暖かな太陽の光が部屋に差し込み、鳥ポケモンたちの楽し気な鳴き声が窓の外から聞こえてくる。
眠たくて重い瞼をゆっくりと開きながら起き上がり、すぐ横についている窓から外を見ると、ココガラやマメパトたちが空を飛び、牧場の方ではウールー達が気持ちよさそうに草を食べている。
最近ではようやく見慣れた光景になってきたけど、飽きることはない。
私はポケモンが好きだから。それに、この地方は私が前いた所じゃ見たことの無いポケモンたちがいる。ココガラやウール―とか、ここら辺に住んでるポケモンについては隣の家のホップくんがいろいろと教えてくれたけど、それ以外のポケモンについてはわからない。でも、それはこれから知っていけばいい。昨日、母さんが新しくスマホロトムを買ってくれたからネットやニュースも見ることができるようになったから、そこから知っていくのもいいかもしれない。
ベッドから立ち上がり、寝間着から着替える。それから、自分の部屋をでてリビングに向かう。
だけど、途中で台所にいる母さんに呼び止められてしまった。
「おはよう、ユウリ。起きたのなら丁度いいわ。そろそろオボンのみが無くなりそうなのよ。朝ごはんを食べたらブラッシータウンまで買いに行ってちょうだい。」
「わかった。ハロンタウンにもきのみショップができたらいいのにね。」
「そうね。ほら、できたから食べましょう」
母さんと一緒に朝ごはんを食べる。今日の朝ごはんは、母さんの特製カレーだった。母さんが作る特製のカレーはとってもおいしくて何回食べても飽きない。母さんにどうしてこんなにおいしいのか聞いたことがあるけど、数種類のきのみをうまく組み合わせて使ってるからおいしいらしい。「慣れれば誰にでもできるわよ」と言われたけど、私はできそうにない。
朝ごはんを食べ終わり、皿洗いなどの片付けをしてから出かける準備をする。一度、部屋に戻ってから外に出られる格好に着替えて、きのみを入れられるバッグを手に持ってから部屋から出る。私が準備している間に、母さんはリビングの掃除をしている。ゴンべがよく食べ散らかすから、リビングは毎日掃除をしないとすぐ汚くなっちゃう。
「じゃ、行ってくるね」
そう言って私は玄関のドアを開ける。
玄関のドアを開けた先では、花壇の方でスボミーたちが仲良く過ごしている。空は青く澄み渡っていて、頬をなでる風が気持ちいい。門をでて階段を下りていき、ブラッシータウンに向かう。ブラッシータウンはこのハロンタウンからそこまで遠くないから、歩いて15分くらいでつく。ブラッシータウンにあるきのみショップでオボンのみをいくつか買って、袋に入れたオボンのみを抱えながら家まで歩く。道中で野生のポケモンを見かけたりするけど、ここらへんのポケモンたちはおとなしいのか人懐っこいのか、いきなり襲ってくるようなポケモンはいない。むしろ、近寄ってきて足にすり寄ってくる。主にワンパチとか。
すり寄ってきたワンパチをなでなでして幸せな気分になりながら、私は家の前までついた。階段を上がって家に入ろうとした時に、ふと、柵の向こう側にある森、まどろみの森が気になった。ちらっと眼を向けてみると驚く。なんせ、人が森の入り口で倒れているから。
「っ!」
私は袋をその場に置き、柵を越えて森の方へと駆けだした。柵から森の入り口までは、大した距離はないので走ればすぐにつく。倒れている人のそばまで近づくと、少ししゃがんで体を揺さぶる。
「大丈夫ですか!?」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「・・・・ですか!?」
うぅむ・・・・、誰かが俺を起こそうとしているのか?体が揺さぶられている感覚がする。でも、意識がまだ曖昧な状態だからか、起こそうとしている人が何を言ったのかうまく聞き取れなかった。
ん?起こそうとしている人?
「はっ!・・・・・人だ!?」
「きゃあ!?」
・・・・・危ない。人がいると思ったら意識が急に覚醒して、勢いよく起き上がったらすぐそばに女の子がいて頭がぶつかりそうになった。女の子の方も、俺が急に起き上がってビックリしたのか「きゃあ」ってかわいい声を上げて尻もちをついた。すごくかわいい。でも、それ以上に俺以外の人間と出会えたのが嬉しい。スマホロトムと話をして孤独感と恐怖、紛らわせていた。だが、人がいるなら安心できる。
「あ、あの、大丈夫ですか?」
「え?ああ、ありがとうございます。全然だいじょばないです。ポケモンに気絶させられただけなので」
「だいじょばない?あの、ポケモンに気絶させられたって大丈夫じゃなさそうですけど、どんなポケモンに襲われたんですか?」
「(だいじょばないは通じないのか・・・)ザマゼンタって名前で、赤と青と白の体毛で古傷だらけの狼みたいなポケモンなんですけど」
「ごめんなさい、私の知らないポケモンです。知っているポケモンだったらよかったんですけど。何か体に異常はありますか?あるんだったら、病院に行った方がいいかも・・・・・」
「んー、特に痛い所とか気になるところもないですけど・・・・・」
「そうですか、良かったです。でも、念のため病院に行った方がいいと思いますよ。私は医療とか医術とかは素人なので、知らないポケモンに何かされたならきちんと検査してもらった方が安心できると思います」
「そう・・・ですね、そうします。ただ、俺、ここに来たことがないから、病院がどこにあるのか分からないんですよ」
「そうなんですか?」
「はい」
見ず知らずの俺を心配してくれる可愛くて優しい女の子は、俺が返事すると何か納得したような顔になった。何について納得したんだろう。わからん。でも可愛いからいいや。カワイイは正義。会ったばかりの人に何を思ってるんだと言われるかもしれない。でもな、男ってそんなもんだと思うんだよ。
なんてことを考えていると・・・・・
『マサル、鼻の下が伸びてるロト。』
とスマホロトムがそう言ってきた。ハハハ、そんなワケないだろう。
ってか、君、いつから起きてたんだい?さっきまで俺の横でただのスマホになってたよね?
