黒いひよことお嬢様   作:皇ひびき

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黒いひよことお嬢様16 黒いひよこルート9

俺はあの瞬間だけ、なぜ人の形になったのか…。

いつもと違うのは彼女からの寝言とはいえ、思いのこもった言葉とひよこ姿の俺へのキス。

 

そういえば…、俺も寝ているお嬢様に思いを伝えくちばしを寄せたな…。

そこが手がかりなのだろうか。ただお嬢様は俺の変化した姿を見て、迷わず俺をマクシミリアンと呼んのだ…。

 

この不可解な現象が解決できたのならば、俺は人として彼女のとなりに並んでも良いのだろうか。

あの姿で触れられたからだろうか。

 

お嬢様が愛おしくて触れたくて仕方がない。

翼を広げてお嬢様の頬を撫でると、恥ずかしそうに頬を染めるお嬢様。

 

『クソ! 可愛いな……』

 

「え? マクシミリアン喋れるの?」

 

頬に両手を当て、真っ赤に染まった両頬を隠すようにしてお嬢様が聞いてくる。

なんであんな言葉を、無意識に風魔法に乗せてるんだ俺は……。俺自身もかなり動揺してるのか…。

 

『はい…、風魔法に乗せて言葉を伝えています…』

 

「どうして…わたくしとはお話してくれなかったの? わたくしとはお話したくなかった? なんだか淋しく感じてしまうわ…」

 

『私の声が、成人男性のそれなので、お嬢様との今までの関係が壊れそうで……、言い出せませんでした。申し訳ありません…』

 

「確かに…すごく驚いたかもしれないわね……。てもどうしてひよこの姿なのかしら……? どちらが本当の姿なのか気になるわね…! 今の姿も愛らしいけれど…格好良いマクシミリアンの姿もみたいわ!」

 

『格好良い……?』

 

お嬢様はあの姿の俺を知っているみたいだった……、そして俺の姿を好いてくれていると自惚れてもいいのだろうか…。

 

「ええ! あの褐色のお肌もクールで切れ長なあの黒い瞳もとても素敵だと思うわ!」

 

『お嬢様! 俺もお慕いしています! 鳥の姿では貴女の隣に相応しくないのだと…、諦めておりましたが…、もし……、もしも…人の姿を取れるようになったら、ずっとお側に置いていただけますか…?』

 

「わたくしからお願いしたいくらいだわ! 大好きマクシミリアン!」そう言うと鳥の姿のせいか気軽に俺の頬に口づけるお嬢様…。

 

俺も愛しさを伝えたくて、綺麗な白い肌を傷つけないように彼女の頬に嘴をつける。

 

 

何やら体に妙な魔力が駆け巡る…。すぐにベッドから飛び降りる。

 

「う……」

 

思わず呻き声が出てしまったが、また人型になったのか?

「マクシミリアン……? あなたさっきより大きくなっているんじゃないかしら……?」

 

執事服に白い手袋のをつけた手を眺めつつ、

 

「その様ですね…先程はお嬢様の膝丈くらいでしたか…? 今は腰くらいのサイズですか……」

 

俺は少し顎に手を当て考える。

やはり予想通りなのか…?

 

「なにやらお嬢様と想い合う事と口づけが、この姿になる為の引き金のようですね。

 

「ふぇ……?」

 

「もしお嫌でなければ、私を元の姿に戻してくれますか。お嬢様がご不快であれば、無理にとは言えませんが…」

 

「心の準備をするから、少しだけ時間をくれるかしら…、わたくしつい可愛いひよこを愛でる感覚で触れていたから……なんていうか…。 マクシミリアンにって意識すると恥ずかしいじゃない…?」

 

上目遣いにそんなことを言われ、あまりの可愛らしさに思わず「可愛すぎます!お嬢様!!」と抱きついてしまった。これは不可抗力だ……。

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