今回はある意味の災害が盛りだくさん!
~美羅side~
出来立てのペンションで一泊した美羅達は、遂に大迷宮へと挑む。その手前にある障害の濃霧は、美羅が事前に場所を正確に把握していた事によって難なく解決。迷う事なく大樹の元へ到着し入り口であろう石板を調べると、何かをはめ込む為の窪みが出来ていた。ハジメが攻略の証を石板にはめ込んでいくと、青白い文字が徐々に浮かび上がってくる
「四つの証・再生の力・紡がれた絆の道標・全てを有する者に新たな試練の道は開かれるだろう―――これは迷宮へ入る為の条件の様です」
「紡がれた絆の道標って何だろう?取り敢えず全部試してみよう」
攻略の証を四つはめ込むと、石板から大樹へと光が移動して巨大な文様を浮かばせた。恐らく再生の力を大樹に使う必要があるのだろう。ノイントが大樹へと再生魔法を行使すると、大樹は緑が生い茂り幹の中心が裂ける様な形で入り口が現れた
「ビンゴだな」
「紡がれた絆の道標・・・恐らく亜人族による案内が必要だったのね」
「でも、大迷宮の入り口が出たよ?」
ハジメの疑問は、この場に亜人族は居ないのにどうして大迷宮の入り口が現れたのか―――だ。絆が必要ならば、居る事が前提となってくるのでは?と思っていた。それに疑問に対して、美羅は答えを教える
「この場所に辿り着くには濃霧を乗り越えなけらばいけないわ。亜人族以外の者には方向感覚を狂わせる効果があり、濃霧の効果を受けない亜人族が必要。この世界での亜人族の境遇は知っているでしょ?」
「偏見を持たず、交渉して信頼を得る事で亜人族の案内がされるという事ですね」
「ノイントちゃん正解~♪だけど、私はこの樹海の地形全てを把握してるから亜人族の案内は要らないから条件クリアという訳よ」
「なぁなぁ、そんな事よりもさっさと行こうぜ。早く終わらせてゲームしてぇ」
雌煌の言う通りで、何時までもここで立ち話した所で攻略が進むわけでもない。美羅達は開いた入り口を進んで行くと、奥は行き止まりだ。だが、これは大迷宮でお約束の転移からの試練の始まりという事だろう。奥まで進みきると、予想していた通り足元に魔法陣が現れたのでハジメとノイントは武器を構えて咄嗟に戦闘出来る様に待機する。魔法陣の光は徐々に強くなり、白が視界を埋め尽くした
転移が終わったのか、光の白が晴れると誰一人欠ける事はなかった。美羅は、三人を見ても違和感や異常が見られなかったので、この大迷宮の試練もハジメとノイントだけで挑ませるつもりだ
「転移の際に分散と変化の情報があったけど、どちらも失敗に終わったわね」
「そうなんだ。・・・ところで、どういった感じに変化する可能性があったの?」
「魔物に変化する効果よ。仲間に擬態して攪乱したり翻弄したりと様々、ステータスは変化した魔物と同じになるらしいわ」
「死にゲーじゃねえか」
これを聞いたハジメとノイントは、一安心した。大迷宮の罠による変化は、美羅の加護によって弾かれ、分散は運が良かっただけだ。周囲は木々が生い茂っており、森の中を探索する感じだ
ハジメは美羅と雌煌がマンガ肉を食べようとしている事から、この大迷宮の試練もノイントの二人で乗り越えろと言われていると理解した。強力なアーティファクトは保険として、基本的にはボウガンで対処をする予定だ
「さて、周囲に気を付けながら行こう」
「そうですね。どの様な罠が設置されているか不明ですので気を付けましょう」
ハジメとノイントは眼鏡を装備する。これは、フェアスコープという罠を見抜くアイテムをより強力にしたアーティファクトだ。仕掛けられた魔法陣を発見したり、熱源を探知したりと様々な効果が付与されており、中々開発する事が出来なかった代物だ。名前は特に決めていない
