人族は消耗して攻撃の頻度が少なくなり同胞の被害もかなり抑える事が出来るだろう。収穫はこの後も大丈夫か?」
「問題ありません。収穫時期をずらして採れる様に調整を行いました」
「ご苦労、君達には各地を駆け回った事による疲弊が顔に現れているから半月の間は休息するといい。ずっと働く事は精神を擦り減らし、集中力を欠如させてしまっては危険が伴う。それに、捕虜の君が死んでしまえば我々の食糧事情も崩壊してしまうからね」
アルヴは優しく畑山の体調を気遣うが、当の本人は自分はそれどころじゃないと言いたげな様子をしていた
「生徒は・・・捕虜になった生徒達は無事ですか?」
畑山の表情を見ていた美羅と雌煌は、この言葉を聞いて見えない様に笑った。畑山の表情は、生徒達の身を心配しているとも捉えられる。だが、生徒達の身の安全とは何かを理解していない様子だったから美羅達は隠れて笑っているのだ。まるでお話にならないお花畑な頭にツッコミを入れたい気持ちが生まれるが必死に我慢している
「ふむ、それ程心配なら直に見て話しますか?」
「お願いします!」
「それに安心して欲しい。彼等には行動の制限として奴隷の首輪を着けているが、特別製の物を着けている。感情維持、理性維持、自動治癒、精神回復の四つの効果が付与されているので、精神崩壊や自傷行為による自殺も出来ない様にしているよ」
「よ、良かった」
美羅と雌煌は、「良かったじゃないよw」とツッコミを入れたいが我慢して笑いを堪える。恐らく、畑山が想像しているのは牢屋に入れられて寂しい思いをしていると思っているのだろう。生徒の安全を確約し、自殺する事もない様に取り計らっている事から無事に会えると何処かしらで気が緩んでいる様子だ
「では、付いて来たまえ。彼等の声が聞こえると同胞の怒りが向くので、音を遮る結界の中で生活をしてもらっている。地下の牢屋に居るが、これもまた彼等の姿を見て怒り殺そうとする者達を防ぐ為の唯一の方法だ」
階段を一段一段降り、緑光石が照らす光が続く先に門番と思われる魔人族が複数人待機していた。畑山は彼等を見て、生徒達が捕虜になって危険な状態である事を再度認識する。きっと彼等は外に居る魔人族達からの襲撃を護る為に待機しているのだろうと勝手に憶測する
「アルヴ様、この度はどの様なご用件でしょうか?」
「彼女は中に居る彼等の教師だ。彼等の安全が確約されているかが心配で見に来ただけさ」
「・・・分かりました。私達はお客人や"彼等"以外の人間を極力見たくないので離れさせていただきます」
そう言い残し、門番をしていた魔人族達はその場から離れて行った。恐らく階段部分を警備するつもりなのだろう
「さて、扉を開くよ」
鈍い音を立てながら扉を開き、畑山は目の前の光景を見て呆然として何が起きているのかすぐに理解する事が出来なかった
「いやあ!もう嫌ぁあああ!止めてぇえええええええ!!」
「殺して!もう殺してよ!」
「あはははははは!ひっぐぅ!ア、アヒャヒャヒャヒャ!!」
「もう出ない!もう止めてくれぇえええええ!」
「ぎぎゃあああああああ!」
阿鼻叫喚の地獄絵図がそこにあった。だが、それは畑山が感じ取ったものであり、美羅達は遂に笑いを堪えきれなくなり爆笑する
「だっはっはっはっはwやっべぇぜ!笑いが止まんねぇw」
「ブフッw現実見ないお馬鹿ちゃんの末路ね!」
