自称カルデア最強マスターとぐだ子の人理修復録   作:なまゆっけ

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第101話 『筆先の影』

 

 シナイ半島北部、クンティレット・アジュルド遺跡。そこでの発掘品の中には、前八世紀のものと推定される貯蔵瓶があった。

 それには、ある男神と女神の描画と文章が刻まれていた。

 

〝サマリアの■■■■とそのアシェラにより、私はあなたを祝福する〟

 

 黒塗りの部分には、キリスト教の唯一神として広く知られる名が記されている。

 そして、アシェラとはその妻として名を残す女神───名しか残せなかった女神であった。どのようなエピソードがあり、どういった神格だったのか、もはやそれらは時の波に呑まれて消えた。

 きっと、世界にはそんな神々が数多く存在していた。一神教によって悪魔に貶められることすらされずに、平和の中で、あるいは戦乱の中で、忘れ去られた神々が確かにいたはずだ。

 女神アト・エンナもまた、そんな神の一柱だった。

 ───先史時代。アフリカ大陸北部の平原において、アト・エンナは権勢を振るっていた。

 

「我らが母神様。今日の供物でございます!」

 

 男女数人の神官団が、贅を尽くした捧げ物を祭壇に並べる。

 女神はそれを高みから見下ろしていた。石を削り出し、細緻な彫刻が施された玉座。部族一番の職人が人生を掛けて作り出した傑作だ。

 アト・エンナは祭壇を見つめ、目を細めた。燃えるような赤髪を指先で弄び、甘ったるい吐息を吐く。

 なまめかしく煽情的な動作に、女でさえもごくりと唾を飲んだ。神官団が息をひそめる中、女神はぷるりとした唇を動かして、

 

「大儀である。後ほど狩人衆に我が神乳をくれてやると伝えよ。…………その立派な山羊を仕留めたのは誰だ?」

「カテブの子、ヤシーンです。先日婚礼をあげたので、相当張り切っていたとか」

「ふ、それでこそ若き男の本懐よな。気に入った。やつの妻はアルナであったな。安産と多産の恩寵を与えるから、今宵交合の儀をさせよ。一発必中だぞ」

「ハッ! 二人も喜ぶでしょう! ただちに聖婚場の用意をいたします!」

 

 アト・エンナが司るのは大地。あらゆる命が生まれ、育ち、そして還る法則を掌握する地母神。生命が増えるも減るも、彼女の一手にある。その性は豊穣神にして冥界神であった。

 故に、その身も母としての素質に満ちていた。豊かに実った肉、開き切った骨盤、包容力溢れる神気───そして、我が子らへの慈愛。『大地の氏族』と呼ばれる彼らの祖先はみな、アト・エンナが大地より生んだ人間だ。

 北アフリカの平原にて狩猟採集生活を営むこの部族は、常に女神の恩寵とともにあった。彼女は神官団の退出を見届けると、輝くような山羊毛の外套を纏い、村落に繰り出す。

 村落の人間たちは女神を見ると一礼し、そのまま日々の流れに戻っていく。氏族の信仰の形とは従属ではなく共生であった。

 

「その子で十人目だったか。産後の肥立ちはどうだ?」

「おかげさまで、絶好調です。赤ちゃんの夜泣きも少なくて……何かしていらっしゃいます?」

「妾が夜な夜な家に忍び込んであやしているからな。精々感謝するがよい」

「その言い方で本当に感謝できることってあるんですね……」

 

 それは、女神が、人間が、ともに築いた楽園だった。

 今期の地球の霊長は人類───ホモ・サピエンスに決定した。進化の隣人を殺し尽くし、彼らはこの星の主たらんとしている。

 いずれは女神の予想をも超えた進歩を遂げる日が来るだろう。アト・エンナはこの霊長の黎明期において、ささやかながらもヒトが幸福に生きていける場所を創っていた。

 

「作物の経過はどうだ」

「そりゃあもちろん豊作ですよ! 傷みとか病気は一切ないし、虫も鳥も近寄らないし! これも女神様のおかげです!」

「ふ、そう褒め立てるな。妾が司るは大地。その恵みを分け与えることなど造作もない。しかし気分が良いのでな、なでなでしてやっても構わんぞ?」

「上から目線で下手に出てくるのやめません?」

 

 地母神の愛は広く、深く、大きい。

 たとえヒトが自分を忘れ、ソラの果てを目指す時が来たとしても。彼らの幼年期に携わることができた────それだけで、アト・エンナは十分だった。

 幾星霜を経ても変わらぬ慈しみ。それこそが女神の愛だ。

 故に彼女はこの楽園を創り上げた。

 誰も傷つかず、差別のない世界。

 誰もが自分らしく生きられる理想郷。

 しかし、得てして。

 愛とは、他者への攻撃に転化するのだ。

 

「───女神様!! 戦士団が帰還いたしました!!」

 

 ───村落を囲う柵。その数少ない出入り口である門が開き、女神の戦士たちが凱旋する。

 彼らはみな、血濡れた山羊皮の衣を身に纏っていた。それは女神が人間に与える最強にして絶対の防御……『■■■■(アイギス)』の外套。如何なる刃も火も通さず、持ち主に無類の力を授ける武装であった。

 戦士たちに言い渡された任務は勢力を拡大せんとしていた、太陽神を奉じる西の部族。アト・エンナは彼らを滅ぼし、その太陽神は歴史から抹消された。これまで何度も、そうしてきたように。

 戦士長は満面の笑みで首を掲げる。

 

「我らが母アト・エンナ! あなたの矛が敵を討ち、戻って参りました!!」

 

 高く掲げられたその首は、今際の際まで強烈な憎悪と絶望を抱いていたことをうかがわせるような、生気すら宿りかねない苦悶の表情を浮かべていた。

 女神は薄く笑い、沁みるように思う。

 ────ああ、妾は、なんと幸福なのか。

 この楽園を脅かす者は許さない。

 太陽、月、星、空、雷、雨────ヒトを高みから見下ろすだけの天上の神に、この幸福を奪わせはしない。

 無用な争乱をもたらす有象無象は一切合切血の海の中で朽ち果てるべきだ。

 故に、その結末も当然の如く訪れた。

 

 

 

 

 

「目標惑星、星間航行船団着陸条件の78%をクリア」

 

 

 

 

 

 それは、遥か彼方より来訪した機械仕掛けの神々だった。

 気の遠くなるほど長い旅路を経て、彼らはこの蒼き星を発見した。そして、後にギリシャと呼ばれることとなる地に降り立ち、人類の崇敬を受けることとなる。

 本来地球にあり得ぬはずの存在、技術、概念。────圧倒的な異物。船団の着陸地点と周辺を根城としていた、原始の神々は名も残さずに駆逐された。

 なにしろ、それはラブコメにバトル漫画のキャラクターを放り込んで虐殺を行わせるようなものだ。地球の神々はあくまで地球の神々を敵として想定しているのであり、外宇宙から飛来した超技術の塊など思慮の他にすぎない。

 その侵略の手は地中海周辺、アフリカ大陸北部沿岸にも及び、

 

「…………そんな」

 

