炭治郎は煉獄家で夜飯を馳走になる事にしたので、鴉に頼み手紙を我が家へ送る事にした。
尚鴉は輝哉から頂いている。
「美味い!美味い!美味い!美味い!」
「杏寿郎、いつも言っているでしょう食事中は静かにしなさい。炭治郎君がいるんだから」
「姉上の料理は美味しくてな!すまない!炭治郎殿!」
「いいえ!大丈夫です!その食べ方良いですね!真似してもいいですか?」
「勿論だ!」
「「美味い!美味い!美味い!美味い!」」
「もう二人とも、いい千寿郎?お食事中は静かに食べないと駄目よ?」
「はい!姉上!」
梨火は何時もよりも賑やかな食卓についつい笑みが溢れてしまう。槇寿郎は何やら不服そうだが楽しそうな我が子達を見て黙々とご飯を食べている。
「炭治郎君?お口に合いますか?」
「はい!とても美味しいです!特にこの卵が!」
「それは良かったです。その卵の黄身が美味しいんですよ」
「俺この黄身が好きになりそうです!」
「へ?」
梨火にはこう聞こえてしまった。
「俺、君が好きになりそうです!」と。
急にモジモジし始めた梨火に杏寿郎が気が付き、揺さぶると我に返ったのかいつもの表情に戻り何事も無かったかの様にご飯を食べる。だが内心では。
(しっかりしなさい、私は母上に託されたの……炭治郎君)
「梨火さん?大丈夫ですか?」
「ええ大丈夫………です」
「よもやよもやだ!」
結局炭治郎は夜が遅くなったので煉獄家に泊めてもらう事にした、そして次の日の朝方だった。
「起きろ、竈門炭治郎よ」
槇寿郎が炭治郎の寝ている客間の扉の前に立つ。
「おはようございます!槇寿郎さん!」
「!!!」
部屋で寝ていると思っていた。炭治郎は気が付くと自身の背後にいた。柱である自分の背後を容易くとる、この時点で己と炭治郎との力量の差は明らかだった。だがそれでも槇寿郎はやらればならなかった。
「竈門炭治郎よ、私と手合わせ願いたい。なに朝飯前の軽い運動といった感じだ」
「はい!俺で良ければ!」
「では私は着替えて来るから庭で待っていてくれ」
炭治郎は庭で素振りをしてみると、暴風が起こり木々をなぎ倒してしまった。
「しまった………軽く振ったつもりなのに…………」
「待たせた、何で木が倒れているのだ?」
「俺が倒してしまいました!すいません!」
「まぁ良い、では炭治郎よ先に一本とったら勝ちにしよう」
「わかりました!」
庭で炭治郎と槇寿郎は見つめ合っている。
(何だろうこの匂いはまるで俺を試そうとしている様な匂いだ)
(全く隙が無い、やはり昨日奥義が止められたのはまぐれでは無かった様だな。ならば!)
槇寿郎は素速く空へ飛び、そのまま斬りかかる。
「炎の呼吸、参ノ型、気炎万象!」
木刀を振り降ろすが炭治郎は其処にはいなかった。
「槇寿郎さん!貴方の剣技は凄かった!」
炭治郎は上空から木刀を振り降ろし、一本をとる。槇寿郎はその場に蹲る。
「槇寿郎さん、大丈夫ですか?」
ふと今は亡き妻との思い出が色鮮やかに蘇る。槇寿郎は瑠火の看病をしていた。
「槇寿郎さん今から私が質問する事にちゃんと答えて下さい。貴方は父の努めとは何かわかりますか?」
「うーむ、子を護る事か?」
「それは当たり前の事、父は母は子を幸せにする事です。例えば梨火に好きな人が出来た時は祝福してあげて欲しいですね。貴方はきっとその相手に斬りかかるだろうから」
「確かに俺ならやりかねんな」
「槇寿郎さん私は貴方の妻にそしてあの子達の母になれて幸せでした」
「瑠火」
炭治郎は俯いている槇寿郎をなんと言って励まそうか考えていると。
「竈門炭治郎よ」
何やら神妙な面持ちになっている。
「はい!なんでしょうか!」
「俺はお前を認める」
「いえ!勝手に認めないで下さい!」
炭治郎は猛抗議をするが槇寿郎は無視して進める。
「俺は昨晩梨火から君から助けてもらった時の話しを聞いた、命を賭けて我が娘を護る。君こそ相応しいと思う」
「あの!すいません!何の話しをしてるんですか!そして何処を見てるんですか!」
「俺は信じる、君を信じる」
炭治郎は唖然とし、その背後に妻の幻が現れる。
(瑠火よ俺はちゃんと父の努めを果たす事が出来ただろうか)
「立派に出来ましたよ」
槇寿郎は眠ろうとするが炭治郎が水を掛けたので完全に眼を覚ます。辺りを見渡すが何処にも妻の姿は無かった。
「炭治郎よ、これからもよろしくな?」
「はい!勿論です!」
二人が握手を交わしていると、梨火が庭に顔を出してきた。
「二人共!朝ご飯出来ましたよ!」
炭治郎は、昼過ぎに煉獄家を出ようとするが。
「炭治郎君、今度一緒にその…………買い物しませんか?」
「勿論です!俺で良ければ!」
炭治郎は必殺の日輪スマイルを繰り出す。
「では!お手紙を送ります!」
「はい!待ってます!」
千寿郎と杏寿郎も炭治郎を見送っているが。
「兄上彼はとんでもない物を盗んでいった様です」
「何と!それは何だ!」
「姉上の心です」
「よもや、よもやだ」
次回予告。
とある雪山にて。
「あのぅ、ごめん下さい」
鬼の始祖が訪ねた家とは。