イナズマイレブン 二回目は好きな物から逃げずに。   作:ウツマ

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デジャヴ

 円堂が監督に頼み込んだついでに職員室の電話を借り、染岡とマックスをここまで呼び込んだらしい。

 家にいたのに急に電話で呼び出され、急いでバスに乗って来てくれた2人には感謝だ。

 

 おかげで22人がピッタリ揃った。まさか、多呂斗先輩はこれを予期していたとでもいうのか……

 

 色々と話し合って、チーム分けはこんなふうになった。

 

 

Aチーム

 

--染岡--堀田--

-半田-松野-筒井-

--風丸--道化--

----紫藤----

--影野--三途--

----円堂----

 

Bチーム

 

-武羅渡--豪炎寺-

--月村--人形--

----魔界----

--八墓--木乃伊-

-霊幻-不乱-屍--

----不死----

 

 

 道化先輩達がせっかくなら成長した後輩達と戦いたいと言い出して、円堂は修也のシュートを止めたいから別チームにしてくれと言い出して、色々妥協点を探した結果だ。僕はいいんだけど三途は親しくない雷門組のチームに放り込んでしまって申し訳ない。

 

 

「まだサッカー部は人が足りないから、こうやって試合すんの初めてだけど一緒に頑張ろうな」

 

「初めて……? ああそっか、初めてだもんね」

 そういえば円堂は対プロトコルオメガの記憶がないんだった。

 

「うーん、なんかこんな会話を紫藤としたような記憶があるんだけどなあ。思い出せないや」

 

「それデジャヴってやつだよ。多分」

 

 

 

 Bチームの方が強そうとのことでキックオフは僕達Aチームから。放送のおかげか、ギャラリーもちょいちょい集まってきている。

 

 僕達Aチームには優秀なドリブラーが揃っている。いかにして相手にボールを渡さないかが重要だ。

 陣内でボールを回しながら攻撃の隙を窺う。先輩達と雷門組は初対面だから、ボールのやりとりでコミュニケーションを取らなきゃいけない。

 

 それにしても雷門は前見たときよりもみんな動きが良くなっている。毎日練習を頑張っているのがプレーのひとつひとつからよく分かる。影野はまだぎこちないけど、この雷門にいればきっと上手くなれるだろう。

 

 

「くそっ、ちょこまかとめんどくさいぜ。怨霊!」

「その技は地面にいなければ効果がないって知っていたかい?レッドバルーン

 

 魔界先輩が必殺技でボールを奪いに来たけど、道化先輩は必殺技で赤い風船を作り出し、ぷかぷかと宙を泳ぎ始めた。

 風船で空を飛ぶという非常にシンプルな技だけど、その汎用性は計り知れない。だって飛ぶんだよ? 跳ぶとかじゃなくて滞空できんだよ? 大介さんもびっくりの3次元移動だ。

 相手のゴール近くまで飛んでいって、上空からシュートなんてこともできる。今回は不死先輩に撃ち落とされるからやらないけど。

 

 

「止めるうがー! フランケン守タイン!」

 

 巨大な緑の怪物が空を飛ぶ道化先輩の前に立ちはだかる。さすがに分が悪いと判断したのか、ボールが僕に帰ってくる。

 空中からという滅多にない角度からのパスをなんとかトラップし、緑の巨体の突破方法を考える。

 

(不乱先輩は単純なところがあるから……久しぶりにアレ、使えるかもしれない)

 

「……残像

 

 

 フランケンが僕の残像に拳を振り下ろしている間に、こっそりと脇を駆け抜ける。

 イリュージョンボールに続いて幻影系の技として練習したらあっさりと習得したけど、大抵の場面でイリュージョンボールの下位互換で使い道のなかった残像が久しぶりに役に立った。

 

 霊幻の怨霊が僕の足元に届く前に、堀田先輩にパスで流す。

 

 

「先輩の威厳を見せてあげるヨ、ポルターガイスト

 

 不死先輩の歪む空間を警戒してか、目を閉じたままシュートを放つ。対する不死先輩は歪む空間が効果を為さないことに気づき、別の必殺技に切り替える。

 

ロケットこぶし

 

 堀田先輩のシュート技は不思議な軌道を描き、オレンジの拳を避けていくようにゴールに吸い込まれていった。

 

