BLEACH Fragments of Remnant   作:ヴァニタス

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※いつもよりノリがかなり軽いです。描写も不足気味かもしれませんのでご注意を。


とある虚達の一日

「ふふふんふ~ん♪ ふんふふふ~ん♪」

「…………」

「いやあつまらん、つまらんなあ~♪ 思った通り硬い上に無駄に大きい、坐すに適さぬ石の椅子よ。お前様の膝というのはどうしてこうも硬いのだ。せっかく妾が乗ってやっておるのだから、もっと温和丁寧に尽くさぬか……いや、云うても無駄であったなぁ。妾相手にはそんな態度取れぬものなぁ。ふふんふふ~ん♪」

「…………」

 

 降り止まぬ雨に沈みつつある黄金の宮殿。豪華絢爛にして羅綺(らき)千箱(せんばこ)を極める虚栄の園には、何よりも美しく煌びやかな玉座がある。

 あらゆる宝を材料に造られたそれは、この宮殿に閉じ込められた少女の為に存在するのだが、今に限って座っているのは用意した側の御蔭丸であった。本来の持ち主である天獄は上機嫌に鼻歌を歌いながら、御蔭丸の膝を椅子代わりにしている。

 

「しかしまっこと、お前様は家具にはならんなぁ♪ こうして膝に座るだけでも不平不満がわいてきよる。無駄に大きいから妾では足を曲げられぬし、体重を預けても硬くてごつごつしてとても休めぬ。首も凝るし肘掛けもない、お前様よ、これは腹を切るべき恥だぞ~♪」

「…………」

 

 天獄は気持ちよさそうに特徴的な猫眼を閉じてパタパタと足を振っている。幼い唇から溢れるのは毒に浸した声ばかりだが、明らかに楽しんでいる様子が見て取れた。御蔭丸はそれを至極平坦な眼つきで眺めながら無表情に嘆息する。

 何故こんな事になっているかと言えば、天獄に敗北したからだ。虚圏に墜ちてもう三年が過ぎ、四年目に入ろうとしているというのに、御蔭丸は未だ少女に勝てた(ためし)がない。今日も今日とて黒星を重ね、天獄の玩具(おもちゃ)として好きなように扱われる日々である。

 

「ふ~む……そろそろ膝に座るのも飽いたな。お前様よ、今度は膝枕だ。この役に立たん石のような太腿(ふともも)を妾が枕として有効利用してやろう。ほれ、さっさと妾を抱いて運ばんか。当然、お姫様だっこだからな♪」

「…………」

 

 非常に可愛らしい顔で毒を吐く少女を、御蔭丸は沈黙を通したまま抱いて玉座を立つ。そのまま歩みを進めると、周囲の景色はみるみる移ろっていく。ここは御蔭丸の精神世界、その主である彼にとって距離や壁は意味をなさない。玉座まで続く階段を降り終える頃には、巨大なソファとベッドのある寝室へと足を踏み入れていた。

 

「うむ、御苦労。では早速そこに座るがよい、妾が良いというまで動くではないぞ」

「…………」

「良し、では早速……アハハ、やっぱり硬いのう! 人を休ませる気など微塵も無いこの木偶肉め、叩けば少しは柔らかくなるか? ああもう、こんな物なぞ枕どころか絨毯にもしたくないが、他に無いから仕方ない。仕方ないなぁ~♪」

「…………」

 

 御蔭丸は蝉にくっつかれた木の枝のように努めて動かない。自分の太腿に頭から突っ込んでゴロゴロする天獄を大きな猫のように感じながら、つい天獄の金に煌めく髪を撫でると、少女は非常ににやけた顔で抗議の声を上げた。

 

「なんだお前様よ、お前様如きが妾に触れるなんぞ千年早いわ。こんな手で撫でられても蟲が這うようで気分が悪い、さっさとどかさぬか。ええい、どかさぬかと言うておるのに、お前様は本当に妾の言う事を聞かないのう。髪を(すく)うな、梳くのも駄目だ、乗せるだけなら……まあ、妾の寛大な心で許してやろう」

 

 気持ちよさそうに細まる金の瞳に射抜かれながら、御蔭丸は手を止めない。天獄に対して常に荒れ果てた心を見せる彼がこんな事をするのは、ここが夢の中だからだろう。これは揺籃のような心半ばの逢瀬、それ故に無意識の行動が目立つのだ。

 それも直に終わる。主の現実世界での目覚めを感じ取った天獄は、残念そうにため息をついた後、にやりと獰猛に唇を吊り上げる。

 

「ふうむ、今宵はここまでか。まあ、お前様は相変わらず妾を癒すに足らぬ存在であると確認出来ただけでも良しとするか。それに――カカカッ、中々面白そうな事態になりそうだしな」

「……?」

「ふん、お前様は知らずとも良い事よ。せいぜい派手に踊るがよい、妾は此処でゆっくりと楽しませてもらおうさ」

 