 女神アト・エンナもまた、機械仕掛けの神々に敗北したのである。

 天より堕ちた雷撃がことごとくを分子にまで崩壊させ、至強を誇った戦士団はたった一騎の───一機の戦女神に殲滅された。

 

「『■■■■』…………『神体結界(アイギス)』とでも呼ぼうか。遠く離れた異星の異神の武装が、これほどまでに似るとは」

 

 人類とのコミュニケーション用に造られた端末。凄絶なる光を宿し、星屑の如き鎧を纏い、雷光を発する槍を携えた美麗なる女神────オリュンポス十二機神・アテナ。

 ソレは戦士の骸から山羊皮の外套を剥ぎ取り、冷たい声音で言った。女神の頭上、蒼穹の雲間には雷神の真体。アト・エンナは小手調べにも満たぬ威力偵察によって、全てを失った。

 

「さて」

 

 アテナの眼光が、アト・エンナを突き刺す。

 心臓が胃の底に落ちるかのような絶望。視界がかたかたと揺れ、吐き出す息は死に際ほどに頼りないというのに、音が体の芯に響いてくる。

 アト・エンナは呆然と呟く。

 

「どうして、こんなことを?」

 

 出産を間近に控えた母がいた。戦士になるのだと日々鍛錬をしていた少年がいた。家族のために一日中野を駆け回る父親がいた。彼らはみな、既に死に絶えた。

 ただ幸せに暮らしていた。それなのに──────

 

「───弱者が肉となり、強者がそれを喰らった。それだけのこと。貴様とて、そうしてきたのだろう」

 

 星々の回転音が如き雷神の声が、全身を叩いた。

 そうして、アト・エンナはようやく知る。

 溢れんばかりのこの愛が、どれほど狭く浅く小さいものであったのかを。

 何が地母神。何が女神。どこが楽園で、あんなものは理想郷ではない。

 誰も傷つかず、差別のない世界。

 ───そのためには、誰も傷つけず、誰も区別するべきではなかった。

 誰もが自分らしく生きられる理想郷。

 ───そのためには、誰かを否定することなんてしてはいけなかった。

 女神の理想は、正しかった。

 だが、正しい理想とは善良なる手段によって叶えられるべきだ。他者の不幸の上に立つ正しき理想など、根底から歪んでいるのだから破滅は決まりきっている。

 全ては女神の罪。ヒトを愛するのならば、自らを愛さぬ者も愛するべきであったと理解し、アト・エンナは地面に額を擦りつけた。

 

「…………こっ、降伏いたします。ですからどうか、殺さないでください───っ!!」

「…………如何に」

「テオス・クリロノミアを。そこな土着神の権能と歴史を奪い、我ら機神が真にこの星に根を張る土壌とする」

「それでは、当機が」

 

 アテナの槍の穂先が、アト・エンナの首筋に突き立つ。

 ずぐり、と頚椎から背骨を通り、尾てい骨を侵食する灼熱感。すぐさまそれは悪寒に変わり、やがて存在の変革へと繋がっていく。

 唯一神を奉じる宗教が、異なる神話や伝承の神々を悪魔に貶めたように、神話による神話の征服は吸収という形で行われることがある。

 アト・エンナに打ち込まれたテオス・クリロノミアはその神格をアテナへと回帰させた。

 それは、彼らなりの征服。外宇宙の異物である自分たちが、地球を学習し、順応し、土着するための策だ。数多の神々の地位を奪い、神話を奪う。そうすることで、機神は地球の神々の系譜に自らを組み込み、血の通った物語を手に入れるのだ。

 

「喜ぶが良い、アト・エンナ。その名は一万年の後にも残るだろう。……地球の神・アテナの源流のひとつとして」

 

 そして、アト・エンナは忘れ去られた。

 後悔に満ちた終わり。それでも彼女が命を乞い、機神に取り込まれたのは、たったひとつの願いのためだった。

 神はいつしか忘れられるものだ。ヒトはいずれその支配から解き放たれ、自立していく。神秘は過去の遺物となり、地球という揺籃から巣立つ日が来るだろう。

 自分が忘れられるのはいい。

 だが、自分が消えれば、誰が大地の氏族のことを覚えていられるというのか。

 愛したヒトを忘れたくない。

 アト・エンナはただそれだけを想った。

 けれど───もし、目覚める日が来たのなら。

 その時は正しく、全人類にこの愛を注いでみせると、そう誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第六惑星ティファレト。神樹の枝が太陽を網のように覆うその地はいま、静寂に包まれている。

 太陽の表面積は地球の1.2万倍。恒星を囲うダイソン球たる第六惑星は言うまでもなく、神樹聖杯において最も広大な星であった。

 その星が、沈黙している。

 第六惑星に住まう全ての生物が理解していた。

 『赤き竜』が暴れた場所には、何も残らないことを。

 

「───ふむ。無人の街中で独奏を演じるのも、案外悪くはない」

 

 第六惑星総督・宮廷楽長『六本指』───フランツ・リスト。ピアノの魔術師と謳われた美男子のみ。彼だけはひとり、自らの意思でこの星に残っていた。

 壮麗なる音が、呼吸の絶えた街に響き渡る。誰に手向けるわけでもない楽章が虚空に呑まれて消えていく。

 幼き竜はしゃこしゃこと歯ブラシを口に突っ込みながら、

 

「いいね。きみの音は肌にしみる。これから始まる殺し合いにしては、すこし潔癖すぎるけれど」

「それは貴様が物を知らんだけだ。演奏者が魅せるのは美麗なる音色……刃鳴りだの叫びだのは戦う者が奏でるものだろう」

「それで済めばいいけどね。ぼくが見せるのは黙示録だ。地獄の風景だよ」

「構わん。地獄も煉獄も、既に通り過ぎた」

 

 フランツ・リストは若き時分からダンテの影響を受け、交響曲を作曲した。

 地獄、煉獄、天国。『神曲』におけるダンテの旅路を表現する三楽章。しかし、実際にリストが作ったのは地獄と煉獄の二楽章のみ。天国のそれには手を付けていない。

 かの楽劇王リヒャルト・ワーグナーはリストに言った。

 〝天国を音楽で表現することは不可能だ〟───だから、リストはダンテ交響曲を三分の二までで完成させたのである。

 しかし、本当にそうなのか?

 音楽とは、芸術とは、天の喜ばしさに届かぬほど不自由で狭隘なものなのか?

