召喚の手違いは世界最強   作:ぬくぬく布団

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遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます
リアルでの忙しさとその後の虚無期間で執筆できなかったりと色々ありました
今話は、タイトル通りです。怒らせたらいけない人を怒らせてしまった





樹海とトータス初の天災

~ハジメside~

 

美羅は、先日のざまぁ!を見届けた翌日、ハジメとノイントが合流した。しかも、仲睦まじい恋人繋ぎをして―――だ

これからの行動予定は忙しく、サクサクとやらねば地球への帰還日も延長してしまうのでアルヴに用意させた部屋の一室に転移門を設置した。取り敢えず、置いて地面と壁を固定させただけのシンプルなものだが、後々アルヴ達が何かしらの装飾をするかもしれないので問題はないだろう

無事転移門を設置し終えた美羅達は、予定通りアルヴを含めた魔人族達に見送られながら亜人族達が住む樹海へと四輪を走らせた

 

「ノイントちゃんが艶々しているわねぇ~。ハジメとどれだけやったのかなぁ~?」

 

「そ、それは秘密です///」

 

「教えろ~教えろ~♪」

 

「ちょ、雌煌姉運転の邪魔になる!?」

 

「いやいや、夜の営みが気になるだろぉ~?奥手のハジメがどこまでリードしたのかが気になるんだよぉ~♪」

 

ハジメは、運転に集中する事で無視する。しかし、助手席に座っていた筈のノイントは雌煌と美羅によって後部座席へと回収されて板挟み状態となり根掘り葉掘り聞き出されている。とはいえ、ノイントは美羅と雌煌が本気で聞き出そうとはしていない事は気付いているのでなあなあで適当に話の流れを変えたりして危機を乗り切った

他愛無い事を車内で数日―――美羅達は遂にハルツィナ樹海へと到着。樹海手前でも見える濃い霧は、まるで侵入者を拒んでいるかの様に森全体を包んでいる

 

「う~ん・・・ドローンで上空から確認したけど分かんないや。霧が濃すぎて森の中が見えないし、方位磁石もぐるぐる回っているよ」

 

「この濃霧は入った者の方向感覚を鈍らせて迷わせると聞きました。恐らくですが、亜人族はこの濃霧の効果を受けない体質があるのではないかと思います」

 

「こりゃあ樹海に入って亜人族を見つけ出すか?」

 

「やっほーーーーーーーー!」

 

ハジメ達がどうしようかと悩んでいると、美羅がいきなり大きな声を出す。普段ではありえない行為に、ハジメ達は驚く

 

「・・・はい終わり。樹海全体を把握出来たわ」

 

「「「はい?」」」

 

ハジメ達が何をどうしたら把握する事が出来たのか分からないでいると、美羅は笑みを浮かべながら答えを告げる

 

「私が大きな声を出したでしょ?音の反響で全てを網羅して覚えただけよ」

 

「いつも思うけど、美羅姉さんは規格外だよね。僕が作ったソナーの完全上位互換じゃないか」

 

ハジメは少しだけ落ち込むが、ノイントの励ましと美羅だからという事にして諦めた。それに美羅の声は何も考え無しという訳でもなく、亜人族が近くに居たのならば呼び寄せる事も可能なのだ。現に樹海の奥から足音が聞こえ、止まった。きっと彼等は美羅達の事を様子見しているつもりだろう

 

「ほらほら出てきなさい。こっちは話をしたいからわざわざ声を上げたのよ?これでも無視を続けるのなら―――樹海の中にある村に行くわよ」

 

「出て来いよおらあっ!こっちが村に行く時に攻撃でもして来たらやり返すからな?」

 

ハジメは、「これはヤバイな」と一言漏らして土下座をしてお願いをする

 

「どうか出て来てお話を聞いて下さい」

 

「私からもお願いします」

 

ハジメに続いてノイントまで土下座をしてお願いをする形となり、向こうさんは困惑しているのだろう。だが、ハジメとノイントの土下座をいつまでも続ける姿を見るのは美羅達にイライラを募らせる

 

「ハジメとノイントちゃんが土下座しているのにもかかわらず出てこないつもりならタコ殴りにした後に磔の尋問にするわよ?」

 

