イナズマイレブン 二回目は好きな物から逃げずに。   作:ウツマ

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 最後の新キャラ登場です。大昔紫藤幻斗小学生編を書いていたときの主要キャラの1人だったんですが、今まで出すタイミングがなくて出せなかった子です。一応3話くらいに名前だけ出てますが。
 別にそのまま使わなくても良かったんですが、今後もいい感じに動いてくれそうなのと、こっちの方が華があるかなということで出してみました。
 これ以上オリキャラが増えることはないはずです。


ヴァイオリニストと助っ人

「何してるの?」

 

「フランクフルト食べてる」

 

「見れば分かる。ていうか勝手に食べていいの?」

 

「焼いてる途中にサッカーしに行くやつらが悪い」

 

「じゃあそのうち1本ちょうだい」

 

 言われた通りフランクフルトを1本渡す。

「150円になります」

 

「既に円堂君からお金取ってるでしょ」

 

「バレたか。っていうか心音(ここね)って円堂と知り合いなんだ」

 

「そりゃ同じ学校に行ってるんだから知り合いでもいいでしょ。それよりあなたが円堂君と知り合いだったことのほうがびっくりよ。しかも小学校のころから交流があっただなんて」

 

「たまたま鉄塔で知り合ったんだよ」

 

 今話しているのは奏ヶ原心音(かなでがはら ここね)、神成FC時代のチームメイトだ。小さい頃からずっとヴァイオリンをやっていたそうで、サッカーとヴァイオリンの両方の練習で毎日忙しそうだった。

 女子サッカー部なんて近くにはなかったため、中学は雷門でヴァイオリンに専念すると言っていた。

 

「昔から秘密主義者だったもんね。幻斗は」

 

「そうかな?」

 僕の人生はずっと秘密まみれだから、否定はできない。

 

「刃也もよく言ってたよ。幻斗は秘密を抱えすぎだって」

 

 僕と刃也と心音は、それこそ仲良し3人組だった。ハリーとロンとハーマイオニーみたいな、そんな感じ。心音もすごく賢く大人びた奴で、刃也と2人が話していると僕はついていくだけでやっとだった。僕って元高校生のはずなのに。

 3人で一緒に雷門中に行こうって約束もしていた。だけど僕は金銭的な事情から雷門ではなく尾刈斗に行くことになって、刃也は影山や帝国の秘密を調査するために帝国に進学して、雷門に行ったのは心音だけだった。なんだか心音を裏切ってしまったような気がして、僕はしばらく彼女と連絡が取れずにいた。

 

「刃也も来たら良かったのにね」

 

「帝国学園は全寮制で基本的に外出禁止なんだよ」

 

「そっか、それなら仕方ないね。私はてっきり、影山の目を恐れてるのかなって思っちゃったよ」

 

「えっ……」

 

 僕は返答に窮する。こんな不意打ちにあって、ポーカーフェイスで誤魔化すなんてことはできなかった。

 心音には、影山との因縁は何も話したことはなかったはずだ。そもそもこの話は刃也の他に誰にも聞かれないようにしていた。

 

「私が耳が良いのは知ってるでしょ?」

 

 確かに心音は幼い頃から音楽漬けだったおかげか、凄く耳がよかった。そして何より、些細な変化にすぐに気づく人だった。

 

「小学校の最後のほう、幻斗と刃也は2人で隠れていろいろ話してたでしょ。影山って男について。2人は一体何をしてるの?」

 

「……何も言えない」

 心音はいつも冷静に周りを見て、正しい判断をしてくれる人だ。僕の仲間になってくれたら心強いだろう。だけど、無関係な人間を影山との因縁に関わらせるわけにはいかなかった。

 

「そっか。それならひとつだけ約束して」

 

「うん」

 

「自分達の身を一番大事にして。危険だと思ったらすぐに身を引いて」

 

「分かった、約束する」

 

 今度は努めて冷静に、ポーカーフェイスを保ちながら言うことができた。

 

 

 今の僕の言葉を心音はどう受けとったのかは分からない。でも心音が僕の嘘を信じても信じなくても、僕がすることは変わらない。

 

 

「ただ、刃也と幻斗が仲が良かったってのは確実に知られてると思うよ」

 