枝分かれする事のない道を進みながら、襲い来る虫型の魔物を散弾で撃ち落とし、撃ち漏らした魔物はノイントの大剣で切り伏せたりとあまり芸のない魔物ばかりだ。偶に甲殻が硬くて散弾が効かない魔物もいるが、それ等は貫通弾に切り替える事で甲殻を貫く事が出来たのでこれも問題はなかった。そう・・・問題はなかった―――過去形である
「シネ、マモノモコノモリモスベテブチコワス」
「美羅姉さんストップ!?これ以上はダメ!ゼッタイ!!僕も怒ってるけど、ノイントも大丈夫って言ってるから!?」
「お、落ち着きましょう!私は大丈夫ですから流石にこれ以上の攻撃は試練に影響があります!」
「ファーwwカオスだなこりゃww!」
さて、美羅がキレている理由とは、目の前で肉ミンチとなった猿の魔物が原因だった。この魔物、大迷宮を攻略するメンバーに偽装する技能を持っているのだ。だが、生物的に規格外、チート、理不尽の三拍子が揃っている美羅と、破壊神?の雌煌の二人に偽装する事は出来なかった。後は消去法でハジメとノイントの二人だけとなり、精神ダメージを与えるならばノイントが一番だろうと判断。だが、猿の魔物は姿形を変えていない美羅達の姿を見て、どうすれば隙を生み出して攻撃出来るかを模索し、最低最悪の方法をしてしまった。・・・ノイント×魔物という構図を見せたのだ。それを見たハジメは激怒しドンナーで殲滅しようとした瞬間、美羅がそれらを殴って肉ミンチに変えて今の現状に至るという訳だ
「滅べ―――魔物死すべし!」
美羅が手を振るうと、指先から雷が放出され扇状に広がって奥まで行き渡る。聞こえる魔物の絶命の声や恐怖して逃げようとする足音等が遠くに聞こえるが、数秒すればその全ては聞こえなくなった。ハジメとノイントは、自分達の試練は?と思う所もあるが美羅を落ち着かせる為にご機嫌取りをするしかない
「ノイントちゃんの裸を見ていいのは私達身内だけよ!姿形が同じで最悪なもの見せるなんて消し去る一択でしょ!」
「いや・・・まぁ、美羅姉さんの言う事は分かるよ。せめて僕の手で殺りたかったよ」
「ハジメ、こうなった美羅は誰にも止められねぇ。・・・諦めてあいつの気が済むまで自由にさせろ。じゃないと―――トラウマを植え付けられるぞ」
「・・・雌煌姉は一体何したのさ」
「ふっ、それは聞かないのがお約束だろ?」
ハジメは雌煌を見ると、本人は遠い目をして体を震わせていた事からトラウマの一部を思い出しているのだろうと推測して深く聞く事を止めた。だが、美羅程ではないにしろ、強い雌煌がトラウマとなる位なお仕置きはどんな物なのか気になってしまう
そんな事はさておき、美羅の雷で魔物達は消し炭となったのでこれといった試練がない状況にハジメはちょっとだけ焦る。もし、魔物を多く倒さなければいけない系の試練だったら無意味に終わってしまう可能性があるからだ
「試練が魔物を倒すだけじゃない事を祈ろう。そうでないと美羅姉さんの八つ当たりが・・・ね」
「あの美羅御姉様を止める事は私達では不可能ですね」
美羅はまだ苛立っており、舌打ちする回数が多くてハジメ達は気が気でない。迷宮を進んで行くが、目に映るのは炭ばかりだ。しばらく進むと、開けた場所にそこそこの大きさの幹が鎮座して魔法陣が浮かび上がっている。恐らく、この開けた場所に門番らしき魔物が居たのだろうと察する。だが、美羅が消し飛ばしたせいで門番という試練もなく魔法陣の上に立つ。最初の転移と同様に光が広がり四人を包んだ
~ハジメside~
ジリリリリリ!
