女体化した挙げ句、転生先は存在しないクリスの妹でした。   作:わらぶく

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小話:フィーネの欲 ※やらしい描写多め

『フィーネ、既に上層部は焦れに焦れ計画の達成はいつになるのだとつついてくる。そちらの計画は以下ほどまで進んだのか、君の口から直接聞かせてもらおうか』

 

「……やたらと性急ね。今は二課の最下層にあるデュランダルを奪取するための計画を立てているところ。そもそも計画の進行に関してはこちらで全て決定を下すと、そちらにも事前に通知していたはずだけれど?」

 

『元々、うちには君に協力すること自体を毛嫌いする者も多いのだよ。日本人の櫻井了子の器を得た君がFISなんぞと言う爆弾をアメリカに作り好き勝手に動き回るなんて、なかなかどうして思い切った判断をしてくれたことか』

 

「あなたたちと利害が一致してのあの組織でしょうに」

 

 天高く登った太陽の光が射し込む研究・処置室の奥で、様々な研究や実験の経過がしたためられた文書を映すモニターの光を浴びながら、耳に当てたアンティーク調電話の受話器から聞こえてくる男の声に、裸体姿のフィーネは溜め息を吐く。電話先は活動のためのセーフハウスを用意し、計画の駒として利用するだけしようと画策していた米国特務機関の連絡官だ。

 紅茶を注がれたティーカップを口に付けながら、電話の向こうにわざと聞こえるように再び溜め息を吐く。元々この協力関係には自己の目的を優先した不安定なものであったが、それでも聖遺物の奪取という共通の目的によって、双方の関係は一本のピアノ線により繋がれていた。まぁ、計画の内容は『日本の特務機関内部の聖遺物奪取』と完全に嘘で塗り固められた偽物でしかない。月を穿つなどと言えば、間違いなく裏切られるのが落ちだ。

 

 だが、共同という言葉は向こう側の心を昂らせるものではなかったらしい。実行、計画をフィーネが請け負うことでさえ、彼らは早々に渋い顔をしながら了承した。何事も自己を中心に置かなければ気分良く動けない奴らの気性は、なるほど野蛮人らしいとフィーネは蔑んだ答えを得る。

 計画が順調が進み始め軌道に乗り始めた今、ここで足を引っ張られるわけにはいかない。米国の都合によってこちらの計画が足踏みするなんてこと、あってはならなかった。ならばと、こちらは頭の隅で手切りを模索する。使えるだけ使い倒して二課の設備強化を果たすことが出来れば、以降こちらは雪花という駒があれば一人でも目的を達成することが可能となる。それまでは何としてでも、協力関係を失うわけにはいかない。

 

「それに、私がそっちへ依頼した広木防衛大臣暗殺の方はどうなったのかしら。まだ連絡の一つももらってないのだけれど?」

 

『問題はない。日本の夕暮れ時に襲撃、そして殺害まで至る予定だ。そちらの不利にはならんさ』

 

「だと良いのだけれど」

 

 隣では雪花が空になったティーカップに紅茶を注ぎ、空になった食器皿を下げていく。雪花の服装は至ってシンプル。裸体の上から透けるほど薄手のブラウスを一枚羽織らせただけという、フィーネの裸体主義を全面に推し進めた格好になっていた。本来ならば要望通り自身と同じ一糸纏わぬ姿で生活させようと命令したが、未だ羞恥心が勝るのだろう。本人からの猛反発があり、脅しと交渉の末にあのような姿で落着した。

 十六歳の平均身長よりは少し高い雪花の体、細身ということも相まって胸元の豊満な双丘がよく目につく。フィーネから見れば女性としての相応な魅力を持っているはずなのだが、それを頑として雪花は認めようとしなかった。あの空港で誘拐したときよりは、度重なる餌付けにより全身の肉付きがかなり良くなっている。

 

 フィーネからの視線に気がついた雪花は、頬を朱に染め上げながらプイッと顔を逸らして目を合わさなくなる。何だかんだと文句を言いながらもこちらの手伝いをしてくれる雪花の姿は何とも愛くるしい。構いなさいと言わんばかりに蠱惑的なカーブを描く臀部へと手を這わせればピクンと体が跳ね上がり、その手に持つティーポットを落とさぬよう後ずさっていった。受話器に声が入らぬよう口をパクパクと動かしていたが、「急に触らないでください!」とでも言っているのだろう。これまでに施してきた調教が功を奏したか、撫でるだけでも相応の反応をしてくれる。

