イナズマイレブン 二回目は好きな物から逃げずに。 作:ウツマ
呪い、占い、超次元
『どうして?』
『どうして?』
『どうして僕のパパを殺したの?』
汗だくのままベットから飛び起きる。悪夢を見たのは久しぶりだ。
内容が内容ゆえに地木流監督に相談するわけにもいかない。
大丈夫。僕は夕香ちゃんを救った。僕は僕にしかできないことを成し遂げた。
(一度は全部嫌いになって忘れて逃げようとしていたくせに)
でも今は違う。僕はもう逃げないって誓ったんだ。
(どれだけ頑張っても死人が生き返るなんてことはない)
そんなことは分かってる。許してくれなんて言わない。でも、せめて僕に償いをさせてほしい。
☆☆☆
6時間目の心理学の授業が終わった。ちなみに授業内容は「嘘の見分け方」だった。前回の「正しい応援の方法」といい、この授業はいつも普通に役立つことばかりだ。
「あ、そうだ紫藤君。君に伝言を頼んでいいですか」
いつもどおりサッカー部室へ行こうとすると、地木流監督に呼び止められた。
「今から出張があってサッカー部には行けません。ですから練習は月村君に任せるようにと言ってください」
部室に着き月村先輩に監督からの伝言を伝えると、
「それなら今日は休みでいいんじゃないか?」
とのこと。
部長である月村先輩がそう言ったことで、サッカー部の練習はなくなってしまった。
「それじゃあ俺はオカ研へ行くことにするよ」
「僕も超常研へ行ってきます」
それを聞いた
それに続くようにみんながどんどん帰っていった。
尾刈斗中では兼部が認められているから他の部とかけもちしてる部員もいる。それどころか
ちなみにそのふたつのクラブの活動内容にどんな違いがあるのか僕は知らない。さらには心霊研究部なんてものもあるが、本当に何が違うのだろうか。
とまあ八墓や円谷は他のクラブとの兼ね合いで練習が出来ないのも仕方ないと思えるのだが、練習の中止を言い渡した本人である月村先輩はサッカー部一本だったはずだ。
「どうした? 何か言いたいことがあるようだな、紫藤」
不満が顔に出てしまっていたことに月村先輩に指摘されてやっと気づいた。
「もうちょっとやる気を持ってくれてたらって思って。でもそうなってしまう理由も分かりますし……」
理由について言い始めたら、僕に先輩達を非難する権利はないんだけど。
「今月の練習試合の数はゼロだもんな。やる気も出ねぇよ」
サッカー部の予定が書かれたホワイトボードを指さして魔界先輩が言う。
そう、試合が全くないのだ。
遠くの学校から練習試合を申し込まれるということがなくなったのに始まり、監督が試合を申し込んでも断られ、さらには定期的に練習試合を組んでいた近隣の北斗星学園や古墳中学も試合を断るようになってしまった。
監督はこの原因を呪いの噂のせいだと考えていた。
尾刈斗の必殺タクティクス、ゴーストロック。選手の動きを完全に封じてしまうという強力なこの技がその原理も分からないまま噂だけが広がっていき、尾刈斗と試合をすると呪いがかかるという噂になってしまったのだ。
でも実のところその噂を率先して流していたのは他ならぬ尾刈斗中である。ゴーストロックの正体が催眠術であるという事実を隠すために、呪いの噂はうってつけだったわけだ。
調子に乗って噂を広めすぎたせいでどこも試合をしてくれないのかもしれない、と監督は言っていた。
でも、それだと既に互いの手の内を知っているはずの北斗星学園や古墳中学も試合をしてくれなくなった理由にはならない。彼らはゴーストロックの正体なんてもう7年も前から知っているらしいし。
ひとつ仮説がある。その仮説はこの事態を完璧に説明できる。僕としてはあんまり信じたくはないものだけど。
嫌がらせ。中学サッカー協会副会長から僕に対する嫌がらせだとしたら、全て辻褄は合う。
僕が夕香ちゃんを助けたことはとっくに影山の耳に届いているだろう。逆に今まで僕に何もしてこなかったことが奇跡なくらいだ。それに影山なら圧力をかけて試合を白紙にさせることくらい容易だ。
もしそうだとしたら、僕はみんなに大きな迷惑をかけてしまったことになる。
「じゃあ僕は1人で練習します」
試合ができない本当の理由がなんなのかなんて知らないけど、今の僕にできることは強くなることしかないから。
かごからサッカーボールを1つ手に取ってグラウンドへ向かった。1人でだってできる練習はたくさんある。神成FCと前世と、記憶を漁ってちょうどいいのは何かと考える。
「僕も混ぜてもらっていいかな」
練習は無くなったにも関わらずまだ部室に残っていた三途が僕の練習に加わってくれるらしい。
「後輩が頑張るって言ってんのなら、オレたち先輩もやらないわけには行かないよなぁ」