「生きていたのか、スマホロトム!?」
「え、スマホロトムがしゃべった!?」
『勝手に殺さないで欲しいロト。それに翻訳機能がついてれば本来どのロトムも話せるロ。ボクは違うけど、他のスマホロトムは抑制されてるから話せないと思うロト』
「そ、そうなんだ・・・・・」
『そうロ。それよりも、病院に行くって話が聞こえたロト。なんなら、ボクがまた案内してあげるロト?』
「案内できるの?」
『大丈夫ロト。キミの名前は何て言うロ?』
「私はユウリ。実は私、この地方に来たばかりであまり詳しくないんだ。病院は母さんが知ってるから聞きに行こうと思ってたんだけど、案内できるなら大丈夫かな?」
『ボクに任せるロト!マサルは自己紹介したロ?』
「忘れてた。俺は新条勝と言います。よろしくお願いします!」
「えっと、よろしく?」
『じゃあ、さっそく案内するロト!』
「今度は大丈夫だよな?伝ポケがまた登場したりしないよな?」
『そもそも伝説に語られるポケモンと出会うこと自体が稀ロト。そう何度も会うことはないロ』
「信じるぞ?」
『大船に乗ったつもりで行くロト』
ロトムの案内に従って病院に向かうことにした俺。ユウリちゃんは、途中に家があるから別れてしまったが、歩きながらたくさん話せたしノープロブレム。俺が今いる地方がガラル地方と呼ばれる地方らしく、俺が買ったポケモンの舞台にもなってる地方ということがわかった。あとは、ユウリちゃんは一年前にこのガラル地方に引っ越して来たばかりで知らないことばかり、ということや、ユウリちゃんの隣の家に住んでいる仲のいい友達であるホップくんが色々教えてくれているとのことだった。羨ましいな、ホップくん。可愛い女の子とお友達になれるなんて。
ん?そういえば、ホップという名前に聞き覚えがあるような・・・・・
『マサル、ちゃんと前を見て歩かないと転ぶロト』
「え?・・・・・うわぁ!!」
考え事しながら歩いてたら、ちょっとした土の段差に躓いて転んだ。顔から転んだから鼻がめっちゃ痛い。
『だから言ったのに、ブラッシータウンまであと少しかかるロト。その調子で歩いてると、また転ぶロト。ちゃんと前を向くロ』
「痛てて・・・・・。くそっ、なんでハロンタウンには病院が無いんだ」
『ないものはないロト』
そもそもポケモンの世界に人間用の病院があったこと自体が驚きだったが、よく考えればあるのは当たり前だった。ポケモン用の病院・・・いわゆるポケモンセンターがあるのに人間用が無かったら大変だもんな。
病院の初診療っていくらかかるんだろう。財布のお金が通用するといいんだが・・・・・
『マサル、草むらから何か近づいてくるロト』
その言葉を聞いて、身構える。今度は何だ。何が来るんだ。ポケモンと戦う手段がないから草むらを通らないように歩いていたのに、わざわざ草むらから出てこなくていいから。帰ってどうぞ。
「何が来てるかわかるか?」
『これは・・・・・』
「イヌヌワン!!」
ロトムが何かを言う前に、そいつは飛び出して来た。草むらから身構えていた俺の顔面に勢いよく突撃してきて、俺は衝撃と重さに耐え切れず倒れた。人の顔をペロペロしてくるそいつはコーギーみたいな見た目だが、鳴き声からして違う。そもそもコーギーはあんな体色ではない。では一体なんなのか。そういえば、PVで見たことがあるな。なんだっけ、確か・・・・・
『ワンパチ、ロト。でも、野生にしてはとても人懐っこいロトね』
「ああ、ワンパチか。イヌヌワンって名前だと思ってた、ぐえっ」
顔をペロペロしていたワンパチが俺を踏み台にしてどっかへ跳んで行った。
急にどうしたんだ?ワンパチが跳んで行った場所を見ると、俺が倒れたからかモンスターボールが一個だけバッグからこぼれていて、それを口にくわえようとしているワンパチがいた。
『ワンパチの特性はたまひろいロト。きっと、マサルが落としたボールを取りに行ったロ』
「そうなのか」
ゲームだったら使ったボールを拾ってきてまた使えるようにするとかだろう。こうして実際に見ると、ボールを拾うコーギーにしか見えないけど。
ワンパチがボールを口にくわえてこちらに向かって走ってくる。しかし、ボールをくわえているせいなのか足元が見えていなかったのか、ちょっとした土の段差に引っかかって転んでしまった。転んだ衝撃でボールがワンパチの口から飛び出て、なぜか真上に跳ねた。そして、そのままワンパチにボールが当たってボールにワンパチが吸い込まれた。
『「・・・・・あっ」』
ワンパチを吸い込んだモンスターボールは三回揺れると淡く光った。
「捕まえた・・・・・」
『とりあえず、ワンパチ
作者の初ポケモンは、ワンパチでした。(ヒバニーを除いて)