黒いひよことお嬢様   作:皇ひびき

4 / 21
黒ひよこの視点です。


黒いひよことお嬢様4(黒いひよこ視点)

何やら声が聞こえた気がした。

取り敢えず、俺を取り囲み捉えているモノを破壊して、現状把握してやる!周りを取り囲んでいる物を嘴でつつくともろくも崩れていく。

 

キテレツ、ハイジョ?よくわからないが耳に入る言葉が気に食わない。相手は誰かわからないが、一撃食らわしてやるかと、飛び蹴りを決めた瞬間、俺は卵の殻らしき物を突き破って外に出た。

 

ふと横を見ると、胸もとに肉を蓄えた女が俺の方をぽかんと見ていた。

「チッ」俺は鳥のようだが、この女を親として追いかけ回すのはなぜだか嫌だったので、舌打ちしてその場から立ち去る。

 

その後、美しい庭園らしき場所を歩いていたのだが、違和感がすごい。

何故これだけ足を踏み出してるのに、一向に前に進まない!?

孵ったばかりのひよこなのだから、仕方ないはずなのに、俺はどうにももどかしく感じてしまう…。

『なんなんだ!この違和感は!』訳もわからず、俺は焦燥感に駆られるように足を進めた。

 

気がつくと出会ったばかりの天使の様な少女に、妙に慣れ親しんだ気のする『マクシミリアン』という名をつけられ、やけに豪華な屋敷の部屋へと、手のひらに乗せて運ばれた。

『お嬢様に運ばせてしまった!』という謎の思いもあり、俺の焦燥感は更に深まる。

 

俺が親と決めた少女はビアンカというらしい。見た目どおり心も美しく、彼女に惹かれてやまない…。

月の妖精化身と言われても信じられる気がする。

 

うっとりと、彼女に見惚れていると何かを蹴破り、最初に視界に入ってきた女が、俺をつかんでこの場をさろうとする。

 

「ジョアンナ?」

ビアンカ様はそれを見て不思議そうに、こてんと首を傾げた。その仕草はひよこの俺が見ても愛らしい!

 

「この黒い柄はよごれてるのかもしれませんし、お側に置くなら綺麗に洗わないとですよね〜」

 

…となんだか黒い顔で俺を見ている。

ジョアンナといったか。

こいつ、わかっててわざと言っているだろう?

足をバタつかせて抵抗を試みたが、徒労に終わった…。

 

結局、洗濯物の様にワシワシ洗われても、俺の羽根の模様が変わるわけが無い。

その後、お嬢様が「ふわふわになりましたわね〜!かわい〜、尊い〜」と俺をたくさん抱きしめたり、撫でたりしてくれたから気分はいいのだ。

 

牛女の事は今回は見逃すことにしよう。

 

お嬢様は優しくて俺を愛してくれる。

俺は潰されないように回避をしながらだが、同じベッドで寝かせてくれる。

俺のことをお風呂で洗ってくれる。

 

ここは天国か…、そんなことを考えながらも、お嬢様と話せないのが悲しい。いつか、俺と彼女が会話できる方法を、見つけ出してみせると心に誓った。

 




黒ひよこ洗濯物のように洗われる!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。