「もう一つ確認だべが、オラが勝ったら、体育祭で積極的に邪魔をしない事を約束する、って聞いただよ…」
体育祭で上位を狙うヨコヅナにとってこの約束は有利に働く、だから拳藤の話を聞いて格闘試合することに同意したのだ。
「おぉよ!お前が勝った場合、B組のモンは体育祭で直接対決以外ではお前を邪魔しない。お前が俺に勝てればだけどなぁ!」
鉄哲は大声で約束を肯定する。
しかし、
「言っておくが井ノ中少年、格闘試合は認めたが、その約束は学校は認めていない」
「そうなんだべか?…じゃあやる意味ないだか…」
「認めはしないが、法律や道徳、倫理に反してなければ否定もしない」
あくまで学校が認めているのは、他科との格闘試合であり、勝敗による賭けは認めていない。
もし金銭などを賭けている場合は当然申請は通らないし、隠れて試合での博打などしている場合、重い処罰が下される。
だが、今回の様な約束の場合は止めさせたりしない。
「そういう約束をすること自体は止めないが、約束を破ったとしても学校側は関与しないと言う事だよ」
「そうだべか……約束を破られる可能性もあるんだべな」
「がはははは、そんな心配する必要ねぇ!俺たちはヒーローを目指してんだぞ。勝負の上での約束を破るようなクソ野郎は、B組には一人もいねぇ!!!」
鉄哲のその言葉に、B組の他の生徒も、
「鉄哲の言う通りだ」
「俺達はヒーロー志望だぞ」
「正々堂々勝負した結果の約束を破ったりしないよ」
「そんな事は、さすがの物間でもしないのこ」
「も、もちろんさ、僕も、約束を破るつもりなんて、全然ないよ」
と、皆賛同する。
「……はははっ。良いクラスだべな、ヒーロー科B組」
「それじゃ、死ようぜ、格闘試合!!」
鉄哲をそう言って、個性を発動させる。
「俺の個性はスティール、体を鋼のように出来るんだ!!」
「……え?何で個性バラすだ?、不利になるだよ」
「がはは、不利になんてなんねぇよ、俺の個性は格闘戦において万能だぁ!!」
「いや…もし、オラが鉄を錆させる個性とかだったらどうするだ?」
「お前そんな個性なのか!?」
「あ、今のは例えで、オラの個性は違うだが…」
「だったら問題ねぇ!!俺の鉄の拳は最強だぁ!」
「え、あ…うん…」
鉄哲の言動に困惑しているヨコヅナに、
「ヨコヅナ、鉄哲はあんたよりバカだから、細かい事は気にしなくていいよ」
拳藤がそう言う。
「……そうだべか」
理解は出来ないがとりあえず納得するヨコヅナ。
「確認が済んだなら、ルール説明しておく、個性の使用可の格闘、禁止は、目つぶし、金的、噛みつき、それと、倒れた相手への攻撃も禁止だ。ダウンして10カウントで負け。質問はあるか?」
「…場外負けはあるだか?」
「試合範囲は決めてないが、逃げてばかりの場合は、戦意無しを判断し負けとする。他にあるか?」
「…いえ、大丈夫ですだ」
「俺もないぜ、先生」
「では試合を始めるぞ」
ブラド先生の言葉に、少しの距離を開け対面して立つ、ヨコヅナと、鉄哲。
「構えて」
ヨコヅナは股を広げて腰を下ろした状態から、前に手を付いて前傾姿勢、相撲の手合の構えをとる。
「相撲って初っ端から突撃し合うんだよな。がはは、真っ向勝負だ!!」
鉄哲はヨコヅナの構えを見て、自分も突撃する為に、クラウチングスタートの構えをとる。
皆が観戦に集中し、静かになる体育館の中、
「はじめ!!」
ブラド先生の合図で、ヨコヅナと鉄哲が頭からぶつかり合った。
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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