初めてのガラル   作:ミーちゃん

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何故かセイボリーの口調を考えていたら地獄界曼荼羅でアルターエゴやってそうだなって思った。


4.キャラの口調は難しい

 ガタンゴトン、ガタンゴトンと列車が線路の上を走る。雄大な自然の山々、山の間を飛ぶ様々なポケモンたち、光を反射してキラキラ輝く湖などの景色を列車の窓から覗くことができる。

 

 

 そんな列車の中で俺が何をしているかというと・・・・・

 

 

「どやあ? 」

 

 

「ワン! 」

 

 

『ボクもお菓子を食べてみたいロト』

 

 

 席でワンパチとヤドンにお菓子をあげていた。ヨロイ島行きの列車に乗れたはいいんだがやることが思いつかなくて、そういえばワンパチやヤドンと交流してないなって思ってバッグに入ってるお菓子をあげてるんだ。

 ちなみに、ポケモンにお菓子をあげていいかどうかはロトムに聞いて、大丈夫とお墨付きをもらったので心配ない。車内でお菓子を食べるのもどうかと思ったが、俺の席の周りに誰もいないし飲食もOKとされてるらしい。

 

 

「やあん♪ 」

 

 

 ヤドンはゆっくりと美味しそうにお菓子を食べている。膝の上に抱っこした状態で食べさせているが、特に気にしていないみたいだ。かわいい。

 

 

「イヌヌワン! 」

 

 

 俺の隣にいるワンパチは渡したお菓子を食べ終わると、前足をバタバタさせて喜びを表現している。かわいいから頭を撫でてあげる。すると、目を細めて気持ちよさそうにする。

 

 

 

『マサル、顔がにやけてるロト』

 

 

「ロトム、お前はこの可愛さがわからないのか? 」

 

 

『ちょっとは思うけど、表情が変わる程ではないロ』

 

 

 そうか・・・・・、まぁ感性は人それぞれだからな。アホな子を体現するヤドンと小さくても元気溌剌なワンパチの可愛さを、後で教えてやらないとな。

 

 

「忘れてたけど、ヤドンは今どんな技が使えるんだ? ワンパチの方は確か『ほっぺすりすり』『スパーク』『かみつく』『スピードスター』だったよな」

 

 

『そうロト。それと、ボクがスキャンした結果、ヤドンが今覚えてる技は「ねんりき」「あくび」「たいあたり」「ようかいえき」だったロト』

 

 

「へー.....。『ようかいえき』は確か毒タイプの技だったよな。普通のヤドンは覚えなかったはずだから、ガラル地方のヤドン特有か? 」

 

 

『おそらくそうロト。ヤドンがどの技を使うのか覚えてるロト? 』

 

 

「ヤドン以外も大体覚えてるぞ」

 

 

 まぁまぁシリーズをやってきたからな、多少の自身はあるぜ。例えそのポケモンを知らなくても、タイプさえわかれば凡そどんな技が使えるのかぐらいは推測できるくらいの知識もあると自負している。

 

 

『凄いロト。その知識はこのガラルに来る前に得たロ? 』

 

 

「ああ」

 

 

『へ~、ポケモンスクールに通ってたロ? 』

 

 

「いや、俺がいた所にそんなものはない」

 

 

『え?田舎に住んでたロト?』

 

 

「あ~、そういうわけじゃないんだが・・・」

 

 

 どうしよう、ロトムに別の世界から来たんだって言うか?いや、言っても信じられないだろうな。この世界になくて俺がいた世界にあったものってポケモンの攻略本とかだと思うけど、俺持ってないしな。証拠が無きゃ俺が別世界から来たと証明も出来ない。それに、今伝えないといけない必要性も感じないし、別にいいかな?いずれ話すことになるかもしれないが、それは今じゃなくてもいい気がする。

 

 

 

「ヨロイ島行きの列車にお乗りの皆様、誠にありがとうございます。次の駅で当列車は終着となりますので、駅で『そらをとぶタクシー』に乗り継ぎをお願い致します」

 

 

 

俺がロトムの質問に対する答えを考えていると、ポンッと音がしてアナウンスが入った。

 

 

『ん、乗り継ぎが必要みたいだから準備した方がいいロト』

 

 

「あ、ああ。そうだな、ワンパチ、ヤドン、戻ってくれ」

 

 

 俺の膝と隣でいつの間にか寝ていたワンパチとヤドンをボールに戻す。ゴミは袋にまとめて入れて、口を占めた後、列車内に捨てる場所が見当たらなかったので俺のバッグに入れることにした。乗り継ぐときにゴミ箱も探さなきゃな。

 

