召喚の手違いは世界最強   作:ぬくぬく布団

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火山の大迷宮は本当にあっという間です







あっという間に攻略しちゃうよ!

~美羅side~

 

ハジメとノイントちゃんのイチャイチャも終わり次は火山か~。一応クーラードリンク飲ませておけば何も問題は無いわね!火山って聞くと温泉があるかどうか気になるよね~・・・いや、割と本気で探して源泉を確保・・・駄目ね。管理出来ないから珍しい鉱石があったらかき集める位でいいや

 

四輪で火山の麓まで移動したハジメ達は、このまま登って迷宮を攻略する予定だ。だが、それはあくまで予定である

 

「なぁなぁ~、この山登るのか?めんどくさいぞ~」

 

「だったら近道する?」

 

ハジメは、ライセン大迷宮の様に障害物をぶち壊しながら突入するのだろうな~と思いつつ美羅達を止める事を諦める。こういう時は流される事が一番である

 

「ん~、問題は近道をしても神代魔法が手に入るかどうかなんだよね~」

 

「それならば正攻法の方が良いのではないですか?」

 

「ノイントの言う通り正攻法が良いと思うよ。美羅姉さん達からすればめんどいの一言に尽きるけど、普通の人はここまで来るのに四苦八苦しそうだよ」

 

ハジメの言葉を聞いて、雌煌は少しだけ考え込んで気になる事を尋ねる

 

「・・・この火山地帯にも魔物って居るのか?」

 

「魔物は居るわ。恐らく、マグマに浸かっても生きれるとか?」

 

「なるほどな。って事はマグマに適応した魚が居るって事か」

 

「正確には分からないわよ?ま、それらしい何かが居るのは確かだけどね」

 

取り敢えず、ハジメ達の攻略の方針は決まった。迷宮特有の試練が何なのかが分からないが、正攻法で攻略する。とはいえ、迷宮の入り口までは美羅が抱えて跳んで到着したが・・・

迷宮に入ると熱気が凄まじく、ハジメとノイントは汗が滴り落ちる。入り口でこの様子ではかなり危ういと判断した美羅は、クーラードリンクを飲ませて攻略を開始する

 

「美羅姉さんに貰ったクーラードリンクが無かったら遠慮したい迷宮だね」

 

「熱気による集中力の低下を狙っている筈です。ですが、今の私達は恵まれていますね」

 

「だね。でも、マグマの中から魔物が襲い掛かる事も想定して進もう」

 

ハジメ達は探索を開始。襲い掛かる魔物は美羅の予想通り、火山に適応した炎を纏った魔物だった。とはいえ、その魔物達はハジメとノイントの二人だけで殲滅した。順調に強くなっているハジメに、美羅はにっこりしながら進む。すると、洞窟とは違った広い渡橋が奥へと続いていた。だが、驚くのはそこではなく、周囲のマグマの流れだった。明らかに宙に浮いている光景は、ファンタジーだ

 

「マグマの川が宙に浮いているって・・・」

 

「おいおいマジかよ。イイネイイネ!これでこそ異世界ってやつだ!」

 

「う~ん、インディさんに倣って私達もマグマの川を下る?」

 

「マグマ下りか、よっしゃあ!ハジメ、船を出せ!」

 

こうなった雌煌は止められない。ハジメはおとなしくアザンチウム製の船を出し、皆はその上に乗りマグマの流れに任せて進む。そして、このマグマの川は特別なのか魔物が潜んでいなかった。道中で襲って来る魔物は、空を飛ぶコウモリの魔物だけだった。船は異状なく進み、遂にゴールであろう道が途切れた場所が見えた

 

「ゴールが見えてもボスが居る筈よ。気を抜かないように」

 

「ノイント、重力魔法で船の落下速度を緩めて。足場があればいいけど、無かったら大変だからね」

 

「分かりました。ハジメは船から落ちない様に気を付けて下さい」

 

ハジメが船にしっかりと掴んだと同時に船は落ちる。ノイントが重力魔法で落下の速度と衝撃を和らげ、マグマの海に降り立った

 

「さぁ~て、ボスは何処だ!今度こそ俺のビームソードで粉微塵にしてやるぞ!!」

 

「雌煌姉が満足するボスって居ないと思うんだよね」

 

「ばっかだなハジメ、俺は敵をぶっ倒したいだけだ!」

 

ボスには申し訳ないが、雌煌の欲を満たす為の贄となってもらおう。ハジメ達がマグマの上に降りて少し経つと、マグマの蛇が二十匹現れた

 

