ところで・と…はどっちを使った方が見やすいですかね。本当なら統一するべき、というか…を使うべきなんだろうけど
「この道着のデザイン、ちょっとカッコイイな」
『お、意外と似合ってるロト』
「道着なんて初めて着たけど、似合ってるならよかった」
今、俺は門下生の一人であるアズキさんから教えてもらった更衣室で道着に着替えていた。マスタードさんから道着をもらった後、アズキさんがこの更衣室まで案内してくれたんだ。アズキさんは色黒の男の人で、なんかカポエラやってそうな髪型をしている。
「よしっ、そろそろ行くかな。ロトムはバッグの方に入っててくれ」
『わかったロ』
バッグは更衣室において置き、ボールを入れてあるホルダーを腰に付けて更衣室から出る。思えば、この世界に来た時から着ていた服以外、他の服は持ってなかった。時間があれば服も買わないとだな。
「・・・・・・さて! マサルちんが来てくれて道場の定員もそろったし、これから皆には三つの修業をしてもらうよん!」
更衣室から出て、門下生達が集まっている所に戻るとマスタードさんが修行の話をしていた。「三つの修業・・・・・・?」「この道場、定員あったの・・・・・・!?」と動揺する声が聞こえてくる。すごい、俺の疑問を全て呟いてくれている。修行って何するんだろう・・・・・・?
「三つの修業をすべてクリアした人には、手にすれば勝利をまとえる道場秘伝のヨロイをさずけちゃうよ」
秘伝のヨロイ!? 絶対欲しいッス! とそばかすのある女の子が大きな声で言う。かわいい。
「うふふ、いいねいいね! まず一つ目の修業について説明するよん・・・・・・」
マスタードさんが一つ目の修業について説明しようとするのを、妨げる人がいた。
「あの、もし! シショー! ワタクシ、いまだ道着セットをもらってませんが! 何故その者だけ! 不平等! 道具スワップを要求します!」
スワップって交換じゃなかったけ。一体何と交換するつもりなんだろう。おしゃれカードか?
「ありゃ、そうだったっけかね? めんごめんご! じゃ、もう一着あるからセイボリちんにもあげちゃお」
「フッ、ごね得ですね。」
セイボリーがマスタードさんから渡された道着セットを手にした瞬間、「ドぉぉぉーン!!」という鳴き声とともに道着セットを盗み取られた。
「ヒャア! な、なんですか今の・・・・・・って、ない! ワタクシのどうぎセットが消失している!」
盗まれたことに気づいたセイボリーが驚く。セイボリーを含めて他の門下生は、何かが一瞬セイボリーの手元を通り過ぎたようにしか見えなかったのだろう。セイボリーだけでなく他の門下生達も驚いていた。だが、俺は見逃さなかった。三匹のヤドンがセイボリーの道着セットを口に咥えて盗むのを。恐ろしく速い盗み、俺でなきゃ見逃しちゃうね。
「「「ドッドッドッ、ドヤァ!!」」」
三匹のヤドンがそれぞれセイボリーの道着セットの一部を持って、鳴き声を上げる。それに気づいた門下生達が「今の動き、まさかあのヤドンが・・・・・・?」「あんな素早いヤドン見た事ないッス!」とさらに驚いている。
「おのれ! トリックの使い手か!? ワタクシの道着をお返しなさいな!」
セイボリーが道着を盗んだヤドン達に対してそう告げる。しかし、ヤドン達は「ドーぉ? ドぉヤン?」と三匹で会話しながら正面を向き「ヤァーン!!」と言う鳴き声と共に恐ろしい速度で逃げ出した。あっという間に道場を駆け抜けて入口から出ていってしまっう。あのヤドン達は『こうそくいどう』でも覚えているのだろうか?
「あこれ、待ちたまえ!」
セイボリーがヤドン達を追っかけて入口から出ていく。
「うふふ! ちょっとボールから出すのはやかったかもねー」
マスタードさんがニコニコしながらそう言う。もしかして、一つ目の修業と関係があるのだろうか。
「これこそが一つ目の修業・・・・・ワシちゃんが育てたはや~いヤドン3匹を追いかけるべし!
