召喚の手違いは世界最強   作:ぬくぬく布団

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ふぅ、忙しい忙しい。大変お待たせしました
息抜きで久しぶりにゲームしたらのめり込んでしまった。申し訳ない

















前回はざまぁ回を入れると言っていたな―――あれは嘘だ











それでは、どうぞ!










さらばエヒト!厄ネタ襲来とさようなら!!

~ハジメside~

 

神代魔法を手に入れたハジメとノイントは、意識を失いしばらくの間暗闇を漂っていた。だが、少しずつ意識が戻ると未だに頭痛があり一気に目が覚めた

 

「知らない天井だ。・・・っ!?ここは何処なんだ?」

 

神代魔法を手に入れた白亜の建物の中ではない。ウッドハウスの造りと、隣のベッドに横になっているノイントを見たハジメは、この場所は迷宮の外―――美羅達が意識を失った自分達を運んだという事を理解した

未だに頭痛がするが、ベッドに腰掛けて手に入れた神代魔法と新発見の概念魔法について冷静に整理する。情報が膨大で脳に負荷が掛かった為に気絶したのは分かっていたので、しっかりと整理して理解する事が大切だ

 

「昇華魔法、概念魔法―――か、凄いな。特に概念魔法は突き抜けてヤバイ魔法だ。でも、これなら地球に帰る事が出来る。曖昧な概念魔法じゃ駄目だから・・・道具から揃えよう。一つのアーティファクトで地球を繋ぐ事は難しい筈だ。ジ〇リの動く城のドアが良いかな?鍵による場所の変更と転移場所の地点決め・・・良いね、やっぱりアニメ知識は偉大だね!」

 

これからの指針は決まったも同然。取り敢えず、ハジメは近くにあった椅子をベッドの隣に置いて未だに眠っているノイントの介抱する。自身よりも汗をかいて発熱している事から、魔法適性の数の有無によって情報も多くなっているのだろう。丁度良く置かれていた濡れタオルをノイントの額に乗せる。それと同時に部屋の扉が開き、美羅が果実が入った籠を持って来た

 

「出前一丁~!青春しているハジメに看病セットをプレゼント!乾いたタオルも入れてあるから、ノイントちゃんの汗を拭いてあげなさい。情報量がハジメよりも多く、短く見積もって今日の夜頃には目を覚ますわよ」

 

「そんなに違うの?」

 

「二人の情報量の割合は1:5よ?そりゃあ、出来る事が多いノイントちゃんの方に負荷が掛かるのよ」

 

ハジメは、美羅の加護と少量ずつの血の接種により身体能力が飛躍的に向上しているが、それはあくまでも一般人からの成長である。情報量も一般人から人の枠組をギリギリ超える程度だが、最初から高スペックのノイントは余裕で超えたのだ。魔法も全てに適性があり、その分出来る範囲が超広範囲に拡張されたとなれば気絶後の発熱は当然ともいえる

 

「そっか・・・僕よりも大変なのは当然か」

 

ハジメはノイントの手を軽く握り早く目覚める事を祈りながら看病をしていると、美羅はいつの間にか退室して二人っきりの空間となった。美羅から手渡された籠に入ったタオルでノイントの汗ばむ体を拭き、動きやすいパジャマに着替える

部屋は静かだが、外からかすかな生活音と動植物の自然音を聞きながら果実を一口大に切って少しずつ食べる。ハジメの本音はノイントと一緒に食べたかったのだが今回ばかりは仕方がない。しかし、ノイントの熱は一向に下がらず、発汗量が増えている事に気付いたハジメは美羅に相談する事にした

 

「美羅姉さん、ちょっと心配事が」

 

「ノイントちゃんの熱が一向に下がらない事?」

 

「それもそうだけど、発汗量が多くなってきているからどうしたらいいのか分からなくて」

 

「なるほど。なら、汗を拭くのは止めて常温より少し冷たい濡れタオルで体温を少しだけ下げた方が良いわね」

 

「美羅姉さんありがとう!」

 

ハジメは美羅のアドバイス通りに濡れタオルを首回り、脇下、太もも辺りに置いて薄い毛布を掛けて傍で見守るだけだ

看病をすることおおよそ二日、ハジメが寝落ちしていた時にノイントは目を覚ました。美羅もノイントが目を覚ました事を察知して体調を調べる為に部屋に入り、寝ているハジメの額に痛い程度のデコピンをお見舞いして叩き起こした