『大変申し訳ありません!!』

 

樹海の奥から亜人族達が出て来て一斉に土下座をした。雌煌が漏らした殺気に顔を青褪める彼等は、理不尽な事ばかりだろう。両者共に謝罪が済み、美羅達と亜人族達の話し合いが始まる

 

「・・・一応聞くが、我らのフェアベルゲンに何用だ」

 

「樹海全体を私のバカンス地にするの。良いでしょ?嫌と言ったら全員追い出すわよ」

 

「美羅姉さん、亜人族の皆に得が無い様に聞こえるからしっかり伝えないと」

 

「得だと?」

 

この中でも発言力が高そうな亜人族の一人が警戒して話を聞こうとした時、数多くの兵士と思われる人間達が樹海を迂回する様に姿を現した。手に武器を持ち、その後ろには荷車を引き連れている様子を見るに亜人狩りか何かをしているのだと理解し、美羅達が連れて来たと勘違いして戦闘態勢に移行する

 

「ねえノイントちゃん、あれって王国の人間?」

 

「いえ、彼等は帝国兵です。王国の鎧とは違うので間違いないでしょう」

 

「ふ~ん、取り敢えず様子見かな」

 

ハジメは、ふと気になって亜人族達の方を見ると全員が居なくなっていた。だが、ソナーで探索すると近くに反応があって動かない事からやり過ごそうと考えているのだろう。だが、向こうも馬鹿ではなく何かしらのアーティファクトを手に持っているのが見えた

そして、帝国兵達が美羅達の目の前で止まり、荷車の方から声が聞こえたので積まれているのは奴隷にされた亜人族達だろうと簡単に分かった

 

「おい、貴様達。近くに居た亜人族はどうした?」

 

「知らね」

 

雌煌の興味なしという言葉を聞いた帝国兵は、どこか苛立ったのだろう。額に青筋を浮かべて剣を抜いた

 

「女だからいい気になるなよ?しかし、よく見れば男受けしそうな上玉じゃねえか。こりゃあ高く売れるな」

 

「隊長~、俺達にも回して下さいよ」

 

「意見は多い方が良いから全員で味見すりゃあいい」

 

「さっすが隊長!太っ腹~!!」

 

ハジメはノイントも対象になった事でドンナーを抜こうとしたのだが・・・先程から妙に静かな美羅に違和感を感じて何もせず黙っている。まるで何かを観察しているかの様に真っ直ぐと樹海を見続けている

 

「男は殺して女は奴隷にしろ!今日は最っ高の日だぜ!亜人族の村も襲撃して奴隷も大量だ!!」

 

「へぇ、そうなのね」

 

帝国兵の言葉を聞いた美羅は、冷たい視線を彼等に向ける。ハジメだけでなくノイントも美羅が不機嫌オーラマシマシの状態に気付き、取り敢えず帝国兵達に向けて合掌。彼等が辿る先は死以外ありえないと悟ったのだ

 

「樹海の中から火の匂いがすると思ったらあんた達のせいなのね。私のバカンス予定地に対しての所業―――私の堪忍袋の緒が切れました。近日中に帝国滅ぼしま~す!」

 

この世界の者達からすれば、美羅の言っている事は絶対に無理だと言えるし、何より帝国兵の前での発言は宣戦布告どころか不敬として捉われてもおかしくない。案の定、隊長と呼ばれていた帝国兵は憤怒して美羅を凌辱して殺す等と不可能な事を宣う

 

「取り敢えず、隊長以外の帝国兵は要らないから―――"死ね"」

 

美羅の死ねという言葉と同時に、晴れた空から赤雷が隊長以外の帝国兵に直撃。本来なら焼け焦げて真っ黒な炭が残るのだろうがこの赤雷は特別で、直撃した兵は影も残らず全てが消えた。文字通り身に着けていた武具諸共である

 

「な・・・にが・・・おきた・・・」

 

一瞬の出来事に理解が追い付いていないのか呆然としていたそんな兵士が再度美羅の方を見ると、ニヤニヤと笑みを浮かべながら己を見る赤い眼に怖気づく。絶対強者の眼をしている事にようやく気付いたのか、ガクガクと体を震わせている姿は滑稽だ

