イナズマイレブン 二回目は好きな物から逃げずに。 作:ウツマ
データサッカー
控え室からフィールドに向かう途中で、御影専農のキャプテン杉森とぶつかった。原作でも見たことのあるようなイベントだ。
「君は尾刈斗キャプテンの紫藤か」
「はい。あなたは御影専農キャプテンの杉森さんですね、今日はいい試合をしましょう」
杉森は3年生で年上だから一応敬語を使って話す。
「ちなみに参考まで聞いておきたいんですが、僕達が勝つ確率は何%なんですか?」
「聞かない方がいい」
君達がなんでもかんでもデータ化してるのは知ってるんだぞという意図を込めて挑発したものの、軽く流して立ち去られる。
まあいいさ。決着は試合でつければいいだけの話。
正直なところ、御影専農に負ける気はしていない。
河川敷で練習していた原作雷門とは違い、僕らは基本的に学校の敷地内のグラウンドで練習していた。情報の重要性については地木流監督がよく知っていたから、練習には基本的に部外者を立ち会わせないように徹底していた。内部に帝国と通ずる者がいなければ、僕達の情報が漏れることはないだろう。
そもそも柳田の他に内通者がいたのなら先日の作戦は成功しているはずがなかったし、警戒する必要は全くない。帝国に反旗を翻すまでは地木流監督がデータを送っていたからそれは多少伝わってるかもしれないが、それだけだ。
つまり何が言いたいかというと、帝国や御影専農は僕らがイナビカリ修練場でパワーアップしていることを知らないのだ。イナビカリ修練場で特訓していること自体はバレていたとしても、僕らがどれほど強くなったのかのデータはない。
御影専農の最大の強みである敵選手のデータ解析を封じた以上、僕らに負ける道理はないというわけだ。
とはいえ、手を抜いて勝てる相手ではないことは分かっている。気を引き締めなおしてピッチに立つ。
☆☆☆
尾刈斗中学
ーーーー幽谷ーーーー
ー武羅渡ーーー月村ー
ー八墓ー紫藤ー魔界ー
ー不乱ーーーー屍ーー
ーー三途ーー柳田ーー
ーーーー鉈ーーーーー
御影専業農業高校附属中学
ーーー山岸ー下鶴ーーー
山郷ー大部ー寺川ー藤丸
ーーーーーーーーーーー
花岡ー室伏ー弘山ー稲田
ーーーーーーーーーーー
ーーーー杉森ーーーーー
一番前にいる幽谷とDF位置の柳田は、公式先初起用の1年生コンビだ。御影専農のデータにもないだろうから活躍のチャンスだ。
そして僕はチームのど真ん中、アンカーの位置を託された。前線へ繋げるパサーというより守備の要としての役割を久遠監督は僕に期待しているのだろう。キャプテンになってからどんどん責任がのしかかってくるような気がする。
尾刈斗ボールで試合が始まる。幽谷と月村先輩でボールをやりとりしながら前に進んでいく。心なしか御影専農のディフェンスが弱い気がする。
これはあれだ、舐めプってやつだ。
「手を抜いたことを後悔させますよ……ファントムシュート!!」
「からのファントムシュートV2!!」
幽谷と月村先輩による2連ファントムシュート。いつの間にか先輩のは進化していて、満月時を除けば今の尾刈斗の最高火力になるだろう。
「ディフェンスフォーメーションγ3」
シュートの軌道上で待ち構える6人の選手が、シュートポケットの亜種のような水色の衝撃波を出し、シュートの勢いを少しずつ殺していく。
DFを効率的に配置することで消耗を最小限にシュートブロックをするというのは、さすが御影専農、なかなか参考になる。
「ロケットこぶし」
そして杉森の必殺技によって、シュートは完全に弾き返されてしまった。
「ロケットこぶしはパンチング技。こぼれ球はいただくぜ!」
不死先輩の十八番でもあったロケットこぶしに対応して魔界先輩がボールを拾いに行くが、
「スーパースキャン」
頭に軽く包帯を巻いた御影DFの、ブロック技の方のスーパースキャンによってすぐに奪われる。今の動きを見るに、魔界先輩が拾いに来ることを読んで待ち構えていたのだろう。
そこからすぐに御影専農のフォーメーションが変わり、カウンターの構えを作られる。ボールは中盤の大柄な選手の下へ。
ここは僕が食い止めたいところだけど、体格差で競り負けるからパワー系の選手は得意でない。
「柔よく剛を制す的な。ファントムミスト」
即座にいい感じのことわざが思いつくのは刃也のおかげだろうか。パワーで負けていたとしても、他にも方法はある。黒い霧で相手の視界を封じ、その隙にクイックドロウを狙う。
という完璧なコンボを決めるはずだったが、冷静なバックパスで凌がれる。進行を食い止めたと見ればそう悪くないが、必殺技をひとつ使ったわりにボールを奪えていないというのはあまりおいしくない。
こちらがされたら嫌なことを的確にしてくる奴らだ。
ボールは左サイドへと流れ、茶髪のMFに渡る。