 

「痛った!?敵襲!?」

 

「お眠なのは分かったけど、ノイントちゃんが目を覚ましたから起こしたわよ」

 

「えっ!?ノイントが起きたの!?大丈夫?熱はどう?」

 

ハジメはノイントの額に手を当てて熱が引いている事を確認、無事に引いている事に安堵して抱きしめあっている。第三者から見ても十分に青春している絵だ。美羅は手を叩いて二人だけの空気を一旦破る

 

「イチャイチャも一旦ストップ、ある程度体力が回復したら概念魔法について軽く説明するから降りてきなさい」

 

「「はい」」

 

ハジメはともかくノイントはつい先ほど目を覚ましたばかりなので、体を拭きながら体力を徐々に回復させていつもの戦闘服に着替える。もっとお洒落な服をと思うだろうが、残念ながら美羅の手持ちには合うサイズがなかったのだ。それにアンカジで贈られた服は露出面積が多いので選択肢に入っていない

着替え終えたノイントはハジメと一緒に一階に降りるとメイド服を着た亜人族達が給仕しており、リビングでは雌煌と混ざって乱闘ゲームをしている者もいた。初心者相手にイキっている雌煌を見たハジメは、溜息を吐きつつベランダで紅茶を飲みつつ読書している美羅の方を見ると、隣にはアルヴも座って書類整理をしていた。そして、ハジメが気になったのはアルヴの傍に立っているノイントと似た女性

 

「ノイントの姉妹?」

 

「私の一つ上のアハト姉様です。アルヴの担当はエーアスト姉様の筈ですが・・・」

 

「ノイント、どうかしましたか?」

 

「いえ、アハト姉様は何故こちらにいらっしゃるのか疑問に思って」

 

「なるほど、エーアスト姉様は主の元に居ます。捕虜となっている勇者達の現状報告と王国に残っている使徒達の立ち位置をすり合わせをしています」

 

「すり合わせ?」

 

「貴方以外の使徒をこれからどうするかを決めるのです」

 

これを聞いたハジメは美羅にどうするつもりなのかを尋ねるが、美羅は首を横に振ってこの事は全てそちら側で決めろという意思表示をする。そもそも、美羅達は不干渉を決めているので手を出す事はない。そして、このフェアベルゲンは美羅のバカンス地となったので、手を出す=美羅と敵対するという事だ。亜人族に手を出す事も絶対にあってはならないので、エヒトは超特急で王国がフェアベルゲンに攻め入る事を止めさせなければならないのだ

 

「王国がこのフェアベルゲンの亜人族達を奴隷兵として戦力の補充を行う馬鹿げた行為を取り止めさせる為に動いていると言った方が分かりやすいでしょう」

 

「となれば、残ったクラスメイト達を戦力にする為強制で徴兵という流れですか?」

 

「恐らくそうなるでしょう。同じ転移者として同情されますか?」

 

「同情しても、助けたいとは思いませんよ。虐められていたから無関係を貫くなんて事はしないけど、僕の現状を鑑みて助けない方がいいだろうと思っただけです。もし助ける選択をすれば姉さん達が離れるのは確実だし、地球に帰れる可能性が殆どゼロになるからですよ」

 

ハジメは無慈悲で冷酷な人間ではない。ただ、自分の望みを叶える為の選択を間違える事は許されないだけだ。もし、クラスメイト達と行動すればお先真っ暗な戦争に参加しなければならない。そして、今の現状でクラスメイト達を助ける事は美羅達と別れる事を意味する。例え肝っ玉の小さい姑息な男と罵られようとも、地球に帰る事が出来る可能性が一%でもある選択をするだけだ

 

「それに、今はノイントが居るから絶対に無謀な選択をしたくありません」

 

アハトが視線を下に降ろすと、ハジメはノイントの手を握っていた。本来はエヒトの道具として動くだけの自分達だが、喜怒哀楽等の感情が生まれるとここまで変わるのかと少しだけ興味が出る。しかし、一時の感情で意思が左右するのであればそれは不要だと切り捨てる

 

