・相撲は決して弱いから廃れたわけではない。
・「個性持ちに負けない」という己が信念を貫いた。
・並みの個性では力士には勝てない。
個性持ちを受け入れず廃れ、過去の文化になった相撲だが、今でも高く評価する者はいる。丈夫な体づくりにおいては特に。
「それは、でも……」
しかし、ヨコヅナは疑問に思う。
「オールマイト先生自身がやってきた体づくりの方法を教えれば良いと思うだよ」
ヨコヅナの言う通り、生徒達もオールマイト直伝の体づくりを教わりたいだろう。
なにせオールマイトは№1ヒーローになれたほどの、丈夫に鍛え上げられた体なのだから。
「私の鍛え方はプロレスを基本としていてね、欧米式なのだよ。でも最近、個性関係なく体の鍛え方にも合う合わないがあると思ってね。日本人には日本古来の鍛え方が合っているのでは、とか考えたわけだよ」
オールマイトの本音を言えば、目をかけている少年が怪我ばかりするものだから、自分の鍛え方は合っていないのではと色々模索しているのだ。でも一人の生徒を贔屓にしてると思われるのは教師として良くないので、ぼかした言い方をしている。
「……先生の考えは何となく分かりましただ。相撲の鍛え方も合わない人は多いと思いますだが、教えること自体は、構いませんだよ」
「本当か、ありがたい」
「その代わり、条件を付けても良いだか?」
ヨコヅナは相撲を教えること自体は何の問題もないが、これを好機だと考え、条件を付けることにした。
「どんな条件かな?」
「オールマイト先生の権限でオラをヒーロー科に編入させることって出来るだべか?」
「……私にそんな権限はない」
その問いだけでヨコヅナがどういう条件を付けたいのかを察するオールマイト。
「仮に権限があったとしても、その条件は飲むことは出来ない」
「それは分かってますだ。でも編入の件でオールマイト先生は意見を聞かれることはあるんじゃないだか、それに№1ヒーローの意見なら皆耳を傾けるだ」
「……可能性はある。だがその条件も飲めない、何の実績もない生徒をヒーロー科編入に推薦する事は出来ない」
「実績なら今、作るだよ」
「ん?…今?」
「条件はオラと相撲を一番とることだべ。……そしてオラが勝ったら、オールマイト先生は意見を求められた場合「井ノ中ヨコヅナは相撲なら私よりも強い」と言葉をつけてオラを推薦する。どうだべ?」
「な!?……」
ヨコヅナの条件に驚きつつ考えるオールマイト。
オールマイトの個性は、詳細は世間に出回っていないが、圧倒的なパワーであることは周知の事実だ。
オールマイトは相撲を凄いと思っているが、個性を使えばどんな力士も片手で勝てるとも思っている。
(個性を使えば…)
「それはひょっとして個性を使わす、勝負しろという意味かな?」
相撲会は個性持ちを排除していたので、当然力士は皆無個性だ。なら「相撲を一番とる」とは、個性を使わず勝負するという意味にも解釈できる。
「ん?……ははは、違うだよ。言い方を変えるだ、相撲の様に、足の裏以外が地につくか、決めた円の範囲から出たら負けというルールの格闘試合で勝負だべ」
「そのルールなら個性を使った私にも勝てると言いたいのか?」
「可能性はあると思ってるだよ」
№1ヒーローであるオールマイトに対して笑顔で勝てる可能性があると応えるヨコヅナ。
「はーはっはっは、思ってたより尊大な生徒のようだね、井ノ中少年。……相撲を知りたいと思っていたから直に技を体験出来るなら是非もない。一番と言わず何回でもかかってくるがいい」
大笑いしながら上着を脱いでネクタイをとり、生徒に対して大人げないと思われるほどの威圧感を発するオールマイト。
「一度でも私に勝つ事ことが出来たら、井ノ中少年を推薦する事を約束しよう」
一分後、
ドオッーン!!
「…え?」
「№1ヒーローって意外と軽いんだべな」
地面に叩きつけられ大の字で倒れるオールマイトと、それを見下ろすヨコヅナの姿がそこにはあった。
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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