美羅達は隣を見ると、信じられない光景を見て絶望している畑山が力なく膝を付いている姿だった
「ど・・・して・・・?」
畑山は、「何故こんな酷い事をしているの?」「安全を約束したんじゃ?」と色んな感情を込めた目でアルヴを見るが、当の本人は不思議そうに畑山を見つめ返していた
「?私は何かおかしな事をしていますか?」
アルヴは、つい美羅と雌煌に疑問を問いかける
「おかしな事なんて何一つ無いわよ?」
「え?安全確約されてんじゃん。約束を破ってねぇだろ?」
この場に居る三人は、不思議そうな顔で畑山をみて、畑山は震えた声で問う
「安全は・・・?私が・・・働いたら安全をって・・・」
大量の涙を零しながらありったけの言葉を口にしているのだろうが、実に弱弱しくて子供の様だ
「えぇ・・・?人族は魔人族を捕虜にしたら拷問して情報を引きずり出した後に、磔の公開処刑よ?死体は放置され、見せしめにされた後に燃やすのよ?」
「衣食住が確約されてるこの環境に文句言う奴はどうかしてるぜ?」
「戦争で捕虜になった者達は慰み者って当り前よね~」
「異種族での乱交は、薄い本の定番だからな」
「安心して下さい。生まれた命は、私達が責任を持ってちゃんと育てます。彼等に育児の負担はかけさせません」
ようやく畑山も自分の失態に気付いたのだろう。安全を確約する=生徒達を殺さない―――間違いなく約束を守っている。だが、戦争での捕虜の扱いを十分に理解していなかったのだ。ここは現代ではない。中世辺りの文明であり、捕虜に人権は無いという事だ。死のうが死ぬまいがどうでもよく、消耗品という認識だ
「貴女は生徒達の死を心配せず十分に働いて下さい」
畑山が生徒達を見ていると、一人の生徒と目が合い、「助けて」という言葉にどうする事も出来ず、ただただ泣き叫ぶ事しか出来なかった
「ぅぁああああああああ"あ"あ"あ"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!ごめ"んなざいごめ"んなざいごめ"んなざいごめ"んなざいゴメ"ンナザイゴメ"ンナザイゴメ"ンナザイゴメ"ンナザイゴメ"ンナザイゴメ"ンナザイ!」
ただただ謝る事しかしない畑山を見た美羅と雌煌は、お決まりの決め台詞を言い残す
「ざまぁw」
「ハジメの人生をぶっ壊そうとした奴等の末路は、自然とざまぁされました~!」
美羅と雌煌は絶望に落ちていく者達に背を向け笑いながらもと来た道を戻る
何も知らない者が見聞きすれば、悪者だと言うだろう。だが、事の経緯を全て知っている者からすれば、今までの行い全てが帰ってきただけと言うだけだ
「気分良く酒が飲めるぜ!」
「黄金芋酒を大盤振る舞いしっちゃお~♪」
美羅と雌煌は、ハジメとノイントと合流する為城の外へと向かい、アルヴはフリードに命じて畑山が自殺しない様に奴隷の首輪を着けさせてこれからの計画と法を発表する為会議室へと向かった
~ハジメside~
ハジメとノイントは、首都の商店が並ぶ通りを歩いていると視線が幾つか刺さるがその全てが以前とは違っており、若干戸惑いつつも探索をする
う~ん、前に来た時の視線を違うな。何処か友好的と言うか何と言うか・・・、どうしてだろう?美羅姉さんが脅したから恐怖心を含んだ~なら分かるんだけど、こんなに違うって何かやったっけ?
