ま、ゆるりと読んで言って下さい。
「…夢にくらい、来てくれたりするのかなぁ…」
藤丸りつかは二段ベットに横たわりながら呟く。時計は午前2時を指し示していた。だが彼女は一向に眠りにつくことができないでいる。
古人曰く、本当に自分を想ってくれている人は、夢にやってきてくれるという。カルデアがまだ活気に溢れていた頃、紫式部が教えてくれた。………分かっている、それは泡沫の夢。あの人は、もういない。ただ一人、死すらを超えた無限の孤独に身をやつして消えていった。
そんな事は分かっている。分かっているんだ…私だって…………辛いのは私だけじゃない、マシュもダビンチちゃんもカルデアの仲間たちも…平気そうにしているリツカだって辛いに決まってるんだ。……しっかりしなきゃ……私はカルデアのマスターで、マシュの先輩なんだから…しっかりしなきゃだめだ………
「ゔっ…うわぁあああああんあ……ひぐっ!う…どぉくたぁー…なんで…うううっ…」
頬を大粒の涙がぼろぼろと流れ落ちた。感情が抑えられない。胸から今まで感じたことがない痛みがする。
藤丸りつかは愛用の髪留めを唇に押しつける。これは、ロマニ・アーキマンの唯一の形見。かつて彼が使っていたものだ。そして、今カルデアに残されている最後の彼の私物だ。
「………どうして…行っちゃったの……」
虚しい問いかけに答える者はいない。ただ冬の夜の静けさが佇むだけであった。
兄妹の嗚咽を、藤丸リツカはマイルームの扉越しに聞いていた。
「……りつか…」
励まそうにも言葉か見つからない。彼はドアの前に立ち尽くしている。右手にはコーヒー、左手にはアルバムを持って、片割れを慰めに来た彼であった。が、逆に彼女の心を追い詰めるだけな気がしていた。
「あらら、こりゃ間が悪ったねマスター。出直したほうがいいんじゃない?」
背後から聞き慣れた声が聞こえた。
「…アンリか。霊体化して盗み聞きとは少し趣味が悪いね」
「違うよぉ、霊体化してんのはロビンの手伝いしてたからだ。……ロビンからの報告だけど、頼まれてた事は8割方完成してるから確認してくれとさ」
「なる程…了解と言っておいてくれ」
「へいへい…ところでマスター…今更かもしれないけど、なんで俺とロビンだけにこんな準備させてるんだ?ええっと、もう一人の藤丸りつか?ホントにいるのかは俺には分からねぇけども、にもこのことは言ってないんでしょ?」
「………」
「おっとっと…勘ぐりが過ぎましたかね??」
「……ま、いいや。アンリ、てめぇとはここに来る前からのつきあいだ…少し位なら話してやってもいいかな」
「わぉ、てめぇときた。大丈夫かマスター。あんた目つきがすごい事になってるぜ。」
「ははは…元からこんな目つきさ、元からね。ま、てめぇには特異点7個分の聖杯と、亜種特異点・並行世界4個分の聖杯でつぎ込んだんだから、いくら最弱サーバントとはいえ働いてもらわなけゃ行けないしな」
「えっ…何それ、聞いてない」
「お前の宝具と、ロビンの工作。あとは…まぁホームズはバリツがあるから良いとして、5人の目のサーバントはりつかの契約下だから計算外だからなしか…。でも足りるだろ。カルデア防衛戦だし、地の利はこっちにあるからな」
「マスター??何の話ししてんのさ?」
「いや?何でもない。明日になれば分かるさ」
「…何かイヤーな予感がする…」
分岐点まで夜はあと一つだけ。藤丸リツカは未来を書き換えるべく、あがく事を決意していた。藤丸りつかの代わりに、今は自分がやるしかない。「二人で一人、一人で二人」生まれてからずっとそうして来た。
………だがもうそうする必要もないかもしれない。例え、藤丸リツカがいなくなったとしても、もう藤丸りつかは一人ではないのだから。
「一人で二人…ね、ったく意味が違う。…ドクターめ、あーんな優しい顔して俺を叔父さんにする気だったのかよ」
藤丸リツカは苦笑いしてしまった。今は自分の体の変化に気付いていないリツカも、しばらくすれば検査の結果を知るだろう。
…その時までに、明日の腹立たしい消化試合に決着をつけてやらなきゃいけない。
補遺:作中でリツカが未来の情報を知っているのは…
①ロマニが人間になった際、朧げながらに人理修復された後の、白紙化の未来を千里眼で捉える。しかし、余りに朧げだったので確証は持てていなかった。
②ロマニがりつかと一夜を共にした際、寝物語としてそれを伝える
③更にりつかからそのことを伝えられたリツカが、「身内のそういう話って何か…アレだなぁ…マシュには言えん」と思いつつも、対策行動を練る。
てな流れになってますね。
ぶっちゃけた話、皆さんどんなお話がお好みですか?
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オリジナル要素強めのシリアスバトル
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オリジナル要素強めの日常エピソード
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オリジナル要素強めの恋愛物(りつか)
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オリジナル要素強めの情欲物(リツカ)
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知らん、作者の好きにしろ