イナズマイレブン 二回目は好きな物から逃げずに。   作:ウツマ

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初めての試合

「紫藤、これはどうなってるんだ?」

 

 えーっとなんて答えるのが正解なんだろう? 僕は人のいないスタジアムに侵入して昼寝することが趣味だったんです……は却下だな。いい言葉が思いつかない。

 

「情報を確認、紫藤幻斗はインタラプト修正に付随する擬似時間固定を受けている。従来の予定通りここで円堂守と紫藤幻斗の両名のインタラプト修正を行う」

 

 ごめんアルファはちょっと何言ってるか分からない。

 

「どうして紫藤さんがここに?」

「何か時空に異変が起きているのかもしれないね」

 

 遅れて天馬とフェイ、そしてワンダバがやってくる。

 

「まあいい、円堂守と紫藤幻斗、お前らにはこれから我々とサッカーをやってもらう……試合だ」

 

「え?どういうことだよ?そんで紫藤はどうしてここにいるんだ?」

「何が起きてるの?」

 

「円堂かんと……じゃなくて円堂さんと紫藤さん!そいつらはサッカーを消そうとしているんです!」

 

「え? えー君は?」

 

 そりゃ円堂も秋も混乱するよね。僕でも混乱してるもん。

 多分あの光でワープしたけど、同じ時間にじゃなくて一時間くらいちょっと未来にワープしたってことなのだろう。どうしてそうしたのかは分からない。

 

「俺、松風天馬です! 説明は難しいんですけど、大好きなサッカーを守るためにここに来ました。信じてください円堂さん、紫藤さん!」

 

「俺は信じるぞ。サッカーが好きって言葉に嘘はつけないもんな」

 

「あ、まあ僕も信じるよ。うん」

 

 とりあえず適当に相槌を打っているが、ここにいる理由をどう説明したらいいか分からない。

 

「そんなことよりも、紫藤さんがここにいるのは何故ですか?」

「それは私からも問う。紫藤幻斗、お前は我々の存在を知りえないはずだ。どうしてこの場所を知った?」

 

 フェイがもっともらしい質問をすると、意外にもアルファから同調が飛んで来た。

 

「えーっと、尾刈斗の入学式が終わってから暇だったから円堂のとこに行こうかなって思って。それで雷門に忍び込んだら青い光でみんながいなくなるのが見えて」

 

 嘘を隠すには真実を織り交ぜることが大事らしい。今言ってることは大体は真実だ。

 

「それで、どうしてここに来れたの?」

 

 フェイに問い詰められるが、原作知識なんて真実は到底話せない。

 

「あー、そう! みんなが消えたあと青い光がふわふわーってこっちの方向に行くのが見えて、それで追いかけなきゃってここに来たんだ」

 

「NO。それは虚偽だ。空間を繋げて転移しているため、軌跡が見えることはありえない」

 

 頑張って絞り出した説明も、アルファに完全に否定される。

 

「だが、空間を繋げたことによって生まれた空間の亀裂なら見ることが出来るかもしれないぞ。紫藤くん、見たのは青い光じゃなくて黒い線のようなものじゃなかったか?」

 

「あ! そういえばそうだったよ。ワンダバの言う通り黒い線だった。間違いない」

 

 ワンダバのフォローのおかげでなんとか助かった。空間の亀裂とか難しいことはわかんないけど、さんきゅーワンダバ。

 

「ちょっと私には何が起きてるのか分からないけど、紫藤くんは円堂くんの友達で、私たちを助けに来たんでしょ?」

 

「もちろんそうだよ。円堂達が何か変なことに巻き込まれてるんだと思ってやってきたんだ」

 

 秋の質問には嘘にならない程度に答える。秋とは初対面だけど、信じてくれるってのは嬉しいな。

 

「俺は紫藤を信じるぞ。紫藤はサッカーが大好きでいいやつだって知ってるからな」

 

 円堂はやっぱり天然のタラシだと思う。僕が自分でも自信を持てずに困っていることをこんなふうに断言してくれるんだから。

 

「とりあえずこのアルファって奴らがサッカーを消そうとして、天馬と紫藤は俺たちを助けに来たってことだろ?」

 

「はい! そういうことです! 円堂さん紫藤さん、一緒にアルファ達と戦いましょう!」

 

「不確定な事柄が多いが、ここで全員まとめて潰せばいいだけのこと。試合を開始する」

 

「……うん、試合を始めようか」

 

 円堂や天馬はどうやら僕のことについて納得してくれたようだ。アルファは僕達を潰せたらどうでもいいって感じ。

 だけど何故かフェイだけはずっと僕に疑念の目を向け続けていた。

 

 

☆☆☆

 

 

 焼きそばのヘラを持って矢嶋さんが呼び出された。毎度お疲れ様です。それにしても、審判は呼ばずに実況だけ呼び出すと言うのも謎である。奥さんも審判として呼び出せばいいのに。

 

 アルファ達はいつの間にか11人現れ、いつでも試合を始めていいように待機している。対するこちらもフェイのデュプリによって足りない人数をカバーしている。

 

「それでだが、円堂くんにはGK、紫藤くんにはDFとして入ってもらいたい」

 

「おう!ゴールは絶対守ってみせる」

 

「うん、DFだね。分かった」

 

 フェイのデュプリの数は少しでも減らした方がいいというのも分かるし、助けるために来たって言い訳したくせに試合には参加しないというわけにも行かないからテンマーズのDFとして参加することになった。不安は残るけど。

 

 DFも経験はあるから問題ない。ただ、まだまだ僕の実力じゃ未来人相手に何か出来る気がしないだけである。原作の円堂のように「時空の共鳴現象」があるといっても、主人公である円堂や天馬達とは違ってそう上手く行くような気がしなかった。

 

「紫藤ありがとな、助けに来てくれて。なんだか良く分からないことがいっぱい起こって、お前がいなかったらほんと不安だったよ」

 

 この世界で円堂と会ってからもう5年ほど経つ。僕がもう一度サッカーを始めるようになった後再び鉄塔に行って、会うことが出来た。サッカーが好きって話したらすぐに友達になってくれた。円堂は僕なんかよりずっと眩しくて、そんな円堂が僕を頼りにしてくれたという事実が嬉しかった。

 

「僕も色々不安だけど、こうして円堂と同じフィールドに立てるとは思ってなかったからさ。なんだか頑張れる気がする」

 

 一緒に雷門に行くって約束したけど、叶わなかった。だから、こうして肩を並べられるのが奇跡に思える。

 

「円堂さん、紫藤さん、そろそろ試合始まりますよー」

 

「こうやって試合すんの実は始めてだけど、一緒に頑張ろうな」

 

 そういえば、円堂はサッカークラブに行くのが許されてなくてろくに実戦経験がないんだった。

 

「大丈夫だよ、多分。円堂が頑張ってきたの知ってるし」

 

 

――試合が始まる




〈登場人物〉
・円堂守
ご存知主人公。幻斗とは5年前からの友達で、鉄塔でよく一緒に特訓していた。


〈原作考察〉
クロノストーン編にて、雷門中からフットボールフロンティアスタジアムにワープする際、直前まで明るかった空が急に暗くなっている。
もしかすると、多少の時間移動もあったのかもしれない。

ところで、尾刈斗に対してどの程度知識がありますか?

  • 正直誰も分からない
  • 主要な数人は顔が分かる
  • アニメに登場した範囲で顔と名前は一致する
  • ベンチメンバーまで全部完璧に分かる
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