 天獄の言葉を御蔭丸は理解出来なかったが、どうでもいい事と捨て置いた。そして深海から水面へと浮かぶように意識を精神世界から切り離す。

 心の眼を閉じる最後。天獄の幼くも艶やかないたずらっぽい笑みが妙に(まぶた)に残っていた。

 

 

 

   φ

 

 

 

「ん……」

 

 指定した時間に灯る鬼道の光に目が覚める。軽く喉を鳴らして紅い眼球を外気に晒す御蔭丸は、部屋全体を照らす蒼白い色を浴びて身体に残る眠気を払う。

 ――まだ少し、心が重いな。

 しかし眠気は晴れず、半分程ぼやけた意識に嘆息する思いがした。天獄と夢の中で会っていたせいか、まだ精神世界に心が引きずられているらしい。もう少し眠って意識をはっきりさせようと、御蔭丸はいったん眼を閉じて仰向けの身体を横にする。十分な睡眠をとった後の二度寝は良くないが、睡眠不足の時は短時間でも寝れば脳を覚醒させる良い手段になる。

 ――そういえば、面白い事になるとか言ってたな。

 ――一体何が面白いんだ?

 うつらうつらと眠りの浅いところを彷徨(さまよ)いながら御蔭丸は思い出す。天獄の言ったあの言葉の意味は何なのか――それを考えながらふと眼を開けると、すぐ目の前に恐ろしく美しい女が居た。

 

「――――!?」

 

 とっさに飛び起きそうになった身体と声を辛うじて抑える。びくりと硬直した彼は、静かな寝息を立てる彼女が誰だかすぐに分かった。

 ――また俺の寝床に潜りこんだのか、ハリベル……

 額に一筋の冷や汗を流しながら、御蔭丸は心の中でため息をついた。

 普段身に纏う芸術的かつ実用性のある仮面の鎧をほとんど脱いで、ぴっちりと身体のラインに沿った布一枚で安らかに眠る最上級大虚、ティア・ハリベルが朝起きたら隣に寝ているのはこれが初めてではない。

 孤独を嫌うハリベルとの奇妙な共存も四年を数えようかというこの頃、彼女が必要以上に触れてくる事は少なくなった。前は修業から帰るたび眼を合わせないで抱きついて来たりしたが、今は普通に出迎えてくれる。軽い冗句なら言い合えるようになったし、彼女の心に余裕が生まれた兆候として御蔭丸は喜んでいた。

 

 しかしその一方で、時々目が覚めるといつの間にか隣で寝ている事がたびたび起こるようになった。永い孤独を癒される反面、御蔭丸が急にいなくなるような不安が時折彼女を襲うのだろう。朝起きてハリベルが横で寝ている時、彼女はいつも御蔭丸の寝巻の袖を掴んでいた。無意識なのだろうが、それ故にハリベルの不安が如実に表れている。

 ――これは、しばらく起きられそうにないな。

 今日も今日とて掴まれる袖を流し見て、御蔭丸は諦観する。もうこのまま、ハリベルが起きるまで寝てしまおうと眼を瞬かせて、何となしに眠る彼女を眺める。

 改めて見るハリベルの顔は呼吸を忘れてしまうくらい美しい。風に揺れる麦畑のように荘厳な金の髪と、同じ色をした長く綺麗な睫毛。鼻筋も通っていて唇は見目麗しい。それぞれが一級品のパーツを最高の黄金律で整えられた美貌は、世界に二つとないだろう。

 その美貌の器である身体も、二つとない色香を湛えていた。スラリと伸びる脚は言うまでも無く、くびれた腰のラインも形のよい胸も彼女の高潔な魂に相応しい最高の出来栄えだ。

 崇拝にも似た感情を呼び起こす美しさと、男の(さが)を惹きつけてやまない妖艶な肉体は、さしもの御蔭丸とて無意識に生唾を飲み込まずにはいられない。

 

 ――これ以上眺めるのはよそう。

 ――自分を縛るのは容易いが、見続けるのは(いささ)か辛い。

 血行の良くなる身体の一部を朝の生理現象と片付けて、御蔭丸は彼女から眼を逸らすように身体を仰向けに戻した。本当は反対側に向きたいが、袖を掴むハリベルがそれを許さない。彼女の眠る左側の手を固定した彼は鬼道で動かす黒い右腕を額に当てて鼻を鳴らす。

 色々と思う事も無くはないが、考えても仕方ない事だ。もう寝ようと、額に置いた右腕を大の字に広げて御蔭丸は眼を閉じた。すると投げ出した右手の平が、むにゅりと柔らかな何かを掴む。

 ――むにゅ?