 

「───私は、かつて果たせなかった天国の楽章を完成させる」

 

 すなわち、それがフランツ・リストの願いだった。

 

「貴様らの殺し合いなぞに興味はないが……この指が奏でる音が貴様の地獄を超えるほど敵を魅了できたのならば、私の楽章はまた一歩、天国に近付くだろう」

「なるほど? でも、こうも言うよ。〝地獄変の屏風を描こうとすれば、地獄を見なければなるまいな〟ってね」

「ならば、私は天国を見るべきだと?」

「そうさ。娘が焼かれるのを見た絵師は、そうやって地獄の業火を描いた。だったらきみは、何を見るべきなんだろうね?」

 

 リストの指が鍵盤の上で止まる。

 

「いや、天国ってのはけっこう簡単に見れるもんだぜ? オレの場合は首絞めとかケツシバきとか」

 

 まるで世間話でもするかのように、その変態は現れた。

 

「なんだか真面目な雰囲気だから、オレも真面目な話をしてやる。…………少年漫画雑誌とかでよぉ、たまにエロさに全振りした表現とか作品が出てくることあるだろ。ToLOVEるとかがその一例だな。実はオレ、ああいうの苦手なんだよ」

「「どこが真面目??」」

「いや、わかってる。本番未満のエロ表現ってのはめっちゃいい。あえて行為を描かないことで、より人体の性的魅力が映えるっつーか? 制限されるからこそ表現が純粋化するんだよな。芸術ってのは時々の情勢を受けて特定の表現に圧力がかかったりするだろ。PTAだの青少年健全育成条例だのに反旗を翻す、れっきとした芸術史の一幕だと言える。まあアレだな、ギリシャ彫刻とかを見てる気分に近い。かくいうオレも初めて裸像を見た時は勃」

「うん。で、結論は? どうして苦手なんだい?」

 

 ローマ屈指の変人皇帝ヘリオガバルスは爽やかな笑みを浮かべて──────

 

 

 

「だってそこまでするならよ、いっそそいつらの本番えっちが見たくなっちゃうだろうがァ!!!!!」

 

 

 

 ─────鉄鞭を勢い良く振り抜いた。

 竜は棒立ちだった。鞭の先が横っ面を打ち据えるが、むしろ竜に触れた鞭の方が砕け散ってしまう。

 開戦を告げる一撃。竜の意識が戦闘へと先鋭化されたその時、ヘリオガバルスは脱兎の如く逃げ出していた。

 

「ブヒャハハハハハ!! やっちまえお前ら!!」

 

 第六惑星の空に無数の光が点灯する。

 瞬間、光が墜落し、竜がいる地点をヘリオガバルスごと吹き飛ばした。

 

「初っ端からド派手だね」

 

 ───かのように見えた。爆心地となるはずだった場所には、もごもごと顎を動かす竜。その唇の隙間からは天よりの光が漏れている。

 赤き竜に理屈は通用しない。

 この怪物は、光を喰らったのだ。

 

「よし、行くぞおまえら」

「はい! いざ竜殺しです!!」

「というわけで、働く時間だよ女神様」

「言われずとも分かっております! 私の全力全開をご覧に入れましょう!」

 

 地面の舗装を割り、青々とした蔦とオリーブの木々が街を覆っていく。

 アト・エンナ第一の権能『勝利と繁栄の聖樹(エイレーネー・ヒケテリア)』。大地に対する絶対的神権の獲得。一帯は地母神の領域となり、敵対者は世界から外れた異物となる。

 

「下がっていなよ、六本指」

「当然だ、命がいくつあっても足りん!!」

 

 踵を返して逃亡するリスト。その地にノア、立香、フォーチュンが降り立つ。

 ノアはオーディンの槍を喚び出し、立香は杖を構え、しかし、竜は誰よりも速く突撃した。それは竜が彼らを対等な敵と認めている証左。ベルゼビュートにさえ譲った先手を奪う行動だ。

 小さな拳。なれど、その質量は極大。

 竜の一撃が空間を───否、世界を破壊した。

 空間がガラスの破片みたいに砕け、ノアたちの像が無数の空間の破片に映り、分かたれる。

 

「運が悪かったね」

 

 ダイアン・フォーチュンは笑う。

 くるくると回転する背後の魔法陣。運命の車輪は因果律を操作する。

 故に、彼らは無事だった。フォーチュンの術式が仕組んだ奇跡的な確率により、竜の一撃は敵を掠めることすらなかった。

 間合いは交錯している。ノアは大神の槍を突き出し、立香は杖を叩きつける。竜はそれぞれを両手で受け止め、

 

「うん。ちくっとしたかな」

「チッ!!」

 

 反撃。竜の蹴撃を、ノアは神体化した五体をもって受ける。

 最強たる怪物のそれをもってしても、バルドルの絶対防御は無謬だ。裁きの光神は竜の頭を掴み、地を蹴って街を横一直線に穿孔した。

 竜を立香たちから離す───それを無傷で叶えられる戦力は、地球から動けぬバトラズを除いて、ノアの他にいない。  

 裁きの光の軌跡が到達する先。竜は辺りに紙片が舞うのを見た。

 

「で、『至高天に輝け、永遠の淑女(ディヴァーナ・コンメディア)』!!」

 

 天上の薔薇が開花する。

 見神の詩人ダンテ・アリギエーリが誇る、必殺の宝具。対象の霊魂を簒奪する力は竜に対しても効果を発揮し、

 

「ん」

 

 ……ぐっ、と竜は虚空を掴んで引き千切る。

 それだけで、ダンテの結界は裂かれた。

 

「ヒィエエエエエエエ!!! なんなんですかあのバケモノは!! 世界観が違いすぎません!?」

「だとしてもやらねばならないのが竜殺しの辛いところですが……!!」

「シャバいこと言ってないで殴るわよ! アレが本当に黙示録の獣だってんなら、無駄口叩いてる暇はないわ!!」

「その通りだ。あいつが竜ならオレたちは竜殺し───やってやれねえことはねえ!!」

 

 ダンテを押し退け、三人?の竜殺しが赤き竜へ迫る。

 存在するだけで空間を割る化け物相手に、出し惜しみする余裕はない。が、聖女マルタはたとえそうでなくとも、同じ手を選んだだろう。

 

「『愛知らぬ哀しき竜よ(タラスク)』!!」

 

 かつて聖女が鎮めた半獣半魚の悪竜タラスク。戦うために生まれたかのように鋭く、凶悪なシルエットが独楽のように回転し、炎を吐きながら幼き竜に直撃する。

 体当たりの衝撃、火の息、甲羅に群生する鋼鉄の棘。どれもが命を奪うに余りある殺傷力。だが、赤き竜は片手でタラスクの頭を押さえていた。

 

「リヴァイアサン……レヴィアタンの仔かい? 懐かしいね」

 

 竜はタラスクの額を撫でたかと思えば、無造作に手のひらを打ちつける。

 タラスクの首がびぎりと嫌な音を立て、巨躯が目にも留まらぬ速度で、街を破壊しながら吹き飛んでいった。

 竜の死角から、二つの剣光が閃く。

 

「『力屠る祝福の剣(アスカロン)』!!」

「『運命絶す神滅の魔剣(ミストルティン・ミミングス)』!!」

 

 竜殺しと神殺しの斬撃。刹那、竜の足元から真紅の影が湧出し、烈火の如く天を突いた。

 その影は別次元に格納された竜の真体から、この三次元に投射されていた。だというのに、圧倒的な質量感を持ったその影は使い手ごと斬撃を跳ね飛ばす。

 影には仕掛け絵本みたいに、一部だけが確かな物質として飛び出していた。

 竜を象る右前脚の爪一本。悪魔大王ベルゼビュートの全霊基を取り込み、顕現した竜爪。この世界を一枚の絵画に見立て、竜の攻撃がそれに強酸を撒くようなものだとしたら、その爪はキャンバスごと切り裂くチェーンソーだ。