「見敵必殺、死にやがれぇええええ!」

 

雌煌のビームソードがマグマ蛇を切るが、マグマ蛇は再生した。ハジメは、ドンナーでマグマ蛇を撃つ。しかし、そのマグマ蛇も再生したのだ。何かしらのギミックがあるが一手では見つける事が出来ずにハジメが舌打ちをする

 

「ハジメ、雌煌御姉様、あのマグマの蛇は核があります。その核を潰せば再生する事は出来ない筈です!」

 

「ひゅ~♪ナイスだノイント!ビームソードの出力を更に強力にするぜ!!」

 

「って言う事は、蛇の胴体を全て貫通させる様に攻撃すれば問題ないね!」

 

雌煌はビームソードを更に太くして、ハジメはノイントに頼んで抱えてもらい高所から狙撃する事にした。ハジメは一発一発的確にマグマ蛇の胴体を貫いて倒し、雌煌はブンブンと振り回して細切れにして倒す。ニ十匹いたマグマ蛇は一気に数を減らし、最後の一体をハジメの狙撃で倒した

 

「よっし!これで終わりだね。ノイント、何時も抱えてくれてありがとう」

 

「いえ、ハジメは空を飛ぶ事が出来ないのでこれは当然ですよ」

 

「いやぁ~、もうちょい数居ても良かったな」

 

倒しきった事で気が緩んだ三人がボートの上に返ろうと背を向け―――

 

「だめじゃない。気を抜くのは絶対に倒し終えたと確信してからよ」

 

美羅が指パッチンをした瞬間、バンッ!という大きな音と閃光がハジメ達の後ろから発生した。三人は咄嗟に振り返ると、マグマ蛇がボロボロと崩れ落ちる光景だった

 

「えっと・・・ありがとう、美羅姉さん!」

 

「・・・油断して申し訳ございません」

 

「マジかよ、お代わり分を分捕るとかずりぃぞ!」

 

「残り三回復活するから油断せず倒しなさい」

 

「「分かった(りました)」」

 

三人は再び戦い、殲滅を繰り返す事三回―――美羅の言う通り三回だけの復活だった

 

「ふぅ~、取り敢えず終わったかな?」

 

「・・・ですね。美羅御姉様が三回とは言いましたが、それでも警戒しておきましょう」

 

ハジメとノイントは警戒しながら美羅と合流して、解放者の拠点と思わしき島に行き室内に入る。その場所は生活感の無い殺風景な物だった。それこそ、人が住んでいたのかと不思議に思う程何もない

ハジメとノイントは、魔法陣の上に立って神代魔法を手に入れる。これで残りは神山、樹海、雪原の三つだ

 

「これで残りの神代魔法は三つですね」

 

「美羅姉さん、雌煌姉、神山の試練に挑戦する為のアーティファクトを作るから少しの間この拠点に滞在しても良いかな?」

 

「何か作るのか?」

 

「・・・あぁ、ステルス迷彩を作って!」

 

空間魔法はその名の通り、空間に干渉する事が出来る魔法だ。空間の境界を弄る事で、そこに居るのに見えない様にするのだ。その性能は製作するハジメの力量で変わってくる

 

「生活必需品は異空間に入れてあるから大丈夫。ハジメは、高性能のステルスアーティファクトを絶対に作る事!」

 

「分かってる、僕も元クラスメイト達とは会いたくなんてないからね。出来うる全てを注ぎ込んで、高性能なステルスアーティファクトを頑張って作るよ」

 

ハジメは早速人数分のアーティファクトの作成に取り掛かった。鉱石はトータスの物だけでなく、美羅からちょくちょく渡されるモンハン世界の鉱石も使っている。特に女性三人という事なので、見た目もしっかりと拘る

美羅には以前見た水面に映った白い龍を中心に色とりどりの鉱石のステンドグラス風の耳飾りを、雌煌には戦闘に支障の出ない紫の腕輪を、ノイントには虹色の鉱石を天使の羽の様に模ってカチューシャを作った。手の込んだデザインだが、三人に似合った逸品だ

 

「・・・俺のだけシンプルじゃね?」

 

「雌煌は乱暴に扱うから、壊れない事と動きに邪魔にならない様にと考えて腕輪にしたのね。賢明な判断よ」

 

「雌煌御姉様はこの世界の男性よりも男性らしさを感じるので似合っていますよ?」

 