ハジメは、友好的な視線の原因に心当たりが全くなくうんうん考えながら歩いていたが、気持ちを切り替えてノイントと一緒にお買い物デートする事を楽しむ事にした。今まで一緒に行動してきたが、お買い物デートは何気に初めてである
「う~ん、何かいい物はないかな~?」
「王国も賑わいがありますが、どちらかと言えばこちらの方が微笑ましい賑わいです。あちらはギシギシとしていると言えば良いのでしょうか・・・、仲が良くない感じがしていました」
「商売敵の競い合いか~。確かに、魔人族達の方が個人的には好きだね。ギスギスせず、皆で協力し合っているこの姿こそ人は見習ってほしいよ」
人族の所とは違い、独特な造形をしたアクセサリーを観察したりノイントに似合う物を選ぶ。それは、鉱石と鉱石を重ね合わせにして削り作られたペンダント。三日月の形をしており、深い青と薄い黄色と所々の銀色が光を反射させている綺麗な物だ
「うん、このアクセサリー気に入った。店主さん、僕はここで使われている金銭を持っていないんだけど魔石とか鉱石で物々交換ってできますか?」
「金銭が無い?・・・もしや君達はアルヴ様のお客人の方々かい?」
「まぁ・・・はい」
ハジメとしては、アルヴの名前を使って金銭のやり取りが行われない可能性があったので伏せていたが意味はなかった。魔人領で歩いても襲われない、罵倒されないのは美羅達やあれ等から生まれた子供達だけだ
「そうか・・・ありがとう」
「えっ?」
いきなりの感謝の言葉にビックリするハジメは、何故こうなっているのかを分析しようにも何も心当たりがない現状に慌てる
「いやいやいや、僕何もしてませんよ!?」
「確かに、君が素材を持ち込んだという話は聞かなかった。だが、使役している魔物に武具を身に着けさせるという発案は君だろう?そのお陰で大勢の仲間が傷を負うリスクが減少し、怪我人も少なくなった。それどころか、戦場に行った友人は、「魔物に武具が着いていなかったら死んでいた」とも言っていたのだ。自分達だけが防具があろうと、死んでしまえば意味がない。咄嗟に動く事が出来ない私達より、本能で動く魔物だからこその芸当だ。遠からず君は私達の恩人に他ならない」
ハジメは、「そんな事言ったな~」と口漏らしつつ頬を掻く。褒められるのは良い事だが、ここまで真っ直ぐに感謝される言葉は慣れていない。すると、周囲の魔人族もこの会話を聞いていたのか集まってハジメに感謝の言葉を次々と送る
「貴方のお陰で夫が死なずに済みました!ありがとう!!」
「お兄ちゃんありがと~!」
「おう兄ちゃん、こっちに良い物あるぞ。彼女さんに似合う服を見繕ってやる!」
「こちらでお食事は如何ですか?食糧事情も良くなったのでこの地特有の料理を味わいに来てください」
大人から子供までハジメに感謝の言葉がひっきりなしだ。ワイワイと騒ぎ、ハジメとノイントを連れてあっちへ行ったりこっちへ来たりと街中を巡る。恋人必見穴場スポットや、恋人向けの店舗等を中心に周る
それだけで半日以上経ち、美羅と合流する
「やっほ~、ハジメとノイントちゃんの方はどんな感じ?」
「ハジメに三日月のペンダントをいただきました」
「ひゅ~、リア充リア充、ハジメはリア充♪」
「リア充なんてちっぽけな言葉じゃない。夫婦よ夫婦、"新婚旅行の第一章―――トータスで傷心旅行"といった感じよ」
「書籍化しないよね?」
「大丈夫、今日の出来事までずっと書き起こしているから恋愛小説でランクインする事間違いないわ!」
「入らないよ!?」
美羅は夜な夜な日々の出来事を日記として記録し、それを元にハジメの恋愛小説を書いているのだ。地球に帰ったら無料小説投稿サイトに絶対に投稿し、写真をイラストに変換して挿絵も作る予定となっている。これに関しては、菫と共同作業するつもりなのだ
「大丈夫、さっきのは冗談だから。暇な奴等しか見ない時間帯に投稿するからランキングに載る事はないわ!・・・タブン」
「ほ、ホントかなぁ~?」
小説の話は置いておき、美羅達の予定は次の通り
本日は魔人領でお泊り→翌日、城の一角に転移門を設置した後昼頃から樹海へと出発→樹海へ入り亜人族とのコンタクトを取る→転移門からアルヴがこんにちわして亜人族の長と会合して同盟を結ぶ→大迷宮へ挑戦
