黒いひよことお嬢様   作:皇ひびき

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アルフォンスお兄様…、領地からやってきました!



黒いひよことお嬢様5 (アルフォンス視点)

僕は久々に天使ちゃん(ビアンカ)を充電し…、いや、父様に用事があって帰省していた時の事だった。

何やら風変わりなひよこが、侯爵家敷地内 で孵って、妹のビアンカを親に認めたというのだ。

 

「僕も天使ちゃん(ビアンカ)のそばにずっといられるなら、ひよこになりたかったよー!」とひよこを飼いたいという天使ちゃん(ビアンカ)に言ったら、眉を八の字にしてとても悲しそうな目で見られた。

 

「お兄様はそのままのお兄様が素敵ですわ」

…とか愛らしく上目遣い気味に言われたら…、抱きつく以外に選択肢はないよね!そうに違いない!

 

天使ちゃん(ビアンカ)が可愛すぎて辛い〜、どうして君は妹なんだろうね…」とここぞとばかりに愛でまくる僕。

 

黒いひよこに関しては父様と話して、どうせすぐに(にわとり) になって室内で飼育するのは難しくなるだろうから…という打算もあり、飼う許可を出したんだ。

 

数日後に、屋敷の中でトテトテと一羽で歩いている黒いひよこを見つけた。

 

「迷子になっちゃったのかな?」

なぜだかわからないがこの執事服を身に着けた様なひよこに親近感の様なものを感じる。

 

…が、僕はもうすぐここから離れなきゃいけないのに、君だけそばにいられるのは狡くないかな? なんて子供じみた思いが、心に去来するのも本当なんだ。

 

ふと、ひよこを見ると神妙な顔をして僕の顔を見ていた…。もし人なら冷や汗でもたらしてそうな、それとも動物が『この時が過ぎれば…』とお仕置きタイムを神妙な顔でやり過ごそうとしてる雰囲気とでも言えばいいのか。

 

「マクシミリアンだっけ、君は本当に面白い子だね。君を見てるとなんだか懐かしい気持ちになるのはなんでだろうね。ビアンカの力になってあげてね」

本当は…、僕がその場所にいたかったよ…、その言葉は口に出さずに溜息をつく。

 

僕はひよこ相手に何言ってるんだと自分でも思ったのだけど、ふと魔力の気配を感じた次の瞬間『必ず守りきってみせますよ、アルフォンス様…』と懐かしく 聞き覚えのある声が聴こえた気がした。

 

ペコリと挨拶をする仕草をみせて黒いひよこは、この場を去ろうとしていたので、「僕も天使ちゃん(ビアンカ)に会いたいから一緒に行くよ!」と両手を差し出したら、少し逡巡(しゅんじゅん)した後に『失礼します』とでも言いたげに、頭を下げ僕の手のひらに乗ってきた。『なんだか人間みたいな子だな…』

 

僕だってこの黒いひよこを可愛いとは思うのだが、天使ちゃん(ビアンカ)みたいに抱きしめたり頬擦 りをする気にならない、だが信頼できる相棒のように感じる。

 

「さあ僕達の天使(ビアンカ)の元に行こうか!マクシミリアン」

 

本当は今回の帰省だって、領地でなぜ今更そんなコトを知る事になったのかと、悩んでいたからだった。

 

僕とビアンカは従兄妹同士結婚だって可能なはずだったのだ…。

もっと早くに知っていれば、今の状況に甘んじてなんかいなかったし、彼女を手に入れて絶対に離しはしなかったのに。

 

でも、可愛い天使ちゃん(ビアンカ)は、今更事実を知らされても苦しんでしまうだろう。 あの子を悲しませない為にも僕は彼女のそばにはいられない…。

 

きっとそばに居れば、僕は気持ちが抑えられなくなるだろうからね…。だから僕の分まで君が、ビアンカを守ってあげてね。

 

まだ痛む心を隠したまま、僕はひよこを手にビアンカの元へと足を進めるのだ。

 




お兄様も妹が大好きです!
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