三日半で完成した四つのステルスアーティファクトは、美羅達が予想していた以上の性能だった。発動した際の空間のずれによる違和感は無く、防音機能やステルスアーティファクト持ち同士の視覚化も備わっている。これには美羅もにっこりだ。ただし、足跡が残ったり互いに話し合う事が出来なくなるのが難点だ

 

「さて、いつまでもこんな殺風景な場所を移動するわよ。どうせ神山にある解放者の拠点も良い造りじゃなさそうだし、雪原か樹海でのびのびするわよ~♪」

 

「そういや樹海には亜人族が居るんだったな」

 

「帝国が亜人族を奴隷にしているって情報があったね」

 

「奴隷ねぇ~、・・・絡まれたら帝国潰そうかな」

 

ハジメは、「何も聞こえない何も聞こえない」と耳を塞いで美羅の物騒な言葉を聞かないふりに徹した。ハジメが出来る事はただ一つ、帝国兵さんは絶対に美羅達に手を出さないようにして下さいとだけだ

ハジメ達は、次なる目的地である神山の攻略に必要なアーティファクトも作成し終えたので拠点から出ようとした時、扉が開いて一人の男が入ってきた

 

「なっ、人間だと!?」

 

「誰だぁ、てめぇ?」

 

浅黒い肌に少しだけ尖った耳―――ハジメが事前に情報収集していた中でそれにヒットするのはただ一つ

 

「魔人族?」

 

「へぇ~、魔人族ね。もっと魔物が入り混じった感じかと思ってたけど、人間と変わらない臓器配置や遺伝子―――いや、違う点は魔法を扱う際に必要な魔力生成や変換率が段違いという事なのね」

 

「で?美羅、こいつ強いのか?」

 

「分かり切っている事を聞かないでよ」

 

「・・・だよなぁ~。それよりも、外に待機させてある魔物は俺達の敵か?」

 

「・・・・・」

 

ニヤニヤと笑みを浮かべる雌煌を睨む魔人族。内心ではかなり腹立たしい様だが、それを分かり切っていても煽るのだ。雌煌は、基本的にめんどい事はしない。だが、戦闘に限って言えば正反対だ。もし、目の前の魔人族が少しでも敵対行動を取れば、種を滅ぼすまで暴れる事が出来るのだ。龍の行動はその時の気分次第だ

 

「ほれほれ~、どうしたどうした?敵か敵でないかの二択に一つだ。とっとと答えろや」

 

「・・・お前達の敵ではない」

 

魔人族の男は敵でないと答えたので、美羅達は攻撃する事はしない。だが、それでも釘を刺しておく事にした

 

「ねぇ、魔人族を纏めているアルヴに言っておきなさい。雪原の大迷宮を攻略する時にそっちに挨拶するという事と、私達の邪魔をしたら種を滅ぼす―――ってね」

 

美羅は魔人族の男の頭を撫でながら耳元で囁く。たったそれだけで、魔人族の男はガクガクと体を震わせた。圧倒的強者かつ、魔人族の神であるアルヴですら歯牙にかける事もなく滅ぼす事が出来ると本能で理解したのだ。美羅達は拠点から出ると、周囲に待機させていたであろう龍の魔物達が声を荒げていた。いや、恐怖故の悲鳴だ

 

「うっせえな。静かに出来ないならてめぇらを喰うぞ?」

 

雌煌の圧で魔物達のざわめきは止み、素早く雌煌達から離れる。美羅達全員が拠点から出ると、天井部分が開きショートカットの出口が姿を現した。美羅達は空を飛び、ショートカットを通って外へと出た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グリューエン大迷宮を攻略した美羅達は、砂漠に降り立ち四輪を取り出して神山へと向かう。その道中、アンカジと呼ばれている国へ立ち寄った。・・・・・だが

 

「・・・なんじゃこりゃあ」

 

「白い肌ってレベルじゃない・・・何らかの病気?」

 

「ですが、アンカジの街は綺麗であると噂に聞いていました。病原菌の繁殖の可能性は極めて低い筈です」

 

アンカジ公国の住民達の多くが、肌が所々白くなっていたり出血していたりと様々だった。まるでバイオハザードが起きたかと錯覚する程の光景だ。自然には起こりえないそれは何処に危険が潜んでいるか分からないし、美羅の加護があるとはいえ迂闊に何かしらを口にする事も出来なくなった

 

「ふむふむ、あれの原因は毒ね。白くなっているのは体の不調、出血は魔力が排出が出来ずに異常活性しているからか・・・。まるで奇病―――環境変化の説が濃厚になったわね」