 

「そういえば、『そらをとぶタクシー』に乗り継ぐ必要があるみたいだけど、それって飛行機なのか? 」

 

 

『違うロト。アーマーガアに特殊な形状の車を掴んで飛んでもらうロト』

 

 

「アーマーガア? 聞いた事ないな・・・・・ガラル地方のポケモンか? 」

 

 

『そうロト。ちなみに、アーマーガアはココガラの進化系ロト』

 

 

ロトムはそう言って、スマホの画面にアーマーガアとココガラの画像を表示して勝に見せる。

 

 

「へぇ~、パッと見てココガラはホーホーとかに似てるなって思ったけど、進化先のアーマーガアはめっちゃカッコいいじゃん。しかも、見た目で判断するがおそらく鋼と飛行タイプか」

 

 

『おおー、正解ロト! 』

 

 

「見た目がわかりやすいからな」

 

 

 ロトムとアーマーガアについて話していると、プシューっという煙を吐き出すような音とともに列車が止まった。終着駅についたんだろう。足元に置いてあったバッグを背負い、ロトムにはズボンのポケットに入ってもらう。

 

 

 席から立ち上がり、出口を目指して歩く。列車から降り、駅の『ヨロイ島行きの乗り継ぎはこちら』という看板に従って歩き、特殊な形状の車の上にアーマーガア止まっているそらをとぶタクシー乗り場についた。タクシー運転手の指示に従って車に乗ると、しばらくしてから車体が浮遊するのを感じた。出発したんだろう。鳥ポケモンが掴んで運ぶと聞いていたからかなり上下に揺れると思ってたんだが、意外と揺れが少なかった。車が空を飛ぶなんてことは初めてだったから結構新鮮で、窓に張り付いて外の景色を島につくまで眺めてたよ。

 

 そらをとぶタクシーがヨロイ島のタクシー乗り場に到着したので、運転手とアーマーガアにお礼を言って降りる。タクシー乗り場から改札を通り抜けて駅の中に入った。

 

 

あ、ゴミ箱発見。丁度いいからバッグにあるゴミを捨てておこう。

 

 

ゴミを捨てて駅の外へ出ようとしたら、入口の近くで男の人が駅の外を向いてソワソワしていた。なんだろう?駅の外に何かいるのだろうか?

 

 

「あの、外向いてソワソワしていますけど、駅の外に何かいるんですか?」

 

 

「え?あ、ああ。俺、この島の道場に今日から入門するんだけど、変な人が駅の前にいて外に出にくくて・・・・・ッ! 」

 

 

「え、ちょっと!? 」

 

 

 何か、男の人が急に改札の方に走り出した。男の人が改札の向こうに走り去っていくと同時に、駅の入り口から人が入ってきた。あー、なるほど。走り去った男の人が言っていた変な人の意味がわかった。なぜなら、入口から入ってきた人は駅で俺がヤドンを捕まえた後に「ほぅ、まさかバトルせずに捕まえるとは。あなた、なかなかエレガントでしたよ」などと言ってきた奇抜な恰好の人だったからだ。

 

うん、納得した。奇抜な恰好の人が変な人だというのは誰から見てもわかるだろう。それくらい奇抜だし。内心そう思いながら変な人を見てると、その変な人に話しかけられた。

 

 

「ふむ・・・・、あなたですよね? ワタクシに誘われる旅人は」

 

 

「は?」

 

 

「約束の時間ジャスト、とても良い心がけです」

 

 

「いや、ちょっ」

 

 

「ワタクシはセイボリー、あなたの先輩にあたる者です」

 

 

「あの、人違いですけど・・・・・・」

 

 

「これからあなたが入門するマスター道場の話ですよ」

 

 

「いや、だから人違いだって言ってるじゃないですか。入門予定の人はあなたを恐れて(変だから)逃げ出しましたよ」

 

 

「むむむ、それは本当ですか? 」

 

 

「逆に嘘ついてどうするんですか」

 

 

「ンンンンンンン、困りましたね。ワタクシ、エスコートを頼まれているのですが・・・・」

 

 

「え、普通に逃げられたって言えばいいんじゃないんですか? 」

 

 

逃げられたと報告すればいいだけの話なのに、なぜか顎に手を添えて悩んでいる。え、正直に報告する以外に選択肢ってある?