「分かりました。道具である私達が言ったとしても詮無き事ですが、ノイントの事をよろしくお願いしますね」

 

「アハト姉様、ありがとうございます」

 

自身は道具だと言っているが、何だかんだで面倒見がいい姉・・・いや、沢山の妹が居るからこその言葉なのだろう

 

「話し合いは終わった?」

 

「終わりました」

 

「よし!それでは概念魔法について話し合うわよ~」

 

美羅は読書を止め、都合よく置かれた黒板の前に立って眼鏡を装備―――出来る教師風となった。生徒はこの場に居る四人。アルヴとアハトの二人は聞いたとしても概念魔法を扱う事すら出来ないが、知識を得る事だけは出来る

ハジメとノイントは、全ての神代魔法を手に入れた事によって概念魔法がどの様な魔法であるか理解している。しかし、完璧に理解しているという訳ではないので美羅の授業を参考に構築する予定だ

 

「概念魔法、その名の通り概念に干渉する魔法よ。概念とは何か?ぶっちゃけて言うと、大体の事が出来ます。しかし、出来ない事もあるので注意ね」

 

「僕達の知識では、究極の意思の元にその概念の魔法を創るという位だけど・・・合ってる?」

 

「究極の意思は必要よ?でも、概念魔法と言えども人が扱う魔法。自然に干渉する事は出来ても、過程を省略する事は絶対に出来ないわ。そもそも、トータスの魔法って過程を省略しているから威力も低いのよ」

 

「・・・今何と?」

 

これにはアルヴもビックリ仰天!手に持っていた物が落ち、頬が引き攣っている。残りの三人も、「どういう事?」と疑問に思っている為、美羅はハジメが分かりやすい様に説明する。いや、この四人ではハジメだけしか知らないという理由もある

 

「ハジメはトータスの魔法に疑問に思った事はなかった?」

 

「???魔力を消費して魔法を行使する事に何か間違いがあるの?」

 

「科学」

 

「・・・・・え?科学の過程をすっ飛ばした魔法なの?」

 

ハジメはようやく気が付いた。異世界転生で魔法ウハウハ出来たとしても、その根底を見逃していた。魔法は魔力を燃料、魔法陣が道具、呪文が核として成り立っている。魔物は魔力操作という技能があるので呪文を破棄して魔法を行使する事が出来るのだ

例えば、火の魔法の火球―――熱量を持ち、当たれば火傷したりするのは当然である。トータスに生きているなら幼い子供でも理解している事だ。だが、威力はどうなのかという疑問には魔力を込める量を増やすだけという脳筋プレイだ。美羅は指を立てて魔力だけで小さな火球を作る。豆粒サイズだが、ハジメの近くに持っていく事で熱量もしっかりと感じ取らせた

 

「さて、熱量はちゃんと理解した?これを空き瓶に入れて蓋をします」

 

美羅の指先から小さな火球が離れて空き瓶の中に入ったら、瓶口に蓋をする。科学を知っているハジメからしたら、中に入っている火球は数秒もしないうちに消えると思っていた。しかし、結果は火球は燃え続けていた

 

「火が消えない?」

 

「ハジメ、魔法の火は消えませんよ?」

 

「薪を燃やしたのなら何れは消えますが、魔法の火球の維持は術者が消さない限りは残り続けます」

 

ノイントとアハトは、この現象は当たり前だと述べる。隣に座っているアルヴの方を見ても、特に驚いた表情もしていなかったので、これが普通だという事は理解した。そして、美羅の言う科学が魔法を強化するという事が分かった

 

「美羅姉さんは火球に酸素を送り込めたりするの?」

 

「まぁね、今から酸素を大量に火球の中に送り込みます。するとどうでしょう、赤い火の球は青い火の球に生まれ変わりました~」

 

赤から青に変化した事で熱量が変化、離れているにもかかわらず四人は熱を感じ取った。明らかに普通の火球よりも高温だ。そして、青い火球を先程と同じ様に空き瓶の中に入れて蓋をすると、青色から赤色へと元に戻った

 

「過程をしっかり踏む事で威力や効力を倍増させる事が出来るというのは分かった?これは全ての魔法に当てはまるの。概念魔法も然りという事よ」

 

