イナズマイレブン 二回目は好きな物から逃げずに。   作:ウツマ

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入学編
入学式(全てが変わった日)


 入学式だ。

 

 小学校ではなく中学校の入学式だ。おいおいもう中学生かよって思われるかもしれないけど、大切なのはテンポって誰かが言ってたからこれでいい。

 

 新入生は名前を呼ばれたら返事するだけで、あとは内容のない話を聞き流しておけばいい。だからその間に、僕が転生してからのことを振り返ってみよう。

 

 最初に話すべきは、あの日のことかな。

 

 

☆☆☆

 

 

 小学校一年生の6月。まだ僕がいろいろとひねくれていた時。

 

「何? 刃也(じんや)、話があるって」

 

 友達の野賀刃也(のが じんや)に、放課後少し話があると言われていた。

 

 一度義務教育を終了した身である僕にとって小学校のお勉強はどう考えても退屈だった。多分先生達には「天才」として認識されていたんだろうけど、クラスでは浮いていた。僕自身、小学生と関わる気になれなかったからだ。

そんな中僕に近づいてきた人がいた。それが刃也だった。

 

「今日の授業寝てたでしょ、もう6月なんだから春眠暁を覚えずなんて言ってられないよ」

 

 刃也はそれこそ「天才」だった。父親が教育者だとかで書斎の本を読みふけり、小学一年生とは思えない知識を有していた。

 とても小学生だとは思えなくて、刃也も転生者じゃないのかと最初は疑ったくらいだ。(未来の流行語や作品を言っても反応しなかったし、多分某少年探偵団の光彦並に頭のいい小学一年生なんだと思う)

 

「そりゃ数字の書き取りなんて退屈だっただけで……そんな話をしにきたわけじゃないよね?」

 

「単刀直入に言うよ。幻斗(げんと)、サッカーする気は無い?」

 

 単刀直入なんて小学一年生が使わねえよ。

 

 

☆☆☆

 

 

 そろそろ名前が呼ばれる頃合だ。

 

紫藤幻斗(しとう げんと)

「はい!」

 

 紫藤幻斗。それが今世での僕の名前だ。

 

 

☆☆☆

 

 

 どうやら、近所のサッカークラブに一緒に入らないか、という話らしい。でも刃也にはサッカーが僕の一番嫌いなスポーツだと伝えたことがあったはずだ。

 

「僕はサッカーが嫌いって前に言ったよね?」

 

「うん、聞いた。でも体育の授業でサッカーやったとき、幻斗ちょっとリフティングしてたよね?」

 

 授業でサッカーボールを触ったとき、前世でのサッカー経験があればこの世界でも有利にサッカーを始められるかもしれない、なんて考えがよぎった。ただ、そう簡単な話ではなかった。

 

「それくらい光島や奥村もできてたでしょ」

 

 僕は他にサッカーボールで遊んでいた人の名前を挙げた。不思議なことにこの世界ではリフティングは素人でもできる技術らしい。僕が前世で積み上げてきた技術はこの世界においてなんのアドバンテージにもならなかった。僕は落胆した。

 

「僕はサッカーをやるつもりはない」

 

 そう言って僕は教室から去った。

 

「すぐに返事を貰えるとは思ってないから。次学校来るときまでに考えておいて」

 

 強く否定したにもかかわらず、刃也はまだ諦めていないようだった。

 

 

☆☆☆

 

 

「――ですから、まだこの学校はできてから10年しかたっていません。周辺の学校に比べても歴史が浅く――」

 

 校長の話はまだまだ続きそうだ。

 

 僕がもしこの世界でサッカーをすることになるとしたら、もっと重要な人によってサッカーを始めることになるんじゃないかと思っていた。例えば、どこかでこの世界の主人公に出会って、僕がもう一度サッカーをすることを許してくれるんじゃないか、なんて少し期待していた。

 

 でも僕を助けてくれたのは原作では登場すらしていない刃也で、僕は自分の思っている以上にサッカーが好きだった。

 

 

☆☆☆

 

 

 刃也から話を持ちかけられたのはちょうど金曜日で、返事を考える時間は十分にあった。

 

 土曜日の朝、家を抜け出して隣町の稲妻町まで向かった。自転車もない小学一年生にとっては長い道のりだったけど、そこに答えがあるような気がした。

 

 稲妻町のシンボルである鉄塔にたどり着くと、そこに期待していた人はいなかった。だけど、鉄塔の上から見える稲妻町の景色はとても綺麗だった。

 

 

☆☆☆

 

 

「幻斗、考えは変わった?」

 

 週末が明けた月曜日、再び刃也に聞かれた。

 

「僕、サッカーするよ」

 

 結局僕の悩みや後悔なんて、大したものでもなかった。こうやって「サッカーしよう」って言われただけで揺らぐなんて、ずっと僕はサッカーがしたかったらしい。

 

 刃也はどうして僕を誘ってくれたのだろうか。サッカークラブの人に「ぜひお友達もご一緒に」と言われただけなのかもしれないし、あるいは、サッカーが大好きな僕の本心を見透かしてたのかもしれない。

 

 

☆☆☆

 

 

「――皆さんはまだ子供です。ですから私たち教師が皆さんを正しく導く――」

 

 ここの校長はかなり話が長い。まだまだ終わらなさそうだ。

 

 なんやかんやあって僕はこの世界でもサッカーをすることになった。このときはまだトラウマを全部克服できたって訳でもないけど、刃也のおかげで大きく前進できたと思ってる。

 

 刃也も今日が入学式だっけ? 帝国学園の入学式はどんな感じだ? 総帥の話は長いのか短いのか、後で聞かせて欲しいな。




〈登場人物〉
・紫藤幻斗(しとう げんと)
主人公。サッカーなんて嫌いだとか言っていたが、すぐにサッカーを始めるツンデレ(?)

・野賀刃也(のが じんや)
めちゃくちゃ頭のいい友達。紫藤をサッカーに誘う。帝国学園に進学

ところで、尾刈斗に対してどの程度知識がありますか?

  • 正直誰も分からない
  • 主要な数人は顔が分かる
  • アニメに登場した範囲で顔と名前は一致する
  • ベンチメンバーまで全部完璧に分かる
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