 

「「環境変化?」」

 

「そうよ。ノイントちゃんが言ったアンカジの街が綺麗だった事を前提にするけどね?人為的も可能性の一つがあったけど、何も証拠がないから環境変化という方がしっくりくるだけよ。体内に毒という事は、それを口に入れたか接触したの二択。でも、接触の原因なら直ぐに特定されてそれ相応の対策が取られるから、口に入れるしか残っていないわ」

 

「少し待って下さい。毒なら、普通の人でも気付くのでは?」

 

美羅達がアンカジの街の中を歩きながら様子を見ているが、一般家庭や自由行動が多い冒険者等も発症している。特に、それなりの勘を備えているであろう高ランク冒険者も発症している事から異物を混入するという事は不可能に近い

 

「だからこそ環境変化よ。自然に口に入れる何かしらに異常が発生、それが沢山利用する事で一気に広まったと考える事が一番しっくりくる筈よ」

 

「もしかして、アンカジで有名なオアシスの水?」

 

「ハジメの予想通りよ。ちらほら見える商店の中にあった自国栽培の食べ物は毒ばっかりだったわ。水を上げなきゃ作物は育たないわ」

 

「うげぇ・・・そんなん食いたくねえぞ」

 

「とはいえ、もう既に水が毒性になっているというのは知られているでしょうね」

 

色んな場所を見終えた美羅達は、原因であろうオアシスの様子を一目見ようと傍まで近づく。そこには国の兵士が警備している事から、危険な場所に近づけさせない為の措置だろう。そして、今の美羅達の姿は観光者と間違われてもおかしくない格好をしており、兵士達から静止の声を掛けられる

 

「観光者か?」

 

「オアシスが有名って聞いたけど何かあったんですか?」

 

ハジメは、これで何かしらの原因を探る為等と言ったら確実に怒られるか元凶の候補に挙げられる可能性があるので、当たり障りのない言葉で尋ねる事にしたのだ

 

「あぁ、酷いもんだ。オアシスの水が一夜も経たないうちに毒に変わっていたんだ。被害は馬鹿みたいに大きくなって上層部も被害が多い。だから、ここは危険だから離れた方がいい」

 

「分かりました」

 

ハジメはここから離れようとした時、ノイントが思っていた疑問点を指摘する

 

「あの・・・このオアシスに居る魔物は守り神か何かなのでしょうか?」

 

『何っ!?』

 

周囲に居た兵士達もノイントの声に反応し、オアシスを見ながら驚愕の表情をしていた

 

「す、直ぐに領主様に知らせろ!」

 

「りっ、了解しました!」

 

兵士の一人が王宮の方へ走り去り、先程の兵士がノイントにこれ以上の不審点が無いかを尋ねる

 

「何故魔物が居ると分かったんだ?」

 

「感知系の技能を有していますので分かりました」

 

「そうか。・・・他に何か不審な何かは無いか?」

 

「魔物以外は・・・何も」

 

「分かった。知らせてくれて感謝する」

 

慌ただしく動く兵士達を見ながら、ハジメは一つだけ疑問に思った事がある

 

「ねぇ、あの人達はどうやって魔物を倒すんだろう」

 

「さぁ?」

 

美羅達は様子を見ていると、王宮の方から豪華な服を着たゴツイ男が走って近づいていた。恐らくどころか、確実にあの男が領主で、ノイントに詳細な情報を自ら聞こうとしているのだろう。領主?は美羅達の前で止まり、頭を下げた

 

「私はアンカジ公国の領主ランズィと申す。此度の一件について、今一度詳細を伺いたいが宜しいでしょうか」

 

ノイントは兵士に言った言葉と同じ事を説明し、オアシスに居る魔物が守り神でないかどうかを尋ねる

 

「我が公国のオアシスに守り神は居ない。いや、守り神というより守り物はこのオアシスの底にある」

 

「あ~、この国全体を覆う結界のアーティファクトね。魔力の流れからそうじゃないかと予想はしていたけど・・・大きいわね。一つでこの公国分を補ってるって中々な性能ね」

 

「そうだ、だからこそどうやって魔物がこの中に入ったのかが分からんのだ」

 

「大方魔人族じゃね?ほら、魔人族って魔法の扱いに長けてるんだろ?人間に変装して入って魔物を入れたとかだろ。国の入り口には結界の魔力が感じられなかったからな」

 