 もう半ば寝入っていた御蔭丸が眠そうな半目をちらりと動かすと――そこには全裸のネリエルが幸せそうな顔で眠っていた。

 

「……………………はあっ!?」

 

 今度は声を抑えられなかった。思わず身体を起こしてしまった御蔭丸は若草色の髪一つだけを纏う彼女をまじまじと凝視する。

 今までも仮面の隙間から見え隠れしていたが、こうして仮面を外した状態で見るネリエルの顔はその生き生きとした性格に似つかわしい若さがある。それでいてすやすやと眠る眼やぷっくりとした唇は色香が漂っていて、幼さを残しながら大人へと成長した美貌は目元と鼻を通る仮面紋(エスティグマ)が良いアクセントになっていた。

 血色の良い肌も美しい。サラサラと流れる若草の髪に隠される乳房以外、彼女は全て曝け出している。普段の若々しさや幼さに反したあまりにも女性らしい体つきは、御蔭丸でさえ思わず見入ってしまう。

 ――ハッ!?

 そこで彼はようやく、自分がそのネリエルの胸を触っている事に気付いた。柔らかくも指を押し返す弾力のある巨峰からとっさに手を放そうとするが――「んん……」とむずがるネリエルの声に硬直し、(まぶた)を重く開く彼女と目が合う。

 

「あれ……御蔭丸じゃない……なんで貴方が私の横で寝てるの……?」

「ネ、ネリエルさん……あ、あの、これはですね……」

「あー……そっか、昨日眠かったからつい貴方の家に泊まっちゃったんだった……ごめんなさいね、勝手にお邪魔しちゃって……え?」

 

 眠そうに眼を瞬かせて話すネリエルは、目の前で何故か慌てている男の腕が自分の胸に伸びている事を自覚した。むにゅんと豊かな乳房を揉んだ形で固まっている大きくて黒い手を五秒ほど眺めて――ネリエルはみるみる真っ赤に染まる。

 

「ちょっ……! あ、貴方、一体何してるの!!」

「お、落ち着いてください! これにはその、訳がございまして……!」

「寝込みの女性を襲う理由に訳も何もあるもんですか!! いくら私が勝手に泊まったからって、こ、こんな事していいと思ってるの!?」

「襲うなんてとんでもありません! とりあえず落ち着いて、訳を話させてくださ――」

「……何だ、騒々しいぞ……どうしたんだ御蔭丸……」

 

 青味がかった緑色の瞳を混乱させるネリエルを必死に宥める御蔭丸は、背後から響く澄んだ声に完全な石と化した。軽い欠伸(あくび)をしながら身体を起こすハリベルが、動かなくなった御蔭丸と、彼の腕の先と、真っ赤な顔をした他の女を見た瞬間――安らいでいた翠の光彩が、絶対零度の如く冷え切る。

 

「…………何をしているんだ、御蔭丸」

「あ、ああ、あ……ハリ、ベル様……こ、これには何とも説明しがたい、深い訳が……」

「……ねえ。彼女って貴方の言ってた同居人よね? どうして一緒に寝ているの?」

「ぁえっ!?」

 

 袖をつまんでいた手を御蔭丸の肩に移動させて、ミシミシと骨を軋ませるハリベルに言い訳しようとしたら、ネリエルも胸を揉む腕を掴んでギリギリと締め上げだした。御蔭丸は無理な作り笑いでハリベルとネリエルを交互に見て、自分がもう詰んでいる事を悟る。

 

「……聞こえなかったか? 何をしているかと、私は聞いているんだ」

「これは、ですね……その……あ、あはは、はは、は……」

「笑って誤魔化さないで。なんで彼女と一緒に寝てるの、前に話した時はそういう関係じゃないって言ってたじゃない。私に嘘ついてたの?」

「う、嘘などついて、おりません……と、とにかく二人とも、落ち着いてくれません、か……?」

「私は至極冷静だ。だからお前の肩が潰れる前に答えろ」

「私も落ち着いてるわ。貴方の手首を砕きたくないから、きちんと説明して」

 

 前後から女性に挟まれるという一見して羨ましい状況の筈なのに喜べないのは何故だろうか。現実逃避気味にそう考える御蔭丸は、もうこのまま肩と手首を折ってもらって、彼女らが落ち着いたら話そうと笑いながら覚悟していた。

 しかし一向に返事をしない御蔭丸に業を煮やした二人は、矛先を彼からお互いに変更する。

 

「大体、貴様は誰なんだ。ここは“私と御蔭丸”の住処だ、貴様が入る事を許可した覚えはない」

「あらそうなの? でも残念、私は御蔭丸から直接ここで好きにしていいって言われたわ。貴女にとやかく言われる筋合いはないの」

「私は御蔭丸を保護する立場だ。何処の馬の骨とも分からん奴に関わらせるわけにはいかないな」

「ふ~ん。保護する立場、ね。クス、それにしちゃ彼の造った家で寝てるしさっき袖を掴んでたし、貴女の方が保護されてるみたいだったわ。それでよく保護する立場、なんて言えるわね」