・・・・・・ア~ンド倒すべし。 ついでにセイボリちんの道着セットを取り返しちゃって!」
やっぱり関係してた。「「「「えぇー!?」」」」と他の門下生達が叫ぶ。いや、マスタードさんの態度でおおよそ予想できてたけどさ。どうやったらヤドンがあんなスピードが出せるようになるんだ?
「じゃ、そんなカンジでよろぴくねー!」
そう言ってマスタードさんは奥の部屋に姿を消した。また、それと同時に他の門下生たちもどんどん道場から出ていく。ヤドン達を倒して一つ目の修業を完遂させるためだろう。俺も入口から出て、外を見る。門下生達はヤドン達を追いかけて、道場の側にある坂を上って向こう側へ走っていった。それを見て、一度更衣室に戻りセイボリーから渡されたおしゃれカードを取り出し、ポケットにしまう。道着にもポケットがついててよかった……。
「うわぁ、めっちゃポケモンいるじゃん! ポケモンの世界なんだから当たり前だけど。というか、ガラルのポケモンよりも他の地方のポケモンの方が多いな」
道場の側にある坂を上って見えた光景は、いろんなポケモン達が住む湿原だった。ウパーやヌオー、バッフロン、スコルピ、ドラピオンなど様々な地方のポケモンが視認できた。特にバッフロンとドラピオンはめちゃくちゃ強そうだ。目の錯覚なのか気のせいなのか、オーラっぽいのが見える。
湿原に入って周囲を見渡すが、道着を盗んだヤドン達とヤドンを追いかけていった門下生達は見当たらない。奥の方に見える森か海、あるいは洞窟の方にいったのだろうか。
「ワンパチ、このカードの匂いを辿ることはできるか? 」
ボールからワンパチを出して、おしゃれカードの匂いをかいでもらう。ワンパチは数秒匂いを嗅ぐと「ワンッ」といって森の方へ駆けてゆく。どうやら森の方にいるようだ。走ってワンパチを追いかけるが、ワンパチが速いのか俺が遅いのか最初はそこまでだったが、どんどん距離を離されていく。全力疾走することでおいていかれることは無かったが、森の入り口に着く頃にはかなり息切れしていた。
「ワン?」
「……ハァ……ハァ……ハァ……。ワンパチ…………ちょっと……待ってくれ……」
「ワンッ!」
必死にワンパチの後を追っかけていたせいで、汗が止まらない。呼吸を整えながら、森の中を見る。少し薄暗く、所々で門下生達が座り込んでいる。肩を激しく上下させている所を見ると、ヤドンを追いかけて限界が来たのだろう。肝心のヤドンはここから出は見えないので、再度ワンパチに頼ることにした。
「ワンワン!」
今度は、さっきよりも遅く走ってくれるワンパチ。俺が息切れしてたから気を遣ってくれてるのだろう。なんて優しいんだッ!ワンパチの優しさに感動しながら追いかけていると、道中何人かの門下生が頭を抱えていたり座り込んでいたりしていて、池が見えてくると特に多かった。そして、池の近くまで来ると、その池の周りを猛ダッシュしているヤドンを一匹見つけた。他に二匹は見当たらないので、この森にはいないのかもしれない。まずは、発見した一匹からだ。正直、残像が見えるくらいのスピードで、まったく捉えられる気がしない。というか、突っ込んだら吹っ飛ばされそうだ。うーむ、どうしたものか……
「ワンッ、ワンワン!」
「ワンパチ? ……そうかっ! ワンパチ、ヤドンにスピードスター!」
「ドヤッ!?」
ワンパチがアピールしてきたのを見て、必ず当たるスピードスターを使えばいいと言うのが分かった。さっそくワンパチに指示を出し、凄いスピードで走っているヤドンを狙う。ワンパチから放たれたスピードスターが走っているヤドンに直撃する。必中攻撃ってすごい。
スピードスターが直撃したヤドンはかなりスピードを出して走っていたせいか、かなり吹っ飛んで二・三メートル先の木にぶつかった。吹っ飛んだ時に咥えていた道着を放してしまったようで、地面に道着の一部が落ちている。近くに行って拾ってみると、ズボンの方だった。