部屋に鳴り響くアラームが主を叩き起こす。少しでもその音を小さくしようと布団の中に潜り込むが、眠りの妨げとなる元凶を手探りで探してアラームを止めるボタンを叩き押す
「・・・ねむい」
ハジメは、二度寝をしようと再び布団の中に潜り込もうとしたが母の菫の声がそれを止める
「ハジメ、二度寝をせずに早く降りてきなさい!ノイントちゃんはもう起きて朝食の手伝いをしてくれているのよ!」
「はぁ~い、起きるよ」
未だにはっきりとしない意識だが、布団から出る事で温かい体が少し冷えて意識が徐々に目覚める。軽くストレッチをして体を解して私服へと着替えて一階に降りると、水色のエプロンを着けたノイントが菫と一緒に朝食を作っていた
「ハジメ、ノイントちゃんは大切にしろよ?将来は良妻賢母になる可能性が大きい彼女は王道ヒロインだぞ!」
「ノイントが良妻賢母になる事は決定しているし、大切にするのは当たり前だよ。それより父さん、ノイントに何か無茶振りとかしていないよね?」
「シ、シテナイゾー」
ハジメがジト目で父の愁を睨み、当人はスッと視線を逸らす。ハジメが威圧の攻撃をしていると、朝食の準備も出来て菫が二人に席に着くように促されて二人はおとなしく席に着いた
「ハジメ、今日はノイントちゃんとデートなのにそんな地味な服で行くつもりなの?」
「いや、地味って・・・似合ってると思うんだけど」
「黒一色が似合ってるなんてどこの中二病よ。ノイントちゃん、お金を渡すからハジメに似合う服を買ってあげて。私服センスはまるでダメな男だからハジメはマダオね」
「実の息子に対して辛辣過ぎない?」
「もう少しでもお洒落に気を使っていたなら何も言わなかったわよ」
「任せて下さい。ハジメに似合う服を何着か買います」
「本当にいいお嫁さんになるわ~」
平和な日常の一コマ―――朝食を食べ終えたハジメは、ノイントと一緒にショッピングへと出かけた。服を買い、アクセサリーを見たり、昼食を食べたり、ゲームセンターに寄って景品を取ったり有意義な時間はあっという間に過ぎた
日が徐々に夕日に変わる時、二人は小高い公園のベンチに腰掛ける。ハジメはノイントが景品の大きいぬいぐるみを抱きながら夕日を見ている隣で、今日の出来事を振り返っていた
ああ~、楽しかった。これがリア充と呼ばれる人達の一日だと思うともの凄く充実しているな。あのぬいぐるみを取るのに悪戦苦闘していたノイントは可愛かった。時々見たしょんぼりした表情もまたギャップがあって良い。本当にノイントと出会ってよかった
そこでハジメはふと疑問に思った。ノイントと出会ったのはどういった経緯だったのかが覚えておらず、まるで霧が晴れる様に過去を思い出していく。ノイントと出会ったのは引っ越しをしてきたから―――違う。神殿みたいな神聖な場所で出会った筈だ。その隣には・・・
隣に居たなぁ、生きるチート、理不尽、究極の黄金比。最強の姉さんが居たなぁ。はぁ、これは妄想か理想の夢の世界を具現化した何かか。ある意味新鮮な光景だったから名残惜しいけど、皆が待ってるから抜けるか
ハジメは、腰を上げてノイントの前に立って頭を撫でる。ノイントがハジメの表情を見ると、優しい表情をしていたが何かを決めた目をしていた
「・・・この世界はハジメの理想の世界ですよ?」
「うん、そうだね。でも、ごめん。僕は、僕だけの理想の世界は御免だよ。ノイントの意識を読み込んで再現をしているのだろうけど、そのノイントは僕が都合の良いように動いているだけの人形に他ならない。ノイントは考えて生きている。それに、一緒に支えあって生きていくと決めたんだ。大なり小なりの問題も出てくるだろうけど、それも乗り越えてこそ日常が訪れるのさ」
ハジメの意思が言葉と共に固定された瞬間、周囲の風景はガラスが割れた様に砕け散る。そして、ノイントの表情は何処か安心した様子だ