「止める……影縫い」
すれ違いざまに八墓が影を繋げるが、茶髪のMFは即座に隣の紫の髪の選手にパスを出す。
影縫いは影を繋げることで相手選手の移動範囲を制限する。単騎でやってくるFWを止めるのには非常に有効だが、逆に距離を取らない限りなんの拘束にもならないためこうして簡単にパスを出されてしまうのが欠点だ。
「フランケン守タイン!」
「スーパースキャン」
不乱先輩も必殺技を使って止めようとするが、今回は少し悪手だったのかもしれない。フランケン守タインは既に解析済みなのか、巨大な緑の怪物の脇の下をヒョイヒョイとくぐり抜ける。
フランケン守タインは強固である反面、図体がでかく動きが鈍い。この試合でどんどん僕達の弱点が露わになっているような気がする。
とはいえ、図体がでかいことは何もデメリットばかりではない。
「死角からこんにちは〜」
フランケンの怪物の後ろに隠れていた三途が、スライディングでボールを奪う。ボールがタッチラインを割ってしまったため御影専農ボールで試合は再開となるが、なんとか攻撃を食い止めることはできた。
守備を固めて再び御影の攻撃に備える。FWの2人を重点的にマークするが、僅かな隙から逃げられ下鶴にボールが渡ってしまう。
下鶴の使用するシュート技と言えば、グングニルはまだ使えるわけないとして、ファイアトルネードかパトリオットシュートだ。果たしてどちらだろうか。
目を閉じてシュート体勢に入る下鶴。歪む空間が全く活躍させてもらえない件についてはもう諦めるとして、この特徴的なヒールリフトはまさか……
「ファントムシュート!」
ボールは6つに分裂して鉈の待つゴールを襲う。予想外のシュート技に少し反応が遅れるも、しっかり必殺技で対抗する鉈。
「ちょっとビビったけど、見慣れてイージーさ! キラーブレード改!……って、ほげ?」
本物のボールを見つけ出したはずが、青い刃は空を切る。本当の本物はゴールネットに突き刺さっていた。
ファントムシュートは見慣れてくると、どのボールが本物なのかだいたい分かる。今鉈が切ろうとしたボールこそが本物だと、僕も勘違いしていた。
「アンビリーバボー……わざと1つだけ雰囲気を変えてたってか」
キラーブレードはパワーシールドのような面で対応できる技と違い、直線にしか対応できないため、どのボールが本物でどのボールが偽物か見極めるしかなかった。その上でファントムシュートを使い慣れた我々が判断を見誤ったのは、下鶴の技巧が流石だったとしか言いようがない。
幽谷のキックオフで試合は再開。早いうちに1点を取り返しておきたいが、攻めの手に欠ける。
「幽谷と月村先輩のシュートチェインでも止められたんじゃ、もう無理ですよ……」
「柳田まだまだ諦めんな! 最初のあれは6人も邪魔してきたから止まっただけ。普通にやればきっと決まるさ」
魔界先輩が言うように、あのディフェンスフォーメーションなんちゃらというやつさえなければ、シュートを決めることはそう難しくないだろう。杉森も優秀なGKだと思うが、うちには幽谷・武羅渡・月村先輩と凄腕のFWが揃っている。
問題は、こちらがシュートを放とうとすると必ず例の並び方をされてしまうことだ。こちらの動きが読まれているように、先回りしてDFが待ち構える。
シュートをする場所がなく幽谷が攻めあぐねている間に、小柄なDFによってスーパースキャンでボールを奪われる。
その後ボールは杉森まで戻され、その付近でグルグルと回る。
もうひとつの問題は、御影専農が時間稼ぎに徹していることだ。
怨霊やクイックドロウなどでボールを奪おうとしても、上手く躱されて成功しない。正直に言って、打つ手なしである。
結局、僕達は失点を取り返すことができないまま、0-1で前半を終了した。
ハーフタイム中に後半の何か有効な策を練らなければならないな。
☆☆☆
「「ええええ?!」」
「「必殺技の使用禁止?!!」」
「アンビリーバボー!」
鉈だけでなく、選手みんながアンビリーバボーな気持ちだっただろう。
久遠監督、初就任の試合からエンジン全開である。
ところで、尾刈斗に対してどの程度知識がありますか?
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正直誰も分からない
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主要な数人は顔が分かる
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アニメに登場した範囲で顔と名前は一致する
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ベンチメンバーまで全部完璧に分かる