ひよことしてモフられる時とは違い、素肌に触れるお嬢様の頬の柔らかさや滑らかさ、そして温もりがどうにも気恥ずかしくて思わず声をあげてしまった。
「ふえぇ…!? わたくしの推しのマクシミリアンのお声? お人形さんじゃなくて? そういえばどことなく温かい?? この世界には推しはいないはずなのに…」
俺も大概混乱しているとは思うが、お嬢様も同じようで、よく分からないことを、改稿呆然とつぶやいている。
お嬢様は何かを思い出したように、ベッドへと視線を移した。
「マクシミリアン?」
「はい…、どうかしましたか?お嬢様?」
俺がそう答えると、呆然と視線をこちらに戻すお嬢様。
「あなたじゃなくてひよこの、マクシミリアンをモフって……気持ちを鎮めたかったんですのに……。 あの子がいないわ。それともわたくしはまだ夢見てるのかしら…」
「黒い色合いのひよこは俺…いや、私ですね……」
申し訳がなくて顔が上げられない。
「え、だってわたくし
俺自身も元は人間だったなど、思ってはいなかったとはいえ、さすがに気恥ずかしく感じてしまい顔が熱を持つのを感じる。
「これが夢じゃなかったら わたくしが、マクシミリアンにセクハラ? わたくし断罪されてしまうの…? うぅ…」
なにか呟いたお嬢様が俺の方を見て、今にも泣き出しそうな顔をするから、胸がチクリと傷んだ。
「セクハラがなにかわかりませんが、俺が嫌われる事があってもお嬢様は何も悪くありません。俺だって人の形になれるのは…、今日初めて知ったのですから」
このサイズじゃ俺はお嬢様が倒れても、支える事すらできない。
「お嬢様がいま倒れられたりしたら、俺は貴女を助け起こす事も、抱き上げてベッドまで運んで差し上げることも出来ません。一先ずベッドの方へ移動しませんか?」
そう伝えると、悲しみとも怯えともつかない何かを瞳の奥に宿したまま、彼女は俺を両手で落とさないよう、やんわりと包んで俺ごと連れて行ってくれる。
ひよこの時もそうだったが、俺自身が大切な宝物だとでも言う様に触れる彼女。
惹かれていく気持ちが加速していく。
どんどんと愛しい気持ちが膨らんでいく。
なのに今の彼女を泣かせているのは俺のようだ……。
俺の
なんと矛盾してるんだろうこの思いは……。
『泣かないで。大切な貴女を俺が守りますから』
そんな思いを込めて、彼女の手のひらから背伸びして、頬にキスを落とした。
ボフンと煙が立ったような感覚を感じるも、俺はひよこにもどっていた。
この体は。どうなっているんだ。
なんとも言い難い気持ちを、ぶつける先もなくひよこな俺は、お嬢様の手のひらの上でため息をついた。