 

 

「・・・・・・わかりました。あなた、名前は? 」

 

 

「勝です」

 

 

「マサルですね。ではマサル、ワタクシと一緒に道場まで来てください」

 

 

「えぇ? 何でですか? 」

 

 

「あなたが代わりに入門生となればいいからですよ。なんせ、ワタクシどもの道場はあのチャンピオン ダンデも学んだ由緒ある道場なのです。あなたに損はないでしょう」

 

 

俺にとって損にならないかどうかはあんたが決める事ではないだろ。そう言っていやりたいが、抑える。なんというか、セイボリーという人は傲慢? 自己中心的な人だと思う。そういう人に対してまともに接しようとしても無駄というか逆に痛い目をみるだけ。もう、適当な理由でさっさと駅から出ようかな......

 

 

「そうと決まればさっそく、互いの力を示し、交流を深めましょうか。先に外で待っていますよ」

 

 

「え、了承してないんですけど」

 

 

 人の話も聞かずに行ってしまった。なんなんだ、あの人は。他人の都合というものを考えていないのか。ああいうタイプの人間は嫌いだ。こっちは言葉のキャッチボールをしたいのに、一方的に打ち返されるノックにしかなっていない。

 

面倒くさいなぁと思いながらも外に出ると、美しい緑と太陽の光を反射して輝いている砂浜と海が視界いっぱいにひろがった。爽やかな風が気持ちよく、目の前にセイボリーがいなければもっといい気分になったんだろうと思ってしまう。

 

 

「ふむ、その様子・・・・・・ヨロイ島は初めましてですか? 赴くままに周囲を歩き回りたいでしょうが、ひとまず力試しですよ。ワタクシがマスター道場の先輩として・・・・・・あなたの強さをエスパーチェック! ハイハイ! お手柔らかにドーゾ! 」

 

 

そう言って、セイボリーはお辞儀をすると同時にシルクハットの周りに浮いてるモンスターボールの一つを投げた。投げられたボールから出てきたのは、宙を浮遊しながら目を閉じて一日18時間も眠るといわれているポケモン、ケーシィだった。ボールから出てきたケーシィは、勝が知っているケーシィと姿が変わらないので、おそらくは普通のケーシィなのだろう。

 

 

「はぁ......。何気に初バトルなんだけど、やれるだけやってみるか」

 

 

ため息を零しながら腰についてるボールの一つを手に取り、宙に投げる。投げられたボールから出てきたのはワンパチ。エスパータイプのケーシィと電気タイプだが悪タイプの技『かみつく』を覚えているワンパチの間では、ワンパチの方が相性的に有利となる。

 

 

「ワンパチ、かみつく! 」

 

「ワン! 」

 

 

勝の指示を受けたワンパチは、ケーシィの元へと走りだし技を繰り出そうとする。しかし、ここはゲームではない。相手がただ攻撃を受けるのを待つ道理はない。

 

 

「ケーシィ、ねんりきです」

 

 

セイボリーの指示に従いケーシィは、ジャンプし宙に浮いている自らの目の前まで迫ってきたワンパチをねんりきで捉えた。

 

 

「そのまま地面にたたきつけてるのです」

 

 

更に指示を受け、空中で捉えているワンパチを勢いよく地面にたたきつける。キャウンとワンパチが声を上げ、ダメージを負う。それを見た勝は、この初バトルで改めて理解した。ここは現実。ゲームのように防御技でもしない限り、相手がただ自分の攻撃を待つことはないと。それを理解した勝は、たたきつけられたワンパチに新たな指示を出す。

 

 

「ワンパチ、今度はスパークだ! 右左に動きながら向かってケーシィに狙いを定めさせるな! 」

 

 

「ワンワン! 」

 

 

狙いを定めさせないことで、ねんりきを当てにくくする手段をとったのだ。その策は有効で、もう一度ねんりきを発動しようとしたケーシィは、左右に動き回るワンパチに狙いを定めることができず、ワンパチのスパークをまともに受けてしまう。電撃の体当たりを受けたケーシィは思わぬダメージに体勢を崩す。

 

 

「そのまま、かみつくでケーシィを落とせ! 」

 

 

空中にいるケーシィにスパークを放ったワンパチは、技を受け体勢を崩したケーシィのすぐそばにいる。そのまま宙でケーシィにかみつき、地面に落とす。スパークから相性有利な悪タイプの技であるかみつくを受けたケーシィは、そのダメージに耐え切れず目を回した。

 

 

「くっ、戻りなさいケーシィ」

 

 

ケーシィを倒されたセイボリーは、ケーシィを戻し次のポケモンを繰り出す。セイボリーの二体目のポケモンは勝も捕まえたガラルのヤドンだった。やあんっという声を上げてボールから出てきたヤドンはボーっとした顔をして、正面にいるワンパチを見据える。

 

 

「ヤドン、ようかいえきです」

 

 

