『轟、三回戦もいきなりの巨大氷塊!井ノ中は裸なのに氷漬けだぁ!』
ヨコヅナの姿が氷の中に消え、勝負は決した、と会場のほとんどの者がそう思った。
しかし、
ヨコヅナは一切凍ることなく、巨大氷塊から出てきた。
それも轟に向かって走る速度を落とすことなく、
「な!?…くっ」
驚きながらも直ぐに次の氷塊を作り出す轟。でもヨコヅナを凍らす事は出来ない。それどころかヨコヅナは全く氷を意に介していない。
ヨコヅナは間合にまで近づけた轟に対して張り手を繰り出す。
轟は間一髪で腕を上げて張り手をガードするも、ミシミシと腕の骨が軋み、一撃で吹っ飛ばされる。
「ぐっ……なんてパワーしてやがる」
吹っ飛ばされるも、倒れはしなかった轟。
倒れてないのを見て、さらに追撃するヨコヅナ。
「…こんなところで」
氷が効かないヨコヅナに対して、轟は左側の炎を解放し、
「負けられるか!!」
ヨコヅナに左手を向けて炎をぶつける。
だがしかし、
「無駄だべ」
ヨコヅナは炎も全く意に介さず、自分に向けられている轟の腕を掴んだ。
観客達は今見ている現象に理解が追い付かず、会場は静まり返っていた
そんな中、ヨコヅナの個性を知っている、
オールマイトは、
「井ノ中少年の個性は…」
緑谷と飯田に聞かせるように、
拳道一佳は、
「ヨコヅナの個性は…」
B組の生徒に聞かせるように、
ヨコヅナの個性の正体を明かす。
「「個性無効」」
『どうなってんだぁ!?氷も炎を全然効いてねぇ!!一回戦の電撃といい、井ノ中には何にも効かねえのか!!?』
『…限定的にはその通りだ。井ノ中の個性は【個性無効】と資料に載っている。つまり個性による攻撃は効かないという事だろう』
もう種明かししても問題ないと考えたイレイザーヘッドは資料を見て解説する。
『【個性無効】って…イレイザーの【個性抹消】と同系統の個性か?』
『俺の個性では発動を止めれても、作られてしまった轟の氷は消せない。だが、井ノ中の個性は作られた後でも触れた部分を消すことが出来るようだな』
開始時に轟が作り出した巨大氷塊には、ヨコヅナが通って来た部分だけトンネルのように穴が開いている。
ヨコヅナの【個性無効】は個性で作り出されたモノであれば、直接触れる事で消すことが出来る。
そしてさらに、
『……しかも、あの様子を見るに発動を止める事も出来るようだ』
『よく見りゃ、轟…腕掴まれてから炎が止まってる!?』
「炎が出ない!?……炎だけじゃない、氷も…」
ヨコヅナの【個性無効】は直接相手に触れる事で、個性を使用出来なくすることが出来る。
「…弱いだな」
「弱い?…俺が…」
「そうだべ」
ヨコヅナが掴んだ腕を持ち上げて行き、
「な!?…」
轟の足が床から離れる。片腕だけでヨコヅナは轟の体を持ち上げる。
「こうやってオラに片腕を掴まれているだけで、何も出来なくなってるだ」
「くそ…」
轟は何とか手を振りほどこうとするが、ヨコヅナの万力を思わせる握力を引き剥がすことはできない。
一回戦の上鳴を弱い相手と言っていたように、轟もヨコヅナにとっては弱い相手と言える。
個性自体に攻撃力があり、それに頼った攻撃しか出来ない者は、ヨコヅナに攻撃手段が無いに等しいからだ。
ヨコヅナが腕を掴む手に力を込める。
ミシミシッと轟の骨が軋む。
「ぐぁ…」
「
ヒーロー目指しているのだから轟も体は鍛えてはいる、だがそれは個性があるからという考えが前提の鍛え方。
そんなものはヨコヅナにとっては、毎日適度な運動をしている高校生と変わらない。
「…弱い者虐めをしてる気分になるから、もう終わらせるだ」
そう言ってヨコヅナは、持ち上げられて身動きの出来ない轟の顔面に張り手を叩き込む。
「がはっ」
「怪我が治ったら、個性が使えなくても戦う方法を考えると良いだよ」
張った手で轟の頭を鷲掴みにし、
ドゴンっ!と、硬い床に顔面から叩きつけた。
セメントの床にひびが入る程強い力で顔面から叩きつけられたのを見て、ミッドナイトが轟に駆け寄る。
「轟君……」
名前を呼ぶが、戦えるかどうかを問うまでも無く、戦闘不能と判断し、
「勝者、井ノ中!!」
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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