「・・・合格だよ。甘く優しいだけのものに価値はない。与えられるだけじゃ意味がない。たとえ辛くとも苦しくとも、現実で積み重ね紡いだものこそが君を幸せにするんだ。忘れないでね」
「ご忠告どうもです」
徐々に光りが強くなり、またしても視界一杯に白が埋め尽くされた
~美羅side~
ハジメとノイントが試練を受けている中、美羅と雌煌は迷宮の干渉を受けなかったのでこんがりと焼けたマンガ肉を食べている。緊張感の欠片もないが、二人なら必ず試練をクリアすると確信を持っているからである
「最初にクリアするのはノイントちゃんかなぁ~」
「ハジメじゃねぇの?」
雌煌は、今までの大迷宮の試練の事を思うと危なげなく突破していたハジメが先にクリアすると思っていた。だが、美羅はノイントの方が早いと言い切った。美羅の視点では、ノイントはどんどんと成長してハジメの仕草で何を思っているのかをある程度把握する事が出来ている
美羅と雌煌がどちらが先か賭けていると、二人が包まれている琥珀の一つがボロボロと崩れ落ちてノイントが姿を現した。これで賭けは美羅が勝利した事で、雌煌が食べているマンガ肉は美羅に強奪された
「っ、ここは?」
「ノイントちゃんおはよ~、その様子だと試練は大丈夫だったみたいね。自分の理想の世界を体感した感想は如何?」
「こうあれば幸せだと思っていました。ですが、そこには私だけの想いしか受け入れられていませんでした。私はハジメと約束したのです。互いに支え問題を乗り越えて幸せを掴むと」
とても理想的の夫婦像である。美羅はノイントの感想を聞いた後ハジメを包む琥珀に近付き手を置き、空いた手から映像を投影する。そこにはハジメとノイントが一緒にデートをしている映像が写されており、丁度夕暮れのタイミングだった。尚、音声も流れているのはお約束である
「これがハジメの理想の世界なのですね」
「夕暮れの公園デートね、定番中の定番ね。でも、ハジメも丁度気付いた様子ね」
雌煌も近付いてその映像を見聞きする
『・・・この世界はハジメの理想の世界ですよ?』
『うん、そうだね。でも、ごめん。僕は、僕だけの理想の世界は御免だよ。ノイントの意識を読み込んで再現をしているのだろうけど、そのノイントは僕が都合の良いように動いているだけの人形に他ならない。ノイントは考えて生きている。それに、一緒に支えあって生きていくと決めたんだ。大なり小なりの問題も出てくるだろうけど、それも乗り越えてこそ日常が訪れるのさ』
ハジメの答えもノイントと一緒だ。二人の約束と想いがあってこその試練の突破は、第三者から見れば微笑ましくもあり否定する事も出来ない完璧なものだ
ノイントはハジメの答えが自身と同じ事が嬉しく、体が自然に小さくガッツポーズをして微笑んでいる姿は綺麗というよりも可愛いである。ハジメも試練をクリアした事で、先程と同じ様に琥珀がボロボロと崩れ落ちてハジメの姿が現れる。ノイントは眠るハジメをそっと持ち上げて、目覚めるまで膝枕をする。数分するとハジメも目を覚まし、ビックリして飛び起きようとしてノイントの胸に顔を埋めたりとちょっとしたハプニングがあった
「ハジメはノイントちゃんを襲いたいの?流石に迷宮の中だと・・・」
「やらないよっ!」
「冗談はここまでにして、先に進むわよ~」
再び魔法陣で転移した美羅達。次なる試練は不明だが、ある程度の広さと高さがある通路となっており行先がはっきりと決められていた。通路を進むが、虫の鳴き声すらしない不気味さが警戒を高くする
「森の中なのに虫の音すら聞こえないのは何かしらの罠がある筈だよね」
「いきなり変化がある試練かもしれません。目に見えない何かの襲撃も想定しましょう」