と言った流れだ。所々計画の変更があるかもしれないが、大まかな流れはこれで決定している
「私と雌煌は、これから愉悦の光景を見ながらお酒を飲む予定よ。だから、二人で楽しみなさい」
「なら、僕はノイントと一緒に街でご飯を食べて宿泊するよ。ノイント、行こう」
「はい!」
美羅は城へ戻って行き、ハジメはノイントと一緒にお勧めされたお洒落なお店へと入店。そこはカップルが多く、二人で料理を楽しんでいる姿が多い。そして、案の定店主の魔人族さん達もハジメ達の事を知っていたのでスムーズに二階の良い景色が見れる部屋へと案内され少しだけ早い夕食にした
「今日は色々とあったね」
「そうですね。皆がハジメに感謝している姿はとても嬉しく思います」
「僕はこうすれば格好いいとだけ口漏らしただけで、実現したのは偉い人達が話し合って決めたからだよ。きっかけを作っただけさ」
ハジメは外の夕焼けを見ながら、魔人族達の様子を見る。そこに人族と違った事は殆どなく、子供から大人まで毎日を必死に生きている光景だ。現代よりも厳しい環境下で力強く生きる彼等の姿は、「人族も見習えよ」とつい口漏らす程だ。だが、今は畑山の力で食料自給率が大幅に改善されたので豊かで活気がある
王国の人間は本当に嫌になるね。僕達を召喚して戦わせ、自分達が前線に行こうともしない馬鹿貴族には反吐が出る。ざっと見た感じだけど、魔人族達の方が手を取り合って戦っているから印象が違うんだろうな
そうこうしている内にご飯が運ばれて来たので、ノイントと話を弾ませながら食事を味わう。環境が違えば工夫も違うとはこの事なのだろうか・・・初めて味付けに驚きつつゆっくりと手を進める。全てを食べ終え、ハジメはノイントの手を引いて、ちょっと良い感じの宿泊施設へと泊まった
~美羅side~
美羅は月見をしながら黄金芋酒をゆっくりと飲み、遂に報告をする事にした。事前に菫に電話をして予定を入れていたので、事の流れはスムーズだ
「もしも~し、こちら美羅で~す。ノイズは入っていないと思うけど、どんな感じですか~?」
『・・・美羅ちゃん、何か良い事あったの?』
「貴重なお酒を飲んでま~す♪」
スピーカー越しに溜息を吐く音が聞こえたが、無視して早速本題へと移る事にした
「事後報告になりますが、前線に出ていた生徒と食糧事情改善へ従事していた教師とその他数名は魔人族の捕虜になりました~。他は知りません」
『捕虜だと!?』
向こうでは保護者が心配しているのだろう。我が子は無事なのか!?という声が多く、声高に叫んでいる事から心配しているのだろう。美羅は、「うるさいな」と悪態をつきつつどうやって報告した方がメシウマ案件になるか考えていたりする
『美羅ちゃん、捕虜って・・・』
「菫さんが思っている通りよ。中世なヨーロッパだから、捕虜の扱いは察してね。それとも―――詳細を全部知りたい?」
保護者達は皆が知りたいと思ったが、美羅の言い方を察して躊躇しているのだ。知ってしまえば後戻りは出来ず、後悔する事になると分かっているからだ。だが、それでも保護者達は勇気を振り絞り子供達がどうなっているのかを知りたかった
『・・・皆さん、覚悟はいいですか?・・・美羅ちゃん、お願い』
向こうは覚悟が決まったのだろう。美羅は、見えない事を良い事にニヤニヤと笑みを浮かべながらもう一つの提案をした
「口頭で知りたいか、映像で知りたいか―――――どっち?」
美羅は究極の選択を提示した。口で説明されても、それが本当の事かは分からず、嘘を吐いている可能性も無きにしも非ず・・・どれ程酷いのかを伝えられていない等様々だ
「返事は?YesかNoの二択よ。このまま返答が無ければ電話を切るからそのつもりでね」
『・・・映像をお願いします』
「それでは映像付きでいきま~す。あ、生徒達の場所は地下牢だから徒歩で向かうわ」
女性の声が聞こえたが、美羅はこの一声を採用。そして、美羅が徒歩で向かうという言葉と、地下牢という二つの単語からある疑問が生じた
『ねぇ・・・美羅ちゃん、徒歩って言ったの?』