 少なくとも今も繋がってるってことはバレてないと思う。……多分。

 夕香ちゃんを助けた件で尾刈斗に試合をさせないように地木流に命じるという雑な嫌がらせで済んでいるのは、ただの偶然に過ぎなかったと思われているから。刃也経由で情報が漏れていた(実際は原作知識だけど)のだと影山が疑っていたのなら、僕も刃也も今頃無事じゃないだろう。ていうかバレてないと信じるしかない。

 

「6月だったかな、私のもとに電話が来たの。小学校時代のあなたの様子について詳しく聞かれた。尾刈斗のサッカー部監督だって言ってたけど絶対ウソ。だってジキルなんて名前明らかに偽名っぽいし」

 

 偽名っぽいって言われてることに不意に笑いそうになった。偽名なのは大正解なんだけどさ。自分だって奏ヶ原って変な名前してるじゃん。

 

「地木流監督はほんとにいるよ。監督とはちょっといざこざがあって……でももう解決したから大丈夫!」

 

「そう、なら良かった。無理して声色を変えていたような気もしたんだけど、気のせいだったかも。

 はい、この話題終わり! 文化祭を楽しみましょ」

 

 一旦話題は落ち着いた。

 

 

 

 フランクフルトも食べ終えて、そろそろ奇術同好会のマジックショーでも見に行こうかなと心音が言ったとき、放送が入った。

 

『えー尾刈斗祭をお楽しみの皆さん、突然のイベント連絡があります。何故か、本当に何故なのか、ただ今よりグラウンドでサッカーの試合が行われるようです。興味のある方はいらしてください。

 それからサッカー部への連絡です。今時間のある鉈以外のサッカー部員はグラウンドに来てください。レベルの高い選手が来てくださっています、いい経験になるでしょう』

 

 

「絶対円堂のせいじゃん」

「円堂君ならやりかねないね」

 

 僕と心音の円堂に対する認識は完全に一致していた。

 

 

「レベルの高い選手って修也のことだよね。円堂のせいで監督も困惑してるのが分かるよ。

 僕がこの場を離れるとフランクフルト焼く人が誰もいなくなるのは気がかりだけど……修也とサッカーするのことの方が大切! グラウンドに行ってくる」

 

「って、え?」

 

「1人で焼いてそこそこ売上上げたんだからもういいでしょ。それとも心音が代わりに焼いてくれる?」

 

「いやその話じゃなくて……ていうか焼かないわよ。私も試合気になるし」

 

「マジックショーはいいの?」

 

「中学生のマジックなんてきっと大したことないって。それよりもあなたと円堂君の試合を見る方が楽しみよ。ちょっと確かめたいこともあるしね。

 さあ、行きましょう!」

 

 

☆☆☆

 

 

 グラウンドに着くと、円堂達や豪炎寺兄妹、3年生を含む尾刈斗サッカー部が好き勝手にボールを蹴っていた。

 

 

「引退してから全然ボールを触ってなかったからねえ」

「俺あの日の帝国戦が最後かも。マジで」

「先輩の底力、見せないト」

 

 引退した先輩達とまたサッカーができるっていうのはやっぱり嬉しいな。

 

 

 

「お、紫藤も来たか!」

「月村先輩、なんなんですかこれは」

 

 お母様特製の着ぐるみを被り、先輩はついに完全に狼になってしまったようだ。

 

「部室で魔界と不乱とゲー…休憩してたらな、そこのバンダナのやつが『今からサッカーするんでグラウンド貸してください!』って頭下げてきたんだ」

「やっぱり円堂の仕業ですか」

 他校のグラウンドを使おうと突然頼み込みに来るとか円堂クオリティ。

 呆れた気持ちで円堂の方を見ると、円堂は最高に楽しそうな様子で手を振ってきた。

 

「そんでせっかくなら尾刈斗サッカー部も一緒にサッカーしようぜって、オレが」

「先輩が言い出したんですか」

「ああ、楽しそうだろ?」

 先輩にも呆れを込めて見つめてみるが、お母様の技量が非常に高いということしか分からなかった。

 

 それにしても円堂と月村先輩は案外似たもの同士なのかもしれない。

 

 

 そうこう話しているうちに、サッカー部のメンツがチラホラと集まってきた。

 

 吸血鬼、フランケンシュタイン、ミイラ男、ゾンビ、チャッキー人形、幽霊、魔法使い……尾刈斗の中でも特にやる気の高いサッカー部員が集まったことで、まるで渋谷かと錯覚するような仮装大会になっていた。一部普段通りな気もするが。

