イナズマイレブン 二回目は好きな物から逃げずに。   作:ウツマ

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入学式(神成FC)

「――人という漢字はどういう成り立ちでできたか知っていますか?――」

 

 おい校長、それパクリじゃないか?

 

 校長はまだまだ話を続けるつもりらしいので、僕もまだまだ振り返ってみよう。

 

 

☆☆☆

 

 

 僕達が入ったサッカークラブは神成(かみなり)フットボールクラブ、通称神成FCだ。僕の通ってた神成小学校の校庭で主に活動しているらしい。神成町にあるから神成小学校、シンプルなネーミングだ。

 ちなみに某ネコ型ロボットの出てくる漫画で空き地の近くに住んでいてよく盆栽を壊されるおじさんの名前も神成さんだ。どうでもいい知識がまたひとつ増えたな。

 

 前世の経験があるはずなのに、神成FCの中でも僕は下から数えた方が早かった。けれども神成FCでのサッカーは苦じゃなかった。いつかあの夢見た世界、必殺技が自分のものになるかもしれないと思うと立ち止まっていられなかった。

 

 僕の学年で1番早く必殺技を覚えたのは、やっぱり刃也だった。覚えた必殺技は「キラースライド」。刃也曰く、まずは既存の必殺技を練習して、必殺技の感覚を掴む方が合理的とのこと。

 

 四年生になる頃にはチームメイトの大半は必殺技をいくつか覚え、オリジナルの必殺技の開発に取り掛かる人も増えていった。僕はみんなに置いていかれないように1人残って練習していたが、いつまで経っても必殺技の感覚は掴めなかった。

 

 仮説というほどのものではないが、必殺技の感覚が掴めない原因は僕の才能というより前世の記憶にあったのではないかと思う。この世界で生まれ超次元の存在を身近に感じてきた人達と違い、僕は一般次元で過ごしてきたためにまだ心のどこかで必殺技を信じきれていない部分があったのだろう。もっとも、この仮説はもう1人この世界に転生者が現れるまで証明は出来ないが。

 

 練習後に残って特訓する。いつの間にか刃也を含めて何人かが参加してくるようになった。

 

「これじゃ、いつまで経ってもみんなに追いつけないじゃん」

 

 ふと思い出すことがある。僕がイナズマイレブンに憧れてサッカーをしていた頃のことを。あのときも僕が居残りで特訓していたところにカケルとタクヤがやってきて、みんなで特訓することになっていたのだ。こうしてサッカーをしていると、蓋をしていたあの思い出も案外悪いものでもなかったと思えてくる。

 

 結局僕が必殺技を初披露するのは六年生のときになる。自分で言うのもなんだが、最高にかっこいいお披露目だった。

 

 

☆☆☆

 

 

「――この辺りに伝わる伝説ですが、ある日猟師が雉を捕まえようと――」

 

 この地域の言い伝えだ。貧しい猟師は狩りの途中美しい雉の神様に会う。慈悲深い雉の神様は自らの体の一部を猟師に差し出し、それを持ち帰った猟師の一家は途端に幸運に恵まれる。調子に乗ってしまった猟師はそれを使い商売をしようとして、神の怒りに触れる。ありきたりなストーリーだが、地名の由来になるほどよく知られている。

 

 昔話はだいたい何かしらのメッセージがあるが、この話は調子に乗るなってことなのだろうか。そういう意味では僕は猟師と同じことをしてしまったわけだ。新しい必殺技を覚えたからって調子に乗って、その危険性を何も分かっていなかった。

 

 

☆☆☆

 

 

 あれは最高にかっこいいお披露目だった。そして、最悪の出来事を引き起こすきっかけとなった。

 