ハジメは美羅が何を言いたいのかを理解した。そして、地球に帰る為の概念魔法を創るという事は生半可な事では達成出来ない事も分かった。だが、美羅の言葉にはヒントがたくさん盛り込まれていたのにも気付いていた

 

過程か・・・。地球に帰る為の転移魔法となれば何が必要なんだ?先ずは座標が最優先、座標を導くアーティファクトが必要という事だ。座標をイメージするならソナー系?いや、ワ〇ピースみたいな360度の方位磁石が良いな。仮初の道筋を作り、空間魔法による座標の連結―――扉か。これは転移門の応用だから何とか解決しそうだ

 

ハジメは何を作るべきかをリストアップ、細々としたアーティファクトが必要だがそれは何とかなる。幸いな事に、概念魔法の負荷に耐えれる鉱石―――神結晶を大量に持っているので素材に困る事はない

 

「ハジメなら絶対に地球に帰る為に必要なアーティファクトが作れるわよ。勿論、ノイントちゃんと共同作業をする事が必須、"錬成師だけにしか出来ない"事もあるのをしっかり理解すればかなり早く出来上がるわよ。まぁ、頑張りなさい」

 

美羅の授業は終了、眼鏡も外して再び椅子に座って読書を再開した。レールを敷いたので、これからは自分達で頑張れと言う事だ

 

「取り敢えず今日は休んで、地球に帰る為の概念魔法を創るのは一週間後ぐらいにしよう。体を万全な状態にしていないと出来る事も出来ないからね」

 

「しばらくの間ゆっくり回復しましょう」

 

フェアベルゲンでだらけた生活+夜の営みが捗ったりと色々とあったが、ハジメとノイントの生活はとても充実したのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~美羅side~

 

ハジメとノイントが休んでいる一週間の間、美羅と雌煌も同じ様にゆったりとした生活をしつつ時々外出したりとしていた。アンカジやエリセンに行き、特産品を買ったり捕ったりして別荘で料理したりと外の状況は無関心だ。

アルヴからの報告があるが、魔人族達は防衛の徹底をして戦死者を極力少なくする方針で動いているとの事だ

しかし、美羅の外出は全てが無駄に終わるという事はない。アンカジとエリセンに行った時に時々聞く王国の状況、勇者が魔人族に捕まり戦力が著しく低下した等、残りの引き籠っている者を強制的に駆り出して戦力したりと予想通りの情報だが、一番最悪の情報はエリセンで海人族の徴兵だった。人族の代表である王国の庇護に入っている海人族は従わなければ死刑という内容だ

 

この世界の人間も強欲で傲慢な存在ばかりね。何故、共存という言葉すら思い浮かばないのか・・・いや、所詮は先の事も見据えていない私利私欲の為の戦いなのね。呆れ果てて何も言えないわ。在り方の方針を変えた魔人族の方が好かれるし、下手すれば人族の間で反乱が起きるわね。いや、虎視眈々と反旗を翻すタイミングを見計らっている形ね

 

美羅がエリセンで買い物をしている時、時々向けられる怒りの感情は人化しているから人間だと思われているからでもある。ただ見るだけなので美羅からどうのこうのする事はしないが、あまりいい思いはしない。それもこれも王国の人間・・・貴族達のせいだ。取り敢えず、いい情報を得た美羅はアルヴにエリセンの状況を話した

 

「エリセンでは海人族の怒りが蓄積されているという事ですか・・・、この情報はありがたいです。今は徹底防衛によって戦死者も居ないので、侵略しか考えていない人族に奇襲を仕掛ける事が出来ますね。ならば、エリセンとアンカジの同時進軍しましょう。アンカジには全方位囲い込んでからの降伏勧告や条約の取り決めに持ち込めれば反発も少なくてすみます」

 

「あら、アンカジを制圧して国土にするつもりはないの?」

 

「・・・砂漠の国ですよ?慣れない環境下に身を置くより、慣れている者を置く方が良い」

 

アルヴは、エリセンとアンカジの両国を制圧した後に出る問題・・・国民感情についてを考えていた。方針を変えた事により、人間即殺マンから侵略者殺すマンとなった魔人族だが人族は全員が魔人族は悪であるという認識を植え付けられているのでどこかしらで感情の爆発があると踏んだ。そうなれば少なくない被害が出るので却下したいところだ