 

「さっき私を犯して殺すって言ったわよね?弱肉強食が帝国の在り方なら、強者である私が何をしようとお咎めはないって事よ。あ、逃げれないように足切ろう♪」

 

「っがあああああああああ!」

 

美羅は帝国兵の足を指ちょんぱで切り落とし、そこら辺に落ちていた蔦を縄代わりに捕縛。後は失血死を避ける為に、回復薬を足の傷口に振りかけて完璧である

 

「さ~て、荷車には何があるのかな~。まぁ予想はついているんだけどね」

 

御守りの居なくなった荷車の中に入ると、鼻に突く生臭さ―――。この荷車には犯された女性だけが積まれていたのだ。美羅は、正直言って触りたくもなかったので先程まで隠れていた亜人族を呼び出してこれらを対処させる事にした

 

「お前達急げっ!急いで避難させるんだ!!」

 

「こんな・・・ひでぇだろ。俺達が何をしたって言うんだ!!」

 

「殺してやる、人間殺してやる!」

 

最後については美羅がちょっと痛い程度で頭にチョップを打ち込み、ハジメ以外の人間が~という事に変更させた。そして、この荷車の中には亜人族の長の娘が居たりとちょっとどころかかなりの手柄となり、美羅達は亜人族達の村へと招待された。何事も徳を積むである

亜人族達の背を追って濃霧の中を進んで行くと、本来は自然と調和された景観なそれらはとても残念な気持ちになるぐらい破壊されていた。戦闘もあったのか、帝国兵と亜人族の死体がある。ハジメは、「帝国兵って屑だね」と言い放ち、ノイントは、「私が王国をけしかけて共倒れに持ち込んだらよかったですね」等と物騒な事を言う程なのである

 

「こりゃあお灸を据える意味での滅亡が一番だな」

 

破壊に特化している雌煌ですらこの光景に少しだけ苛立っていた。雌煌の攻撃一つ一つが環境を広範囲で変える事を知っているからこそ、力の制御を一番に優先して後先考えずの攻撃は殆どなくなっているのだ。以前は戦闘狂でも環境については敏感なのは古龍の性なのだろう

 

「貴女方が我々の家族を助けていただいた事に誠に感謝致します」

 

『ありがとうっ!』

 

大勢の亜人族達が美羅達に感謝の言葉を送るが、安堵している者と悲しい表情をしている者と別れていた事から助けた一団は今回の被害者の一部である事が分かる。美羅は、これから行動する第一優先を迷宮から帝国へと標的を変え、その前段階として亜人族達の長を集めて話し合いを始める

 

「私が貴方達を助けたのは無償で助けた訳じゃないわ。私は、この地に別荘を建てたいの。貴方達も風の噂で聞いた事がある筈よ。王国に召喚された異世界に住む人・・・その一部が私達なの。そして、私は元居た場所とこのトータスを行き来する力があるので自然豊かなこの場所をバカンス地の一つとしたい」

 

「・・・だが、これ程まで破壊されてしまったら再建するには時間が」

 

「あぁ、そういうのは大丈夫。これからはもっと頑丈にすれば問題ないでしょ?」

 

『?』

 

ハジメとノイントは、破壊された家屋等の再生と予想―――亜人族達は頭上に?を大量生産して何が起きるのか理解していない様子だ。この中で美羅が何をやるのかを全て理解しているのは雌煌だけなのだが、遠い目をしていた

美羅は爪で指先に傷を付けて血を一滴だけ地面に落とした。皆はたったそれだけ?と疑問に思う中、周囲の木々―――いや、自然全てが騒めく。先程の落とした場所を中心に、広がる様に地面から木々があっという間に生えたり、元から残っていた木々はより太く多くの葉を茂らせたり、見た事のない植物が生えたりと様々だ

 

『なんじゃこりゃああああーーーーーーーー!?』

 

普通ではありえない光景を見た皆は、地面に手を付いたり周囲の被害を確認している

 

「範囲は狭いけど、まぁこんなものでしょ」

 

チートである事を知っているハジメとノイントですら呆然としており、目の前の出来事に状況が追い付いていない様子だ

 