「そうですよ。私達は魔人族さんと敵対していないし交渉を持ちかけたから敵対されてません。でも、生徒達は敵対したので駄目だったというだけよ。というわけで、長ドーン!」
美羅がスマホのカメラを向けた先には、アルヴが座っておりにこやかな笑顔を浮かべていた
「白野美羅さん、これはそちらの板?に向けて話せばよろしいのですか?」
「そそ、遠くにいる人とお話が出来るアイテムだと思えばいいわ」
「それでは改めて―――私はアルヴ、魔人族の長を任されている者だ。君達の子供については戦争捕虜としての扱いをさせていただいている。因みにだが、最初に敵対したのはそちらからだ。私達は彼等に降伏勧告を最初に勧め、普通の捕虜として扱う予定だった。だが、勇者の話を聞かない攻撃によって交渉は決裂。こちらも被害を出さない為に戦闘という流れとなった。大まかな流れはこの辺りだ」
アルヴの鋭い眼と言い知れぬ圧力が含まれた事の経緯を聞いた保護者達は、苦虫を潰したような表情をしていた。そして、話を早々に切り上げて生徒達がどの様な事をされているのかを知らしめる為、地下牢へと降りていく
「そう言えばだけど、あれ等は今どうしてるの?」
「戦争捕虜の扱いの真っ最中とだけ言っておきましょう」
「アルヴの言葉を聞きました?ショッキングな映像が流れるので要注意!」
美羅達が地下牢の扉の前に辿り着き、アルヴが扉をゆっくりと開いて地獄絵図を写す。男女共に魔物に犯されており、悲鳴が反響して聞こえる。大型の魔物との交わりは精神を崩壊させるものだ。だが、それをさせない為の奴隷の首輪である事を説明する。そして、案の定保護者達は悲鳴を上げたり涙を流したりと様々な反応だ。
「この様に、自殺する事なく精神崩壊を防いでいます。何もしないでこの場所に置く事自体危険極まりない行いだが、人族が魔人族の捕虜にするよりも幾分かマシな扱いだ」
すると、美羅に気付いた天之河が声を上げる
「どうしてだ・・・どうして俺達を助けない!貴女達は俺達の味方だろう!?」
この言葉を聞いた美羅は、一瞬だけ殺気を漏らしてしまった。それだけで魔物達は体をビクッと震わせ、交わりを止めて壁の隅へと逃げる。保護者達は何が起こっているのか分からないが、アルヴが何かしらの命令をしたのではないかと思っていたりする
「私は自分自身の事については大抵無視したり羽虫がブンブン飛んでいる程度に感じているわ。だけど、私の弟分であるハジメに関しては別よ。温厚な私でも仏の顔は三度まで―――いい加減に自分中心に世界が回っていると思うなよ餓鬼が」
美羅はゆっくりと天之河に近付き、頭を踏みつける。一応加減をして潰れない様にしているが、その圧力は頭を万力に絞められているのではないかと錯覚する程の痛みが生じる
「ぐああああああああああああっ!?」
天之河は、必死に起き上がろうとするもピクリとも頭が動かない。スマホから悲鳴や怒りの声が聞こえるが、全てを無視して淡々と告げる
「お前は今まで何をしてきたか理解していない。一度目、ハジメは戦わないと言った事による罵詈雑言。二度目、火球での誤爆謝罪の拒否。三度目、アルヴに魔人領にある迷宮に入る為の許可を得る際に裏切者と決めつけて攻撃した。これらの事から私はお前達を助けるなんて気持ちは毛頭ないわ。助けるのが当然と言うのなら、何故迷宮で魔人族を殺さなかった?殺していればこんな事にはなっていない」
保護者達はどういう事かあまり理解しておらず、簡単な流れしか説明されていない為に何を言っているのか理解していなかった。そこで、アルヴが勇者達を捕虜にするまでの経緯を詳しく説明する
「勇者の力は強かった。それこそ、捕虜にしようとした仲間が殺されそうになったと報告があった。だが、勇者は何故か殺さずに剣を直前で止めた。何を思ってそうしたのか理解出来ない」
「ただ単に人が死ぬ光景を見たくなかった腰抜けよ。自分の手が汚れるのを嫌い、何処かの特撮ヒーローの様に撃退をしたいだけ。学校の授業や歴史資料館とか行って尚それなら、これを育てた人間が悪いというだけよ。聞こえてるよね、これの親」
『そ・・・れは・・・』