「……合意の上だ。御蔭丸の造った物も使う物も、御蔭丸自身も私の自由にしていいと契約している。分かるか? 御蔭丸は私の物なんだ。お前のような田舎生まれにはそんな事も分からんだろうがな」

「……呆れた。人を物扱いするなんて冷たいのね。『女は愛嬌』・って言うけれど、貴女みたいな美人が台無しな性格の人をみると、その言葉が真実だってつくづく思い知らされるわ。彼もそう思ってるんじゃないかしら」

「…………言うだけ無駄、か。それにしてもここは暑いな、外でゆっくり話さないか」

「奇遇ね、私もそう思ってたところよ。話し合いましょう、ゆっくりと」

 

 据わった眼で互いを差し合うハリベルとネリエルは御蔭丸から手を放して布団から出る。二人は表面上とても華やかな笑顔で話しているが、それが逆に恐ろしい。

 ――こ、こ、これはまずい……!

 身体の芯まで凍りそうな空気の中で笑い合う二人に白い男は作り物の笑顔をガタガタ震わせていた。わざわざ鎧を着込む二人を見るに外の話し合いは精神的にも物理的にも熾烈を極めるだろう。色んな意味でそれはまずい。

 ――もうあれをやるしかないか……!

 御蔭丸が決意するうちに仮面の鎧を着終えた二人はすぐさま出口に向かっていた。鮫の尾のようなものを揺らす左側のハリベルと、四つの脚で蹄を鳴らす右側のネリエルの肩を掴んで、御蔭丸は精一杯の笑みを浮かべる。

 

「二人とも、少し待っ」

「お前は黙ってろ」

「貴方は黙ってて」

「うっ……い、いえ、黙りませんよ!」

 

 その笑顔を胡乱な二人の眼光に串刺された彼は一瞬ひるむが、ここで引いては男が(すた)ると言葉を続ける。

 

「ハリベル様、とにかくその剣を仕舞われてください。今の貴女は非常に興奮しておられます」

「私は冷静だと言った筈だ。安心しろ、すぐに終わらせてくる――お前の話を聞くのはそれからだ、覚悟しておけ」

「ひっ……ネ、ネリエルさんも槍を構えないでください! こんな事で戦うのは貴女の理念に反するでしょう!?」

「あのね御蔭丸、私はそこの女に侮辱されたの。戦う理由として充分じゃないかしら。それに貴方から聞きたい事もたくさんあるわ。今のうちに言葉をまとめておくことね――ちゃんと納得出来る説明、してもらうから」

 

 ハリベルの死刑宣告とネリエルの納得出来なかった場合を想像させる言葉に御蔭丸の無理な笑顔は完全に固まった。どちらに転んでも、もうただでは済まない……なら今しばかれても同じ事だと、彼は死すら覚悟して最後の攻勢に出る。

 

「と、とにかく二人共、このまま戦っても不毛なだけです! そもそもの原因から思案しましょう!!」

「お前が他の女の胸を揉んでいたからだ」

「貴方が私に嘘をついて彼女と寝ていたからよ」

「あうっ……そ、そうですっ、原因は全て僕にあります! なら二人が戦うのではなく、僕にぶつけるのが筋というものでしょう!」

「それは……」

「そう、だけど……」

 

 二人はお互いをちらりと見て不満げな声を漏らす。しかし理性的な性格の二人だ、もう少し矛先を自分に向ければ戦いは避けられると御蔭丸はにらんで、笑顔を頑張って保ちながらしゃべる。

 

「そうですとも! 不満があるならどうぞ僕を斬ってください! 大丈夫です、僕には回道がありますから一撃で即死しない限りどうとでもなりますので! さあ、どうぞ御遠慮なく!」

「……お前は自分が何を言っているか分かっているのか……」

「……貴方ってほんとおかしな人よね……」

 

 両手を広げていい笑顔で斬られようとする御蔭丸に、二人は呆れた顔で脱力した。戦うくらいなら自分を斬れと言われれば、頭に血が上っている彼女らも毒気を抜かれる。

 ガシャンと武器をしまう二人を見てほっと安心したのも束の間、ハリベルとネリエルはそれぞれが最も美しく見える顔で御蔭丸を囲む。

 

「だが、その提案にはのってやろう」

「え?」

「そうね、ここは一回けじめをつけた方がすっきりするもの」

「え、ええ?」

 

 難局から逃れたと思った御蔭丸は平手に霊圧を籠める二人を見て、結局この運命は変わらないと知る。だがまあ、こんな展開なら本望だと、彼の本質を知らないものから見ればマゾにしか見えない笑顔でそれを受け入れた。

 

「さあ、どうぞよろしくお願いします」

「……全く。呆れた男だよお前は……――シッ!」

「私は嫌いじゃないけどね――ハアッ!」

 

 メノスの森に高らかな音が二つ響いた。

 

 

 

   φ

 

 

 