「・・・美羅姉さんがチートなのは知ってたけど」

 

「・・・これは命の創造ですよ」

 

「美羅が出来ない事は一つだからあんまり気にすんな!」

 

美羅に出来ない事―――それは恋愛である。人ではなく龍であるからこそ強者に心惹かれるのが当然であり、生まれた時から本気の戦いで敗けた事はないのでまず不可能なのだ。ハンターと戦い敗けた事はあったが、それは自身にリミッターを何重にもかけている状態なのでノーカウントだ

 

「さて、これから大事なお話をするので重鎮を呼びます。それではカモン!」

 

美羅はハジメに目配せして転移門を起動してアルヴを呼び出す。亜人族の長達は転移門から魔人族が現れた事に驚愕して臨戦態勢に移ろうとするが、相手が両手を上げた降参の意思表示を示した為に武器を下げる。これで落ち着いて話し合いが出来ると判断した美羅は、アルヴと亜人族の長達との会談を取り仕切る事にした

 

「こちらはアルヴ―――魔人族の長よ。そして、亜人族の長達が居る事から何がしたいのか分かるわよね?」

 

「・・・降伏勧告という訳か」

 

「いいえ、違います。魔人族の長として貴方達亜人族の国との同盟を申し込みたい。不平等ではなく、平等の関係を築きたい。民達の意識改革をすぐに出来ないかもしれないが、それを可能にする事が出来る者がここに居る。それが、南雲ハジメ君だ」

 

「えっ、僕ぅっ!?」

 

ハジメは、なぜ自分の名前が出てくるのか分かっていない様子だが、それ相応の信頼を得ているからである。それに、ハジメ自身亜人族だろうと魔人族だろうと偏見がなく、それどころか人族の方が信用ならないとまでである

 

「彼は人族だが、王国が呼び寄せた異世界の住人の一人。王国で聞き及んだ先入観は一切信じず、自身が見聞きして判断する人格者だ。この世界に居る人族とは違う価値観を持っているので信頼してもいい。現に、我らの同胞は彼に助けられた者が多い」

 

「・・・なるほど」

 

亜人族の長達はアルヴが言っている事が本当である事を目を見て判断する事が出来た。そして、アルヴが本気で平等の同盟を結びたいとも理解した

 

「貴方方も白野美羅さんがこの地もバカンス地としたいというのは聞いているでしょう。これはガーランドも含まれているので、同じ場所となる予定のフェアベルゲン、この世界の人族と敵対しているという共通点から最善の選択をしました。亜人族と魔人族が協力する事でこの世界の人族達の脅威を防ぎ、互いに交易を持つ事で豊かになる」

 

これを聞いた亜人族達は、今の状況を変えうる事が出来る希望の光が見えた。だが、現在の脅威である帝国を今すぐどうにかしなければ魔人族達が到着する前にやられてしまう事にも気付き悲観な表情をする。だが、アルヴがここで美羅に尋ねた

 

「白野美羅さん、帝国ですが想定通りの反応でしたか?」

 

「本当にハジメが言う通りの展開になったわ。というわけで、帝国に攻め入ろうとしている魔人族達は撤退して樹海に向かう方針で良いわよ」

 

「分かりました。フリード、今までの話を聞いていたか?帝国は彼女の逆鱗に触れた」

 

『はっ!これより兵達を樹海の防衛に向かわせます。近々王国も樹海に対して何かしら動くとの噂もあるので、それまでには充分間に合うでしょう』

 

フリードの報告が聞こえた亜人族達は、王国もがこちらに対して動く事に不安そうにしているが魔人族達の兵達がこちらの防衛に間に合う事を知り安堵する。亜人族の現状はかなり不味く、兵力の殆どが失われているのだ

 

「それでは、フェアベルゲンとガーランドの同盟の書類に署名をお願いします」

 

亜人族の長達は、渡された書類に書かれた内容をしっかりと見て納得してサインする。これでフェアベルゲンとガーランドの亜人魔人同盟が成された

 

「おっし、これから帝国滅ぼしに行くのか?」

 

「そうしたいけど工具を作らなきゃ復興も何もできないわ。という訳で、ハジメはカブレライト鉱石を使って工具や農具を作りなさい!」

 