咄嗟に反応する為、ノイントは障壁の魔法を待機させてハジメはドンナー・シュラークで迎撃準備を整え再度進行。すると、ハジメの鼻先に水が降ってきた。ポツポツとした小雨程度だが、この天然の雨避け樹海で降ってくるのはありえないと判断する
「ノイント、障壁!」
「聖絶!」
美羅達の頭上にドーム状の障壁が展開されたと同時に、まるでスコールの様な土砂降りとなった。何かしらの状態異常を与える雨だと想定して神水を一滴だけ口に含もうとした時、足元からドロドロとした白い物体が滲み出てきた
眼鏡に付与された探知技能でドロドロとした白の物体を確認すると、敵性存在の赤色に染まっていた。だが、核となる魔石が存在していない事から特殊なスライム系の魔物であると判断。このスライムだが、足元だけでなく壁からも滲み出ていた
「もしかしてスライムによる窒息死を狙ってる?」
「それは非常に危険です。足元がぬかるんで移動速度が低下していますので、早急に走り抜ける事が得策ですね」
「美羅姉さん、雌煌姉走るよ!」
ハジメは合図を送ったと同時に走り、一応滑りこけない様に注意しながらスライム地帯を抜けた。大丈夫だとは思いつつハジメは振り返ると、雌煌が全身をドロドロに濡らして美羅が爆笑している姿だった
「ブフッw、意気揚々と走った瞬間に滑るなんてどこのお笑い芸人よw」
「うっせぇっ!こいつのせいで異様に滑ったのがいけねえんだよ!」
雌煌が手に持っていたのは、一枚の葉っぱだった。ドロドロに濡れていたので、地面に落ちていたのだろう。そして、走っている時にその葉を踏んでしまい滑ったという事だ。しかも、絵面はR-18の定番中の定番の状態だ
「クソッタレェ、こういうのは運の悪い美羅が引っ掛かるのが定番だろ。何で俺なんだよ」
「私は採取してたから運なんて関係ないわよ」
ハジメは、一体何を採取したのかと視線をずらすと、美羅の手に瓶詰めされた白いドロドロ・・・スライムが閉じ込められていた。あれで一体何をするのかと疑問に思う中、美羅は次々にスライムを採取している事を見るに、何かしらの素材か何かにするのだろう
「ハジメ、美羅御姉様はあのスライムで何を作るのでしょうか?」
「うん、僕も分からない。だけど、何故か嫌な予感がする」
ハジメは、僅かながらとはいえ培った経験則から悪寒がしたので、矛先が自身に向く可能性が大である事に頬を引き攣らせて抵抗する事を諦める。だが、やられて嫌だ!と完全に拒否反応を起こす事は今まで何もなかったのでそこまで酷い事にはならないだろう
「なるほどなるほど・・・毒素でもそっち系なのね。ふむ、これを量産して売るのも一儲け出来るわね」
「え、マジで?こんなスライムが需要あるのか?食えねぇだろ?」
「これ、媚薬のスライム。ちょっと弄って精力増強させたら面白くなると思わない?」
「・・・実験台は必要だよなぁ?」
美羅と雌煌の眼がハジメにロックオン。絶対に逃げられないと悟ったハジメは、細やかな抵抗はする
「スライムの媚薬で発情してどうするっていうのさ!?飲みたくないよ!!」
「いや、このスライムを媚薬ローションにして売れば勃起不全もたちまち回復していけるかなぁ~・・・と」
「それどんなエ〇ゲー!?」
「まぁまぁ、騙されたと思って一回体験しなさい。もしかしたら、今以上にノイントちゃんを満足させる事が出来るかもしれないでしょ?それに、発情したノイントちゃんを見たくないの?」
「・・・まぁ、臨床試験は必要だね」
ハジメは、つい妄想して欲望に敗けた。この大迷宮をクリアした際のご褒美?として無料で手に入るので、貰わないという選択肢は無い
計画通り!ハジメはノイントちゃんとの行為を妄想して欲に敗けたわね。さぁ~てどんな効果を付与するかは、この大迷宮をクリアしてからね。良い物を生産する大迷宮―――定期的に行き来する事で供給可能・・・いける!