 

「地球の情報は貴重なものばかりだ。宗教戦争はあるが、それは過激派が行っている事だと聞きました。ならば、信仰は自由にする代わりに争いをしないと確約させればいいだけです。最初は武力という脅迫となりますが、後の平和を思うと仕方のない犠牲というものでしょう。それでは、私は前線へと戻ります」

 

「ほどほどにね~」

 

アルヴはフリードと白竜を連れて火山方面へと飛んで行った。恐らくだが、アンカジから落とすつもりなのだろう。王国がアンカジを切り捨てる可能性は高く、火山特有の鉱石が手に入らなくなる軽度の痛手だ。しかし、エリセンの場合は海洋水産物が一切無くなるのでこれは死守する可能性がある。優先順位を決めて如何にして手早く手に入れるかが肝だ

アルヴと入れ替わる様に雌煌がやって来て、ハジメが地球に帰還する概念魔法を創るまでの時間をどう過ごすのかを質問する

 

「ハジメが帰る為の概念魔法を創り終えるまでどうするんだ?観戦するか?」

 

「しないわ。私が本当に動くのは例外な時だけよ」

 

「例えば?」

 

「・・・転生者系とか?」

 

「いつもの事じゃねーか」

 

美羅が本当に動く時は転生者が何かしらの問題をやらかした時だけだ。例えば・・・その惑星の環境破壊したり、殺戮を楽しんだり、生態系を著しく歪ませる事をすれば有無を言わさず殺す。尚、平和に生きたいのに他の転生者達に殺されそうになり致し方なく環境を破壊してしまったのならまだ温情が残るが、これも規模によって変わってくる

 

「殆どの転生者って禄でもねぇ奴ばっかだよな~。このトータスにも居んのか?」

 

「さぁ?私はこのトータスを監視しているわけじゃないから分からないわよ」

 

美羅はエリセンとアンカジで仕入れた本を読みながらてきとうに答える。そもそも、トータスに来た目的はちょっとした旅行なのでお仕事はしたくないというのが本音だ。まぁ、転移直後にトータス全体を確認したが転生者は居なかったので何も問題はない

 

「転生者の話はもういい。だが、あの屑達はどうするんだ?一緒に連れて帰るなんて言わねぇよな」

 

「ハジメに全投げしているから分からないわ。そもそも、今どうなっているのかすら不明なの」

 

雌煌の言う屑とは、お花畑な教師と元クラスメイト達についてだ。現状、有力候補達は魔人族に捕らわれており、無事に救出出来たとしても戦線復帰はほぼ不可能だろう

美羅が神結晶でシャンデリアを作っていると、フェアベルゲンに常駐している魔人族の兵士が急ぎ足で駆けて一報を入れる

 

「報告します!捕えていた勇者達が何者かによって救出されてしまいました!」

 

美羅は、「あぁん?」とつい殺気を漏らしそうになったが我慢した事は褒めて欲しい。だが、魔人族の兵士が語る一報はとても不可解な事で、魔王城に居た勇者達が忽然と姿を消したと言うのだ。地下牢前に居た兵士達は全滅、厳重に保管していた勇者達の武器も無くなっている。兵士達は軽装と言えど魔人族の兵士のレベルで言うなら中の中レベルで、無抵抗で殺される事はありえない

 

「・・・本当に何があったのよ」

 

「え"ぇ"!?屑共が何処にいるか分かんねぇのかよ。・・・絡まれたらどうするよ?」

 

「無視よ無視、攻撃してくるなら追い払う程度よ。雌煌、ハジメとノイントちゃんにこの件について伝えておいて」

 

「おう」

 

雌煌はアーティファクトを作っているハジメ達の部屋へと上がって行った。美羅は魔人族の兵士に状況の詳細を聞くと、どうやら内部からの破壊―――地下牢の部屋からの破壊だという事が分かった。ここまで聞いても不自然な事ばかりだ。奴隷の首輪を着けていたから反抗する事は出来ないし、装着者に+となるのはほんの少しで劇的な力を得る能力は何一つない

 

あれぇ?おかしくない?私から見ても奴隷の首輪に異常が無かったのだけど・・・

 

