リカバリーガール出張保健室。
緑谷出久が轟との試合で負った怪我を治療してもらい、試合を観戦する為、部屋を出ようとしたその時、担架で一人の生徒が運ばれて来た。
「飯田君!?」
「…緑谷君、俺も…負けてしまったよ」
ヨコヅナとの試合に負け、ズタボロになった飯田だ。
「さっさとベットに運びな」
リカバリーガールの指示に従って、ベットに寝かされる飯田。
「飯田君が…相手は、あの普通科の生徒」
「そうだ」
「いつまで喋ってるんだい。治療するよ」
飯田の怪我の容態を診た後、個性を使って、チューーっと治療するリカバリーガール。
「体が…だるい…」
「それだけ、重症だったということだよ。まるで何度も高い所から飛び降りたかのような怪我だね」
「飛び降り?…あの普通科の生徒、どんな個性だったの?」
「……分からない」
「え、でも……もしかして、上鳴君の時ように一瞬で…」
「違う…俺は何度も、彼の攻撃を受けた……だが、それは掌底打ちや、投げ技で床に叩きつけられたりと、格闘の技だ」
「それじゃ、個性を使わずに勝ったってこと!?」
「分からない…外見に変化がない増強型かもしれないが…」
飯田も生徒の中では体格がよく、子供の時からヒーローの兄を目標にしてしっかり鍛えていたから、個性なしのパワーでも普通の生徒よりずっと強い。
だが、そんな飯田でもヨコヅナのパワーにまるで抵抗出来なかった。
増強型と考えるのも無理はない、が…
「それは違うよ飯田少年」
「オールマイト先生!?いつのまに…」
その考えを、突然現れたオールマイトが否定する。
「井ノ中少年の個性は増強型ではない」
「知ってるんですか?」
「少し前に知り合ってね。彼は相撲の使い手、力士だ。あの常人離れしたパワーは日々厳しい鍛錬の賜物だよ、個性は関係ない」
「ではあれは…純粋な努力の差…」
真面目な飯田からすれば、個性で負けたよりも、ショックを受ける事実だった。
「力士……相撲はイベントショーで見た事ありますが…」
「あんなのは偽物だよ」
緑谷の言葉にそう言ったのは、リカバリーガールだった。
「アタシは若い頃本物の相撲を見た事がある……」
リカバリーガールは幼い時見た、肉の山の如き力士のぶつかり合う戦いを思い出す。
「とても無個性とは思えなかったさね」
「無個性…」
「そうだよ。相撲会は個性持ちを受け入れなかったからね、力士は全て無個性さね」
「じゃぁ、井ノ中も…」
「……どうなんだい?オールマイト。そもそも角界のない今の世に、本物の力士はいないんだけどね」
「そうですねリカバリーガール。正しくは井ノ中少年は本物の力士の弟子、力士だった祖父から相撲を習ったそうです……そして、彼は無個性ではない」
オールマイトは朝の稽古でヨコヅナと相撲をとった時、ヨコヅナの個性について聞いている。
「だが、もし今の世に相撲会があれば、彼の個性なら受け入れたかもしれないな」
「それはどういう…」
「三回戦、轟少年との試合で分かるよ……飯田少年は観に行けるかい?」
「い、行きます…」
リカバリーガールの回復で怪我は治ってても体力が零に近いが、ふらつきながらも立ち上がる飯田。
「それじゃ観に行こうか、井ノ中少年の個性の力を」
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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