 赤き竜は、それを何の逡巡もなく振りかざした。

 

「『いまは遙か理想の城(ロード・キャメロット)』!!」

 

 白亜の聖壁が現出する。

 ───交錯、衝突。

 竜爪と聖壁の接触は一瞬にも満たなかった。音はなく、目が追いつく速度ではない。

 マシュの背中にぶわりと冷や汗が滲む。

 その戦慄は静かで、それでいて天地を引っくり返すような。かつて、この宝具を用いて防いだ攻撃の数々とは全くの異質だった。

 獅子王の槍。

 魔術王の光条。

 身を焼き、圧し潰すそれらとは違い、竜爪は精々が撫でる程度の反動しかマシュに与えなかった。

 あまりに速く、あまりに鋭い。

 全てが経験の埒外にある。竜の一撃は他の何をも壊さぬ代わりに、不壊の盾の表面に一筋の傷を刻んだ。

 

「んなっ……!? わたしの盾に傷をつけるなんて今まで誰も───!!」

「いや、そりゃ錆びてっからだろ」

「むしろよくここまで保ってますね? やはり立香さんのファーストサーヴァントは私ということで」

「少なくともアンタだけはありえないわ───『吼え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュ・ヘイン)』!!」

 

 ヘリオガバルスの戦車が空を駆け、邪竜の火の息が漆黒の燎原を作り出す。赤き竜は火炎の中心でぱたぱたとフードの内側を扇いで、

 

「良い火力だね。『憤怒』が籠ってるのも最高だ。そこらのひよっ子ドラゴンじゃ敵わない。ぼくの専属料理人になる気はないかい?」

「こんの舐め腐った女児竜が……!! 大人しく焼かれなさい!!」

「大人しく焼かれてるとは思いますが。効いてないだけで」

「まあジャンヌさんにしてはよくやった方ですよ。どうせこの戦いの主役は私なんですし、お膳立てだけしといてください」

 

 サクラは戦車の縁に足をかけ、両手に石の剣を創造する。

 偽神と赤き竜の睨み合いは一瞬、先に動いたのは後者だった。

 

「教えようか。竜の火の息が、どういうものか」

 

 かぱ、と竜は大きく口を開ける。

 凝縮する光粒、吸息が第六惑星の大気を呑み、新たな星の誕生に等しい絶大な熱と輝きが、二つに割れた舌の先で転がった。

 ───そして、世界は白紙になる。

 赤き竜が吐き出した火の息───その温度は約一兆度。

 本来ならば神樹聖杯をことごとく消滅させるに然るべき熱量。しかし、竜は宇宙規模の火炎を余すことなく制御し、無用な破壊をもたらさぬように射出していた。

 だが、それでも。

 火の息は赤き竜の前方、第六惑星ティファレトの広大なる表面積の内、地球数個分に等しい領域を無に還した。

 

「んむ……けぷっ」

 

 口を閉じ、熱線を胃の底に落とす。

 竜の瞳孔が広がり、上下左右に瞳を揺らす。耳をそばだて、鼻を鳴らす。そうして竜は敵戦力の現状をくまなく把握する。

 熱線を放つ直前、サクラはマシュを連れて別次元に逃れた。二人を除くなら、生きているのはEチームマスター両名とフォーチュン、アト・エンナ。それ以外はみなこの世から消滅した。

 ペレアス、ダンテ、ジャンヌ、マルタ、ゲオルギウス、ヘリオガバルス。六体のサーヴァントを跡形もなく焼き、竜は首筋に氷のような冷たさを覚える。

 

「……びっくりした。気付かなかったよ、宮本武蔵」

 

 二刀は確かに竜の頸部に命中していた。が、結果は相手に冷感を与えたのみ。武蔵の二刀は半ばから砕かれていた。

 

「ウソぉっ!? せっかくの武蔵拵えが!!」

「それはすまなかったね。お返しに竜の爪はどうだい?」

「イヤイヤイヤ、絶対死ぬやつじゃない!!」

「まあまあ、そう言わずに。大丈夫、痛くしないから。すぐ終わるから。さきっちょだけだから」

 

 ゆらりと赤き竜の影が鎌首をもたげる。

 それは死の宣告だった。不意を打った渾身の斬撃さえも通用せず、得物は失われた。もはや武蔵に抗う術はない。

 

「とかなんとか言って、そのぶっといのをブチ込むつもりでしょう?」

 

 サクラは散歩でもするかのようか気軽さで、空間に開いた孔から身を乗り出した。偽神の石の翼に引きずられて、マシュが地面に落ちる。

 

「ダメですよ。あなたのでっかいのなんて、私以外はみんなすぐ逝っちゃうんですから!!」

 

 石翼が羽ばたき、偽神は赤き竜目掛けて石の双剣を振りかざす。

 竜は一歩も動かない。ただ自らの赤い影を放ち、サクラを押し潰しにかかる。自身の真体を別次元に格納しなければならないほどの質量、その影でさえも敵を殺すには十分すぎる。

 けれど、石の刃は赤い影を切り裂いた。

 ───何故。赤き竜に動揺はない。ひたすら冷徹に、サクラの攻撃の仕組みを理解しようとする。

 

「後ろですよ♡」

 

 偽神の甘い囁きに導かれ、赤き竜は咄嗟に五感を背後へ集中させた。

 

 

 

「『力屠る祝福の剣(アスカロン)』!!!」

 

 

 

 ───竜殺しの騎士にして聖人、ゲオルギウスの斬撃が竜の背を打つ。

 

(生きてた? 驚いちゃった。背中もぴりっとするし)

 

 …………不思議だ。

 斬られてぴりっとするなんて、いつぶりだろう?

 

「『運命絶す神滅の魔剣(ミストルティン・ミミングス)』!!」

「『吼え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュ・ヘイン)』!!」

「『愛知らぬ哀しき竜よ(タラスク)』!!」

「『影呑む不敗の神陽(ソル・インウィクトゥス)』!!」

 

 火の息で消えたはずの四者。その宝具の重奏が竜を穿つ────読んでいた。ゲオルギウスがまたも現れたならば、このような展開になることは。

 赤き竜は右前脚の影を振るう。

 世界を斬断する竜爪にかかれば、もう一度敵を屠ることなど造作もない。

 

「───あれ?」

 

 瞬間、竜爪が実体を失い、影が崩れる。

 次いで、当たり前に、宝具の四重奏が竜を撃ち抜いた。

 

 

 

 

 

 

 

 ───第六惑星ティファレト上空、宇宙空間。そこには多数の宇宙船が艦隊を成して並び、地上の動向を睨んでいた。

 その旗艦、純愛を心の底から愛する兄弟の新作『オールト三号』の艦橋に、凛然たる声が響く。

 

「目標『赤き竜』の質量崩壊を確認! 今こそ攻め時です!!」

 

 そう言ったのは、狐の亜霊サフィラ。その報告を受けて、カルデア新所長こと不死鳥ゴッフは頷いた。

 

「うむ、全艦に通達! サーヴァントを巻き込んでも構わん、撃ちまくるのだ!!」

「兄者よ、こう言うと俺たちの方が悪役っぽくないか」

「待って弟者。俺いま、さっきの一兆度の熱線で漏らしたパンツ履き替えるのに忙しいから」

「ふふふ、こういう時はオムツを履いてくるのが常識ですよ?」

 