 ああ、なんて初で可愛らしい反応を示してくれる娘だろうか。今まで対峙してきたどんな人間よりも純粋に姉を愛し、その為にどんなことも、他人を炭素にまで変える姉思いな娘。それこそ思いを伝えるために生きてきた悪人に姉を人質に取られてるとはいえ、見殺しにすれば解放される計画に従っているのだ。何という愛、何という情熱。今日はどんな方法でいじめようか、意識を飛ばしてみようかと愉快な想像が止まらない。 

 

『それで何だがね』

 

 有頂天に引き上げられていたはずの意識が、あろうことか不快な男の声で会話に引き戻される。

 舌打ちをしそうになるもそこはしっかりと残る理性で我慢しながら、開いた口を塞ぐためにティーカップに口をつけた。左足を上に組んでいた足を右足を上に組み直してから男の言葉に耳を傾けた。

 

『何でも最近は近くに子飼いのペットを侍らせているようじゃないか。報告では、私情を殺し殺人も厭わない優秀な駒だとか。それに君のシンフォギアを扱える数少ない適合者だと聞いたよ』

 

「さっさと用件を聞かせてもらえると嬉しいのだけれど。何が言いたいのかしら?」

 

『なら率直に言おう。米国政府はこれから先、遅れを取った聖遺物分野へ大きな一歩を踏み出すため、今回の協力を踏み台と見ている。それに当たって君が所有するシンフォギア装者、雪音雪花をこちらで確保するように指示が下された。極秘裏にとは言え、近く大統領命令が発布されることだろう。君の計画にはFISという癌と言い数々の協力を行ってきたのだ。ならば、こちらにも相応の報酬がなければ不平等というものだろう?

 先んじて伝えておくが、もし抵抗するようならばこちらからその手の手練れたちがやってくることになる。最悪、雪音雪花が死ぬことになっても、解剖等で役に立ってくれるだろうからな』

 

「賛同しかねるわね。あの娘は私が自分の手で捕まえてきたのよ。シンフォギアの適合者ならFISで探せば良いのではないのかしら」

 

 つらつらと述べられる説明に、フィーネはイスの肘掛けを使って頬杖をつきながら眉をしかめる。

 F.I.S.にはフィーネが今推し進めている計画の保険となるものが詰まっている。それがレセプターチルドレンと呼ばれる数百の子供たち。今よりも幾万もの年月を遡りまだフィーネがルル・アメルと呼ばれる人類の巫女だった時代の話にはなるが、自身の遺伝子と『刻印』を多くの人間たちに散らせたことが始まりになる。それにより現在の肉体が果てようとも、アウフヴァッヘン波形に触れた意識を乗っ取って、新たな依り代にフィーネとしての意識を顕現させることで予てよりの計画を進めることが出来るのだ。

 あくまで今回のように聖遺物考古学者となった櫻井了子のような身分の人間であれば、という話だが。

 どんな身分で、どんな国の、どんな人間か。それらは完全な偶発でありフィーネ自身もどうかわからない。そこで保険として米国と共同製作したのがF.I.S.であり、かき集めたのは依り代予定のレセプターチルドレンたちである。

 

 なればこそ、わざわざこちらの戦力を削ぐようなことはせず、あちらで適当に済ませてくれというのがフィーネの願いだった。あれらもこちらの計画が済んでしまえば、そこでどんな実験をしようが研究を行おうが、計画達成秒読みとなりつつある今となっては最早不必要だ。

 

『ナスターシャには現状の説明をさせたのだがね。聞けば集めたレセプターチルドレンにまともなシンフォギア装者は、事故で死んだ娘以外誰も居ないというではないか。ましてやLiNKERの過剰摂取で後天的になった装者など、まともに扱えはしないだろう。だからこそ我々は望むのだよ。産まれたときからその身に戦う使命を宿した先天的なシンフォギア装者を。こちらで調べた結果では、装者は一人で軍隊とも張り合えるそうじゃないか。聖遺物の軍事転用、大いに結構だとは思わないか?』