「……成程な。私が寝ている事は大して驚かなかったが、もう一人いる事には気付かず不可抗力で胸を揉んでしまったという事か」

「普通気付くと思うんだけどな~……。でもまあ、彼女に気が向いてたんなら仕方ないし、私達だって勝手に潜り込んだわけだし。お互い不幸な事故が重なり合ったって事ね」

「……ええ……(おおむ)ねその通りで、ございます……」

 

 両腕を組むハリベルはやや不服そうに、(あご)に手を当てるネリエルは苦笑いで事の顛末に納得した。二人並び立つ彼女らの足元で土下座状態の御蔭丸は、両側の頬にできた紅い紅葉(もみじ)を治しながらぎこちなく笑う。

 

「……誤解が解けて、本当に良かったです……貴女がたが争う姿なんて、見たくないですからね……」

「……悪かったな、話も聞かず叩いてしまって。喋り辛いか?」

「本当にごめんなさい、何か冷やせるものを持ってきましょうか?」

「いえ、大丈夫です……このくらいならもう治せますので……それより、今回の事態は僕の紹介不足が招いたところもございますし、一度皆で自己紹介をしませんか?」

「……そうだな、そうしておくか」

「ええ、そうね」

 

 いたわるように頬を撫でる二人に御蔭丸は笑いかける。彼女らは罪悪感からか手を放すのを少し渋ったが、やがて顔を見合わせてそう言った。これでとりあえず大丈夫だろうと、御蔭丸も脚の痺れを我慢して立ち上がる。

 

「では言い出した僕から改めて。護廷十三隊四番隊第三席、大神御蔭丸です」

「……ティア・ハリベルだ。一応こいつを保護している。と言っても最初の頃だけで、今は同居しているだけだがな」

「ネリエル・トゥ・オーデルシュヴァンクよ。彼とは、その……偶然出会った赤の他人よ」

「おや、僕は友人だと思っていたのですが」

「友達……友達でいいの?」

「勿論でございます」

「……そっか、いいんだ……じゃあ友達! 私と御蔭丸は友達ね!」

 

 屈託なく笑うネリエルに彼が微笑んでいると、ハリベルは面白くなさそうな顔でそっぽを向く。しかしそれもすぐに戻して、ネリエルに頭を下げた。

 

「……さっきは済まなかった。私とした事が頭に血が上ってお前を侮辱してしまった、謝罪する」

「あっ、いえ、貴女だけが悪いんじゃないわ! 私の方こそ、つい感情的にあんな事言っちゃって……ごめんなさい」

 

 そうやって互いに謝り合う二人は、顔を見合わせてクスリと笑みをこぼす。

 

「……お互い、今回の事は水に流すか」

「……そうね、真剣に考えてたのが何だか馬鹿らしくなってきちゃった。ねえ、せっかくこうして会えたんだし、少しお話していかない?」

「私は構わない。話せる事などあまりないがな」

「内容なんてどうでもいいのよ、女の子と話せるなんてめったにないんだから」

「確かにな。なら、楽しませてもらうさ」

 

 元々二人の性質が似通っているせいか、すぐに意気投合したようだ。ハリベルとネリエルは食卓に移動して早速花を咲かせている。その光景にやっと嵐が去ったと御蔭丸は胸を撫で下ろし、話の(さかな)に軽いものがあれば(にぎ)わうだろうと台所に移動する。

 ――お前の言っていた面白い事とはこれだったのか?

 その前に部屋の隅に飾ってある天獄を流し見ると、嗤って頷くように鞘が鳴った。気付いてたなら言ってくれ、と御蔭丸は嘆息し、それ以上追及はしなかった。自分で自分を責める以上に不毛な事などないからだ。

 ――さて、何を作ろうか。

 残った材料を思い出して御蔭丸は台所に立つ。だいたい三十秒ほどでレシピを決めて作ろうと手を伸ばした瞬間、彼の霊圧知覚に嫌な影が引っかかった。

 

 ――チルッチか、なんてタイミングで来るんだ……

 かれこれ一年前に出会ったなんとも言えない関係の虚を脳裏に描いて、御蔭丸はやや頭が痛くなる。

 チルッチとの最初の遭遇の時、御蔭丸は決着を預かると言って彼女の元を去った。しかしそれから三ヶ月も過ぎた頃、彼女は突如として襲い掛かるようになる。

 「いい加減退屈だから付き合いなさい!」とはチルッチの弁だ。どうもチルッチは御蔭丸を(てい)のいい玩具(おもちゃ)と認識したようだ。おかげで御蔭丸はところ構わず彼女に見つかっては追いかけ回される日々である。

 ――いや、今は大丈夫だろう。

 ――ここは鬼道で隠蔽されてある、チルッチの索敵能力でも見つけられる筈はない……

 御蔭丸はそう考えながらも背中の悪寒を止められなかった。どうにも嫌な予感がする……虫の知らせとも言うべきその悪寒は、残念な事に的中する。

 

