俺は7歳の時に運命に出逢った。
その頃から俺の周りにいる女性達は、俺が髪に触れて微笑むと、頬を染めたり俺に触れてこようとするものばかりだった。だから、ビアンカもきっと同じだと思っていた。
けれど、やんわりとではあったが、俺を
そして父親と
それから俺は、初めて一人の人間に固執し権力を使ってもいいから、
だから俺の婚約者にと望んだのに…。
何故、友人のように付き合えるようになった今でも婚約者候補なんだ!
なぜ俺に惚れない?
どうしても納得できない、それでいて
いつも『今日こそは俺を選んでほしい。
「ん?アイツとは誰だ?」記憶力には自信がある。
それなのに、ここ最近記憶が混濁しある筈の何かを無くした様な…、変な気持ちになる瞬間が頻繁に訪れる。
今日こそは
ひよこのようにも見えるのに全体的に黒っぽい鳥。
「ビアンカ?その珍妙な生き物はなんだろうか?」
思わず思ったままを口にしたら、ビアンカの頬が膨らんでいる。何やら怒っているらしいが、相変わらずどんな表情も可愛いらしいな。
「ビアンカ、すまなかった。悪気はなかったのだが…」と機嫌を直してほしくて、俺は彼女の頬に手をそえ、その白い頬にキスを…。
俺の唇がビアンカの頬に触れる直前、何やら
『跡でもついてそうな勢いで蹴られただと!?』
素で苛ついて、珍妙なひよこらしきモノをみると、ズモモモモーと効果音がつきそうな雰囲気を漂わせながら、黒い顔で俺を睨んでいた。
急に強風が吹き荒れ始めたため、護衛に引きずられるようにして俺は城へと連れ戻された。
なんなんだ!この敗北感は!
たかがひよこ風情に負けた気がする!
城につくとノエルとばったりと会った。
「ふ…、ふくくくく…、ねえ、何なのその顔。ごめ…、笑いが…と、止まっ……!」ノエルが途切れに言う。
何事かと思い護衛に視線を向けると不自然にそらされる。
「と、とりあえず、早く部屋に戻った方が…、ふっ…くく……」
笑いを噛み殺しているノエル相手では、話にならないと部屋に戻ると、いつもは俺に見惚れてるメイド達までこころなしか顔をそらしている。
「何なんだ!」
鏡をみると、彫刻のような白磁の頬にクッキリとした小鳥の小さな赤い足跡が…。
この顔でここまで帰ってきたこともだが、ビアンカにも見られたのか!?でも、彼女も見ていたであろうと思うと少し心が折れそうだ。
今だけ少し凹んでもいいだろうか。膝から崩れ落ちしばらく凹む俺。
あのひよこ…、次は見ていろ!
「次こそは!」決意も新たに、ビアンカから婚約者にしてくださいと言ってもらえるよう。俺は彼女の心を手に入れる為に、愛してやまない彼女と決して相容れない黒いひよこの元へ足を運ぶのだった。
フィリップ様不憫回でした。