「今ある物じゃ駄目なの?」

 

ハジメの意見も最もだ。だが、成長した樹木は太いだけではない

 

「今まで使っていた工具だと切り倒せないわよ?」

 

「・・・マジで?」

 

「まぁ、一回やってみなさい」

 

ハジメは、家屋の隣にあった斧を手に取り比較的細い樹木に叩き込んだ。だが、斧は鈍い音を立てて刃が欠けた

 

「一番いい斧がアアアアアアアッ!?」

 

「スイマセエエエエエン!!」

 

恐らく持ち主なのだろう・・・ハジメは、土下座して斧を壊した事を謝罪した。だが、これで皆も分かった。この樹木は細くても生半可では傷付かない頑丈過ぎるという事に。次はノイントの大剣で切るが、少しだけ食い込んで取れなくなるという緊急事態となり、分解魔法でどうにか切断する事が出来るというレベルだった

 

「よし、カブレライト鉱石100%の斧を一つ作ろう。その後、切り倒した木材を手に合う様に加工して工具を作ろう。全部が純正だと、もしも奪われた時に大変な事になる」

 

『賛成だ!』

 

ハジメは急ぎカブレライト印の斧を作り、熊の亜人族に渡してそれなりの太さの木を切り倒してもらった。ノイントの魔法で切り倒した木を乾燥させて斧でそれなりの大きさに切り分け、工具や農具を大量生産する。ハジメは亜人族達に、工具や農具は木々を加工する為だけに使用する事を念押しする。何事も流出する可能性を極力少なくするのは当然である

 

「うぉおおおお切れるぞ!切れ味凄すぎるぅ!?」

 

「鉈もやべぇぞ!スパスパ切れやがる!?間違っても自分を切らない様に気を付けろ!!」

 

亜人族達は今まで暗かった雰囲気から少しだけ明るくなったのを見終えた美羅達は、元凶である帝国へ向けて静かに移動した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~美羅side~

 

樹海を抜けた美羅達は、四輪を走らせて目的地の帝国へ到着。その際に、初めて見るアーティファクトに兵士達は驚き、何処かに連絡を入れている様子だ。ハジメは、これは不味いんじゃないかな?と思っているが、美羅が何も言わずにいる事から何かしら企んでいるのだろうと予想がつく

 

「貴様達、皇帝がお呼びだ。そのアーティファクトから降りて謁見しろ!」

 

「へぇ~、お呼びなのね。ダイナミックにお邪魔するから、雌煌達は分かってるわよね?」

 

「おうおう、やっとくから行ってこい。徹底的になぁ?」

 

美羅は四輪から降りると、案内するであろう兵士の首を手刀で切り飛ばす。あまりにもいきなりな出来事にその場の空気が固まるが、反対側から降りて来た雌煌が残りの兵士達を殴り殺す。ハジメとノイントは、ステルスアーティファクトを持って城と奴隷市に向かう

 

「さてさて、いきますかぁ~」

 

美羅は、跳躍で入城して出会う兵士達を手刀で切り殺して進むと、他とは違い派手な装飾が施された扉を発見。中に生命反応が幾つかあり、美羅は扉を蹴り飛ばしてダイナミック入室をした

 

「悪い子はここだぁあああーーーー!」

 

室内には皇族であろう者達がちらほら見え、護衛の兵が避難を急いている光景だった。美羅は、邪魔な護衛の兵達も瞬殺して残りの全員に電撃を撃ち込んで麻痺させる。体が如何に頑丈であろうが、神経系に直接干渉する電気なので防ぐ事は不可能。いや、状態異常耐性を持っていればどうにか動けるレベルだ

全員が倒れ伏した事を確認した美羅は、皇帝が何時も座っているであろう椅子を蹴り壊して新しい椅子を取り出してそこに座る

 

「くそっ、一体何が目的で帝国に喧嘩を売りやがった!」

 

この中で比較的大きな力の持ち主が声を荒げながら問う。美羅は男が身に着ける装備を手に取って観察―――この世界でなら最上の業物に分類される=偉い=皇帝である事を前提に話を進める

 