セイボリーの指示を聞いたヤドンは、キリッとした表情になり、口からようかいえきを吐き出した。毒々しい色をしたようかいえきは放物線を描いてワンパチへと迫る。

 

 

「横に避けるんだ!」

 

 

勝からの指示がとぶ。しかし、ワンパチにその指示が届く頃には既に遅い。ワンパチは避けることができずず、ヤドンのようかいえきを被り、ダメージを負ってしまった。

 

 

「ワンパチ、大丈夫か? 」

 

 

ケーシィのねんりきとヤドンのようかいえき。二度のダメージを受けたワンパチは少しふらつきながらも立ち上がる。心配する勝の声に、ワンパチはワンッと元気よく鳴くことで応えた。

 

 初めてのポケモンバトル。自分の指示でフラフラするほど傷ついたワンパチを見て、もっと上手に指示を出すことができたら、ワンパチはこんなに傷つくことはなかったのにと思う。実際にポケモンと触れて、一緒にお菓子を食べて、一緒に話をしたのに、まだどこか心の中でゲームの考え方があった。今、俺がいる場所は現実。ザマゼンタに会った時から気づいていたはずなのに。元気に鳴いて、足元にすり寄ってきたり、かわいく前足をバタバタさせていたワンパチは、俺のせいで怪我をしている。相手が技を指示してポケモンが行動してから出ないと行動の選択しを即座に出すこともできない俺の未熟さ、経験のなさが招いた結果だ。

 

だが、まだ終わっていない。ワンパチは俺の情けなく心配する声に元気よく鳴いて応えてくれた。ワンパチがまだやれると俺に伝えてくれた。なら俺は、ワンパチを捕まえたトレーナーとしてそれにこたえなくちゃならない。

 

 

「ヤドン、もう一度ようかいえきでフィニッシュです」

 

 

またようかいえきを吐き出そうとするヤドン。それに対し、勝はどうするのか。

 

 

「ワンパチ、スピードスターでようかいえきを相殺するんだ! 」

 

 

ワンパチが唯一持っている特殊技、スピードスターで飛んでくるようかいえきを相殺することを選んだ。ワンパチの周囲に星の形をした光が発生し、ヤドンへと発射させる。光はヤドンが飛ばしたようかいえきと衝突し爆発する。爆発と共に大量の煙が発生し、両者の視界を埋める。互いの姿が煙によって見えない中、ヤドンの正面の煙の中から星型の光がいくつも飛び出して来た。飛び出して来た星型の光はヤドンへと直撃し、ヤドンを吹っ飛ばす。

 

 

「なっ、あの煙のなかでどうやって......! 」

 

 

驚くセイボリー。煙の中で狙いはつけられないはずなのにどうやって。

答えは単純だ。ただ、もう一度スピードスターを放っただけ。ゲームという考えがあったからダメージをワンパチに負わせてしまったが、その考えを捨てる必要はないと勝は思った。考えを捨てるのではなく事実を受け止めそれを踏まえて考えればいいのだと。なんせ、ゲームに存在したアイテムや技があり、その効果は概ねゲームと一緒だったのだ。ならば、技の効果もゲームと概ね同じなのではないかと考えられるだろう。例え違ったとしても、その場合の策を考えて指示を出せばいいと勝は考えたのだ。

 

 ゲームにおいてスピードスターの説明は世代によって多少の違いはあれど、絶対に命中するという部分は変わらない。星型の光弾が敵を自動で狙って当てる技なのかはわからないが、試してみる価値はあると思った。その試みは成功し、ヤドンに有効なダメージを与えることができた。そして、セイボリーはその事実に驚き、ヤドンは攻撃を受けて吹っ飛んだせいで体勢が整っていない。

 

 

「チャンスだワンパチ! スパーク! 」

 

 

身体に電撃を纏い、ヤドンへ突進するワンパチ。それに気づいたセイボリーが慌てて指示を出すが、間に合わない。電撃を纏ったワンパチの全力のスパークを正面からくらってしまい、その威力と電撃にひるんでしまう。

 

 

「スピードスターだ!」

 

 

更に至近距離から攻撃を受けたヤドンは、セイボリーの足元まで吹っ飛ぶ。スパークと二度のスピードスタ―のダメージを負ったヤドンは、そのまま意識を落とした。

 

 

「なっ、ワタクシのポケモンが全滅!? あなたの強さにサイコショック・・・・・・! 」

 

 

勝はなんとかセイボリーとのバトルに勝つことができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




バトル描写、セイボリーの話し方が難しくて時間がかかってしまった。決して、ヨロイ島でポケモンを乱獲していたり、地獄界曼荼羅でゴールデンしてたわけではない。
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