「・・・そうか。では、魔人族の攻勢が激しくなったと考えるのが妥当か」

 

「とはいえ、私達が言っている事は予想だから過信は駄目よ?まぁ、魔物が居るという事は本当だけど」

 

美羅達のこの言葉を聞いて、ランズィは確信した。魔物の感知が出来るのは、報告に会ったノイントだけでなく美羅と雌煌の二人も出来たという事に

 

「・・・貴女は、何故魔物が居ると分かっていながら言わなかった?」

 

「私達、旅行中なの。降りかかる火の粉は払うけど、面倒な厄介事には出来る限り介入したくないわ。だって、目立ったらのびのびとした旅行なんて出来ないじゃない。それと一緒よ」

 

「ぐっ!た、確かにそうだな・・・箝口令は必ずしよう。それともう一つ、私に出来る事なら無謀ではない限り後ろ盾になろう」

 

「へぇ~、流石は領主ね。私が口を出す前に最低限の報酬を条件を提示、国民にはかなり支持されていそうね。ま、乗り掛かった舟だからパパッと終わらせるに限るわ。雌煌、やっておしまい!」

 

「って結局俺かよ!?黄金芋酒一本」

 

「ここにウイスキーがあるんだけどなぁ~?マッカラン40年だけどなぁ~?」

 

「ちっ、それで手を売ってやるよ!!」

 

あっさりと物で釣られた雌煌は、首をゴキッゴキッと鳴らしながらオアシスへと進みそのまま歩いて潜って行った。これにはランズィ達もびっくりである。雌煌の心配をしているのか、そわそわしているがそれはオアシスの異変によってなくなった

 

「採ったどー!」

 

水面から浮上した雌煌が片手に持っていたのは固まった物体は、透明なそれはおそらくスライム系の何かだろう。しかし、原因は取り除いた。そして、ランズィは鑑定師に水質を調べさせるが結果は駄目だった

 

「・・・毒性のままです」

 

「・・・そうか。いや、魔物だけでも排除してくれただけでも感謝する。毒性はどうにかすれば抜けるだろう」

 

「毒性の物を浄化する術を持っていますがどうされますか?」

 

『え?』

 

ランズィの頭の中では時間を経過させて毒性を抜くという選択肢しかなかったが、ここでノイントの浄化出来ますという言葉は天の言葉に近かった。ランズィを含めた周囲の者達全員が土下座をした

 

「貴女方にもうひと働きをお願いしたい。どうか・・・どうか毒性の浄化をお願いしたい」

 

「ノイントちゃんはそれでいいの?」

 

「・・・気分が良くありませんでしたから」

 

「なら良いわ。後悔のしない様にやりなさい」

 

「ノイントがやるなら、僕も手伝うよ。浄化用のアーティファクトでも作って設置したら後々問題になる事は少ないだろうからね」

 

美羅達は、一緒に行動して民、オアシス、作物等を浄化して周った。ノイントのステータスは高いが、広範囲に及ぶ毒性の浄化は厳しい。そこで、ハジメは再生魔法の浄化だけを付与したアーティファクトを作成し、オアシスへ設置した。魔力が無ければ動かないが、住民十人分の魔力だけで一日フル稼働する事が出来るので魔石を燃料にすれば長期間動く高性能な代物だ

ハジメがアーティファクトでオアシスを、ノイントが住民と作物とばらけて行動した事で二人はアンカジ公国内で英雄と女神と呼ばれたりした。住民にも、領主にも目立つのは嫌なので誰かに教えたりするのは止めてと口止めをする

 

「ハジメ、アーティファクトに私の名前を彫っておいて。そして、立て看板に故意に壊したら一族諸共殺すって」

 

「あっ、はい」

 

ハジメはアーティファクトに美羅の名前を彫り、立て看板も作っておいた。しかし、これだけでは子供が間違って入って壊す可能性もあるので、網目状の柵を周りに作り管理を領主に任せる事にした。これで手を出す事は殆ど出来ないだろう

浄化を終えたノイントが合流し、美羅達はこのままアンカジから離れようとした。しかし、命を助けられた民達は何か恩返しや報酬をと言うが、美羅達が欲しいと思う物はこれといって無い。美羅は周囲を観察していると、ある違いを見てそれを報酬として受け取る事にした

 

「あの衣服が欲しいな~。ハジメもノイントちゃんに着て欲しいでしょ?」

 

