最近ヨコヅナが雄英に登校する時間はかなり速い。
それは学校の敷地内にある緑化地区で鍛錬をする為だ。
ヨコヅナは褌一丁の姿で、股を広げて腰下ろし、そして片足を高々と、足の裏が天に向くほど高々と上げ、強く地面を踏む。
ズドーンと地面が揺れたかのような轟音が森に響く。
相撲の【四股踏み】という稽古だ。
ヨコヅナの特技は、名前のまんま相撲である。それと料理(得意料理は当然ちゃんこ鍋)
しかし、世界総人口の八割が特異体質となったこの時代、相撲は廃れ過去のモノとなっていた。
それは相撲会は個性を受け入れることをせず、個性持ちは新弟子検査で不合格にして角界に入れなかった為だ。
他でも個性を受け入れない格闘技やスポーツはあったが、時代が流れ個性持ち人口が増えるにつれ、個性持ち○○と前言葉をつけて受け入れ、そして個性持ちが当たり前となった今では前言葉がなくなった。
競技によっては世の流れに柔軟に対応し、個性持ちを取り入れ人気になった競技も多い。
だが、相撲会だけは決して個性を受けいれなかった。他の団体が「個性持ち相撲」などを名乗る事すら許しはしなかった。
今では個性発生以前の、時代の文化を紹介するみたいなイベントで、相撲が行なわれる事もあるがそれはイベントショー団体。
相撲会、角界は今の世にはない。
ヨコヅナは祖父に相撲を教わった。
ヨコヅナの祖父はぎりぎり相撲会があった時の力士で、角界がなくなったことで廃業した、最後の力士の一人とでも言える。
祖父が亡くなってからも、ヨコヅナは相撲の稽古を一日たりとも欠かしたことはない。
ヨコヅナが稽古をしていると、
「元気の良い鍛錬の音を聞いてぇ~、私が来た!!!」
№1ヒーローにして、雄英の教師のオールマイトが現れた。
「……おはようございますだ。オールマイト先生」
「はっはっは!おはよう、鍛錬を中断してしまってすまないね」
「構わないですだよ」
オールマイトと一対一の状況はファンの生徒なら緊張するかもしれないが、ヨコヅナは別に緊張しない。あまり現役のヒーローとかに興味ないのだ。
「普通科なのに最近毎日朝早くから鍛錬している生徒がいるという話を聞いてね、今日は早起き出来たから見に来たよ、名前を教えてくれるかな?」
ヨコヅナはオールマイトを知っているが会話するのは初めてで、オールマイトはヨコヅナの事を知らない。
「オラは井ノ中ヨコヅナですだ」
「はっはー!名が体を表すとはまさに君の事だね。……鍛錬を見学させてもらっても良いかね?」
「?……良いですだよ」
№1ヒーローが見ても面白いものでもないと思うヨコヅナだが、気にせず稽古を続ける。
四股踏みの鍛錬の後ヨコヅナは、
巨大な岩を抱えながら、すり足。
大木に向かて左右交互に、張り手。
一回一回、手合の構えから大木に向けて渾身の、ブチかまし。
と次々と稽古をこなしていく。
オールマイトはヨコヅナの稽古を真剣な目で見ながら、
「…やはり相撲は凄いな」
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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