イナズマイレブン 二回目は好きな物から逃げずに。   作:ウツマ

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ゴーストロック

 中学2年生に進級したということは、クラスも変わるわけで。今年は三途と同じクラスになれた。

 

 そういえば春休み明けのテストも返された。さすがに僕には簡単すぎたからほぼ満点だった。完全に満点でないことを恥ずべきなのかもしれないけど。

 「さっすがー」という視線を頂戴して得意な気分になるのは、本当に努力した人達に失礼かもしれない。そう思って冷静に振る舞うと、それもまた気どってるように見える。難しいね。

 

 

 火曜日に変わった心理学の授業を受け終えて、いつも通りサッカー部室へ向かう。そのついでに「ちょっと忙しいから遅れます。昨日に引き続きゴーストロックの練習を」と監督から伝言を貰った。

 

 原作開始が近づいてるというのに、あまりにも普通の日常。本当にこんなのでいいのだろうか。

 

 

☆☆☆

 

 

「幽谷、柳田。今日もゴースロックの練習だってさ」

 

「「はい!」」

 二人ともとても元気だ。後輩が元気でおじさん嬉しいよ。前世合わせたら実際おじさんだからシャレにならないな。

 

 僕と三途、八墓の3人で体の動きをみっちり教える。手の動きひとつ変わっただけでも、ゴーストロックは成立しない。見た目に反してものすごく繊細な必殺タクティクスなのだ。

 

 どれだけ実力差があろうと、相手が対策できなければ一方的に動きを封じることができる。最強の必殺タクティクスだ。

 エイリア編におけるネッパーの「神破り」を鑑みるに、大きすぎる実力差があれば打ち破られるのかもしれないが。うーん、よく分からない。そもそもヘブンズタイムってどういう原理なんだ?

 

「皆さん練習は順調ですか?」

 遅れて監督がやってくる。授業の準備やらいろいろと、監督はいつも忙しそうだ。

 

「監督が来ないとゴーストロックの練習は始まりませんよ」

 

 三途の言う通り、この必殺タクティクスは監督ありきで成り立っている。監督の催眠術を真似して、というのもやってみたけど、やっぱり監督じゃないとできなかった。

 

「じゃあ早速練習を始めますか。――お前ら何ちんたらしてんだ!俺がいないと何もできない能無しは要らねえって言ってんだろ」

 

 監督の突然のハイドモードへの豹変に驚くが、監督はハイドモードじゃないと催眠術をかけられない呪いにかかっているから仕方ない。このモードのときの言葉は本心じゃないらしいし。

 あれ、これ殴ったあと優しくするDV男と一緒じゃね? まあいいや。

 

 

「マレマレトマ――柳田!手の角度が違う。やり直しだ!」

 

「はい、すいません……」

 今日は柳田の調子が悪いのか、ミスを連発して監督に叱られている。

 

「監督、一旦練習中断しましょう。このまま続けても良くなる気がしません」

 

「――それもそうですね。ゴーストロックの練習は今日はここまでとします」

 またすぐにジキルモード戻った監督は、練習の終了を告げる。

 終わろうと言ったらちゃんと終わってくれるのはありがたいけど、ハイドモードの監督はちょっとスパルタ過ぎるんだよね。

 スパルタが悪いことではないけど、度をすぎたスパルタは心を壊してしまうだけだ。というか、ただでさえ新入部員が少ないのに、これ以上減ってしまうと困る。

 

 

「柳田、気にしないで大丈夫だよ」

 

 一応先輩としてフォローはかけておく。この一言にどれほどの意味があるのかは分からないけど、僕は柳田の立場と変わってあげることもできないから。

 

「そうそう、紫藤の言う通りアル。理想は全員がゴーストロックを発動できることだけど、別にできない人がいても問題ないって監督も言ってたアルヨ」

 

 様子を見ていた霊幻がフォローを重ねてくれる。霊幻は体が固くてゴーストロックを上手く扱えなかったが、それでも今尾刈斗イレブンの一員として活躍してくれている。

 

「はい、ちょっと僕部室で休憩してきますね」

 

 マレマレトマレを聞き続けていると本当に頭がおかしくなりかねないから、休憩は大切。いってらっしゃいと声をかけると柳田は部室に帰っていった。

 

 

 

★★★

 

 

 

 場所は変わって、雷門中学のグラウンド。新たに雷門イレブンに加わった1年生達が、必殺技の指南を受けていた。

 

疾風ダッシュ!」

 

「風丸さんスゴいッス!」「さすがでやんす」

 

 風丸が披露した必殺技に、興奮を隠せない1年生達。

 

「俺だって、ジグザグスパーク

 

「半田さんもすごいでやんすよ」

 風丸みたいにチヤホヤされたいという考えは見透かされていたのか、軽くあしらわれる半田。何とも不遇である。

 

 

「お前らも、必殺技の感覚を掴めばすぐにできるようになると思うぞ。まずはクイックドロウから……」

 そう言いかけて風丸は一旦言葉を止める。壁山の巨体を見上げて、

「あー、壁山は無理かもしれないな」

「そんなッス〜」

 

「まあ、必殺技を覚える方法はひとつじゃないさ。壁山に合いそうな必殺技について紫藤にいつかきいておかないとな」

 

 必殺技を覚えるためには簡単な必殺技から入ることが重要であるが、人によって向き不向きは存在する。まずは自分にあった必殺技を探さなければならないのだ。

 

 

「スーパーアルマジロなんかいいんじゃないかと思うわ。小学校の頃対戦したチームの大柄な選手が使ってた技よ。探せば映像なんかもあるんじゃないかと思うけど」

 

「あ、ありがとうッス。今度探してみるッス」

 突然の助言に感謝を伝える壁山。

 

「そういえば壁山達は会ったことなかったか。奏ヶ原はヴァイオリンが得意なんだけど、サッカーもできるんだ。本当にすごい人だぞ」

 

 助言の主、奏ヶ原心音について半田が説明する。半田と心音は昔からそれほど仲が良かったわけではないが、尾刈斗祭以降サッカー部と心音は関わる機会が多い。

 

「買い被りすぎよ。サッカーはもうやめたから、そんなにできないわ」

 そう言いながらも満更でもない様子。

 

 

「そういえば最近幻斗と一緒に練習とかしてるの?」

 心音がグラウンドに降りてきたのは、これが聞きたかったからである。月に数回のペースで雷門サッカー部に遊びに来ていた紫藤の姿が見えなくなっていたことを、心音は気にしていたのだ。

 

「いいや、全然。最近尾刈斗の方でいろいろあって、来てる暇がないんだってさ」

 

「いろいろねえ」

 いろいろに思い当たる節があるのかないのか、心音はしばらく考え込む。

 どれだけ秘密を抱え込めば気が済むのかしらと呆れつつ、午後がフリーな日はないかとカレンダーを脳内で検索する。

 

「今度、私の方から尾刈斗に遊びに行こうかな」

ところで、尾刈斗に対してどの程度知識がありますか?

  • 正直誰も分からない
  • 主要な数人は顔が分かる
  • アニメに登場した範囲で顔と名前は一致する
  • ベンチメンバーまで全部完璧に分かる
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