美羅の金儲けの話は終わり、美羅達は次なる試練へと向かう。再び魔法陣の上に乗って転移すると、またしても一本道に出たが、進んだ先には螺旋状に上る道と底の見えない回廊となっていた
「これって進んだ先に試練があるって事だよね。今までの試練から分かっていたけど、ここの迷宮を造った解放者は碌な性格じゃないよ。どれもこれも嫌らしい内容だったからね」
「精神ストレスを与える試練ばかりです。迷宮に挑む前の石板に書かれた絆・・・強制的に絆を乱す何かでしょう」
「私の加護がある限りそういう関連は弾かれるから問題ないわよ。それにしても・・・ここは最悪の試練ね」
美羅がどこか諦めた様な表情をしており、それに気付いたハジメは試練の内容が禄でもない事を確信した。だが、理不尽の権化である美羅が諦めた様な表情をしている事が気になっていた。並大抵の事はどうとも思わない美羅が、あれほどまでの表情を浮かべる事自体が珍しいのである
「美羅姉さんどうかした?」
「大丈夫ですか?」
「ヒェッ!?」
ハジメとノイントが美羅を心配して近くでその様子を伺おうとした瞬間、雌煌の小さな悲鳴が聞こえた。美羅だけでなく雌煌までもとなると、ここの試練は今までの中で最大級の難関である事が容易に想像がついた
「雌煌姉が悲鳴を上げた!?」
どんな難関であろうとも笑いながら正面からぶっ壊して進む雌煌のありえない反応を見て、ハジメは頬を引き攣らせた
「・・・下見てみろよ。誰だって嫌な気分になるぞ・・・」
ハジメは雌煌が言った通り下を覗くが、黒以外何も見えなかった。そこで、映像を投影する事が出来るビットを下へ飛ばす。いや、飛ばしてしまったと言った方が良いだろう。ハジメとノイントは、投影される映像の黒い正体を見て雌煌と同じ様に小さな悲鳴を漏らした
黒い正体はゴキブリだった。画面一杯に蠢く大量のゴキブリを見て、思わず吐きそうになるがそれを耐えて冷静さを取り戻したと同時に静かにさっさと移動しなければいけないと本能が叫んだ
「絶対に近付きたくないし見たくない。解放者達が居た時代の女性ってこんな人たちばかりなの?」
「いえ・・・解放者の女性がこの様な者ばかりだったのではないでしょうか」
何はともあれ、今は上に続く道を進む以外の選択肢はない。静かに急いで移動していると、下から嫌悪感たっぷりの移動音が聞こえた。それを聞いた瞬間、速足から全速力ダッシュに切り替えてあっという間に登頂した。だが、その場に転移魔法陣が無かった。そして、試練の内容はゴキブリを倒す事だと理解した
「雌煌、ハジメ、ノイントちゃん、私は気配を遮断して結界を張って観戦だけに努めるから殲滅は任せたわよ」
「「美羅姉さん(御姉様)っ!?」」
「ちょ!?俺も結界の中に入れろ!一人だけズルいだろおおおおああああ!?」