「喧嘩?私のバカンス地を侵略したからにきまってるじゃない。そっちから喧嘩を売ったから、帝国の流儀に沿って武力による制圧をしているの。あ、ここに来るまでに目に付いた兵は全員ぬっ殺しておいたからね♪」

 

「てめぇっ!」

 

「自分が決めたルールはちゃんと守らないと。弱者は強者に従うべし―――私という強者は、貴方達弱者に死を与える。勿論、帝国全てをね♪」

 

「ふざけるなっ!市民は関係ないだろう!!」

 

皇帝は、一般人までも殺す対象に入っている事に納得がいっていない様子だ。だが、美羅にしてみれば帝国が亜人族達にやっていた事と何ら変わりはない

 

「亜人族達を犯したり、殺したり、奴隷にしたりと色々な事をやっているのをお返ししているだけじゃない。亜人族の兵士は仕方がないとしても、見目麗しい者が居れば武器も持てない一般人でもお構いなしじゃない。やってもいいのは、やられる覚悟のある者だけよ。ハジメ、ノイントちゃん、労働力の確保は順調?」

 

美羅は、通信用アーティファクトで二人に連絡を入れ、帰ってきた返事は無事に確保して転移門でフェアベルゲンに移送したとの事だ。但し、精神が崩壊して死を望む者に関しては放置という流れだ

 

「いえ~い、労働力ゲット♪後は更地にするだけね!この世界に来てからまともに力を解放していなかったからなまっちゃいそうだったのよね~。いい標的が出来たという事でブッパしちゃいましょうそうしましょう♪」

 

四肢を解しながら帝国の中心部の空に浮き、周囲を観察。ハジメとノイントが奴隷解放という名目で亜人族を救出したので市街地はパニック状態だ。盛大なざまぁを見れた事に笑みを浮かべながら雌煌達の気配を探ると、既に帝国から出て見晴らしの良い場所に居た。雌煌がハジメとノイントを避難させた+力を見せつけようとしているのだろう

 

ふむ、見てるわね。という事は、盛大に花火を上げた方が最高よね♪

 

美羅は目を閉じ、龍気と魔力を混ぜ合わせたハイブリットエネルギーの供給を開始。イメージは蛇口から水が一滴一滴落ちる程度解放する感じだ。一気に出すイメージをしないのは、威力過多による広範囲大災害にならない様にする為だ

 

「さぁ、帝国市民よ―――今宵この時、亜人族を虐げてきたお前達に慈悲をくれてやろう。人の身で抗う事の出来ない本当の天災を披露しよう」

 

美羅は、掌から光の玉―――何の変哲もない白いそれを地面に落とした。まるで浮力を失った風船の様にゆらりゆらりと揺れながらゆっくりと落ちる様は、パニック状態に陥っていた市民達を落ち着かせるかの様な和やかだ。小さな子供が光の玉を捕まえようと手を伸ばして触れた瞬間、その子供は砂人形の如くサラサラと砕け散った。痛みの声もなく砂の様にグズグズに崩れ散った子供を見た市民達は、何が起きているのかさっぱりで唖然として光の玉の変化をただただ黙って見ている

その変化もすぐに訪れた。光の玉はそのまま地面に落ちると、みるみる大きくなって近くに居た大人を先程の子供の様に崩れ散らした。その瞬間、市民達は大パニックに陥って我先にと大きくなる光の玉から逃げる

 

「いやぁああああああああ!」

 

「なんだよこれえええええええ!」

 

「どけっ!邪魔だっ!!」

 

「痛っ!えっ、ちょっとま―――」

 

逃げ惑う市民達の一部がようやく帝国から出れると安堵しようとした瞬間、光の玉が爆発して帝国全てを呑み込んだ。光が晴れると、大地をごっそりと抉り取ったクレーターだった。たった数十秒で帝国の痕跡一つ残さずに消し去ったのは、間違いなく天災という他ないだろう

 

「いやぁ~、スッキリした♪出会ってすぐに奴隷にするって言う国は、滅んで正解!後は王国だけど、これは魔人族達がやっちゃってくれるだろうから放置でいいや♪」

 

盛大な花火を終えた美羅は雌煌達と合流した

 

「たっだいま~」

 

「あ、おかえり」

 