 ダンテはしたり顔で語る。下半身を武装した男にもはや隙はなかった。ノアは右腕をダンテの首根っこに巻きつけて、

 

「じゃあ行けるな。終局特異点じゃ結局使わなかった人間爆弾の術式をかけてやる。ゾンビアタック要員になれ」

「ねぇやっぱりこっちの方が悪っぽいって」

「黙れマティア。悪に対する悪の行使は善行なんだよ。夏休みの宿題お母さんにやらせたりな」

「それお母さんのこと悪って言ってない?」

 

 赤き竜が一兆度の熱線から生き延びたと判断した四人とダンテは、緒戦をペレアスたちに任せて旗艦に戻っていた。

 理由は二つ。生身の人間にすぎない立香を安全圏に退避させるため。そして、赤き竜を討伐する作戦の発動を敵に悟られぬためだ。

 アト・エンナは浴びるように水を飲み干して言う。

 

「『死生孕む地母の冥胎(ネクロース・メテンサルコシ)』───私の第二権能をもってすれば、サーヴァントの蘇生など屁でもありません。なにせ既に死んだ人たちですからね!!」

「あれ? 悪の地母神(お母さん)がここにいた」

「キリエライトだけは別だがな。サーヴァントどもは所詮写し身だから、そこの名無し女神の権能で何度でも冥界から叩き返せるだけだ」

「赤き竜に無尽蔵の体力があるとしたら、こちらは無制限の復活だ。泥試合はむしろ望むところさ」

 

 フォーチュンはくすくすと笑った。

 女神アト・エンナの第二権能『死生孕む地母の冥胎』。第一の権能が生命を育む大地の豊穣を表すのに対し、こちらはあらゆる生命が亡骸となって還る冥界を意味する。

 生と死。後者を司る権能によって、第一権能の範囲下で消滅したサーヴァントを復活させる───産み直すことができる。これがアト・エンナの持ち得る赤き竜への対抗策だった。

 ノアが言い表したように、まさにゾンビアタック。ダ・ヴィンチちゃんはドラム奏者みたいに周囲の機器を操りながら、

 

「とはいえ、ようやく相手にダメージが通るようになったわけだが。ハイ・ブラジルでの戦いと同様に、カリスちゃんの浄化術式で理想の状態になっていてもアレとはね」

「ああ、まだ手が足りねえ。俺とフォーチュンと人間爆弾で流れを引き込む。立香はここで茶でもしばいてろ」

「はい! いのちだいじにします!」

「この女神アト・エンナ様を忘れていませんか? 私も行きますよ!」

 

 

 

 

 

 

 ───視点を戻して。

 死を厭わぬサーヴァントたちの猛攻は、赤き竜の裡に鈍い痛みを蓄え始めていた。

 

「赤き竜。あなたの強みは存在するだけで世界を破壊してしまう、規格外の質量です」

 

 サクラは石刃を振るい、迫り来る竜の影を断つ。

 竜は思わず目を細めた。影は崩れ始めているとはいえ、サクラ以外の攻撃は軽々と防げる。だというのに、黒白の偽神だけはいとも容易くこれを裂く。

 

「物質に質量を与えるのはヒッグス場、ヒッグス粒子。だったら、それらに干渉することができれば?」

 

 赤き竜はちくりと疼く手のひらの痛みによって、思い至る。

 ヒッグス場、ヒッグス粒子。それらの操作が能う男の存在───ノアトゥールを。

 

「無属性魔術の架空粒子。なるほどね。マスターが二人も出てきたから、不思議に思っていたけれど」

「話が早くて何よりです♡ ついでに言えば立香さんの杖もあなたに架空粒子を付与するものでしたけど。ヒッグス粒子の働きを抑制する架空粒子───つまり、これからあなたの無尽蔵の質量は際限なく減少していくということです!」

「そうか、そうだろうね。驚いたよ。ぼくとそういう理屈は無縁だと思っていたから」

「ええ、それがあなたの弱さです。あなたは油断も慢心もしていないのでしょうが、人間がいくら蟻と目線を合わせても見えるものは違います。現にあなたは、攻撃をくらうことに頓着していなかったのですから」

 

 ────しかも。

 

「あなたは所詮物質。それなら、たとえどれほどステータスがカンストしていても、造物主(わたし)には無意味です」

 

 サクラは蝶のように軽やかに、ふわりと赤き竜の懐に飛び込んだ。

 石の双刃は物質を支配する造物主の権能を宿している。言わば万物切断の剣。なればこそ、赤き竜といえど物質にすぎないその体は紙と同然に斬れるだろう。

 一閃。身を躱した竜の頬に、一筋の切創が走る。

 

「…………()()()()()()?」

 

 躱した。あらゆる攻撃を平然と受け止め立ち尽くすだけだった、あの怪物が。

 それは焦りと言うにはあまりにも小さな感情の揺らぎ。それは竜に思考を廃した、反射による打撃を引き出した。

 

「『我が神を醒ませ、内なる秘儀の光(セラ・ミスティカ・インヴォカティオ)』」

 

 その反撃は、運命ごとねじ曲がる。

 それどころか、打撃という選択そのものが白紙になる。

 赤き竜はその術師の名を呼んだ。

 

「ダイアン・フォーチュ──────」

「────『大神宣言(グングニル)』」

 

 ざくり。

 遍く空間、全ての時間に偏在するグングニルの穂先。魔槍はまるで最初からそこにあったかのように、竜の左肩を深々と貫いていた。

 百戦錬磨のサーヴァントたちはそれを見逃さない。入れ替わり立ち替わりに赤き竜へと攻撃を重ね、

 

「もらいました!」

 

 サクラの双刃が、竜を袈裟と逆袈裟に切り裂く。

 左の手首から先が宙を舞い、肩口から脇腹にかけて鮮血が噴き出す。

 

「……ああ、さすがだよ」

 

 赤き竜は妖しく微笑み、

 

「───シモン、ロクスタ。きみたちの言った通りだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第一惑星ケテル、銀河皇帝在住の黄金宮殿。

 天草四郎時貞はいま、目に痛いほど毒々しくきらびやかな廊下を人知れず駆け抜けていた。

 彼の懐には銀の鍵。カルデアレイシフトAチームを封印の戒めから解き放つための礼装だ。……それをあのトゥリシュナから託されたことには不安が尽きないが、ヤツはヤツで娯楽には真剣だ。信じるしかないだろう。

 銀河皇帝の目が第六惑星の決戦に目が向いている間に、Aチームを助け出す。グリゴリの天使シェムハザの幽閉場所も特定できれば御の字だ。

 加えて、ある意味トゥリシュナより動向を読みづらい不安材料に関しては、

 

「ンンンンン!! 廊下を走ってはいけないと教わりませんでしたかな? 拙僧、これでもルールには一家言あ」

「知りません消えてください!!」

「ソッ……ギャアアアアアアアアア!!!」

 

 ───先程廊下の角で出くわした時、黒鍵の錆にしておいた。あの程度で死ぬようなタマではないが、しばらくは大人しくせざるを得ないだろう。

 そうして、天草は目的地へと足を踏み込む。

 礼拝堂のような造りの広間。白を基調として、壁面には精緻に紋様が彫り込まれ、鮮やかなステンドグラスが淡い光を取り込んでいる。

 広間の中央、ステンドグラスの光を受けて反射する透明な結晶体。その中に、Aチームの人間たちは眠っていた。

 彼らは時間ごと凍結されている。

 その服装も、おそらくはレフ・ライノールに爆破される直前のモノ。人理焼却が起きたその時から、彼らの肉体は一秒たりとも進んでいない。

 ───では、『十二使徒』として戦っていた時は?

