イナズマイレブン 二回目は好きな物から逃げずに。   作:ウツマ

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気づけば最初に投稿してから一年が経っていました。エタりはしなかった(諸説あり)ので自分を軽く褒めておきます。
ついに……ついに原作が始まります!と言いたいところですが、幻斗君がいろいろ動きすぎて、原作は原型を留めていないかもしれません。


尾刈斗が来た!

「雷門は、間違いなく全国レベルのチームです」

 

 今僕がいるのは雷門中の生徒会室。

 

 豪炎寺が雷門にいない以上、帝国は雷門に目をつけることがない。つまり雷門はFFに出場できない。

 さすがにそれは困るということで、雷門中の生徒会長雷門夏未に直談判しに来たのだ。

 

 

「ですが、雷門サッカー部は試合に必要な11人すら揃っていないのですよ?」

 

「その点は問題ありません。ちょうど今日、11人目の部員が入ったと円堂から聞いています」

 部員が揃っていなければさすがに話にならないので、誰でもいいから11人揃えておいてと円堂に頼んでいた。そしたら原作通りというか、目金がなぜか入ってくれたらしい。あまり戦力にはならないかもしれないけど、いないよりはマシ。

 

「今週末の日曜日、僕達尾刈斗サッカー部と雷門サッカー部で練習試合を行います」

 

「では、その試合で雷門中サッカー部が――」

「雷門の勝利をFF参加の条件とするならば、僕達は棄権します。尾刈斗はこう見えても強豪ですから」

 夏未の提案は先んじて拒否する。雷門が勝てばFFに出場させると言質を取り、帝国みたく棄権しようかとも考えたけど、それはやめた。まるで夏未を騙すみたいになるし、僕達はみんな雷門と本気で戦いたかったからだ。

 

「僕達は本気で勝つための試合をします。そして夏未さんは、その試合を見て判断してください。サッカー部をFFに出場させるべきか否かを」

 

 試合終了の笛がなるまで勝敗を決めるため死力を尽くして戦う、そんな試合がしたかったのだ。

 そしてその試合を見た夏未は円堂に一目惚れしてくれることだろう。多分。このツンデレヒロインさえ味方になれば、雷門サッカー部は安泰のはず。

 

 

 尾刈斗が、原作での帝国学園の代役を務める。言うなれば、尾刈斗が来た!大作戦だ。

 

 

☆☆☆

 

 

「アチャー!クイックドロウ

「タイミングを測ってっと」

 

 少林寺のクイックドロウを横に跳んで避けて、八墓にパス。しっかりみんなが使えるようになってるのは感心だけど、最近この技が噛ませ化してるような気がするな。

 

「行かせません!」

「無駄だよ……呪い

 

 八墓を止めようとやってきた宍戸を必殺技で封じ、更に前線にフリーでいた幽谷へとボールを繋げる。

 これは大チャンスだと思いきや、さっきまで中盤にいたはずの風丸が幽谷の近くまで一瞬で駆け寄っていた。さすが風丸。

 しかしうちの新入りも負けてはいない。後ろに目でもあるのかという反応で風丸を躱し、そのままシュート体勢に入る。

 

「喰らえっ!ファントムシュート

 

 分裂し紫のオーラを纏ったボールが円堂に襲いかかる。

 

「来い!真ゴッドハンド!!」

 

 で、円堂があっさり止める。

 

 さっきからこれの繰り返しだ。フィールドプレーヤーの実力はこっちの方が上のはずなのに、どれだけシュートを撃っても円堂1人に阻まれる。

 

 とはいえさっきからシュートを連発しているから、さすがの円堂でも疲労が溜まっているだろう。

 多呂斗先輩に不乱先輩、そしてつい先日正キーパーの座を勝ち取った鉈が守っているゴールを突破する術がなければ、ジリ貧で雷門の負けだ。

 

 

怨霊

疾風ダッシュ!マックス!」

 風丸はその素早い身のこなしで魔界先輩の怨霊を回避し、マックスへとパスを繋げる。

 

 

「行くよ。イリュージョンボール

 

 3つに分裂したボールの対処は当然僕の役目だ。1つ目、これは幻影。2つ目、これも幻影。じゃあ3つ目!も幻影……?

