「本当に恋人でも何でもないの!……さっさと降ろして」
「……でも、一佳ちゃんは井ノ中にヒーロー科に来て欲しそうだったのこ」
そもそも小森が拳藤の恋人疑惑を出したのは、言動からヨコヅナにヒーロー科へ編入して欲しいのだと察したからだ。
「それは、その……ヨコヅナは私の宿敵だからよ」
「宿敵?」
「ヨコヅナと手合わせして、私 勝てたことないんだよね、だからヒーローとしては上だって証明したいの。でも普通科だとそもそも競い合いにならないし…」
言い訳としては少し苦しいが、これは拳藤の本音だ。
しかし、
「待って一佳、手合わせで勝てたことないって……格闘戦で一佳が勝てたことないってこと!?」
クラスメイト達は別の部分に反応する。
拳藤の格闘戦の実力はヒーロー科B組においてもトップクラス、【個性:大拳】を使えば鉄板すら易々凹ませる。
他の生徒からも、「ウソ~!?」「相撲ってそんなに強いの?」などの言葉がとぶ。
「一佳ちゃん、それって個性を使用しても勝てないってことのこ?」
希乃子のヨコヅナを体格を見ているので、個性無しで戦えば、いかに格闘少女である拳藤でも勝てないのは分からない話ではない。
「え~と、いや、個性有りでも個性無しでも、勝ったことない」
拳藤は言葉通り、格闘戦でヨコヅナに勝てたことがない。
「一佳ちゃんの彼氏って、そんなに強いのこ?」
「彼氏じゃないってば!」
ここまであからさまな引っかけにはかからない拳藤、だか、
「……でも多分、このクラスの誰も、格闘戦でヨコヅナには……いや、やっぱなんでもない」
ヨコヅナは強いのか?という質問には答えようとして途中でやめる。これはこれで不味い発言だと思ったからだ。
しかし、やめるのが少し遅かった。
「それは聞き捨てならないね~。僕は拳藤に恋人がいるかなんてどうでも良いんだけど…」
口を出して来たのは物間だ。
「ヒーロー科の僕達より、その普通科の生徒の方が強いと言いたいのかな拳藤?」
「……ヒーロー科と言っても入学して3カ月も経ってない、差なんてないわよ」
「ヒーロー科に入学出来てない時点で、差があると思うけど」
「それはあいつがバカだからよ……それと私が言ってるのは格闘戦限定の話よ」
拳藤がヨコヅナに勝てないのは格闘においての話であって、中学時代での学業の総合成績で言えば拳藤の圧勝で、体育でも100m走とかなら拳藤が勝つ。
「まぁ、格闘戦が強い=強いヒーローでない事は確かだね……」
物間はそう言いつつ、少し考え、
「じゃあ、その生徒の個性を教えてくれるかな?」
「はぁ、なんでそうなるのよ。…茨、降ろして、こいつにこの格好で問い詰められるのムカつくから…」
「分かりました…不純異性交遊の罪はまた後ほど…」
「だから、罪なんて犯してないってば……で物間、なんで個性を教えるって話になるのよ」
「当然じゃないか、その生徒はヒーロー科に編入にする為、今度の体育祭で上位を狙ってくる。強敵になりそうな相手の情報を知るのは当り前だろ」
物間の意見は間違っていない。
個性の詳細を知れば対策が立てれるし、一人で敵わない場合、多数で先に潰すという方法も取れる。
しかし…
「……嫌よ」
「おや、どうしてだい?やっぱりその生徒に特別な感情があるのかな?」
「ヨコヅナは関係ない。物間が嫌いだから教えたくないだけよ」
拳藤の辛辣の言葉に、「ああ、分かる~」「物間、ウザいもんね」と他の女子も共感の声を上げる。
「ふ、ふふ、酷いなみんな、僕はB組の為を思って言っているのに」
「あんたの理屈で返すなら、普通科の相手に対策なしで勝てないようなら、プロのヒーローなんてなれないでしょ」
「屁理屈をこねるね~拳藤」
「物間にだけは言われたくない」
「……ならこういうのはどうだい?鉄哲…」
何故か鉄哲を呼ぶ物間、
「君は、普通科の生徒に格闘戦で勝てない、なんて思われるのは我慢ならないよね」
「あたりめぇじゃねぇか!!」
鉄哲もB組において格闘戦はトップクラス、他にも格闘戦が強い生徒はいるが一番のせ易いから物間は鉄哲を指名した。
「だったらここは一つ、証明する為にも格闘試合と行こうじゃないか」
小説投稿サイト『カクヨム』にて、
ヨコヅナが主人公のオリジナル小説、
『なんでオラ、こんなとこにいるだ?』を投稿しております。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922126022
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