今回の文章で、マシュとダビンチちゃんはりつかとリツカが別人であるとの認識はありません。ただ、藤丸立花が二人いる場合には、周囲の人間及びサーバントは心の距離が近い方に接触してきます。
でも何故か、ロマニだけには二人の区別がついています。理由は次回にあるかと。
『魔神王ソロモンに焼却された人理を救え。世界を救え。これは、冠位指定(グランドオーダー)である。』
…これを兵役などなく、戦場経験があるはずもない国の、一学生に下す。冷静に考えれば、いくら魔術師のやる事とは言え、客観的に無茶苦茶なのは誰でも一度は思うことだろう。
PTED、シェルショック、トラウマ、身体欠損、精神疾患…
現代の人間同士の戦場ですらありふれている、以上の戦闘に際しての陰惨なリスクの数々。これらは決して空想の産物などではない。
しかも、このオーダーの仇敵は「人間」ですらなかった。…もし仮に、名誉欲だけの為に人理修復を心みたと者が居るとするならば、多分そのマスターは平凡ではないだろう。少なくとも、超人か狂人のどちらかに属すると思われる。
現在、幸いにも藤丸リツカ及び藤丸りつかの両名は、奇跡的にも上記の戦いにおける致命的なリスクによって心身を壊されることはなかった。因みに7つの特異点を超えるたびに、この幸運には藤丸立花が一番驚いた。だが、更に不思議な事に、命がけの人理修復を課せられたマスターは戦いの最後にはいつも笑っていた。
「あれ?私、五体満足??」りつかが頬に指を当て首を傾げる。
「おかしいな、俺も多分利き腕の一本位持ってかれてると思ったんだけどな」リツカもアゴに指をやり、同じく首を傾げる。
「先輩!お顔に傷が、早くこのカルデア印の絆創膏を!」気の利く後輩マシュがりつかの顔にペタペタと応急処置を行う。
「うーん頼むぜ立花くん?あれ、おかしいな生きてる?っていうギャンブラーみたいなメンタルじゃこっちがハラハラするからね。君には最後まで生きててもらわないと困る…ぜっ!」万能の権化ダビンチちゃんがリツカのオデコにデコピンをかます。
「あいてっ」
「まぁまぁ、ダビンチちゃん。二人とも無事でなりよりさ。もちろん、マシュと君のこともね。お疲れ様…四人共、カルデアでミルクの入ったコーヒーと僕が待ってるぞぅ!」カルデアのトップなのに、高圧的な所が全くない優しく労る声が通信機から聞こえる。
「ありがとうドクター!…私頑張ったよ…?」りつかが視線をそらし、少し照れくさそうな表情をする。
「ああ、もちろんさ、本当に良くやってくれた。…君は最高のマスターだよ、…りつか」
「……えへへ…」人類最後のマスターははにかんで、サイドポニーを指に絡めた。
これは、第6特異点を踏破した際の、藤丸立花の頭から離れない胸の中の大切な記憶の一つ。特に藤丸りつかにとって、特異点を踏破した直前のこの一時が最も幸せに感じる瞬間だった。
名誉でも、英雄的行動のためでもなく、ただ一人男性に喜んでいて欲しかったから。…彼女が人理を救えたのは、救ったのは、そして彼女が救われたのはロマニ・アーキマンが居たからだった。
そして、幸せにそうな兄妹の横顔を見つめる藤丸リツカも冷血な魔術師らしからぬ顔をしていた。このときは、このときばかりは、人間の愛とやらを信じてやってもいいかな。なんてことさえ思っていた。
…………………………………………ああ、確かに思っていたんだ
7つ目の特異点までは。
すまないドクター。俺だってアンタの事は嫌いじゃなかったよ。淹れてもらったコーヒーの味を思い出すと、今でも死んだ心が少し蘇る気がする。でも、だからこそ…一人でいなくなったアンタを俺は、どうしても許せないんだ。
俺はいい、俺はこのグランドオーダーを楽しめた。人の善性を嘲笑うことも、サーバント同士の戦いも、死の危機さえも、頭のネジが外れかかった藤丸リツカにとっては、愉悦でしかなかったよ。俺のグランドオーダーは、俺の為のものだった。
だけど…藤丸りつかのグランドオーダーは…………………………
……なぁ、ドクター。今日この聖なる夜に、りつかが誰といたかったか、アンタしってたのか…?
ぶっちゃけた話、皆さんどんなお話がお好みですか?
-
オリジナル要素強めのシリアスバトル
-
オリジナル要素強めの日常エピソード
-
オリジナル要素強めの恋愛物(りつか)
-
オリジナル要素強めの情欲物(リツカ)
-
知らん、作者の好きにしろ