「パクられた!」

 

 3つ全部偽物、トリックイリュージョンボールだ。本物のボールは影野を経由して既に半田の元へ。

 

「そこの君!人の必殺技を勝手にパクり扱いするのはいけませんね」

 

「ごめん……」

 目金に説教される。よく考えたら、マックスの前でこれを使ったことは無かった。僕に思いつく程度のことは、誰だって思いつくことができるということだ。ちょっと僕って天才かもしれないと自惚れてました。

 ていうかなんで急に目金?

 

「ふふん、この3つ全てが幻影であるトリックイリュージョンボールの考案者は、何を隠そうこの僕、目金欠流なのですよ!人呼んで、雷門の知将です」

 

「う、うん」

 

 疑問に思っていたことをすぐに解説してくれる目金。どうやら僕のネーミングセンスは目金と一致していたっぽい。

 

 ってそんなどうでもいいことを考えてる暇は無くて。守備と攻撃のどちらでも厄介になるマックスをマークしながら、周囲を見回す。

 ジグザグスパークで柳田を抜いた半田が、すぐさま転がり始める。間違いない、ローリングキックだ。歪む空間は間に合っていないらしい。まずいな。

 

ローリングキック!!」

 

 その軌道上で待つのは染岡。シュートチェインだ。

 空中でチェインされると歪む空間も効かないし、染岡のキック力を考えるとシュートブロックを挟んでもキラーブレードで止められるか怪しい。

 

 そんな染岡に近づいたのが多呂斗先輩。

 

「失礼しますね、ザ・タワー

「くそっ、地面が」

 染岡の立つ地面ごと必殺技で持ち上げ、無理やりシュートの軌道から外してチェインを阻止した。ザ・タワーにそんな使い方があったとは……

 シュートチェインを阻止しながらシュートブロックにもなり、勢いの弱まった半田のローリングキックは鉈のキラーブレードで簡単に止められた。

 

「怪我はないが?」

「ああ、助かったぜ」

 

 ザ・タワーが破壊されたことで塔の頂上から落とされてしまったが、不乱先輩がしっかりキャッチしてくれたおかげで怪我なく済んだようだ。

 

 それにしても必殺技で直接相手の位置を動かすというのは考えたことが無かったな。僕の技は物理的実体を持たないのばっかりだから活用できそうにないけど。

 

 

 尾刈斗ボールで試合再開、鉈がゴールキックをしようをしたとき、

「皆さん、今日の試合はここまでです」

 監督が手を叩いて注目を集めながらフィールドに入ってきた。

 

「え、ここまで?」

「決着を付けさせてくれねえのかよ」

 

 試合も盛り上がっていたところで、両チームから不満の声が上がるが、監督は「この試合は棄権します」と勝手に宣言する。

 監督の意図は分かるけど、僕だって勝負を決めるつもりで来ていたからこんな終わり方は不完全燃焼だ。

 

「強豪校には強豪校なりの事情があるのでしょう。あまり不服を言うようですと品位を疑われましてよ」

 夏未も状況を察したのか、監督を庇うように雷門のみんなを宥める。

 

「この勝負はしばらく持ち越し。フットボールフロンティアで決着をつけるということでよろしくって?」

 

「え?それって……」

 夏未の言葉の意味するところを理解した円堂は、次第に興奮して顔をほころばせる。

 

「サッカー部のフットボールフロンティア出場を認めます」

 

 その言葉に喜ぶ雷門一同。僕だって嬉しい。もし夏未が認めてくれなかったら催眠術でも使おうかとまでちょっと考えていたから、そんな大罪を犯さずに済んでホッとしている気持ちもある。

「ありがとうな、夏未!」

 そう言ってニカッと笑う円堂。その無邪気な笑顔が無意識に女の子を落としちゃうんだぞ。

 

「別にあなた達のために決めたわけじゃないわ。サッカーの強豪である尾刈斗の方々がわざわざ頼みに来てくださったから、無下に出来なかったというだけよ」

 

「僕達からも感謝します。雷門のフットボールフロンティア出場を認めていただいて」

 

 

 なんとか雷門周辺は原作通りに進みそうだ。もうどうしようもないくらいに違ってる気がするけど。

 

 

☆☆☆

 

 

「そういえば、監督はなんで試合を中断させたんだ?」

 