美羅がうんうんと考えていると、雌煌とハジメとノイントの三人が降りて来た。どうやら三人もどうやって脱出したのかが不明だったのだろう

 

「美羅姉さん、元クラスメイト達が居なくなったって本当!?」

 

「これは由々しき事態です。彼等の自由はなかった筈・・・一体何が起きたのでしょうか」

 

「原因分かんねぇか?」

 

「潜在能力の開花は絶対にありえないわ。唯一の可能性は外部からの干渉だけど、何が干渉したかまでは分からないのよね~」

 

これは難題である。美羅達が色々と推測するものの、どれも今一つで可能性で言うなら0に等しい

そんなこんなで悩んでいると、美羅のステータスプレートが震えた。これは久しい反応、エヒトが美羅に何かしらを伝えようとしているのか、はたまた命乞いをしようとしているのかは分からないが一応見てみる事に

 

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白野美羅(ミラルーツ) ???歳 女? レベル:???

天職:全ての祖

筋力:世界一ィイイイイ!

体力:世界一ィイイイイ!

耐性:世界一ィイイイイ!

敏捷:世界一ィイイイイ!

魔力:世界一ィイイイイ!

魔耐:世界一ィイイイイ!

技能:何でも出来ます

 

お、お助け下さい!触手が、沢山の触手が襲い掛かってぇえええええっ!?byエヒト

 

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「「「「・・・・・」」」」

 

エヒトからのSOSだったのだが、美羅達は何も見なかったかの様に見捨てる選択をした。そして、エヒトを襲っている奴等に心当たりのある美羅と雌煌

 

「う~ん、これは不運だねぇ!」

 

「エヒト\(^o^)/オワタ☆」

 

「自業自得だから仕方がないと諦めましょう。多分生きてはいると思うから、一回神域に行って観察だけしようかな?」

 

「俺はここで待機するぞ。外宇宙の奴等だと降り立った瞬間ここらが終わっちまうからな。俺の寝床とゲームは死守する!」

 

美羅は致し方なしとして単独行動する事にした。普通では絶対に行く事が出来ない神域―――エヒトが住まう場所へと転移して最初の光景は、美しい女性が触手に宙吊りにされてえちちな事をされている場面だった

 

「気持ち悪っ!」

 

美羅のその言葉は触手に対してではなく、エヒトの姿であった。転移したばかりの時は男の魂だったのだが、今見ればTS憑依しているのだ。恐らく、どこかの良いとこ出のお嬢様が憑依されたのだろう。とても運が悪かったとだけしか言えない

 

『やはり貴様か・・・』

 

「こらー!私のバカンス地に手を出すなぁ!!」

 

触手の化け物と称したらいいのだろうか・・・、人とも言えない様な形をしているが、神のオーラは只ものではない

 

『いいじゃんちょっとぐらい。面白い奴等に力を貸しただけじゃないか』

 

「クトゥルフのあんたがちょっと!?地上に化け物を産み落とした奴の言葉なんて信用出来ないわ!」

 

『だって・・・その方が面白そうだも~ん☆」

 

触手の化け物の肉が一点に集まって蠢くと、見目麗しい女性へと生まれ変わった。しかし、その様相は新しい玩具を手に入れた愉快犯の様な笑みだ

 

「あはっ☆ミラちゃん怒っちゃった?この玩具って下僕だよね?助けなくていいのかな~☆」

 

「そこにいる奴はどうでもいいわ。今までのツケを支払う形になるから凌辱されても仕方がない」

 

「そうなのか~、残念だなぁ。だ・け・ど・!君はどんな声で鳴いてくれるかなぁ~?」

 

「美羅様!お、お助け下さい!?」

 

「・・・これを護ろうとした女の子居なかった?」

 

正に無慈悲―――。美羅は、エヒトがこれまでにしてきた事全てが己に返って来ているだけだとして助ける事はせず、話の流れをぶった切った。アハトが言うには、この場所にはエーアストが居る筈との事だ

 

「あぁ~ん、ミラちゃんのいけずぅ~♪そんな女の子は四肢を捥いでポイしちゃった☆あれ欲しいの?」

 

「あんたは一回黙れ」

 