 Aチーム先制点。

 

 

「お前目瞑っててもそんなこと出来んのかよ」

「実は薄目を開けてたからネ」

「ずっるいな。先輩の威厳の欠片もないぞ」

 

 

 ちなみにだけど、円堂や染岡達も尾刈斗の手の内を全部知っている。口の軽いどっかの誰かがペラペラと喋ったらしい。さらにちなみにだけど、そのどっかの誰かとは僕のことである。

 

 

 

 さて、Bチームのボールで試合が再開。さっきまでは相手にボールを1度も渡すことなくという最高の立ち回りができていたけど、ここからはそう圧倒的な試合運びができるとは思えない。

 Bチームは攻撃陣が桁違いに強いのだ。人形に武羅渡に月村先輩、そして修也がいる。

 FF以降サッカーの練習なんてしていたはずがなかった原作でも、源田から見事点を奪ってみせた男である。この間の帝国戦で、中1の源田にあっさりと必殺シュートを止められた堀田先輩とは申し訳ないけど格が違う。

 

 

 ボールを貰うと単身で駆け出す修也。僕達程度の守備は歯牙にもかけないようだ。

 

「どんだけ強いストライカーか知らねえが、止めてやる。クイックドロウ!」

「俺だって! クイックドロウ

「ボクもクイックドロウ

「俺もだ、クイックドロウ

 

 染岡、半田、マックス、風丸による衝撃の4連続クイックドロウも、修也はひょいひょいと全部避けてしまった。

 

「あれ必殺技も使わずに全部避けるってマジかよ」

「さすが日本一のストライカー。レベルが違うねえ」

 

 修也もクイックドロウを使えるからそれでボールを奪うのは難しいよって助言しておけばこんなことにはならなかったのに。この4連続のスカは僕の脳内珍プレー集フォルダに保存しておいた。

 

「それじゃあ僕は、ファントムミストからの〜クイックドロウ!」

ヒートタックル

 

 このファントムミストという技は10年後の霧野の技を真似て作ってみたんだけど、霧を無視して走れば簡単に突破できるという欠陥が発見されて(事実霧野もそうやって突破されてたよね)、使いにくさはあった。でもクイックドロウと組み合わせることで確実にボールを取れるってコンボができる。はずなんだけど……見事に焼かれました。

 これでクイックドロウ失敗記録は5連続に更新されたね。

 

 三途の怨霊も跳んで回避し、何も出来ずにいる影野の横を素早く抜き去り、修也は遂に円堂と一対一になる。

 

ファイアトルネード

「来い! ゴッドハンド

 

 炎を纏ったシュートが円堂の黄金の手にぶつかる。少しの間持ちこたえるも、ボールの炎とパワーを消し去るには至らずゴール内に押し込まれてしまう。

 決められた。

 

「円堂のゴッドハンドを破った……」

 風丸が呆然とするのも無理はない。実際ゴッドハンドはFFでも充分通用するほどの強力な必殺技だ。円堂は不死先輩と同じかそれ以上に強いと僕はみんなに説明したけど、その説明もやはり間違ってないと思う。

 ただ、修也が強すぎたのだ。

 

「豪炎寺すっげぇな! まだ手がジンジンするぜ」

 ゴールを決められた本人の円堂はすごく楽しそうにしているけど。

 

 

 とりあえず、修也はヤバい。マジでヤバい。絶対にボールを渡してはならない。一応影野には修也をマークしておくようにと伝えておこう。どれだけ効果があるか分からないけど。

 持っているボールをどれだけ保持し続けられるか。最初と同じ状況だ。

 またパス回しで攻撃のタイミングを窺っているが、さっきよりもボールの動かしづらさを感じる。魔界先輩の指示なのか、選手がみな嫌な位置にいる。なかなか前線へと運べない。

 

 

「悪夢は如何? ナイトメアロード

 

 夢の中で追いかけてくるなにかから逃げるため全力で走ろうとするけど、何故か走れない。なんて経験をしたことある人は多いと思う。一説によると脳が変化する背景の処理が追いつかないから速い移動はできないんだとかなんとか。そんな現象を再現することができるのがこの必殺技だ。