「ヒエッ!?く、来るなああああ!?」
「ヒッ!?分解分解ブンカイブンカイィイイイイイ!?」
遂にゴキブリが姿を現した。しかし、下からだけかと思われた襲撃は全方位からだった。巨大な樹木の陰から、生い茂った葉っぱから降ってきたりと様々だ。尚、美羅の張る結界にゴキブリは張り付かず、そこを避けて三人に襲い掛かっている
雌煌は頭上から降ってきたゴキブリの滝に呑まれ、ハジメとノイントは背中合わせで迎撃している。大量の弾幕で数多くのゴキブリを殲滅していると、ゴキブリの動きが変わって一ヶ所に集まり巨大なゴキブリへと変貌した。絵面は気持ち悪いの一言だけだが、全てのゴキブリが集まって合体した=この一匹だけなのだ
「気持ち悪い巨大怪獣みたいだけど、たった一匹だけになってくれたのはありがたい」
「そうですね。全方位の警戒をせずに済むだけで余裕が生まれます」
だが、ハジメが言った様にゴキブリはもの凄く巨大なのだ。オルクスでのヒュドラよりも少しだけ大きいと言えばとても分かり易いだろう。ハジメとノイントが武器を構えていざ戦闘を開始しようとしたのだが、ゴキブリの片足が吹き飛んだ
「よう、ゴキブリ。さっきはよくも降りかけてくれやがったな」
「「あっ」」
ハジメとノイントは、ゴキブリの滝に呑み込まれた雌煌を思い武器を下げて美羅の傍に駆け寄る。雌煌の攻撃の余波を受けない為に一番安全な美羅の後ろで見守る事にしたのだ
「ババコンガのウ〇コの次に直撃したくねぇもんが当たった恨みは倍返しだ!!」
ノイントだけババコンガ?ウ〇コ?とどういう事かあまりよく理解していなかったが、ゲームでそれを知っていたハジメは「あぁ・・・そりゃあ嫌だよね」と呟く
「まずは一発食らっとけやあああああああ!!」
雌煌はビームサーベル片手にゴキブリに突撃。ゴキブリは空に逃げようとしたが、ビームサーベルの一閃が片方の羽の付け根から切断。その一振りを切り返して足の一本も切り落とす
「ウッゲエエエエエ!クッセェエエエエエ!?」
羽を切り落としたのは大丈夫だったが、足の一本を切り落とした・・・いや、焼き切ったのが失策だ。ゴキブリは燃えるのだが、燃える際の悪臭がとてつもなかったのだ。結果、巨大ゴキブリの周囲に悪臭が漂うという結果となったのだ。雌煌の運が悪いとだけ言っておこう
「うっ、くっさ!?」
「・・・臭いです」
「こらっ!ゴキブリを焼き切るなんて何してんのよ!悪臭が漂うじゃない!!」
「オエッ、ババコンガのウ〇コ並じゃねえかよ!?ブッザケンナオラアッ!」
雌煌はビームサーベルで切るのを止めて、巨大ゴキブリを殴ってしまった
巨大ゴキブリが如何に大きかろうと雌煌の力の前には敗北する。だが、ゴキブリは油分たっぷりの身体なので
「おぎゃああああ!?ゴキブリの体液あがががガガガガ!?」
粉砕、玉砕、大絶叫!