美羅の右ストレートがクトゥルフの上半身全てを消し飛ばし、大量の触手が蠢く場所に降りていくとモーゼの様に触手達は道を開ける。その場所にはノイントに似た女性―――エーアストがぐったりとしていた。穴全てに触手が入っていたのか、色々と粘液まみれの身体となっていた

 

「それじゃあ私はこの子を連れて帰るから、地上に子供を降臨なんてさせないでよ?これ以上の介入は、侵略行為と捉えるわよ」

 

上半身の無いクトゥルフに言っても無駄だと思うだろうが、下半身から触手が生える事で上半身が復活してクトゥルフは完全回復していた

 

「しょうがないなぁ~。お顔に免じてミラちゃんの痕跡がある惑星に介入はしないよ☆でも、この玩具は貰っていくよ~♪」

 

「エ"エ"ェ"ェ"ッ!?」

 

「エヒトはご自由にお使いください♪」

 

「エ"エ"ェ"ェ"ッ!?」

 

こうして、トータスで長年好き放題していたエヒトはクトゥルフの玩具としてお持ち帰りされたと同時に、神域に蠢いていた触手も回収されて元通りの真っ白な世界となった。しかし、少し前までクトゥルフの触手で埋め尽くされていた神域なんて不必要。それに、美羅や雌煌みたいな理不尽チートじゃない者がこの神域に入ると発狂してしまう程不気味な空気なのだ

 

「神域はぶっ壊しますか」

 

周囲を観察するが、生き残りの戦乙女はエーアストのみであり他は全員体がバラバラになっていた。少し遅ければエーアストもこうなる運命だっただろう

 

「惑星エネルギーと古龍エネルギーと魔力を混合して縮退開始、神域限定の崩壊プログラムも付け加えて―――そぉおおい!」

 

美羅は限定領域の崩壊エネルギーを放り投げたと同時にエーアストを連れて転移、赤い雷が迸るエネルギーの玉は制御する主が居なくなった事により弾け、空間を削る様に広がり神域全てを呑み込んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美羅が神域へ観察しに行った直後のハジメ達は、雌煌から今回のイレギュラーについて説明を受けている。クトゥルフ系の奴等が関与している可能性があると言うと、ハジメはついついツッコミを入れる

 

「クトゥルフ神話って架空の神話だよ?多分何かの間違いだと思うんだけど」

 

「いいや、ハジメは神関連について全然分かってねぇ。いいか?たとえ創作だとしても、それが生み出された時点でifの世界が生まれるっていうのは美羅の保証付きだ。一度でも信仰が生まれた時点で並行世界が誕生するんだ。やばい代物は大体が星の意思によって消されるが、クトゥルフは別だ。あいつ等は人間に寄生したり力を貸したりとやりたい放題なんだよ。世界を混沌に―――奴等が面白い様に転がすのさ」

 

「うっわ・・・という事は、元クラスメイト達が姿を消したのは」

 

「そのクトゥルフから与えられた力の恩恵という事ですか」

 

ハジメはもの凄くげんなりした。どんな感じに進化したのかも分からないし、美羅と雌煌がヤバイと言うので地球に帰ったら禄でもない目に遭うのだろうと薄々感じる。その力を受け取るか受け取らないかは個人の采配によるものだと教えられたのだが、あの状況下でなら力を受け取る可能性は極めて高い

 

「で?てめぇはやるつもりで降りて来てんのか?」

 

活気のある声色でなく、冷徹な声色―――全てを凍てつかせるかの様な殺気を乗せた声に森の動物達が一斉に飛び立ち、ハジメ達は立ち竦んだ。雌煌はハジメ達の方を見ているが、視線はその後ろに向けられている

 

「あ、シコウちゃんこんちわこんちわ~、挨拶だけしに来たよん!☆」

 

「爺くせぇ喋りはどうした?イメチェンか?ロリコンにでも目覚めたのか?」

 

「ロリって良いよねぇ~。純粋で好奇心旺盛で元気な子が一気に様子が変わるってどう?面白くない?私は面白い♪あ、挨拶だけど、ちょっとここの神様ぶってるおにゃの子にお仕置きしないといけないと思って貰ったの♪どう?わんちゃんみたいに小さい子でしょ~?」

 

エヒトの首には触手のリードが装着されており、四つん這いで犬の真似をさせられている。服は着けておらず、ハジメの視界はノイントが咄嗟に塞いだ事で直視する事を避ける事が出来た