 天草の脳裏によぎる疑問はしかし、結晶体の裏より現れた影によって中断させられた。

 

「天草四郎時貞。彼らに用事か」

 

 第五惑星総督、イスカリオテのユダ。色素の抜け落ちた髪、痩せた相貌。唯一、生気が宿る瞳が爛々と天草を見つめる。

 

「いえ、眠りこけたままでは可哀想かと思いまして。邯鄲の夢とはよく言いますが、彼らの場合は浦島太郎的なことになりかねませんので」

「安心しろ、もうなっている。なにしろこいつらは慰神戦争の終結から、二千年はこうしているのだからな」

「……なおさら起こすべきでは?」

「酷なことを言ってやるなよ。戦いとは痛く辛く苦しいものだ。もう一度戦場に放り込もうなど、お前に人の心はないのか? お前に付き従った農民がどのように死んだのか、忘れたわけでもあるまい」

 

 ぴり、と空気が張り詰める。

 もはや言葉に意味はない。

 看破するまでもない互いの欺瞞。

 戯れる余地をも無くしたその時、両者は同時に動いた。

 

 

 

「─────『この世全ての罰(アケルダマ)』」

「『炎環廻り来たる乖離の天雷(ラハト・ハヘレヴ・ハミトゥパヘヘット)』!!」

 

 

 

 漆黒の呪いと純白の炎雷が綯い交ぜに衝き上がる。

 範囲内に取り込んだ生命体を銀貨へと変換する、冒涜の庭園。しかしながら、天草にその効果が現れることはない。

 煌々と輝く炎の剣。聖書においては神が生命の樹へと至る道を塞ぐために置いたと言われる剣だった。道を塞ぐということは境界を設定するということ。ユダの結界は剣に阻まれ、天草に届かなかった。

 無論、それは彼が本来有する宝具ではなく、ましてや人間が振るうことは想定されていない、天使の武装だ。

 炎の剣を顕現させる間、天草の霊基は不可逆的に焼き焦がされていく。

 ユダは冷水の如き声音を浴びせかけた。

 

「これは予言だ。お前は目的を果たせず、私の手で殺される。覆す術はない」

「素晴らしい予言と言っておきましょうか。予知された裏切りを成しただけはありますね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時を遡り、赤き竜が一兆度の熱線を放った頃。

 ……生命の樹は十個のセフィラと、それらを繋ぐ経路によって表現される。

 しかし、第一から第三のセフィラの領域である流出界とそれ以下を隔てる『深淵』には、隠されたセフィラがあるとされていた。

 その名もダアト。対応する惑星は冥王星。意味するのは神の真意。故に隠され、誰の手にも届かぬ場所にあるのだ。

 ───第十一惑星ダアトはいま『深淵』を抜け、地球を見下ろす位置にまで接近していた。

 星は意思を持ったように動く。

 まるで、その魔術師に付き従っているかのように。

 次元を渡る獣、シモン・マグス。

 彼女……彼は第十一惑星ダアトを背負い、標的たる地球を睥睨していた。

 

「グランドセイバー・バトラズ。さて、どこまで通用するか試させてもらおうか」

 

 シモンとカルデアの勝利条件は両者ともに変わらない。

 すなわち、カルデアスと『熾天の玉座』を手中に収めること。異なるのは目的だ。シモンはこの二つを利用して地球人類を根源に到達させ、カルデアは『真なる人(アダム・カドモン)』が変換したこの異聞世界を汎人類史テクスチャに書き直す。

 ならば、シモンが狙うはカルデアスに他ならない。それの奪取が叶ったが最後、シモンの目的は即座に達成され、今回の戦いは全て無為になるだろう。

 そのためにまずすべきは、『星の魔剣』の無力化。この盤面を一手に覆し得る星剣の切っ先を、他所に向けさせる。

 

「ダアトよ、さらばだ。新世の礎となれ」

 

 惑星の表面にいくつもの光点が灯った。

 そのひとつひとつが、産生する魔力量だけならば聖杯を超越する魔力炉心。ずしんと時空が波打ち、傍目にはゆっくりとダアトが動き出す。

 向かう先は地球ではない。第九惑星、つまり『星の魔剣』。星の衝突によって星剣を潰さんとする目論見であった。

 

「───くそっ」

 

 第九惑星。騎士アド・エデムは思わず歯噛みした。

 『星の魔剣』は世界を、否、未来を喰らう。宇宙を膨張させるダークエネルギーを徴収し、その総量が多ければ多いほどに刃は強大かつ巨大なものとなる。

 だからこそ、魔剣。世界の寿命と引き換えに世界の敵を斬殺する、諸刃の剣なのだ。

 ───それを、たった星ひとつのために使わなければならないとは。

 シモンは騎士の焦慮を嘲笑うようにほくそ笑み、

 

「『次元跳躍』」

 

 悠々と、カルデアスの目前に転移してみせた。

 蒼き光を湛える地球の写し身。魔術師は恍惚とした目でそれを眺め、ぽつりぽつりと語り始める。

 

「思えば、ここまで長かった。私がペテロに敗れてから二千年。この世界での年月を加えれば、三千年を超える。……とても待ち侘びたよ。魔術王なぞのくだらぬ理想、くだらぬ虐殺を見過ごしてやっただけはある」

 

 アレがなければ、この未来には辿り着かなかった。その点では、ゲーティアとやらの凶行にも意味はあった。今ここにはいない誰かを救うために、現在の人類を皆殺しにするなんて、ため息をつきたくなるほどの視野の狭さにも、一定の価値は認めてやれるだろう。

 

「全ては私の筋書き通りだ。これまでも、そしてこれからもな。故に、君たちの存在も既知の出来事に過ぎない」

 

 シモン・マグスの眼差しの先、カルデアスの前には三体のサーヴァントがいた。

 バトラズ、エドモン・ダンテス、そして赤衣の守護者アーチャー。魔術師の奇襲を予期し、彼らはカルデアスを護っていた。シモンは彼らに問いかける。

 

「時に君たちは、主人公補正というものを信じるか?」

「あ? 何言ってんだ。んなもんあったらアーチャーの野郎は過去の自分を殺そうとしてねえし、エドモンは投獄されて婚約者寝取られてねえよ。あと俺の親父殿もあんな雑魚に殺られてねえ」

「「おい、おい」」

「おや、かのバトラズとは思えぬほど謙虚な物言いだ。生まれながらに無敵の体を持ち、心ゆくまで殺戮の限りを尽くした君には運命の加護がなかったとでも?」

 