 

 魔女姿(魔法使い姿ではなく)の多呂斗先輩もグラウンドにやってきたが、「黒研の黒魔術実演に客が思いの外たくさん来てしまったようなので、黒上君のサポートに行ってきます」と言って帰っていった。

 どうしてここから理科室の様子が分かるのかはもうツッコまない。あ、理科室ってのは黒魔術研究部の活動場所ね。

 

 

「皆さん集まってきましたね。文化祭の最中に呼び出して申し訳ありませんが、臨時の部活動とします。もちろんシフトや他の人との用事がある人は無理しなくても結構ですからね」

 

「えっと、あなたがサッカー部監督のジキルさんですか?」

「ええ、その通り私が地木流灰人です。変な名前でしょう?」

 地木流という名前の人が実在する(偽名だけど)ことは心音も分かってくれたみたいだ。

 

 

「月村君とそこの円堂君という子に押されて企画に許可を出してしまいましたが……本当に良いんですか、豪炎寺君? 君はただ妹さんと遊びに来ただけのようですが」

 

「俺だってほんとは乗り気じゃないんだが、妹がどうしてもって言うんで」

 

 夕香ちゃんの「お兄ちゃん頑張って!」の一言ですっかり乗り気になっている様子の修也。チョロい。

 

 

「ではまあ試合を始めようと思うんですが、どうします?」

 

 

「私はもちろんパスよ。こんなドレスを着たままサッカー出来ないし。というか皆さんその仮装のままサッカーするつもり?」

 

「仮装をしていると……視界が遮られる。それに怖い……。だから……いつも通りの姿でサッカーをしましょう。着るものは何かしら部室にあるはずです……」

 

 心音と木乃伊の言葉で一旦着替えタイムが始まる。ちなみに僕はフランクフルトを食べるときにかぼちゃを脱いで、そのまま出店に置きっぱだから普通に素顔だ。

 

 みんないつも通りの姿に戻って(筒井先輩の4時間のメイクも剥がされた)、やっとチーム分けができるようになった。

 

「あの、あなた自身はそれ(ほど)かないんですか?」

「これが……いつも通り」

 

 まさかの返答に心音は固まる。そりゃ全身包帯が標準装備だなんて思わないよね。

 

 

 これでやっとこさチーム分けが始められる。

 

 今ここにいるのは、円堂風丸半田影野で雷門組が4人。3年生の先輩達が道化先輩と筒井先輩と堀田先輩で3人。2年生がさっき帰った多呂斗先輩以外で4人。1年生はえーっと、鉈と黒上と円谷がいないのかな? てことは8人だ。

 最後に修也を加えて20人。どうせならあと2人欲しかったが、奇数になるよりはマシだ。

 

 

「おっ、間に合ったか?」

「面白そうだからボク達も混ぜてよね」

 

 最高のタイミングで助っ人参戦だ。

 

「おおっ! 染岡、マックス、来てくれたのか!」

 

 雷門サッカー部全員集合。せっかくなら木野も来たら良かったのに。

 

「全く知らない番号から電話がかかってきたかと思えば今から尾刈斗で練習試合があるって、ほんと飽きさせないよね」

「で、日本一のストライカーってのはどこのどいつだ?」

 

「それは多分俺のことだ」

 

 自覚はあるのか、修也が名乗りあげる。

 本当ならばチームメイトでライバルになるはずだった2人の邂逅。この世界ではきっと起こりえない未来だけど。




〈登場人物〉
・奏ヶ原心音(かなでがはら ここね)
小学生時代の幻斗のチームメイトで、刃也と3人で雷文中に行こうと約束していた。ヴァイオリンが得意

 窓傍(まどはた)君という、哲学的な言い回しが好きなキャラクターが今思いついたんですが、今更ねじ込む場所がありません。もう少し早く思いついていたら先輩の枠のどこかに入れたのに。
 誕生日じゃない日を祝うような子です。
 多呂斗(たろと)みたいな恐ろしいほどの当て字と比べるとまだなかなかセンスがあると思ったんですがいかがでしょう。

ところで、尾刈斗に対してどの程度知識がありますか?

  • 正直誰も分からない
  • 主要な数人は顔が分かる
  • アニメに登場した範囲で顔と名前は一致する
  • ベンチメンバーまで全部完璧に分かる
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