イナズマイレブン 二回目は好きな物から逃げずに。   作:ウツマ

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愉快な文化祭

 結局、練習試合は引き分けに終わった。染岡の見事なシュートに最後の円堂のナイスセーブにとなかなかに凄い試合だっ。見に来てくれた人にも超次元サッカーの魅力が伝わったかと思う。

 終わったあと円堂と修也はかなり打ち解けて、楽しそうに話していた。

 

 一緒に文化祭回ろうぜ、と円堂が修也に提案したが、いろいろ事情があってもう帰らないといけないのだと修也は断った。後で訊くと、夕香ちゃんを心配したお父さんが外出時間に制限をかけていたらしい。

 

 

 結局午後は雷門のみんなと僕の8人の大所帯で文化祭を回った。

 

 「せっかく尾刈斗祭に来たんだしお化け屋敷に行かなくちゃ」と心音が言うので、まずはお化け屋敷に向かった。そんなに有名だとは思っていなかったけど、クオリティが高いことは保証する。お化け屋敷マニアで有名な百谷先輩が監修しているとかなんとか。

 日頃からお化けのようなやつらに囲まれてたからそこまで怖くはなかった。筒井先輩のフレディのほうがエグかったし。おかげで半田のように醜態を晒さずに済んだ。

 円堂や風丸、染岡も半田ほどじゃないけど怖がっているように見えた。染岡がビビってる様子を見られるのは貴重だね。マックスはかなり涼しい顔をしていて、影野はそもそもどんな顔をしているか分からなかった。

 そして言い出しっぺの心音は、みんなが怖がっている姿を楽しそうに見ていた。

 

 その次は奇術同好会のマジックショー午後の部。左手に注目して見ていたら、意外と簡単にタネは見抜けた。このマジシャンの技術はサッカーにも応用が効く。僕の仕事はたいてい右手になることだ。

 そのあとは黒研で黒上から黒魔術の手解きを受けたり、超研で円谷から宇宙人はいるのだと講義を受けたり、写真部で玉響先輩達が撮った心霊写真を眺めたり。みんなでワイワイと尾刈斗祭を満喫していた。

 

 時間の限り遊び尽くして、「そろそろ片付けを始めなきゃだから」と解散しようとしていたとき、監督から説教をくらってる最中の鉈に遭遇した。

 文化祭中どこを探してもいなかった鉈は、実は学校を抜け出してカラオケに行っていたらしい。

 本人は完全犯罪をやり遂げだつもりだったらしいが、教師達にはしっかりとバレていて、校門に戻ってきたところを捕まえられたのだという。

 抜け出したりしなければ、楽しい練習試合に立ち会えたというのに。もったいない。

 

 

☆☆☆

 

 

 文化祭が終わったあと、僕は心音と一緒に神成町までの帰り道を歩いていた。

 

 

「幻斗と2人っきりで静かに話ができるのは久しぶりね」

 

 そうだね、って感じに軽く相槌を打ちながら歩く。歩いている間は、何も言わなくても気まずくならないから気楽だ。何も言わなくても、“歩いてる”が残る。

 

「お父さんのこととか、ほとんど何も言わずに尾刈斗に行ってさ」

 

「それはごめん」

 

「刃也とは私を除け者になにか企てて」

 

「ごめんって」

 

 心音の言葉にただ謝ることしかできない。

 

 

 また会話が途切れる。2人はただ“歩いてる”をしているだけになった。言いたいことは言い尽くしたってわけじゃない。僕も、多分心音も、言いたいことはたくさんある。

 今日の思い出だってまだまだ語り尽くせていないし、尾刈斗でのフシギ体験とか、奇人エピソードとか、話題なんて無限にある。でも、それは今話すことじゃない気がする。

 

 そんなことを考えているうちに僕達は神成町に辿り着き、2人の道が別れる地点まで来た。

 

 

「ありがとうね。今日は楽しかった」

 

「僕も楽しかったよ」

 

 楽しかったってのはもちろん本心だ。雷門のみんな達と文化祭を回る時間は、何にも変えがたい楽しい時間だった。

 

「そういえば、あの電話監督さんじゃなかったよ」

 

「え?」

 

「電話の声と地木流さんの声、全然違った」

 

 心音のもとにかかってきたという、僕について尋ねる電話。監督本人のものだと僕は思っていたんだけど。

 地木流と名乗ったのが嘘なら、一体誰なんだ?

 

「じゃあ、誰の声?」

 

「そんなの知らないわよ」

 

「そっか」

 

 

「じゃあそういうことで、バイバイ」

 心音はそう言って家の方へ小走りで帰っていった。

 

 

「なんで最後になってそんな爆弾置いてくんだよ……」

 

 

☆☆☆

 

 

「――ってことがあってさ」

 

 ことのあらましを刃也に伝えた。今日は刃也との定期連絡の日だ。

 

 電話ではまず刃也が、「影山の金庫に泥棒が入ったとかで警備が厳重になった」と報告した。影山の金庫に泥棒だなんて自殺行為としか思えないが、犯人はまだ見つかっていないらしい。そのせいで全ての部屋に監視カメラが設置され、刃也のできることもかなり減ってしまいいい迷惑だ。

 

 

 心音への謎の電話の件について話を戻そう。

 

「心音がそういうのなら地木流ではないってのは間違いないんだろうが、謎だな」

 

「影山が探りを入れてきたんじゃないのかな」

 僕について調べようとするやつなんて影山以外に思いつかない。他に誰か喧嘩を売った覚えなんてないし。

 

「それは6月頃だと心音は言ったんだろ?」

 

「うん、確かにそう言ってた」

 

「それなら影山とは考えにくいな。その時点じゃ豪炎寺の妹の一件も起きていないから影山が幻斗を狙う理由がない。それに、そのときはまだ地木流は影山の手下だったはずだからわざわざ地木流の名を騙らなくとも本人が電話をかければいいはずだ」

 

「確かに」

 さすが刃也、非常に論理的な考えだ。僕は全く考えが回っていなかった。

 

 

「じゃああれは誰だったの?」

 

「皆目見当がつかないな」

 

 

 あの電話の主が誰だったのかは謎のまま、定期連絡は終わった。




次回伏線ハリハリしたあと、登場人物紹介をやっと作る予定です。オリキャラが予想外に増えすぎたのと、尾刈斗キャラの知名度が低いようだったので。

ところで、尾刈斗に対してどの程度知識がありますか?

  • 正直誰も分からない
  • 主要な数人は顔が分かる
  • アニメに登場した範囲で顔と名前は一致する
  • ベンチメンバーまで全部完璧に分かる
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