「あっ! ごめんなさい御蔭丸、一つ言い忘れてた事あったわ」

「はい、何でしょうか?」

「実はここに入る時、入口を少し壊しちゃって……右下の模様が描いてある場所なんだけど、まずかったかしら」

「ああ、そこなら大丈夫ですよ。後で直しておきます」

「本当にごめんなさい……なんだか今日は謝りっぱなしね」

「フフフ、そういう日もございますよ」

 

 申し訳なさそうなネリエルにいつもの笑顔を返すが、御蔭丸は内心でますます悪寒を募らせていた。入口の模様とは鬼道の術式、この場所を隠蔽(いんぺい)する為の措置である。無論、一ヶ所壊れた程度で崩壊する程脆弱ではないが、多少隠蔽率は落ちる。

 ――それでもチルッチの索敵にはかからない。

 ――かからないが……チルッチの能力を最後に測ったのは数か月前だ。

 ――もし成長していたら……

 悪い想像を連ねる彼は、渋い顔でつまみを作り終えて食卓まで運んだ。デザート系の甘い香りに色めき立つ二人にに、御蔭丸はこやかな顔で言葉を残す。

 

「お待たせいたしました。申し訳ありませんが少々席を外しますので、二人ともゆっくり(くつろ)いでいてください」

「……何か用事か? 珍しいな」

「あ、もしかして今から直しに行くの? だったら私も手伝うけど」

「いえ、お気遣いなく。ただの野暮用ですよ。すぐに戻りますので、それでは」

 

 御蔭丸は丁寧に頭を下げてその場を後にする。入口から鬼道式を発動し、メノスの森へ出ると、丁度白い燕がこちらに飛んできていた。

 ――嫌な予感は当たるもんだな。

 ――やっぱり気付いていたか。

 表情に辟易とした思いを滲ませる御蔭丸の手には一応斬魄刀が握られている。戦いなどしたくないが、望まれればやらなければならない。その前にせめて場所を移そうとしたら、奇妙な事にチルッチは即攻撃せず目の前に舞い降りた。

 

「ハロ~♪ 久しぶりねぇ、御蔭丸」

「……お久しぶりでございます、チルッチ・サンダーウィッチ様。今日も退屈凌ぎに剣を交えに来たのですか?」

 

 妙にノリの軽いチルッチに御蔭丸は苦笑する。やはり成長しているのか以前より美しい羽毛の(たてがみ)を眺める彼を前にして、チルッチはやたら艶っぽい笑みを仮面の中に隠している。

 

「んー、まあそのつもりだったんだけどさ。あんた、なーんか強い奴らと一緒に居るじゃない。あたしは退屈しないならなんでもやるつもりだけど、流石に後ろの二人とあんたを一緒に相手取るのは嫌なのよ」

「後ろの二人……?」

 

 呟く御蔭丸が振り返ると、いつの間にかハリベルとネリエルが居た。二人とも既に武器を抜いており、あまり好意的ではない視線を送っている。

 

「……すぐに戻ると言いましたのに、ついてきたのですか?」

「……本当にただの野暮用なら待っておくつもりだったんだがな。そいつは明確な敵だ」

「言ったでしょ、御蔭丸。私は貴方に死んでほしくないの。だからあんまり無茶な事されると、口を挟みたくもなるわ」

 

 据わった眼で唇を開くハリベルと呆れた口調のネリエルに御蔭丸は苦い笑みを浮かべた。気持ちはありがたいが、自分の生き方がこうである以上変える事は出来ない。だから隠れ家に戻ってくれと口にしようとしたら、その前にチルッチが高らかな嘲笑を響かせる。

 

「キャハハッ、明確な敵・だってさ! 初めて会ったのにズイブンな嫌いようじゃない!」

「……此処は虚圏(ウェコムンド)だ。そんな事は日常茶飯事だろう」

「誰かに会えば全員敵よ。今の私達がどんなに幸運かは知ってるから、わざわざ言わなくてもいいわ」

「アッハ☆ だからあたしは邪魔者ってワケね。いいわ――あんた達なら退屈しなさそう!」

 

 チルッチの言葉を皮切りに場の空気が軋みを上げる。吹き上がる三者三様の霊圧に近隣の虚は即座に逃げ出すが――槍と刃を構える二人を、白い死神が制止する。

 

「――申し訳ございませんが、お二人は手を出さないでいただけますか」

「……どうしてだ」

「これは僕が始めた戦いです――ですから、僕の手で終わらせなければなりません」

「……ふう、分かったわ。ホントは嫌だけど、そこまで踏み込む権利は私にないもの」

 

 元々戦う気はなかったのだろう、二人は嫌々ながらに武器を降ろす。それを笑って見届けて、御蔭丸はチルッチに向けて仄暗い眼を光らせた。

 

「さて、それでは場所を移しましょうか。僕としてはまだ、決着をつけるつもりはないのですけれど」

「……あ~あ、やっぱりこうなっちゃうか~。まっ、物分かりがよくないと共存なんてやってけないわよね、(あたしら)みたいなモンならなおさらさ」

「……チルッチ様?」

 