「お帰りなさい」

 

「んで?解放した奴等を使用人として育てるのか?」

 

美羅は雌煌の問いにNoで返す。奴隷から解放した亜人族の人数はとても多く、万人規模なので全員をとなるとどこかしらで緩みが出るので却下。美羅の予定では、亜人族の中から優秀な者を選抜して引き抜くという形だ。ある程度のカリスマがあり、リーダーシップのある者をと思っている

 

「何にしてもフェアベルゲンに帰るわよ。私は奴隷から解放した亜人族を見てないから潜在能力があるか分かんないし」

 

「ならゲートで帰ろうぜ~。四輪も良いけど、森の中でぬくぬくのんびりしながらゲームしてぇ」

 

雌煌が駄々を捏ねた事を見た美羅は、ゲームが出来る環境を与えるんじゃなかったと少しだけ思った。しかし、雌煌のこの様な駄々は珍しかったので、別荘を建てて少しリフレッシュしてから大迷宮を攻略するというのも悪くない。だが、迷宮を攻略してからリフレッシュする方が良いだろう

 

「ゲームは大迷宮を攻略するまでお預けよ。全部終わってからリフレッシュして帰還するのよ」

 

「・・・まじかぁ~。ま、しょうがねえか」

 

雌煌は溜息を吐きつつ、抵抗を諦めた。美羅の言う事はもっともであり、全部終わってから気兼ねなく楽しく遊ぶ方が何倍も良い。宿題は先に終わらせて遊ぶ―――これが一番だ。これ以上帝国の跡地を見ても意味もないのでゲートでフェアベルゲンへと転移。そして、美羅達の目の前には、亜人族全員が平伏している姿だった

 

「なぁにこれ?」

 

彼等は何故平伏しているのだろうと疑問に思っていると、亜人族の長―――アルフレリックというエルフの男性が美羅達に感謝の言葉を送る

 

「私達の仲間を、家族を御救い頂きありがとうございます。これより我がフェアベルゲン、亜人族全員が貴女方の傘下に入ります」

 

「労働力ゲットだぜ!」

 

「ペンションは私が建てるから、私達が滞在中の給仕と清潔維持を頼むだけよ。個人の時間がより制限されるなんて事はないでしょ?」

 

「分かりました。男性よりも女性が宜しいでしょうか?」

 

この言葉を聞いたハジメと雌煌は、目ざとく反応。特に、雌煌はアルフレリックの肩を掴んで自身の欲望を告げる

 

「女って事はメイド服を着させるよな?」

 

「えぇっと・・・メイド服についてはどの様な物が好みなのかを決めて頂かなければ・・・」

 

「よし、ハジメついて来い!メイド服のデザインを速攻で書き上げるぞ!!」

 

「いや、執事服も忘れちゃいけないよ」

 

「私も一緒に考えます。王国に居た使用人達の服装を覚えていますが・・・参考程度だと思って下さい」

 

メイド服のデザインを考案している三人は置いておき、美羅は素材となる巨木の前に立って両手で引き抜いた。根っこが如何に広がっていようとも美羅の前では無問題。引っこ抜いた巨木はアイテムポーチの中に入れて、もう二~三本の巨木も同じ様に引っこ抜いてアイテムポーチの中へ。後は場所の確保だが、これは丁度いい具合にスペースのある所を発見。アイテムポーチに入れた巨木をその場所に出して、血を一滴落とす。またしてもご都合主義の如く、巨木は粘土の様に形を変え、あっという間に家の形となった

広く、大きく、頑丈、そして三階建てという素晴らしいペンションが完成した。これで残る作業は装飾系―――

 

「地球で買った家具を置いて、畳も敷こう。洋スペースと和スペースと分~け~て、炬燵を置いて完成!」

 

あっという間にペンションが完成してしまった。やはり異次元収納やアイテムポーチは反則級である。こうして美羅のペンション作りは終了し、雌煌達のメイド服デザインも終了。残る主な行動は、大迷宮の攻略だけとなった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




たった一撃で帝国は滅びました。そして、亜人族の中から使用人を選別して育成
常に綺麗を維持する別荘、人が多いからこそ出来るのです
次回は大迷宮攻略します



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