巨大ゴキブリの身体は粉々に弾け散り、体液が全方位に飛び散ったのだ。雌煌は、超至近距離で避けきれず直撃。ハジメとノイントは美羅の後ろに退避して結界の盾で浴びる事はなかった。被害甚大?・・・いや、間違いなく甚大だろう。誰であれ、巨大ゴキブリの体液を浴びたくはない
「・・・・・」
雌煌は沈黙しつつ、美羅達の方を見てにじり寄って来た。これに嫌な予感を感じたハジメとノイントは、武器を手にして何時でも逃亡出来る体勢に入った
「俺だけはズルいだろ?だから―――――旅は道づれじゃああああ!!」
「ぎゃあああああ!?雌煌姉、も、もちつけえええええ!?」
「せめて体を清潔にしてからあああああ!?」
しかし、二人の逃走は悲しくも叶わなかった。雌煌にタックルされて全身ゴキブリの体液まみれになりぐったりと倒れ伏したのだった。そして、バイ〇ハザードの如く復活して唯一無傷の美羅ににじり寄る
「おい美羅ァ、一人だけ仲間外れは辛いだろ?一緒に気持ち良く仲間になろうぜぇ?」
「美羅姉さんも一緒に体液まみれになろうよ。きっと気持ち良いよ?」
「この感触は共有されるべきです。さぁ、一緒に体液まみれになりましょう?」
「・・・消毒」
美羅は、アイテムポーチの中に入れていた消臭〇の液体が入ったバケツを三人の上に転移させて降りかける。超強力殺菌の黒いスプレーボトルに入っている物とはいえ、ゴキブリの体液の上から浴びせてもあまり効果はないだろう。更に追加で人肌のお湯を滝の様に三人の上から落として体液だけでも落とした
扱いが雑だが、汚い三人に近付きたくないという意思の表れが凄まじい。その後、ドラム缶風呂を置いて石鹸やらボディーソープやらシャンプーやら、身を綺麗にする為の物を惜しみなく使って綺麗にしていく。三人共、隅々まで必死になって洗った
「・・・雌煌姉、恨むよ?」
「こればかりは赦される事ではありません」
「ちょっとした悪戯だろ!だから、その手に持っている虹色ハリセンを下ろせ!」
「「問答無用!」」
パパァンッ!
「オッギャアアアア!ケツが割れるぅううううう!?」
ハジメとノイントは美羅から手渡された虹色ハリセンを手に持ち、美羅によって拘束されている雌煌の尻を思いっきり叩いてお仕置きした。話は戻り、ゴキブリと戦うという一種の拷問をクリアした美羅達は、試練をクリアした後に上へと続く道が出来た先を進む。そして、今までと同じ様に転移の魔法陣が光り美羅達を転移させた
そこそこの広さがある広場と、白亜の建物があった。ようやく大迷宮のゴールに到着した
「はぁっ、ようやくゴールだ」
「空に近い為に空気が澄んでいますね。静かに暮らすには丁度いい環境でしょう」
美羅達は、解放者が住んでいたであろう白亜の建物に入り魔法陣の上に立った
「ぐっ、ガアアアアアアアアア!?」
「づ、ぁぁぁぁああああああ!」
「お、おいどうした!?」
「心配しなくてもいいわよ。複数の神代魔法を刻み込まれた事によって概念魔法の情報も盛り込またの」
「概念魔法って何だ?」
雌煌は、神代魔法は普通の魔法よりも高性能なものだと理解していたが概念魔法については全く知らなかった
「概念魔法とは、下地となる神代魔法を複合させる事で人の枠組みを超越した現象を引き起こせる魔法―――と言えばわかりやすい?」
「・・・超激レア魔法って事か?」
「・・・・・まぁ、そんな感じよ」
雌煌に理論的な事は理解出来ないが、概念魔法はとにかく激レアな魔法とだけ認識した。ハジメとノイントは気絶し、美羅と雌煌が俵の様に担いで攻略の証を持って帰った。尚、攻略の証を手に入れる際にこの迷宮を造った解放者の言伝があったが、無視して美羅の雷球で白亜の拠点諸共爆散したのは・・・仕方がないだろう。ゴキブリはやり過ぎたというだけだ
さぁて、次は日常パート?滅亡?
・・・・・その場の勢いとノリで変わるので分かりません(´-ω-`)
ざまぁはまだ終わっていないけど、盛大なざまぁではないので・・・う~ん、めっちゃ期待する程ではないと思います?