運命にはいくつかの分岐点があると俺は思う。決して引き返せない「流れ」に身を任せる契機を生む、そんな分かれ道。
「藤丸立花」が人理を救ったマスターに成れたのは、そんな分岐を殆どを間違えなかったからだろうよ。
ただ、この分岐点ってヤツのいささか質の悪い所は、何気ない試み(例えば兄妹揃って献血に行ったりとか)が平凡な人生を根こそぎ持っていく所である。
〜カルデア炎上事件の3日前〜
「リツカ!献血に行こうよ!」
赤毛にサイドポニーが特徴な少女が、同じ顔つきの兄妹に話しかける。二段ベッドの上の段から、下の段を除きこんだのでポニーが揺れる。
「何そのCM的な、選挙行こうぜ的な。キミ、赤十字の回しもんかな?」少年は読んでいた本から顔を上げた。
「もーリツカはすぐそういう事言うなぁ。」
「減らす口なもんでね、兄妹なんだしもう慣れなよ。ところで、アーモンドチョコいる?」
「あっ!ちょうだいっ…うわっ!ちょっ…」
ベットをのぞきながら、片手を伸ばしたのでバランスを崩して落ちそうになるりつか。
「…危なかったー」
「何一人で盛り上がってんだ(笑)はい、口開けて」
「あー」
少年は少女の口にチョコを入れた。
「ん、おいひー」
りつかは頬を緩ませ幸せそうである。うちのりつかはホントに甘い物大好きだな。リツカは妹の頬を指でそっと撫でる。
「それで?献血がどうしたのさ。またユニセフのCMに感化されたの?」
「んーん。でも楽しかったよねリツカ、アフリカボランティアの旅」
一年前、ベットの上段で『アフリカに行って来ます、一人だと心細いので探して下さい byりつか』というメッセージを見つけたときは唖然して3分動けなくなったわ。
「…パスポート無しでアフリカ行こうと言い出した時は流石だと思いましたよ、りつかさん…」
「だってさ、困ってる人を助けるとさ、自分も幸せに成れるから一石二鳥じゃん!なら国境くらい越えてなんぼでしょ」
「つってもさぁー、俺達は特異な体質のせいで一人の人間として周囲に認識されるんだぜ?りつかだけ海外行かれると他人の認識がえらい事になる」
実際、りつかがアフリカにいって、俺リツカが日本にいた時、周囲の友だちや隣人がどういう反応をしていたかというと…
アフリカと日本を日帰りで何往復もしている藤丸立花。
というとんでもない事になった。ったく…ややこしい体質だよ全く。もはや、呪いの一種の域とも言える。ま、いいこともあるにはあるがね。
「いーじゃん、人の評価なんてさ。本音でちゃんと話せば分かってくれるよ」
「愛の狂戦士め…んで、次はどこが主催の献血ボランティアなのさ」
「えーと…カル…カル……カルピス?」
「は?」
藤丸りつかはやりたい事の為につっばしる活発な少女で、良く人に好かれる。身内のひいき目かもしれないが、容姿も中々の美人だと思う。脚長くて綺麗だし。あと年下の子には特に優しいところがあって、学校の後輩男子から告白されるはずだった。
はず、というのは特異体質の影響でりつかと俺を勘違いした憐れな後輩君は、俺に告白をしてしまったのである。すまんな、俺は基本的に男には興味ないゼ☆。
ちなみに、りつかは年上の優しい男性に甘やかされたい願望があると常々語っているので、まぁ多分成功はしなかったろうな。強く生きろよ、少年…
話を戻そう。
「ん?もしかして、カルデア?天文学の観測台で一部で有名な機関だっけ」
「そう!カルデアだよっ。ってあれ?リツカ知ってたの」
「魔術師の端くれだからね。んー…カルデアねぇ…」
人理継続保障機関カルデア。アニムスフィア系列の資本がパトロンをやっている星見台という。そこそこの規模の機関なのに、技術革新が起きそうだという噂がある。ついでに言えば、黒い噂もセットだ。英霊を召喚する依代に人体実験をやっているらしい、とかね。
「黒い噂もあるらしいね、カルデア」りつかが落ち着いた口調で言う。
「!…知ってたのか…ならなんでさ」
「なんで…?もー、リツカ、わかってるでしょー。…一人で二人」
「…二人で一人。はいはい、もうわかってるさ。何度も聞かされてるからね!俺とお前がが親に捨てられたから、同じ境遇の不幸な人を愛してあげたい…か」
「そういう事、寂しい子がいるならさっ!私が手を握ってあげないとね」
「やれやれ、寂しがりやなのはりつかの方だろうよ。頼むから、魔術師の闇に深入りしてケガするの だけはヤメてくれよ?りつかがいなくなるとは俺が寂しい」
「ふふふっ大丈夫、大丈夫。…ところでリツカ、チョコもっとちょうだい」
「えー」
■■県、■■市、児童保護施設■■■院での会話だった。
3日後、藤丸立花は住み慣れた施設を離れ、人理保障機関カルデアに生活の拠点を移すことになる。
この時既に、人類最後のマスターたる藤丸立花は人間的に完成していたと言える。
藤丸りつかは愛を与えられなかったが故に、誰かを愛して救いたがった。寂しがり屋の混沌・善の少女。人の痛みが分かるが故に助けたいと希う。
そして…藤丸リツカは愛を知らない。彼は孤独を楽しみ、人の善性を嘲笑う。施設でのなめさせられた辛酸から、冷たい心が彼を作った。「魔術師寄り」な秩序・悪の少年。人の弱さを知るが故に人を殺したいと希う。
※補遺:藤丸立花が施設を離れた日、施設の院長が刺殺されていたのが発見される。■■県警の事後調査で判明したことだが、院長は施設内の少年には暴行を重ね、少女には性的虐待を多数していたとの容疑が分かった。
■■県警は、死体の余りに鮮やかな切り傷から犯人は人殺しの専門家なのではないかと予想した。しかし、施設内の子供にそんなことが出来る訳もなく、首をかしげたと言う。また、犯行現場の周辺には、石灰石で描かれている魔法陣とゾロアスター教の経典が発見されたと報告書に記された。
ぶっちゃけた話、皆さんどんなお話がお好みですか?
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オリジナル要素強めのシリアスバトル
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オリジナル要素強めの日常エピソード
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オリジナル要素強めの恋愛物(りつか)
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オリジナル要素強めの情欲物(リツカ)
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知らん、作者の好きにしろ