 みんな仲良く歩いて尾刈斗のグラウンドまで帰ってきたあと、魔界先輩が疑問を口に出した。

 当の監督は校長先生に呼ばれてどこかに行っていた。

 

「それほんとなんでなんすかね」

「急にモチベーションがフライアウェイした的な?」

 人形や鉈も状況をよく分かってなかったらしい。他にも同じように不思議に思っている人は多くいるように見える。

 

「お前ら観察力が足りねえな。気づいてたやつ手を挙げろ」

 

 月村先輩に言われて、僕や三途、木乃伊や幽谷が手を挙げる。

 

「桜の木の後ろ、ですよね」

 

「さすが幽谷、正解だ」

 

 後輩が優秀で嬉しいよ。幽谷の場合は第六感的なやつで分かったのかもしれないけど。

 

 

「どういうことだ?」

 

「桜の木の後ろにいたんだよ。オレ達を偵察してるやつが。そんなもん被ってるから視界が狭くなってんだぞ魔界」

 

「だーかーらー。これは俺の体の一部で……」

 

 

「多分帝国でしょうね。雷門が脅威として認識されているとはとても思えないので、僕達が帝国から警戒されていると考えるのが自然でしょうか」

 

 いつもの馬鹿みたいな掛け合いは置いておいて、桜の木の後ろの男の正体について考えを共有する。

 

「これ以上手札を晒すのはまずいと監督は判断したんだろうね」

 

 

「三途君の言う通りです。皆さんの察しが良くて助かります」

 

 いつの間にやら校長先生との話を終わらせていた監督が、意図を説明する。といっても、僕達の予想と特に違いは無く、僕達が熱くなって切り札を迂闊に偵察隊に見せてしまうことを危惧していたらしい。

 それを聞いてみんな納得してくれたようだ。

 

「円堂君達にも、後で申し訳なかったと伝えてください」

「はい。今度会ったときに」

 

 

「それと、帝国について。どうやら尾刈斗のことを完全に敵として認識したようです」

 

 いつか来るとわかっていた帝国との全面対決。それが間近に迫っているらしい。

 

「今度帝国と練習試合があります。帝国に負ければ、尾刈斗サッカー部は廃部。校長先生曰くそれは決定事項だそうです」

 

 帝国と全面対決するということは、尾刈斗中学という学校そのものを敵に回すことになる。茨の道を旅すると決めたのは僕だけど、いざ直面すると怖いなあ。

 

 

 

★★★

 

 

 

「これで僕は帝国に行けるんですね?」

 

 以前の交渉だと、校長に尾刈斗の反逆の証拠を突き出し、その見返りとして帝国に入学させてもらうという話だった。そしてその男子生徒は約束したとおり証拠の映像を校長に渡した。

 

「いいや、まだ条件がある。尾刈斗対帝国の結果次第だ。帝国に完璧な勝利をもたらした暁には帝国に受け入れようと総帥はおっしゃっていた」

 

「それは良かったです。僕達が帝国に勝てるはずなどありませんから」

 男子生徒は嬉しそうに顔をほころばせる。

 

 帝国に入ること、それも帝国の裏の顔を知った上で、はそれほど大切なことなのか。一体どうしてかと動機を校長が尋ねると、

 

「僕は、帝国に行かなきゃいけないんです」

 

 男子生徒は悲痛そうに言葉を零した。

 

 

――彼が思い浮かべるのは、彼が帝国に行くことを期待していた父と母の姿。

『お前なら帝国に入学できると信じていたのに』

『あなたを帝国に行かせるために私がどれだけお金と時間を使ったと思ってるの』

2人の憎悪のこもった声が頭の中に響く。

 

(あれから家庭は崩壊した。仲の良かった頃の家族に戻るためには、僕は帝国に行かなきゃいけないんだ)




<原作との相違点>
雷門に帝国は来ない。代わりに尾刈斗が来る。
一方で、尾刈斗に帝国が来る。

帝国に勝たないと廃部…原作だ!()
相変わらずのシリアステイストですが、これらは全部後のハッピーエンドに繋がるので安心してください。今章の終わりで回収できるところはきっちり回収するつもりです。

ところで、尾刈斗に対してどの程度知識がありますか?

  • 正直誰も分からない
  • 主要な数人は顔が分かる
  • アニメに登場した範囲で顔と名前は一致する
  • ベンチメンバーまで全部完璧に分かる
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