 バトラズは呆れた表情で、

 

「言いてえことがあんならさっさと言え。しっかり今際の際だってことを理解した上の発言なら聞いてやる」

「それは悪かった。何を隠そう、私も君の意見には大賛成だ。主人公補正なんて陳腐な言葉で片付けられる物語はこの世に存在しない」

 

 ───そう、ただこの世界には運命の筋書きがあるだけだ。誰が決めたとも知れぬ、冷然で厳格な決定稿が存在するだけなのだ。

 

 

 

「だから、私の勝利は決まっている───『神的世界への被昇天(シュゼーテーシス・プロパトール)』!!」

 

 

 

 魔術師には魔術師なりの戦い方がある。

 人類悪として覚醒したシモン・マグスをしても、バトラズと正面から戦えば敗北は免れない。

 ならば、最善は戦わないこと。

 かつて幽谷を歩む冠位の暗殺者にそうしたように、バトラズもまた遠く離れた次元へと追放する。

 

「舐めんじゃねえ!!」

 

 その間際、バトラズは剣を薙ぎ払った。

 

「っぐ───!!?」

 

 間合いを無視した一撃が、シモン・マグスを袈裟に斬り下ろす。

 それは見た目以上に、霊魂にまで響く斬撃。単なる身体的影響だけではなく、魔力の操作や術式の構築をも掻き乱し、治癒も能わぬ一刀であった。

 だが、それでも、バトラズは退場した。あとは眼前の二人を蹴散らし、カルデアスを奪い取る───!!

 

 

 

「『破卵の天球儀(ディアプトラ・コスモス)』!!」

「『無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)』!!」

 

 

 

 二つの世界が鬩ぎ合う。

 出遅れたのはアーチャー。さらに魔力の質、魔術の練度と才覚、術者の霊基の格……斬撃の影響を差し引いても、赤衣の弓兵に勝ち目はなかった。

 これが固有結界の衝突でなかったなら、それは正しかっただろう。

 固有結界とは心象風景の投影。つまりは精神と魂の凌ぎ合い。信念と信念の闘争だ。であるならば、こと彼に限り、真っ当な論理で帰結する決着は訪れない。

 

「───鶴翼(しんぎ)欠落ヲ不ラズ(むけつにしてばんじゃく)

 

 結果、見事に両者の世界は拮抗した。

 無数の剣が突き立つ無人の荒野。

 無数の星々が煌めく無窮の宇宙。

 それらが渾然一体と交わり、太極図の如き様相を創り上げる。

 

「───心技(ちから)泰山ニ至リ(やまをぬき)

 

 とうにアーチャーは動いていた。

 黒白一対の双剣・干将と莫邪。それらを一息に投擲する。

 弧を描き、魔術師へと迫る二刀の軌跡。それはまるでシモンの宇宙を裂くように、アーチャーの世界───巨大な歯車が浮かぶ寂寞の空を映し出していた。

 

「───心技(つるぎ)黄河ヲ渡ル(みずをわかつ)

 

 固有結界同士の戦闘は陣取り合戦だ。

 どちらの世界が相手を上回るかに終始する、シンプルな戦い。

 それにおいて、アーチャーは特異な性質を持っていた。彼が投影した物品は全て、一般的な投影魔術による代物ではなく、固有結界から零れ落ちたモノ。

 故に、その武具は相手の結界を侵食する。剣の軌跡こそが彼の世界となる。その作刀は贋作なれど、真作に比肩する真実味を伴うがために、極小の固有結界を投げつけているのと変わらない。

 

「その程度の一発芸なら、私も持っているとも」

 

 シモン・マグスは虚空に右手をかざし、勢い良く五指を握り締める。干将・莫邪の像がまるで合わせ鏡のように増殖し、やがて霧散した。

 固有結界内部において、シモンはあらゆる時空を司る。アーチャーの放った二刀はいくつもの空間層に分断され、存在そのものが希薄化したのだ。さながら、絵の具に水を注いで色を薄めるように。

 裏を返せば、彼はいくらでも空間を増やすことができる。それは相手の固有結界を上書きするだけでなく、距離を隔てることで接近も飛び道具も無効化する。

 

「───唯名(せいめい)別天ニ納メ(りきゅうにとどき)

「……愚直だな。君の心の在り方は認めるが、私と君を隔てる距離は絶対だ」

「ならば、それを届かせるのが俺の役目だ」

 

 星海に凄然と輝く、蒼き黒炎。時間と空間の縛めからすら逸脱する復讐者。次元の狭間を揺蕩う魔術師へと迫り、蒼炎の拳を叩き込む。

 たとえ如何ほどの距離が空いていようと、エドモンには無意味だ。シモン・マグスの腹部が爆ぜ、アーチャーは魔術師の世界を斬り進んだ。

 

「───両雄(われら)共ニ命ヲ別ツ(ともにてんをいだかず)……!!」

 

 干将・莫邪の刀身が伸長し、二刀同時の斬撃を放つ。

 それは魔術師の肉体を四つに分け、その命脈を断ち切った。

 

 

 

 

 

「これで一殺だ。満足したか?」

 

 

 

 

 

 アーチャーとエドモンの上空。無傷のシモン・マグスが、二人に達成感を与える暇すらなく、冷水のような声を浴びせる。

 

「固有結界の内部において、私はあらゆる時空に偏在する。真に私を殺すというなら、無限に存在する私を無限回殺せる手段を持ってくるべきだった」

 

 アーチャーは小さく息を吐き、

 

「端からこれで貴様を始末できるとは思っておらんよ。全ては貴様の筋書き通りだったそうだが……私如きに一殺されるようなら、読み直す必要があるようだな」

「筋書きは筋書きに過ぎない。文章の余白ではこういうことも起こり得るさ」

「結果は事前に決まっている。その結果を定めたのがおまえだというなら、あまりにも非効率。我らの抵抗を許す意味などない。ただの三流脚本だ」

「辛辣だな、エドモン・ダンテス。しかし君には分かるはずだ。結果はただの結末であって、どう至るかが重要だと」

 

 キャンバスの絵の具をナイフで剥ぎ取るように、シモン・マグスの宇宙が削れていく。

 バトラズの斬撃がこの世界に影響をもたらしている。神剣の一撃はなおもその場に残り続け、魔術師の固有結界を切り離しているのだ。

 ───時間がない。が、もはやそれは問題ではない。固有結界展開以降、無限に偏在するシモンは同時に同じ術式を起動していた。

 人海戦術なんて語句がちっぽけに思えるほどの人数による術式構築。それをもってしてもなお、ここまで時間を要したのだ。

 

 

 

「『筆先の影(バルベーロー)』。私■これをそ■呼ん■■る」

 

 

 

 あた■も墨で線を引■■みたい■、■モ■■■グスの左■身が真っ■に塗り潰され■■た。その線は天上から一直線に魔■師■貫き、始端も終端■見当たらない。

 そ■はア■■ャーの鑑識眼、エ■■ンの見識をも■■■ても見当す■つかない現象■った。

 異様。

 異質。

 異常。

 理解■■た■は、た■たのそ■■け。

 そ■て、彼■は何ひ■つとして分■■ぬま■に、敗■■ることと■る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ───世界を描く構文が崩壊する。

 否、塗り潰される。

 その影は人知及ばぬ異次元よりの投射物。

 これが放たれれば、運命は黒く潰され、世界は死に、因果は規律を失う。

 逃れる方法は、存在しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時に君は、この世の全部が虚構だと思ったことはないか。

 大小問わず何らかの失望すべき真実を知った時、思春期特有の精神の変調状態にある時、好きなタレントだか声優だかがスキャンダルをやらかした時……なんでもいい。

 君のその感覚は、大切にすべきだ。

 加えて、私が保証しよう。それは正しいと。

 私は見た。

 この世界が欺瞞であることを。

 シモン・ペテロに敗北し、死亡した後、霊魂だけで根源の渦に還っていく最中、『次元跳躍』の魔術を行使した。

 根源のその先は存在しないのか?