 必殺技の発動とともに暗い紫の液体のようななにかが地面に広がり、その液体で舗装された地面の上にいる選手は走ることができなくなってしまう。走ろうとしても足がうまく動かずもつれてしまう。なんとか走ろうと思って走るという行為を意識すればするほど、さらに走れなくなるという素晴らしい設計をしている。

 お察しの通り、尾刈斗の例に漏れず催眠術の一種。だから目を閉じるだけで簡単に防げてしまうんだけどね。

 

 けれども、視界を封じてボールを奪えるほど筒井先輩は甘いはずがない。

 しっかりヒールリフトを決めて、目を瞑っていた月村先輩を抜き去る。かっこいいよ、威厳が溢れてるよ、筒井先輩。

 そこからさらに筒井先輩と道化先輩のひとりじゃないワンツーで魔界先輩を抜き去り、どんどん進んでいく。

 

 ボールはまたしても堀田先輩に繋がり、目を閉じているのか薄目を開けているのか分からない状態でシュート体制に移る。そしてその目の前に飛び出すのは屍。

「もういちド……ポルターガイスト

 

「いつまでも俺が何もできないと思うな!タフネスブロック!」

キラーブレード

 

 体を張ったシュートブロックで威力が大きく削がれたシュートをキラーブレードで危なげなく止める。タフネスブロックはキーパー技ってことになってるけど、手を使わないからキーパー以外が使ったっていい。屍は体が丈夫だから合っているかもしれないと僕が提案したのだ。

 

「ぐふふっ……俺、活躍できた」

 堀田先輩のシュートが止められてしまったわけだけど、屍の活躍にちょっと嬉しく感じてもいる。

 

 ってそんなこと考えてる暇はない。止められたってことは相手のカウンターチャンスだ。

 

 真っ二つに切断されたはずのボールはいつの間にか元に戻って、ゴールキックで一気に前線の修也にまで届いてしまう。

 不死先輩の強みはなんといってもその正確性で、ロケットこぶしで狙った場所にボールを弾けるのが特技だ。そしてもちろんゴールキックはそれ以上に正確。

 空中でトラップした修也はそのまま空中で人形にパス。さらに魔界先輩、月村先輩へと素早くパスが繋がっていく。

 

 

「行くぜ! 地獄車!」

 

 月村先輩と魔界先輩がボールを挟んでぐるぐると回転して突進してくる。クイックドロウとかを使おうとしても簡単にぶっ飛ばされてしまうから、止めるのは簡単じゃない。

 唯一方法があるとすれば、全力でぶつかりに行って全力でぶっとんでファウルをアピールすることなんだけど……今回は無審判でやってるから無理だね。そもそもこの世界のファウルの基準未だによく分からないし。

 

 必殺技が終了してから普通のドリブルに切り替わるまでの流れもスムーズで全く隙がない。月村先輩と魔界先輩の同学年コンビの信頼関係がなせる技だね。

 

 

 豪炎寺にボールが渡る前になんとか止めないと。

ファントムミスト!」

 

 いつものように真っ黒な霧じゃなくて薄い灰色の霧が出てきた。

 

「さっき2連で必殺技を使っちゃったせいで不完全な発動になっちゃったなあ」

 

「こんな薄い霧無いのと変わんねえよ! ってえ?」

 ちょっと棒読みが過ぎたかもしれない。でも、ちゃんと月村先輩は転けてくれた。

 

 今の薄い霧はブラフ。本命は下から這い寄る三途の必殺技、怨霊。

 ファントムミストを完全に使ってしまうと僕すらも何も見えなくなってしまうから、あえて薄く留めておく方が便利だったりもする。それにしても霧野は霧の中で一体どうやって状況を認識してたんだろうか。霧と感覚が共有してて空間を把握できるとか…? モラウ*1じゃあるまいし。

 

 霧の中意識外から怨霊に足を掴まれたらどんな人も転ばすにはいられない。

 僕と三途の同学年コンビもなかなかのもんでしょ?

*1
HUNTER × HUNTERの霧の能力者

ところで、尾刈斗に対してどの程度知識がありますか?

  • 正直誰も分からない
  • 主要な数人は顔が分かる
  • アニメに登場した範囲で顔と名前は一致する
  • ベンチメンバーまで全部完璧に分かる
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