 神成FCの中でも僕の学年はとりわけ強く、6年生でついに小学生サッカー大会の地区大会の決勝まで辿り着いた。決勝の相手は「ジュニアエンパイア」。決勝まで全て3点差以上の圧勝で決勝まで辿り着いている。その名前から分かるように天下の帝国学園のお抱えジュニアサッカーチームである。特に脅威なのはキャプテンで司令塔な鬼道有人だろう。他にもベンチには佐久間がいたり、他にも原作で見た顔がちらほら。唯一の救いはGKが源田ではないことか。

 

 僕は元から人より体力が少ない上、連戦が続いたため、前半はベンチからのスタートとなった。刃也と心音(ここね)の2人を中心としたディフェンスで攻撃を凌ぐも、鬼道の「イリュージョンボール」から寺門の「百列ショット」の流れで2失点を許してしまった。すぐにでも試合に出たかったが、出ても最後まで全力を出せずにお荷物になるのなら本末転倒だ。

 

 後半、ジュニアエンパイアからのボールで始まった。鬼道が攻め込んでくるが、僕を含め3人がかりで止めにかかる。刃也と心音には必殺技を使ってパスコースを防げるように少し回り込んでもらった。

 パスを封じられたこの状況で鬼道が打つ手はもちろん、

 

イリュージョンボール

 

 イリュージョンボールはボールを3つに分裂させ惑わせる必殺技だ。シンプルであるが気をつけなければ平衡感覚すら失ってしまう。しかし対策がないわけでもない。分裂したボールのうちどれが本物のボールであるのかさえ見抜くことさえできれば――

 

「これだっ!」

 

 僕は本物のボールを見つけ出し、鬼道からボールを奪った。彼らも「イリュージョンボール」が止められるとは思っていなかっただっただろうが、すぐに気を取り直して僕を止めにかかる。

 

 僕の必殺技。試合で使ったことは一度もないし、練習でもたまにしか成功していない。でも、僕は上手くいく気がした。

 

「だってさっき生で見たからね。イリュージョンボール

 

 さすがにそれは思いもよらなかったのだろう。混乱しているDFを抜き去り、GKの兵頭と向かい合う。

 

「くらえっ! 僕の新しい必殺シュート技」

 

 まあそんなものあるわけないんだけど。本命の後ろにいる光島(みつしま)にパスを出す。

 

シャインドライブ!」

 

 不意をつかれた強い光に対応できる人などいない。こうして僕たちはジュニアエンパイアから1点を取り返すことができた。

 

 ジュニアエンパイアも「イリュージョンボール」に頼らずに突破口を見出そうとするが、うちの固い守備に阻まれ、かといって「シャインドライブ」はもう一度通用するか怪しかった。試合は膠着状態となり、本来ならば前半を無失点で抑えこの1点を持って逃げ回る予定だったが、前半の失点が響き1-2で敗北してしまった。

 

 

☆☆☆

 

 

 負けたものの、僕はあのジュニアエンパイアから1点をとった立役者となったことに満足していた。もちろん必殺技「イリュージョンボール」を覚え、みんなの隣に立てたことにも。

 

 「イリュージョンボール」は鬼道の十八番だ。それは何より「イリュージョンボール」は対策が難しいからだ。鬼道は必殺技を使う度に本物のボールの位置を変えている。全く同じ動きに見えてもどのボールが本物かは分からない。僕が本物を見つけ出すことができたのは、毎日鬼道が「イリュージョンボール」を使う映像を見続けて練習していたからだろう。

 

 鬼道の「イリュージョンボール」を見破ることができる。それが何を意味するのかを深く考えていればこんなことにはならなかったのに。

 

「――皆さんは今日から尾刈斗中の生徒です。この学校でたくさんの楽しい思い出を作ってください」

 

 ほんと、どうしてこうなったんだろう?

ところで、尾刈斗に対してどの程度知識がありますか?

  • 正直誰も分からない
  • 主要な数人は顔が分かる
  • アニメに登場した範囲で顔と名前は一致する
  • ベンチメンバーまで全部完璧に分かる
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