 しかしチルッチは動かなかった。そもそも初めから戦闘態勢ではなかった彼女は、頬に巨大な手を当てて深いため息をつく。それを訝しむ御蔭丸に、燕の虚は嘴をにんまりと歪めた。

 

「なーに変な顔してんのよ。言ったでしょ、「そのつもりだった」・って。今日はあんたと戦う気はないの」

「……では一体、何の御用でしょうか」

「アン、もう、鈍いわねぇ! 退屈しのぎよ、た・い・く・つ・し・の・ぎ! そのためならなんでもやるってさっき言ったじゃない。あんた、耳ついてんの?」

「いえ、それは分かっておりますが……他に退屈を満たす方法があるのですか?」

「当ったり前じゃない! フフフ――きっと楽しい事になるわ」

 

 御蔭丸がその言葉を吟味する前に、チルッチは仮面の(くちばし)を手で無理やりこじ開けて――彼に覆いかぶさり、有無を言わさず唇を重ねた。

 

「……~~~~!?」

「なっ!?」

「ああーっ!?」

「ん~~~~……ぷはあ。キャハハッ、ゴチソウサマ☆ 結構おいしかったわよ」

 

 突然の出来事にハリベルとネリエルは驚愕の声しか上げられない。たっぷり二十秒ほど白い男の唇を奪ったチルッチは、満足そうに舌なめずりをする。あまりの事に一瞬呆然自失になっていた御蔭丸は、ひどく慌てた様子で口を動かす。

 

「チ、チ、チルッチ様っ! 一体何をするのでございますかっ!?」

「ハア? キスよキス、そんな事も知らないの?」

「行為の事ではありません! 一体何の理由があってこんな事を――」

「あーもー、ウッサイわねぇ。男がキスの一つでガタガタ言わないでよ、ヴァージンじゃあるまいし」

「それとこれとは話が――」

「ウッサイっつったでしょ! あんまり騒ぐならこうしてやるわ――んちゅう」

「あむ、むぐうっ!?」

 

 口角泡を飛ばす勢いでしゃべる男にイラついたチルッチは、またしても強引なキスをした。しかも今度は舌まで入れられ、御蔭丸は眼を白黒させるばかりだ。周りなど関係ないと言わんばかりに重なる二つの影に、先に正気を取り戻したのはネリエルだった。

 

「ちょっ、ちょっと! 一体何やってるのよ!?」

「ちゅる……あらァ? ナニしてるか分かんなかった? 仕方ないわねえ、もっかいやってあげるからよーく見てなさい!」

「やらなくていい! ていうか御蔭丸、貴方も抵抗しなさいよ!!」

「そ、そうしたいのは山々なのですが、チルッチ様が離してくれなっ、むう~~!?」

「やらなくていいって言ったでしょっ! ああもう、何なのよこれはっ!!」

 

 もがく御蔭丸を無視して三度目のキスを敢行するチルッチにネリエルは顔を真っ赤にして怒鳴る。気持ちとしては今すぐ間に入ってチルッチを虚圏の彼方までぶっとばしてやりたいが、手を出さないと約束した手前動けなくなっている有様だ。

 それを知ってか知らずか、チルッチは非常に濃厚なキスで御蔭丸を貪っていた。傍から見ても情欲のそれを連想させるそのキスは、唇を放せば唾液の糸が滔々と伸びる。そうして淫靡に濡れた唇をあざとく舐めるチルッチに、ようやく正気に戻ったハリベルは一も二も無く刃を向けた。

 

「……そいつを放せ。それ以上やるなら容赦しない」

「キャハハッ、ソレ以上ってナニかしら? どんな想像したのか教えてもらいたいわねぇ」

「……黙れ、私の気はあまり長くない。それにそいつも嫌がっているだろう……今放せば見逃してやる」

「見逃してやる・だなんて甘ったれた事言わないでよ。あたしそういうの大っ嫌い! それにさ、こいつだって本当に嫌がってるか怪しいモンだわ――だっていっつもこうだもんねぇ、御蔭丸」

「いつも、だと……?」

 

 ねっとりと絡みつくようなチルッチの言葉にハリベルは眉を寄せる。いつも、という言葉から想像できるのは、御蔭丸はチルッチとこういう事をよくシているという憶測だ。

 無論、事実無根である。チルッチとは戦闘以外に何もないと御蔭丸は弁明しようとしたが、その前に地面に叩きつけられて喉を押さえられてしまった。声無く呻く御蔭丸が見上げる燕の虚は、実に楽しそうな顔で声を紡いでいる。

 

「そーよ。御蔭丸ってばあたしとヤる時はいっつもこうなの。変に意地張ってガマンして、結局抑えきれないのよねぇ。最後にはあたしを下にしてさ、したり顔で決着はつけない・なんて言って帰るのよねぇ? あんた達はこれってど~思う~?」

