ヨコヅナの稽古が一通り終わったところで、パチパチパチとオールマイトが拍手をする。
「いやぁ、実に質の高い訓練だ……以前、イベントショーで相撲を見た事があるが、全く別物だね」
「ははは、当然ですだ……あの人達は力士のモノマネをしてるのであって力士じゃないだ」
「では、君は本物なのだね」
「あぁ~、オラ自身も本物とは言えないだが、本物の力士の弟子ではあるだ」
「なるほど、良き指導者に鍛えられたのだな」
ヨコヅナを鍛えた者がよき指導者だった事は、高校一年とは思えないヨコヅナの鍛え上げられた逞しい体を見ただけでも分かる。
「とても素の状態とは思えないけど、個性は使ってないんだよね」
「オラの個性は身体能力が上がったりするモノじゃないだよ」
「やはりか!…あ、いや…ご、ごほんっ」
「ん?」
喜んで声を大きくするオールマイトだが、咳をして誤魔化す。
「井ノ中少年、君はヒーロー科を落ちて普通科に入ったクチかな?」
「……普通科だけどヒーローになりたいって意味では一緒ですだ」
「そうか、そうか、……では訓練を頑張っているのは、今度の体育祭で活躍する為の秘密特訓なのかな?」
「体育祭で活躍したいとは思ってるだべが、別に秘密じゃないだよ。稽古は昔からの日課ですだ。最近になってここでやってるのは、朝稽古してる生徒は学科関係なくシャワーを借りれると聞いたからですだ」
雄英高校だけあって朝に自主鍛錬する生徒は多い、だから学校側も頑張る生徒を応援する為、色々な施設が朝から使用可能となっており、それはヒーロー科以外でも使用可能だ。
一月前は別の場所で相撲の稽古をしていたが、最近それを知ったヨコヅナは学校で稽古をするようになったのだ。
オールマイトに言ったようにヨコヅナにとっては相撲は日課であって、別に体育祭の為の秘密特訓ではない。
「ではその……相撲の稽古の事を詳しく聞いても、良いかな?」
オールマイトがヨコヅナのところに来たのは実は目的があってのことだ。
「他でいくらでも調べられると思うだが……理由を聞いても良いだべか?」
相撲が廃れたと言っても、資料としては残っている。ネットで検索するだけでも色々知ることが出来るだろう。
「……少し恥ずかしいので他言しないで貰えるかな」
「分かったですだ」
「私は№1ヒーローなどと言われてるモノの教育者としては素人同然でね」
オールマイトは恥と知りながらも本心を話す。
「私自身も日々勉強しながら、教鞭をとっているという現状さ」
「……何も恥ずかしいことなんてないと思うだよ」
知られたところで、トップヒーローだと驕らず生徒のために頑張ってる先生、と高評価されると思うヨコヅナ。
「はっはっはー、大人には色々あるのだよ……私のことよりもだ。ヒーローを目指す生徒に大事なのは、個性の訓練もだが、根本となる丈夫な体づくりだと私は考えるわけだよ」
「…まぁ当然ですだな」
体が資本、ヒーローを限らずどんな仕事においても言われる事だ。
「そこで、丈夫な体づくりの参考にと相撲のことを知りたいと思ったのだ……ネットの情報だと真偽のほどが分からないからね。井ノ中少年が本物の相撲を受け継いでいることは、稽古を見せてもらって確信してした。理由としてはそんなところだよ」
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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