 言ってしまえば稚拙な好奇心。死後、自分自身をサーヴァントとして喚び出す仕掛けを整えていたからこそのお茶目というやつだった。

 そうして、私は、根源の先を見た。

 曰く、宇宙の構造と脳の神経回路は似た構造を持つという。

 それは、まさしく、そうだった。

 根源の先にある真の世界を垣間見た。

 仮に二次元の生物がいたとして、三次元の世界は知覚できないように、私はその光景を理解できなかった。だが、事実だけを述べるならば、私はそこで無数の未来を目撃し、ある権利を得た。

 運命という長大なる叙事詩の片隅に、自ら一節を書き加える権利を。

 その一節はこうだ。

 〝シモン・マグスは全人類を根源へと到達させる〟────この戦いはその運命の一節へと向かう道程にすぎない。全てはこの記述の果てから始まるのだ。

 我ら人類が、根源より真なる世界へ辿り着く。

 鳥は卵から抜け出ようと戦う。

 卵は世界だ。

 生まれようと欲する者は、ひとつの世界を破壊しなければならない。

 だから、君は、そこで待っていろ。

 いつの日か私たちは、君たちの眼前に現れることとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────I am the bone of my sword(体は剣で出来ている)

 

 『筆先の影(バルベーロー)』は二人の半身を吹き飛ばした。

 

Steel is my body, and fire is my blood(血潮は鉄で、心は硝子)

 

 致命傷であることは言うまでもない。

 彼らは数秒の内にも消滅するだろう。

 

I have created over a thousand blades(幾度の戦場を越えて不敗)

 

 しかし。

 だとしても。

 

Unknown to Death(ただの一度も敗走はなく)

 

 そんな理屈で縛れるほど、彼らは真面目でもなければ利口でもない。

 

Nor known to Life(ただの一度も理解されない)

 

 だからこそ、彼は詠う。

 

Have withstood pain to create many weapons(彼の者は常に独り剣の丘で勝利に酔う)

 

 たとえ理解不能の力にわけも分からぬまま殺されるのだとしても、たとえこれが自己満足に過ぎない決死の応報だとしても。

 

Yet, those hands will never hold anything(故に、その生涯に意味はなく)

 

 そこにきっと意味はある。

 

So as I pray,UNLIMITED BLADE WORKS(その体は、きっと剣で出来ていた)……!!!」

 

 この世界は厳格で酷薄で非情なものだけれど、奇跡は存在するのだから。

 これより始まるのはたった三秒の戦い。

 確実に、絶対に、天地がひっくり返っても、彼らは敗ける。彼らは死ぬ。運命の記述を覆すこともできなければ、無限に偏在するシモン・マグスのひとりたりとも殺すことはできない。

 だが、それは確かに、運命の余白に刻まれる足掻きだった。

 




・現在判明している異聞天球界の歴史

 楽園の世紀

 0年 天地創造。生物の誕生。生物は神の楽園で暮らすこととなる。

 4999年 最初の人間の片割れが、蛇の誘惑を断る。

 5000年 天使『明けの明星』、神を弑逆。堕天使の軍勢を率い、天界にいた天使たちを皆殺しにする。また、楽園の住民は明星の手によって住処を追われる。これを天界戦争と呼称する。

 大罪の世紀
 
 5000年 明けの明星含め五羽の堕天使と二匹の獣がそれぞれの支配域を地球上に創り出す。その後、彼らは自らを『七大罪の魔王』と僭称する。

 5001年 『七大罪の魔王』が『亜霊百種』を創造。現在の異聞天球界に住まう全ての亜霊たちの祖先となる。

 5116年 楽園の住民が魔王征伐の戦を開始。後に慰神戦争と呼ばれる。

 5663年 十二使徒降臨。これにより、次第に戦局は楽園の民へと傾いていくこととなる。

 5665年 魔王ベルゼブルが眷属『万死の虫皇』を展開。結果、総人口が十分の一にまで落ち込み、楽園の民含め対『七大罪の魔王』勢力は各地の拠点に追いやられる。状況を打開すべく、十二使徒の主従『美姫』と『武人』が単身特攻。ベルゼブルと相討ちになる。

 5666年 慰神戦争終結。

 ■■の世紀

 5667年 グリゴリの天使シェムハザが魔術を学問として創始する。

 5792年 グリゴリの天使アザゼルがマナの操作や術式の構築・詠唱を機械に代行させる技術を開発。自らの才覚と精神感応が肝要となる抽象的な魔術よりも、具体的で即物的なこちらが民衆に広まった。言わば工業革命である。

 5793年 シェムハザが現存の全魔術を文章の式に変え、集合的無意識に落とし込む(クラウド化)ことに成功。また、アザゼルは前年の技術をさらに発展させ、生体との融合を実現する。これにより、全ての亜霊が魔術を使えるようになった。術式がデータやシステムだとするなら、集合的無意識をインターネットに見立てた方式である。

 5800年 機械文明の訪れによって急速な発展を遂げる最中、突如七体の獣が誕生。自らを人類悪、黙示録の獣と名乗る七体は各惑星への攻撃を開始。

 5801年 天使シェムハザを頭目として、熾天の玉座防衛戦開始。また、『深淵』結界構築。これが贖罪戦争の開戦となる。

 5822年 『星の魔剣』鍛造完了。騎士アド・エデム、星剣によって残存する三体の人類悪の獣を斬滅。贖罪戦争終結。

 5904年 最後の人間が逝去。

 薔薇の世紀

 6677年 異界よりシモン・マグスが襲来。トゥリシュナとともにシェムハザを打倒し、『熾天の玉座』を我が物とする。

 6680年 シモン・マグス、『熾天の玉座』を禅譲。銀河皇帝ベイバロンは記録抹殺刑を行い、当時の亜霊たちの記憶からシェムハザの存在を消し去った。

 6686年 魔術のクラウドサービスが従量課金制に。また、宮廷魔術師シモン・マグスが定額課金制のサービス『manazon_prime magick』を開始。

 7000年 アド・エデムの居場所が判明。銀河皇帝は騎士を『滅びの種子』と認定、捕縛。身柄は監獄星に送られ、以降研究材料として利用される。

 7963年 『真なる人』がテクスチャの交換を成し遂げ、Eチームがこの世界に降り立つ。
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