「…………」

「…………」

「ご、誤解です! 誤解ですってば!!」

 

 ハリベルとネリエルから送られる猜疑の視線に御蔭丸は半泣きで叫ぶのが精一杯だった。否定しようにもチルッチに喉を押さえられてそれ以上声が出せない。チルッチの言っている事は言葉が足りないだけであながち間違っていないというのも拍車をかけていた。

 誤魔化すだけで一向に具体的な事を言わない御蔭丸に、二人はとうとうそれが真実であると誤解したらしい。疑念渦巻く彼女らの瞳が異様な冷たさに変わったのを見て、チルッチは笑いを堪えながら御蔭丸を放した。そして後は鑑賞して楽しもうと三人から一歩離れた場所に座る。

 

「…………ふ~ん。そう、貴方ってそういう人だったんだ」

「ネ、ネリエルさん!? そういう人とはどういう事でございましょうか!?」

「いーえ、べっつにー。ただ寝ている女性の胸を揉む人って、余所でもそんな事するんだなーって、そう思っただけよ」

「それは不幸な事故が重なり合った結果だと結論付けられた筈ではないのですかっ!? いえ、確かに結論が出ただけで僕の罪が消えるわけではありませんが……ってうわっ!?」

 

 白けた顔で見下ろすネリエルの誤解をどうにか解こうとしたが、流石に笑顔ではない御蔭丸を鋭い刃閃が襲う。彼が必死で避けた攻撃の主は、ひどく冷たい眼をしたハリベルだった。

 

「……何故避けるんだ?」

「よ、避けるに決まっているでしょう、ハリベル様!?」

「私はお前を斬る事を望んでいるんだ。素直に斬られろ」

「理由も知らずに斬られるのは流石に御免です!」

「理由か……そんな事をこの私の口から言わせるのか。身に覚えがないわけじゃないだろう」

「えっあっ、いやっ、そのっ……」

「…………否定しないか。お前を信じた私が莫迦だったよ」

「ちょ、ちょっと待ってくだ――!?」

 

 オロオロと狼狽(うろた)える彼を醒めた視線で見納めて、静かな鮫は刃を振るった。そのうちネリエルも参戦し、御蔭丸は虚圏に来て以来最大級の命の危機を味わう事になる。

 その状況を引き起こした当の本人のチルッチは、とても楽しそうな顔で眺めていた。

 

 

 

   φ

 

 

 

「カカカッ、なんと醜い面だ。いつにも増してひどく憔悴(しょうすい)しておるな、お前様よ」

「…………」

 

 舞台は再び精神世界。ハリベルとネリエルの誤解を解くのに数日と持てる限りの技能を使い切った御蔭丸は、笑顔どころか荒れ果てた色さえもない無表情で立っている。謁見の間に敷かれた赫い絨毯の上でこちらを見上げるのみの男を、天獄はとても楽しそうに睥睨(へいげい)していた。

 

「どうだ、実に面白い余興であったろう? お前様は願い無くして生きられぬ身、それ故に他者の深く熱い部分まで背負ってしまう。その結集があの様よ、お前様はそれでも面影を続ける気か?」

「…………」

「で、あろうな。まあ、妾の口出しする事ではない。お前様は一生その哀れな姿で踊っておればよいのだ。それよりも――此度の余興は、お前様の無用な理性を随分剥がしてくれたようだな」

 

 嘲笑う少女を眺める御蔭丸に表情は無い。荒れ果てた戦士としての心も無く――ぽっかりと空いた孔のような無表情がそこにある。

 

「――――()い顔だよ、お前様。お前様が全てを失い、そして力を手に入れた時、お前様はそんな顔をしておった。カカカッ、今宵ばかりは本気で戦わねばならんようだ。でなくば、お前様に妾の()ごともろとも喰われる」

 

 少女は謳うように言って、小さな掌に巨大な逆十字を顕現させる。御蔭丸は初めから、その無貌(むぼう)の下に戦意無き十字架を携えていた。そして天獄と同じように自然体で佇み――牙のように尖った鮮血色を、二つの眼にゆらめかせる。

 天獄は悦び、それ以上喋る事はなかった。最早言葉など要らない、自らが主の力を我が身で試さんと優雅に舞い――二人は雷電となって激突する。

 ほぼ雨に覆い隠された宮殿の一部が半壊する程の戦いの果てに、御蔭丸は自らの斬魄刀に勝利した。




原作より六八一年前の出来事。
前回の後書き通り、ハーレムっぽい話です。深読みすれば意味があるかもしれませんが、軽い気持ちで書かせていただきました。
そして執筆しながら公式キャラブックを呼んでいたのですが、どうやらネリエルの下半身は羊ではなく羚羊(カモシカ)のようです。とんでもない間違いをしてしまい申し訳ありません。この話でも羊として書いておりますが、今日はもう疲れたので明日直させていただきます。
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