俺はあの瞬間だけ、なぜ人の形になったのか…。
いつもと違うのは彼女からの寝言とはいえ、思いのこもった言葉とひよこ姿の俺へのキス。
そういえば…、俺も寝ているお嬢様に思いを伝えくちばしを寄せたな…。
そこが手がかりなのだろうか。ただお嬢様は俺の変化した姿を見て、迷わず俺をマクシミリアンと呼んのだ…。
この不可解な現象が解決できたのならば、俺は人として彼女のとなりに並んでも良いのだろうか。
あの姿で触れられたからだろうか。
お嬢様が愛おしくて触れたくて仕方がない。
翼を広げてお嬢様の頬を撫でると、恥ずかしそうに頬を染めるお嬢様。
『クソ! 可愛いな……』
「え? マクシミリアン喋れるの?」
頬に両手を当て、真っ赤に染まった両頬を隠すようにしてお嬢様が聞いてくる。
なんであんな言葉を、無意識に風魔法に乗せてるんだ俺は……。俺自身もかなり動揺してるのか…。
『はい…、風魔法に乗せて言葉を伝えています…』
「どうして…わたくしとはお話してくれなかったの? わたくしとはお話したくなかった? なんだか淋しく感じてしまうわ…」
『私の声が、成人男性のそれなので、お嬢様との今までの関係が壊れそうで……、言い出せませんでした。申し訳ありません…』
「確かに…すごく驚いたかもしれないわね……。てもどうしてひよこの姿なのかしら……? どちらが本当の姿なのか気になるわね…! 今の姿も愛らしいけれど…格好良いマクシミリアンの姿もみたいわ!」
『格好良い……?』
お嬢様はあの姿の俺を知っているみたいだった……、そして俺の姿を好いてくれていると自惚れてもいいのだろうか…。
「ええ! あの褐色のお肌もクールで切れ長なあの黒い瞳もとても素敵だと思うわ!」
『お嬢様! 俺もお慕いしています! 鳥の姿では貴女の隣に相応しくないのだと…、諦めておりましたが…、もし……、もしも…人の姿を取れるようになったら、ずっとお側に置いていただけますか…?』
「わたくしからお願いしたいくらいだわ! 大好きマクシミリアン!」そう言うと鳥の姿のせいか気軽に俺の頬に口づけるお嬢様…。
俺も愛しさを伝えたくて、綺麗な白い肌を傷つけないように彼女の頬に嘴をつける。
何やら体に妙な魔力が駆け巡る…。すぐにベッドから飛び降りる。
「う……」
思わず呻き声が出てしまったが、また人型になったのか?
「マクシミリアン……? あなたさっきより大きくなっているんじゃないかしら……?」
執事服に白い手袋のをつけた手を眺めつつ、
「その様ですね…先程はお嬢様の膝丈くらいでしたか…? 今は腰くらいのサイズですか……」
俺は少し顎に手を当て考える。
やはり予想通りなのか…?
「なにやらお嬢様と想い合う事と口づけが、この姿になる為の引き金のようですね。
「ふぇ……?」
「もしお嫌でなければ、私を元の姿に戻してくれますか。お嬢様がご不快であれば、無理にとは言えませんが…」
「心の準備をするから、少しだけ時間をくれるかしら…、わたくしつい可愛いひよこを愛でる感覚で触れていたから……なんていうか…。 マクシミリアンにって意識すると恥ずかしいじゃない…?」
上目遣いにそんなことを言われ、あまりの可愛らしさに思わず「可愛すぎます!お嬢様!!」と抱きついてしまった。これは不可抗力だ……。