「クレッフィ、このズボンを持っててくれ」
「フィ!」
クレッフィをボールから出し、クレッフィに拾ったズボンを持っていてもらう。木にぶつかったヤドンを倒さないといけないから、ズボンを持ったままだとバトルに集中できないからな。木にぶつかって倒れているヤドンの元まで歩いていると、ヤドンがスッと立ち上がった。
「ドヤッドヤッ」
こちらに向かって吠えるヤドン。なんとなく怒っているような気がする。まぁ、いきなり攻撃されたら怒るよな。でも道着を取り返して倒せって修業だし、仕方ないと思うんだ。やり方は他にもあったかもしれないが。
「ワンパチ、いけるか?」
「ワン!」
「よし、バトルだヤドン! ワンパチ、かみつく!」
「ワンッ!」
ヤドンにバトルの宣言をした後、ワンパチに指示を出す。ワンパチは走り出してヤドンにかみつこうとするが、恐ろしい速度でヤドンが横に避けた。そして、ヤドンは避けた後の体勢でたいあたりをしてきた。真横からヤドンのたいあたりを受けたワンパチは衝撃で二・三回転がってしまうが、すぐに立ち上がった。
「くそ、速すぎて当たらない。 ならやっぱり、スピードスター!」
「ワンワンッ!」
ワンパチがスピードスターを放つが、ヤドンはようかいえきでそれを相殺した。技のぶつかり合いで爆発がおきて煙があがり、ワンパチとヤドンの視界を遮る。だが、俺の視点からはワンパチとヤドンの位置がよくわかる。
「ワンパチ、かみつくだ!」
俺は、手で動きを示しながら指示を出す。俺の指示を受けたワンパチは、煙の中に突っ込みヤドンにかみつく。煙で視界が遮られている中、ワンパチがヤドンの死角から現れヤドンはかみつかれてしまう。噛みつかれたヤドンはダメージで苦悶の表情を浮かべ、ワンパチを振り払おうとする。
「ワンパチ、かみつきながらスパークだ!」
「ヴヴヴアンッ!」
ワンパチは、ヤドンに噛みついたまま離れず身体に電気を纏う。スパークは電気を纏って体当たりする技だが、別に触れるだけでも感電するのだから、かみついたままでもダメージは入るだろう。ワンパチのスパークを受けたヤドンは力尽きたのか目を回して倒れた。
「勝ったぞワンパチ! よくやったな!」
「ワンワン!」
ワンパチがヤドンから離れて俺の元まで走ってきたので、撫でまわしながら勝利を喜ぶ。勝利の余韻に数分ワンパチとひたったあと、俺はある問題に気づいた。
倒したヤドンはどうすればいいんだろうか? マスタードさんが鍛えたって言っていたから、多分マスタードさんのヤドンだとは思うけど、誰もマスタードさんからボールは受け取ってないんだよな。マジでどうしよう…………とりあえず傷薬で治しておくか。傷薬を使うとヤドンの傷はあっという間に治っていく。
「ドヤ? ヤアンヤン!」
傷が治ると、ヤドンが目を覚まし何かを訴えかけてくる。お礼でも言っているのだろうか。頷いてみると、ヤドンも頷き、それから猛スピードで銛の中を駆けていった。
「何が言いたかったんだろうな」
「ワン?」
何を伝えようとしたのかはわからなかったが、駆けていったヤドンは多分、道場にいるマスタードさんの元に行ったのだろう。でなきゃ、だれがヤドンを倒したのかわからないしな。
「あと二匹。頑張ろうぜワンパチ」
「ワンッ」
三匹の内の一匹を倒し、残り二匹。
果たして、勝は第一の修業をクリアすることができるのだろうか。つづく
匂いを辿ると、普通ならセイボリーの所にいきそうなので、セイボリーは触れるだけで体臭を移すことができるということにしています。マーキングするみたいに。
あと、アズキさんはオリキャラです。
話をどこで切ればいいのかわからない......。