「ったく、仕方ねえな」
結局月村先輩や魔界先輩も一緒に4人で練習することになった。
「月村、魔界の住人である俺と合体技を組んでみないか?」
「おお、合体シュートか! いいぜ、やってやるぜ!」
「シュート技とは言ってねえって。やりたいのは合体ドリブル技だよシュート馬鹿」
「誰がシュート馬鹿だって? オレだってマジックとかドリブル技ちょっとは使えますー」
喧嘩するほど仲がいい先輩2人は合体ドリブル技に挑戦するらしい。
「紫藤、ちょっとお願いがあるんだけど……」
「三途も合体技をしてみたいの?」
「ううん、そうじゃなくて使いたい技があるんだ。イリュージョンボール、僕にも教えてくれないかな?」
「もちろん!」
最近教える立場に立つことが多い気がする。僕はそんな大それた人間じゃないんだけど。
勉強でもスポーツでも、教えるには理解を深める必要がある。これもきっと僕のレベルアップに繋がるだろう。
そんなこんなで4人で練習を続けていると、
「やっぱり皆さんやってますね」
多呂斗先輩と
「お、多呂斗!お前も混じるか?」
「そのつもりですよ。教室で占ったときは今日の部活はなしって結果でしたが、黒研の部室でもう一回占ったら練習はしてるっていう結果が出ました。それで後輩の黒上を連れてやって来ました」
「他の部のみんなにも練習やってることを伝えておいたので、いっぱいやってくるかもしれません」
タロット占いの結果だけで自信をもって他人に情報を知らせられるのはさすが先輩といったところだろう。
「うがー! やっぱりやってたー」
「帰ってきて正解だったアル」
「アンビリーバボー! さすが多呂斗パイセン、アメイジング!」
「ぐふ……先輩の占いは百発百中……ぐふふっ……」
占いなんて非科学的な、今までの僕ならそう言っていたかもしれない。でも理科の先生が言っていたように、科学が全てってわけじゃないらしいことを僕はこの学校で学んだ。
そもそも必殺技っていう超次元かつ非科学的なものを使ってるくせに何を今更って話だけど。三途に必殺技を教えているという現状を俯瞰し、自分で自分にツッコんでおく。
それにしても、多呂斗先輩の占いはほんとによく当たる。外れることはないのだろうか。
「僕だってタロットを読み違えることくらいありますよ」
(心を読まれてる?!)
一瞬びっくりしたけど、今の発言は屍の百発百中って言葉に対して答えただけだろう。
いくら先輩でもさすがに心の中まで見通せるはずがない。
「僕にできることはタロットを読むだけで、何もかも見通せるわけではありませんから」
ほんとに心を読んだりしてないよね?ね?
既に帰ってしまった人もいるらしいけど、かなり多くの部員がこのグラウンドに戻ってきた。
みんなが来るタイミングがバラバラだったこともあって、各々が必殺技を強化しようと練習することになった。
こうやってみんなが集まってきて練習する流れは神成FCを思い出す。それに、あいつらのことも。
なんだかんだ言って先輩達もサッカー好きじゃんか。
そう思うと、なぜだか少し気が楽になった。
☆☆☆
6時まで練習を続けたあと、僕は自転車で家まで帰った。友達にはバス通学の人も多いけど、我が家はお金がないので自転車で我慢している。
「ただいまー」
「幻斗、おかえりなさい。ついさっきお友達から電話が来てたわよ。どうしても話したいことがあるんだって」
どうしても話したいこと? それってなんだろうか。
その友達が誰なのかってのは見当がついているからこちらからかけ直す。
「もしもし、話したいことって?」
「長話は許されていないから単刀直入に言うよ――
書き忘れていたこと
尾刈斗のオリキャラはほぼ全員が3年生、つまり原作時点で高校生となっている人達です。例外は多呂斗占だけです。
色々と考えてたキャラクターはあったのですが、オリキャラを出しすぎるのは良くない気がしたので一言二言の説明だけでほとんどが退場になってしまいました。
ところで、尾刈斗に対してどの程度知識がありますか?
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正直誰も分からない
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主要な数人は顔が分かる
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アニメに登場した範囲で顔と名前は一致する
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ベンチメンバーまで全部完璧に分かる