トータスは中世ヨーロッパの様な服装が多く、アンカジの民達が着ている様な服は違っていた。極力肌を露出しない服が殆どだが、所々見られるベリーダンスの衣装が目に付いたのだ。もし、ノイントがあの服を着たとなれば、それはもう百人中百人が目を向けるだろう。ただでさえ素の状態でも美人であるノイントが肌の露出が多い服を着たとなれば、ハジメはコロンビアポーズをする事は確実だ

 

「うっ!・・・そうだけど・・・まぁ・・・はい・・・」

 

「という訳で、それでよろしく」

 

「早急に女神様のお姿を損なわない立派な服を用意しろ!」

 

住民達の中の服飾店と宝石商の店員らしい人が走り、周囲の人達も慌ただしく動く

 

「御姉様達の分もあるのでしょうか?」

 

「さぁ?」

 

『ッ!?』

 

住民達は大切な事を気付いた。ハジメやノイントと一緒に行動している美羅と雌煌に何も渡さなかったらそれはもう偏見の目で見られるだろう。それがその二人から向けられるとなると恩を仇で返す様にも感じてしまう

 

「女神様の御姉様方の服もご用意しろ!最上級でなっ!」

 

服飾店では、「これだぁああああああああ!」や、宝石店では、「これ以外に並び立つ宝石は存在しない!」等と色んな声が響く。まるでお祭りだ

美羅には白を基調として所々に赤が混じる服、雌煌には深い紫色の服、ノイントには淡い水色の服だ。そして、宝石に関しては美羅と雌煌は拒否してノイントに良い物を送るという事となった。ノイントも宝石を拒否しようとしたが、住民達の熱に口を挟めずどうしようかと迷っていると、ハジメが宝石商の人と交渉して加工する前の鉱石を貰う事となった

 

「ハジメ、何故加工済みの宝石よりも原石である鉱石を選んだのですか?」

 

「だって、僕は錬成師だよ?ノイントに似合う物を買うのもありだけど、自分で作れるなら作った方がノイントも嬉しいでしょ?ちなみに、僕自身もその方が嬉しいからね」

 

「ふふっ、確かにそうですね。ハジメなら私にぴったりな装飾を作ってくれますね」

 

「はいはい、なら着替えましょう。その方がどんなデザインが似合うかとか色々知る事が出来るでしょ」

 

「初めて着る様な服だからな。どんな感じかちょいと楽しみだぜ!」

 

二人が甘い空気を生産するが、美羅と雌煌はそんな空気をぶち破ってノイントを連行した

美羅達が着替えスペースに入って少しして仕切り布が開かれると、ハジメは視線を奪われた。スラリとしたボディラインと、起伏のある胸。薄布一枚に身を包まれている三人はとても色気があり、男女問わず見惚れる程の魅力が溢れていた

 

「へぇ~、この衣装って中々良いわね。ゆらゆらと動くにはもってこいね」

 

「俺はちょいヒラヒラしすぎだな。これじゃあ走りにくいぜ」

 

「雌煌御姉様も綺麗ですよ」

 

ハジメは美羅達が綺麗なのは分かってはいたが、予想を上回る破壊力に直ぐに言葉が出なくなる

 

(見惚れるのは分かっていたけど明らかに綺麗の次元が違う!黄金比、ボンキュッボン、容姿ドストライクと三人にどう言えばいいんだ!?くっ、この僕の言語力の無さが憎らしい!)

 

「ハジメ、ど~お?やっぱり白は私があってこそ映える物でしょ」

 

「腹黒なお前が白は似合わねぇよ。黒一色が「テガスベッター」いぎゃああああ!?アイアンクローは駄目だろぉおおおおお!?」

 

メシメシと閉まる音が聞こえるが、そこは雌煌のタフネスでどうとでもなる。美羅と雌煌はおいておき、ノイントはハジメの目の前でヒラリと一回舞って感想を求める

 

「どうですか?」

 

「いいね、もう最高以外の言葉が思いつかないよ」

 

ハジメはノイントとそのまま自然な流れでキスをして美羅達を止めに入った。これ以上の美羅の仕置きは、せっかく貰った服を台無しにしかねない。美羅達は報酬を貰ったので、領主に英雄や女神呼び等は広めない様にと念押ししておきアンカジを発った

 

 

 

 

向かう先は王国の神山の麓―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちょっとイチャイチャが少なかったけど、沢山人が居る中で自然にキスしているのでまぁいいでしょう。うん、どんどん甘々になっていく
ノイントちゃんもハジメと記憶の共有を行った事で価値観が少しずつ変わって行くぅ!
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