自分の子ならちゃんと現実を理解しているだろうと思っていたが、蓋を開ければ子供と同じ様な精神構造をしていた。自分が物語の主人公であるかの様な幻想を抱いている
「俺は間違っていないんだ!勇者の俺がこの状況も絶対に覆してみせる!」
「はぁ~、勇者って誰の事を言っているのか聞いてみたいわ」
「それは俺「お前程度の奴が勇者を語るな」っ!?」
「勇者とは―――誰よりも前に立って敵を多く殺し、自分の全てを犠牲にして不可能を可能にする者を指す言葉よ。お前は何をしていた?何もしていない。そんな役立たずは、このまま種馬として後世に一人でも強き者を残す為に一生を終えろ」
美羅は最後に天之河を蹴り飛ばし、次は女子達を睨む。迷宮の魔物の殺気が子供―――いや、虫の様に感じる程強烈で重厚な威圧感を含んでいる
「自称勇者はもう終わりだけど、お前達だけは色々と追及しないと気になるのよ。何故、ハジメの不利益になる事ばかりしたのか聞きたいわ。軽率な行動の影響で多大な被害があり、その影響を解消しようともしない処か気付いてもいないし止めようともしない。そして、自称勇者とストーカー女の隣に居ながら怒る事をしていないポニテ少女、そんな流され癖があるからこんな事になっている現実を逃げずに受け止めなさい。己の身から出た錆よ」
「・・・なさい」
「はぁ?」
「・・・ごめんなさい。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ!だずげでくだざいっ!!」
ポニテ少女もとい八重樫は、我慢していた何かが砕け散ったのか泣きじゃくりながら謝罪の言葉と助けを乞う。だが、それも既に遅い。美羅が助けるメリットが何一つないので却下だ
「私にメリットが何一つないから嫌よ。デメリットというか、ハイリスク・ノーリターンな事は誰もしないわよ。やるとしても、それはその行動に責任を持つ事が出来る者がやるの。大体、現状の何処に不満があるのよ。衣食住を完備され、精神崩壊と自殺をしない様にする為のアイテムを身に着けてもらっているでしょ。魔物との交わり程度我慢しなさい。殺される事もなく戦う事もしなくてもいいこの場所こそ、本当の安全じゃない」
『君は、この待遇は最上級だと言いたいのか!』
厳つい声だが、美羅は何も感じない。もっと酷い事を見聞きしているからこそ、この待遇は破格だと感じているのだ
「この世界の戦争捕虜だと、普通は拷問して情報を引きずり出した後に石当ての標的となって殺され、見せしめとして数日放置されて燃やされる。凌辱なんて当たり前だし、食べ物も与えられない。もっと酷い殺し方だと、生きたまま少しずつ体を喰われるというのもあるわよ?それに、ハジメは地球への帰還の目途があと少しで叶うわ。もし、地球とこの世界の行き来が出来る様になれば、保護者の皆が助けに行けば何も問題はない。人族か魔人族の味方をして、残りの片方を絶滅させればいいだけよ。国に助けを求めようとも、私はそれを良しとしない。家族だけの力で救出してね♪」
美羅は、サラッと至極無茶な事を告げる。もし、国の力が介入するのならば行き来する為のアーティファクトは潰す予定でもある。資源はその世界で消費する事が大原則であり、異世界に持ち運ぼうものなら殺す予定も立てる。自分達はどうなのかという点だが、それは除外する
「それと―――南雲家に手を出したら、世界は大混乱に陥るからそこの所注意よ。聞こえているでしょ?密偵さん。警察関係各所にも伝えておきなさい。もう一度言うわ、南雲家に手を出したら取り返しのつかない大惨事となるわよ。という訳で菫さん、ハジメと一緒に帰るのは数ヵ月程度だからお土産は期待しててね♪」
こうして、美羅は忠告を入れて電話を切った。大丈夫だとは思うが、忠告が破られた際には仕方なしと割り切る。ちゃんと言い聞かせもしているし、躾もしているので大丈夫だろう・・・多分
辛気臭い地下牢から出た美羅は、黄金芋酒をもう一つ開けて飲みながら千里眼でハジメ達の行為を覗き見していたのは言うまでもないだろう
次は樹海へレッツだゴー!!
ミラ様は身内には甘々だけど、他人は知ったこっちゃねえ!だから仕方がない
バカンス予定地となる樹海にお住みの亜人族さん、天災が今そちらに行きます( *´艸`)