 

「おたすけくd「わんちゃんはワンとだけ鳴かないといけないのよ~?」わんわんきゃいんきゃいん!?」

 

触手リードが蠢き、エヒトは穴という穴に入る手前で寸止めされた脅しによって犬になり切る事で何とかしのぎ切った

 

「・・・そいつをどうすんだ?」

 

「これは私の玩具で、お持ち帰りするの♪神域ではミラちゃんにこれ以上手は出さないって約束したから何もしないよ?うふふ、いあ!いあ!くとぅるふふたぐん!な~んてね☆あぁ、私の力の一部を貸した子達だけど、ちゃんと取り立てはするからお残しの問題はないから安心してね☆」

 

「そうか・・・帰れ帰れ。俺の豊かな平和を乱すんじゃねぇよクトゥルフ!」

 

ハジメはノイントとアハトを連れて雌煌の後ろに避難した。雌煌からクトゥルフ関係とは聞いていたが、大元が直接来るなんて予想外にも程がある

 

「もう~、ちょっとぐらいお別れを惜しんでもいいじゃない」

 

「テメェがポコポコ産み落とした奴等の駆除が大変だったんだよ!俺は焼却施設じゃねえんだぞ!今までの行いを振り返りやがれ!」

 

「それじゃあまた何時か会いましょう。その時は只のお客様として対応してね♪」

 

そう言い終えると、クトゥルフと玩具となったエヒトは地面から生えた触手に呑み込まれて消えた。ハジメは雌煌が上を見上げている事から、転移か何かしらの方法でトータスから居なくなったのだと思う事にした。そうでなければやっていけないと感じたのだ

 

「あ~・・・お前達は気にするな。いざって時は俺か美羅がどうにかするから安心しろ」

 

それは安心なのか?と突っ込みたい気持ちで一杯だが、美羅と雌煌の本気の一端すら見ていない二人はそれを信じるしかない。クトゥルフが去った事で嫌な空気も元に戻ると同時に、美羅がエーアストを連れて神域から帰ってきた

 

「「エーアスト姉様!?」」

 

四肢が無い酷い状態のエーアストを見たノイントとアハトが傍に駆け寄るが、美羅が先に体を洗って寝かせる事が優先という指示に従って介抱する

 

「美羅姉さん、神域で一体何があったの?」

 

「神域にクトゥルフが攻め込んで、戦乙女達はエーアストちゃんを除き全て死亡。唯一生き残れた理由は、相手の気紛れよ。それと、エヒトはクトゥルフにお持ち帰りされたから、きっと生き地獄を体験している筈よ」

 

「エヒトについてはどうでもいいよ。それより、エーアストさんなんだけど・・・義手と義足作ってもいいかな?ノイントのお姉さんだし、将来の僕の義姉になるからね」

 

アハトはノイントの事を少なからず心配していた事から、恐らく他の皆も心配はしていたのだろうと予想していたハジメは、自分ではどうする事も出来ない状態のエーアストを助ける事にしたのだ。ノイントの悲しむ顔は見たくないというのが一番の理由である

 

「ハジメがしたいと思う事をしなさい。但し、分かっているとは思うけど」

 

「分かってるよ。元クラスメイト達の事についてでしょ?クトゥルフパワーを扱えるのが誰か分からないけど、敵対したら迷わないよ」

 

「まだ分かっていないわね。あのクトゥルフは私と雌煌の力を理解している=生半可な力では倒す事すら困難になっている筈よ。攻撃専用の概念魔法を創っておきなさい」

 

「・・・争い事は嫌いなんだけどなぁ」

 

ハジメは溜息を吐きつつ、敵対した場合の護る手段として攻撃の概念魔法の構築に取り掛かった。数日後―――概念魔法をノイントと一緒に作り終えたハジメ達の元に一報が届けられた。その内容とは、王国の一般市民達が異形に襲われているとの事だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、という訳でフラグを回収したエヒトはお持ち帰りされましたとさ!チャンチャン♪
そこに居るだけでもヤバイ奴等が勇者(笑)達に力を貸してしまった!さぁ、どうなるトータス・・・いや、人族!
もうだめだぁ、お終いだぁ(´;ω;`)
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