 

「議題にもならないわね。私はこれで切らせてもらうわ」

 

『そうか、また正式にそちらへと連絡がいく。その時にでも返答は聞かせてもらおう』

 

 受話器を下ろし紅茶をまた一口飲んでから、今度は我慢することなく舌打ちをする。元々、フィーネは彼らを『堪え性のない野蛮な人間たち』と蔑んでいたが、今回のことでそれが更に露になったと言える。

 とはいえ、今回はあまりにも性急にすぎる。もしや本来の計画が漏れたのではと思案するが、フィーネが口外していない以上雪花が裏切っているという結論に至る。それはありえない。雪花はどこまで行こうと愚直と思えるほどに姉思いの人間だ。姉に危険が及ぶような選択を取らないことを、これまで共に過ごしてきたフィーネはよく知っていた。

 となれば後は周りの見えざる所から嗅ぎ付けられているのかもしれない。不快なことだ。誰も分からぬ人間から監視されるなど不愉快極まりない。腹が立つ。

 

「フィーネ、何を怒っているんです?」

 

 思案と怒りの渦に呑まれる中、目の前に近付く雪花の顔に気付いてフィーネは意識を表層へと取り戻した。それまでついていた頬杖を退けて再度ティーカップに口を付けながら、努めて平静で居ようと紅茶を飲み干す。

 それでも吹き出し続ける不平不満は目の前の娘にぶつけさせてもらおうと、雪花の手首を掴み一気に引き寄せた。急に引っ張られた雪花の体はバランスを崩し前のめりに、イスに座っているフィーネのところに倒れていく。それを真っ正面から受け止めたフィーネは雪花の麗しいカーブを描く顎に指を添えて、顔を上向かせると間髪いれずに唇を重ねた。柔らかい唇同士がぶつかり合って形が歪む。唾液も呼吸も全てを重ねるように、雪花の心の中へ自身を余すことなく注ぎ込んでいく。

 

 雪花の顔は驚きで染まっていたものの、フィーネが舌を口内に入れ込んでも抵抗していない辺り、諦めたのか受けいれたのか。どちらに転んでいたとしても、フィーネにとって好都合なのは間違いない。

 腕を雪花の脇の下から差し込んで背中へと手を回し、思いっきり抱き寄せながら尚も唇を貪り続けた。互いの体が密着したことで双丘同士がぶつかり合い、ドクドクと活動を続けている心臓の鼓動が重なって共鳴していた。全てを重ねる。こちらへと、雪花の心を手繰り寄せる。

 

 薬物で自我を壊してしまえば好みの人格を作り出せるだろう。

 だがフィーネが求めるのは、純粋な愛の感情を持ったままの雪花だ。重ねた唇を離し互いの間に繋がる唾液の橋を見ながら、半開きに口から舌を垂らすとろんと蕩けた雪花の表情を頭に焼き付ける。

 

「良い顔よ、雪花」

 

「いきなりのキスには、慣れてきましたけど……。舌まで入れてくるのは流石にどうかと思いますよ……?」

 

「少し電話先に気に食わない人間が居たのよ。身の程も知らないただの凡人がね。あそこまで神経を逆撫でされたのは久しぶりの体験だったわ」

 

「はぁ……何を言われたか、あまり深くは考えないようにします……。はっ、んんっ……」

 

「あら、体を震わせてどうしたのかしら?」

 

「誰の、せいだと……? こっちはここ毎日、ずっとフィーネに体を……」

 

「ふふっ、少し意地悪だったかしら。ほら雪花、身を委ねなさい。今日は一日あなたのために費やしてあげる。むつみ合いましょう」

 

「はっ、あぁ……フィー……ネ……」

 

 まだ時刻は正午丁度。

 次の目標であるデュランダルの釣りだしまでは時間があり、二課所属の櫻井了子も今日は休暇の日だ。計画の進行は何度も繰り返してきた命の中で、思ってもいないほどの速度で進んでいた。正直に言って、精神的な余裕はたくさんある。それまでは目の前の雛鳥とでも遊んで楽しもう。

本筋が終わった時、しないフォギア的な日常パートは必要ですか? それとも不必要ですか?

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